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2008年05月29日

開発審査会・裏サイト・道州制

 5月28日(水)は朝から晩まで都市計画、教育、地方分権と全く分野の違う3つの会議に傍聴及び参加しました。午前10時から、所沢市開発審査会。開発審査会は馴染みのない方も多いかと思いますが、都市計画法第78条第8項に基づく審査会です。市にあまたある審査会や協議会のなかでも、最も行政権力の行使力の高い審査会の一つです。
 今回は、開発審査会一括議決基準に基づく許可の報告と、都市計画法第43条第1項に基づく建築物の建築に関る不許可処分の取り消しを求める審査請求が審議されていました。取消しを求める審査請求については個人情報を含むため傍聴できませんでした。

 午後3時からは、「学校裏サイトとネットトラブル」というテーマで行われた所沢市教育センター主催の研修会に参加しました。講師は、青少年メディア研究協会ねちずん村 インストラクター の下田太一さん。下田さんによれば、「親は、自分が携帯電話を電話としてしか使わないから、それほど携帯の危険性を感じていないが、子どもは、電話の機能は、親との連絡しか使わず、むしろ、メールやインターネット機能をメインに利用する。インターネット機能の部分に、子どもにとって危険なサイトが存在する。子ども向けの雑誌には、どうやって親を説得して携帯を買わせるかという特集記事もある」とのことでした。
 まずは、親がそうした携帯電話からアクセスできるネットの存在を知ることが重要であることがよくわかりました。
 午後6時からは、松下政経塾東京事務所で行われた、道州制の勉強会に参加しました。講師は、土居丈朗 慶応義塾大学経済学部准教授。テーマは「今後の地方財政・税制のあり方」というテーマで90分間。その後質疑応答。この問題についてはまた稿を改めて。

 

2008年05月25日

講演会「なぜ今、まちづくり基本条例が必要なのか?!」を聴講しました

 08年5月25日(日)午後1時から、新所沢公民館大講堂で、地方自治総合研究所所長の辻山幸宣(たかのぶ)先生をお招きして表題の講演会が開催されました。参加者は、最も多い時で32名でした。参加者のうち、少なく見積もっても3分の1は見知った方々でした。

 のっけから辻山先生が、「まちづくり基本条例が必要なのか、と聞かれたら必ずしも必要とはいえない」と挑発的なご発言で講演が始まりました。
 
 また、「150ほどあるまちづくり条例や自治基本条例を制定した自治体のほとんどが有効活用できず、例規集に掲載されてそれで終わりになっている」
 とのことでした。

 お聞きしたところ、辻山先生は北海道出身ということで、その正直な物言いは北海道出身者ならではだなと、北海道出身の私としても変に感じ入ってしまいました。

 もっとも、話の重点としては、それでもなお「本当の自治を目指すなら」「まちづくり基本条例を作ることは必要なんですよ」というところが先生の最も言いたかったことだったようです。

 先生ご自身も、現在のまちづくり基本条例、自治基本条例(以下 基本条例と略称)の有り様についてはご不満なんだろうなということが、言葉の端々から伝わってきました。

 くわけんとして、最も印象に残ったのは、ある参加者の、「実際にまちづくり基本条例がどのように機能・作用するのか見えてこない」という問いに対して、先生が、「協働とよく役所は言うが役所のいう共同は、自分達が協働したいところだけ取り出して、その部分についてだけ、協働しようと呼びかける。本来の協働とはそういうことではなく、ずべての行政の営みを公共の観点でその役割分担を見直すことだ」と回答された点です。
 私も、この点はおおいに賛成です。

 以前、我孫子市の前市長の福嶋さんに、松下政経塾の勉強会でお話を伺った時にも同じようなことをおっしゃっており実際に制度化しました。「提案型公共サービス民営化制度」という制度で、役所のほぼすべて、1070の事業について、NPOや民間でできる可能性のある、あるいは、役所以外で事業をやったほうが良い事業について提案を受けたというお話です。福嶋前市長が理想的な事例として取り上げていたのが、しあわせママパパ教室という事業で、これまで、市の保健師が取り組んできたお産前の妊婦に対する指導を、柏・野田地区助産師会が全面的に行うという提案です。それまでは、我孫子市の保健師さんが行っていた事業だそうです。保健師さんは妊産婦に限らず幅広い世代を対象に保健業務を行っていますが、助産師さんは、出産に特化して業務を行っているので、市が提供するよりも的確なサービス提供ができるようです。

 話が我孫子市の例にそれてしまいましたが、くわけんはまちづくり基本条例の制定は大変重要だと思っています。まず、その制定プロセスが、やはり所沢市の自治力向上に必ず役立つこと。どのような内容を含むかにもよりますが、実際に条例化されれば、少なくとも私は、この条例をタテにとって、条例の理念にそぐわない行政のふるまいには断固として異議申し立てを行います。(たとえばわかりやすく説明する義務など)
 
 辻山先生は、ある自治体のまちづくり条例制定委員会に委員長として加わっていた際に、ある委員がまちづくり条例の趣旨にそぐわない、あまりにも自分勝手な自説を展開したため、強く注意したところ(若干の物理力行使も伴われたそうですが)、委員長の職を解かれてしまった経験があるそうです。その自説を強く主張した委員も辞職されたそうです。

 その後、他の委員から、「本来であれば、委員長である先生が注意するのではなく、われわれ委員がたしなめるべきであった」との反省の弁が聞かれたとのこと。
 このエピソードが示すように、もし、まちづくり基本条例を制定する委員会が創設された際には、やはり、会議の趣旨やルールというのをあらかじめ確認してから議論を進める必要があるでしょう。

 また、なぜ、他の自治体がまちづくり基本条例が店ざらしになってしまっているかといえば、条例を制定した議会や市民の方々の基本条例の活用方法がいまひとつわからというのが原因の一つなのではないでしょうか。
 てっとり早く言えば、基本条例をタテに、どなたかが基本条例違反だと言って、行政訴訟を起こされると、基本条例の司法判断も含めて、その有効性が検証されると思っております。

 もし、そうした裁判がなされるならば、自治基本条例の「最高法規性」をめぐる判断が大きな論点となってくるのでしょう。

 議会の申し合わせとして、議会基本条例制定のための特別委員会を開設する方向で検討が進んでいます。議会としては、まちづくり基本条例と並行して、議会基本条例の制定も進めていかなくてはいけません。

 
 

2008年05月22日

東洋大学で学生さんに講義しました。

 08年5月23日(木)、私の後輩が非常勤講師を務める東洋大学経済学部の「メディアと文化」という授業で、市議会議員としての現場体験を元に講義をしました。実は、今年でこの講義も3回目になります。1回目は、街路樹の不法伐採を、2回目は、墓地拡張問題、そして、今年は、住宅手当二重支給問題をテーマに講義しました。
 講義内容は、これまでも、皆様にご報告している所沢市住宅手当の二重支給の問題を見つけ出し、議会で問題にしていったプロセスが話の中心です。ただ、学生の皆さんは、まだ就労されていないため、住宅手当や公務員の給与制度など、知識としては知っていても、実感がないため、前提となる知識の解説に半分以上の時間を費やしました。
 私のように、昭和の(といっても昭和も後半ですが)人間と、生きてきた時代がほとんど平成という学生さんとの知識のギャップが激しく、いちいち知っているかどうかを確認しながら話さなくてはいけません。(それだけ私も年をとったということかも)
 たとえば、公務員は争議権が制限されていることを説明する際、ストライキという言葉は知っていても、今の学生さんは、ほとんどストライキというものに遭遇したことがありません。私は、北海道生まれのせいもありますが、小学生の頃、先生のストライキがありました。当然先生も公務員ですから、ストライキは禁止されているのですが、ストライキがあって、確か1時間遅れで学校に行きました。
 ですから、ストライキの例をあげてくださいと学生ざんにいったところ、サッカーの選手とコーチの確執により、選手が、フィールドにでるのを拒否した事例をストライキの事例として挙げてくれました。
 また、最近は全く驚かなくなりましたが、松下幸之助さんのことを知っている若い人もずいぶん少なくなりました。今回は、50名程度の学生さんがいたのですが、遠慮もあったかもしれませんが、知っている人の挙手を求めたところ、5~6名でした。

 今回は、公務員志望の方も多かったせいか、比較的寝ている方も少なく、熱心に聞いて下さいました。ありがとうございました。

2008年05月21日

行財政改革シンポジウムに参加しました

 2008年5月21日(水)、日経BPガバメントテクノロジーが主催する、行財政改革シンポジウムに参加しました。
 プログラム

 すでにご存じの方もいらっしゃるかとは思いますが、いま、地方公共団体の会計システムを、民間部門の会計方式(複式簿記 発生主義)を本格的に取り入れた会計システムへと変更する、いわゆる公会計改革が進んでいます。

 くわけんも、すでに、2007年9月議会で、
 公会計制度改革と、所沢市の対応について質問いたしました。
 人口3万人以上の市は、平成20年度決算まで(つまり平成21年)には、新しい公会計制度で決算をおこなわなけれいけないとされています。

 所沢市では、平成14年度から、総務省方式によるバランスシートと行政コスト計算書を算出し、公表しています。
 所沢市の財務諸表

 既存のバランスシートも大枠の財政状況はわかるのですが、たとえば資産評価などは、そうとう大雑把な推計を行っています。
 どういうことかというと、日々の会計処理は単式簿記、現金主義で行っています。その結果出てきた、決算統計を、読み替えて財務諸表を作成しているのです。決算統計もデータ量は充実していますが、読み替え方法は全国共通ですから、どうしても実態とのかい離が発生してしまいます。
 当然ながら、元データにもどれないという欠点もあります。
 
 国が示している会計方式には、総務省基準モデル(2章方式)と改定モデル
(3章方式)があるのですが、改定モデルでは、現行の総務省モデル、つまり、現在の所沢市の財務諸表を作成するモデルに比べれば、精密度は増していますが、複式簿記・発生主義で会計処理する基準モデルに比べればやはりデータの正確さが劣ります。本来であれば、複式簿記・発生主義で会計処理を行う基準モデルで処理すべきなのですが、規模の小さい自治体では、作成に手間がかかるということで、改訂モデルも残存してしまったという事情があるようです。
(正確にいえば、基準モデルでも、日々仕訳入力をしないやり方もある)

 ただ、今後は、最終的に基準モデルを目指すように法整備もされるという情報もあり、くわけんとしては、所沢市は、二度手間を防ぐためにも、基準モデルを平成19年度から取り入れるべきと、主張しています。 
 しかし、昨年度導入した所沢市の財務会計システムを納入したベンダーは、公会計に関心が薄いようで、公会計パッケージも持っていないようです。
 ですから、公会計のシンポジウムでは、所沢市の財務会計を納入したベンダーさんは、全く姿をみることができません。
 本来であれば、発注者の所沢市も、要求仕様の中に、公会計対応パッケージを持っているかを入れればよかったのでしょうけど、残念ながら、考慮にいれなかったようです。議会も、私を含めて、これほど公会計の改訂が早く進むと思わなかったので、あまり、執行部を批判できないのですが。

 また、平成19年度決算(平成20年・秋に公表)では、夕張市の財政破綻をきっかけとして生まれた、自治体財政健全化法に基づき、これまでより詳細な指標を公表しなくてはなりません。
 総務省地方公共団体財政健全化法関係資料
 この公会計改革と自治体財政健全化法に伴う新指標の公表が実施されると、自治体財政の情報開示が格段に進みます。

 ただ、提供される情報は増えるものの、その情報を読み解き問題点を指摘するためには、これらの新しい制度について習熟する必要があります。
 くわけんも、ここ1年以上、公会計や健全化法について、セミナーやシンポジウム、勉強会に参加し続けています。国も制度の詳細を詰めていなかったのですが、ここにきて、ようやく細かい部分も確定してきました。

 所沢市は、夕張市とは違い、堅実な財政運営を行ってきたので、それほど大きな問題点はないとは思われますが、少し心配しているのが、土地開発公社の時価と簿価とのかい離です。おそらく、この秋には、土地開発公社の所有する地価を低価法で評価して公表しなくてはなりませんから、その点があきらかになってくるでしょう。

 

2008年05月18日

シンポジウム 「地方議員はプロか?ボランティアか?」

08年5月17日(土)開かれた議会をめざす会公開シンポジウムに参加してきました。テーマは、「地方議員はプロか?ボランティアか?」という刺激的なテーマでした。
○第1部 講演 13:30~14:15
   ≪議員報酬と地方議員・地方議会のあり方≫
   小林 弘和氏(専修大学法学部教授、開かれた議会をめざす会顧問)
○第2部 パネルディスカッション 14:30~16:30
  ≪地方議員はプロか?ボランティアか?≫
  矢祭町・日当制を通して考える!「地方議員・議会のあり方」
・パネリスト (敬称略)
 大沢 ゆたか(東京都・立川市議)
      ・・TBSテレビに出演し「日当制反対」の論戦を展開。
 菊池 清文 (福島県・矢祭町議)
      ・・全国初の「議員報酬日当制」の条例提案者。
 福嶋 浩彦 (前・我孫子市長)
      ・・・地方自治の改革派。市長経験者の立場で参加。
 吉川 ひろし(千葉県議・当会代表)
      ・・広域的な県議として欧米の議会も踏まえ論戦に参加。
・コーディネーター
 小林 弘和 (専修大学法学部・教授)

 皆さんもご承知のように、合併しない宣言で有名になった、福島県矢祭町議会では、「議員報酬日当制」を提案して可決されました。今回は、日当制を直接提案した、菊池清文町議会議員もパネリストとして参加していました。
 議員報酬の問題は、ここで簡単に論評できませんが、いずれにしろ、改めて確認できたのは、地方議員の制度と実態が乖離していることです。

 ここで、議員報酬に関する地方自治法をもう一度確認します。
 
 地方自治法 第二百三条  
 普通地方公共団体は、その議会の議員、委員会の委員、非常勤の監査委員その他の委員、自治紛争処理委員、審査会、審議会及び調査会等の委員その他の構成員、専門委員、投票管理者、開票管理者、選挙長、投票立会人、開票立会人及び選挙立会人その他普通地方公共団体の非常勤の職員(短時間勤務職員を除く。)に対し、報酬を支給しなければならない。

 「市議会議員は、非常勤の職員という位置づけです」

○2  前項の職員の中議会の議員以外の者に対する報酬は、その勤務日数に応じてこれを支給する。但し、条例で特別の定をした場合は、この限りでない。

 「議員は、基本は、日当制ではありません。ただし、条例で日当制と決めるなら日当制にしてもよいということです」

○3  第一項の者は、職務を行うため要する費用の弁償を受けることができる。
○4  普通地方公共団体は、条例で、その議会の議員に対し、期末手当を支給することができる。
○5  報酬、費用弁償及び期末手当の額並びにその支給方法は、条例でこれを定めなければならない。

 ちなみに、203条2項が、議員を日当制から原則除外したのは、昭和31年だそうです。
 また、東京都、御蔵島村では、議員報酬の支給は年2回とのことだそうです。
  (議員情報誌SIGNAL 第69号 発行 第一法規 2p より)

 また、
地方自治法第九十四条、
「町村は、条例で、第八十九条の規定にかかわらず、議会を置かず、選挙権を有する者の総会を設けることができる。」
同法第九十五条  「前条の規定による町村総会に関しては、町村の議会に関する規定を準用する。」
とあり、町村では、「町村総会」を開催すれば議会が必置(必ずおく)ではありません。

 おそらく、町村においては、日当制の次は、「町村議会」を廃止して、「町村総会」へと代わっていくことでしょう。ですから、「日当制」あくまでも、「議会廃止」、「町村総会」へのステップであると、私は考えています。

 これだけの、画期的な提案をした、菊池議員は、今回最下位当選だったとのこと。ご本人は、お祭りではなく、政策を地道に訴える選挙をしたためではないかと、分析されていました。ただ、日当制にしたことで、立候補者がいなくなるという心配をされていたそうですが、無事、定数以上の立候補者がでて、選挙になり、新人候補が1、2位を占めたそうです。

  

2008年05月17日

フィンランドの教育についての研修会に参加

 2008年5月16日(金)、所沢市教育センターが主催する、教員向け対象の研修会に参加させていただきました。テーマはフィンランドメソッドに学ぶ「今求められる“読解力”PISA型学力とは」。講師は、日本教育大学院大学 客員教授 北川達夫先生。
 所沢市教育センター研修会の概要
 PISA(ピザと発音するようだ)は、OECD(経済協力開発機構)が実施する国際学力調査であり、この調査でダントツ1位となったことから、フィンランドの教育に注目が集まるようになりました。
 今回の研修会では、そういったフィンランドの教育システムについての基礎的なお話が聞けるのではないかと予想して行きましたが、さすが、プロ向けの研修だけあって、フィンランドの教育システムについては基礎的な知識がある先生方により本質的な理解を促すことに主眼が置かれていた。

 フィンランドの教育については、
 http://kyouiku.city.tokyo-nakano.lg.jp/kouhou/window/24.html
 http://www.tigrenet.ne.jp/discussion/200705.html
 を参照してください。

 研修会には、なぜか、当麻市長も聞きにきていました。

 北川先生は、冒頭に、「教育に理想郷は存在しない」ということをまず強調されていました。フィンランドの教育にも問題はたくさんあることも強調していました。例えば、高校入試に際しては、内申点のみで判定されるため、内申点の水増しがおこなわれていることが問題になっているそうです。
 北川先生ご自身がもともと、外交官出身であったせいか、対話の重要性にお話の力点が置かれていました。対話とは、価値観の共有を前提としないコミュニケーションのことと定義されていました。これは、同質性を求める最も日本人が苦手とするところではないでしょうか?外交官の世界では、交渉相手は「人間であること以外共通点はないものと思って交渉せよ」と北川先生は先輩から教えられたそうです。
 
先生が対話を育むコツとして挙げられていたのが、
 1)知識と経験を共有するという発想
 2)みな違うゆえ、究極的にはわからない
 3)価値の相対化
 4)「自分」を変える勇気

 私も日々、議会というある意味、価値観の違う人々が集まっているなかで
議論をする機会があるため、対話の難しさは痛感しているところでしたので
大変参考になりました。

 最後に、聴講者である現場の先生からの質問がありました。
 質問は、「フィンランド方式の素晴らしさはわあkるが、やはり基礎的な知識は
どのようにして習得させるのだ」といったような趣旨でした。北川先生からの回答は「興味を持たない生徒を責めることはしない。あくまでも生徒の選択の問題だ」ということでした。
 これを私なりに解釈すると、生徒には、みずからすすんで落ちこぼれる権利が保障されている、ということになりましょうか。これは、実はとても重要な考え方で、「愚行権」(おろかなことをする権利)という概念に近いものと思われます。
 日本では、かつては、勉強しないと、いい学校に入れず、いい学校に入れないと、給料の高い仕事につけない、と子供たちを脅してきました。そして、現在は、「勉強しないと、ワーキングプアになってしまう」と脅しています。
 正直、私も親として、そこまで割り切れません。その点の覚悟ができないと、なかなかフィンランドメソッドといっても日本では難しいのかもしれません。

 いずれにせよ、東アジア、特に漢字文化圏では、なにしろ、少なく見積もっても千数百の漢字をマスターしなくてはなりませんから、ある意味詰め込みの段階を必要とするのでしょう。

 考えてみれば、いまではすっかり評判の悪い「ゆとり教育」も目指すところは結構フィンランドメソッドと近かったのではないでしょうか。しかし、その基本のところで、「愚行権」までも子供たちに認めて教育をするという決断が現場でも、当然文部科学省でもできなかったことに、「ゆとり教育」の中途半端さがあったのかもしれません。

 

 

新くわけんメルマガ始まる

 一時期お休みしていた、くわけんメルマガが再開します。以前は、メルマガ専用のシステムを利用していましたが、今回は、私が利用しているロリポップサーバーのメルマガシステムを利用して配信します。

 配信頻度は、不定期です。

 購読していただける方は、このサイト右側の「メルマガ登録」から登録してください。

 参考までに、新くわけんメルマガ1回目内容を以下に紹介させていただきます。

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所沢市議会議員 くわはた健也 くわけんメールマガジン ■■■■■■■■
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 ここしばらくお休みさせていただいていたくわけんメールマガジンを再開させて
いただきます。

 所沢市職員の住居手当二重支給問題は大きな反響を呼んでいます。
 多くの方々から、どうしてわかったのか?と聞かれます。
 
 答えは、「議場で質問をしてわかった」のです。質問を積み重ねていくうちに
 議場で、そのからくりに気付きました。

 詳細は、
 http://www.kuwaken.net/2008/03/200801_1.html
 をみていただければわかります。まさしくこのやり取り通りでした。

 また、なぜか、4月22日になって、東京新聞にて、私の名前入りでこの問題を
 取り上げていただきました。

 以下 本文

 所沢市 住宅手当を二重支給 夫婦などで加算分 『ヤミ給与』と批判も
 2008年4月22日

 所沢市が職員の住宅手当を一部で二重支給していたことが二十一日、分かった。
 同市の住宅手当は基本分と加算分の合計で算出されるが、加算分月六千九百円を
 全職員に支給しているため、夫婦で職員の場合、同一世帯に加算分が二重払いされている。この問
題を追及する市議からは「住宅手当に名を借りたヤミ給与だ」と批判が上がっている。 (土門哲雄

 同市では、家賃月額五万五千円以上の借家に住む職員に毎月、基本額二万七千円に
 加算分を合わせた計三万三千九百円の住宅手当を支給している。新築や購入後七年以内
 の持ち家の場合は基本額三千五百円で計一万四百円。

 市総合政策部によると、基本額は国家公務員の住宅手当に準じており、市職員は官舎
 がないため六千九百円を加算しているという。

 同市では夫婦、親子、兄弟とも職員で同一世帯の場合、加算額分がそれぞれに
 支払われている。職員二人が同居し、家賃が月五万五千円以上の借家の場合、
 一世帯当たり月四万八百円になる。同市には職員同士の夫婦が百七十四組、親子六組、
 兄弟二組(一月現在)がおり、二重支給を廃止した場合、合計約千五百万円が削減できる。

 この問題を追及している桑畠健也市議は「民間企業の約半数は住宅手当を支給しておらず
 、公務員への厚遇だ。(加算額は)外から分からないように職員給与を上げるためのもの。住宅手
当に名を借りたヤミ給与ではないか」と指摘している。

 総合政策部は「これまで給与条例に従って支給してきたが、夫婦とも職員などの場合は
 一人分の加算額にするよう職員組合と協議をしている。条例改正案を議会に上程したい」
 と説明している。

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/20080422/CK2008042202005598.html

 以上 引用終わり

 こういうことがあると、他にもなにか隠し事があるのではないかと思ってしまいます。

 


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□ 発行元: 所沢市議会議員 くわはた健也
□ くわはた健也(くわけん)公式サイト: http://www.kuwaken.net
□ 〒359-1111 埼玉県所沢市緑町1-6-15-107
□ 電話番号:04-2921-8248
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2008年05月11日

北小学校改築時の出来事

2008年5月9日、息子2人がお世話になった、所沢市立北小学校創立50周年記念式典が開催されました。夜には、祝賀会が行われ、改築前の校長先生であった立石様よりごあいさつをいただきました。そのごあいさつの中で、北小学校改築時、当初の建築案が、地域住民への説明会を経て、案が変更になったエピソードを紹介されました。北小の敷地は、長方形で、東西方向が長辺で、南北方向が短辺になっています。50年前に出来た当時は、校舎は北側に、校庭は南側に位置する、理想的な形でした。改築の際、改築前の校舎をそのままに、新校舎を校庭に建てるという計画だったそうです。この方法だと、校庭は使えなくなりますが、プレハブ校舎を建てなくて済むので、約2億円の費用節減になるということでした。しかし、北小学校を訪れたことのあるかたならわかりますように、南側に校舎がたってしまえば、校庭の日当たりも悪くなりますし、校舎からの見晴らしも悪くなります。立石元校長も本音では約2億円かかっても、プレハブを建てて、新築後も、校庭と校舎の配置は変えないようにするのがよいと思っていたそうです。ただ立場上は、表立って主張もできなかったそうです。ところが、地域住民への説明会で、南側校舎案は、反対とされ、北側校舎案に落ち着いたそうです。そういう意味でも「地域の皆さんには感謝している」とスピーチされていらっしゃいました。私も、このエピソードは恥ずかしながらお聞きするのは初めてでしたので、大変驚きました。財政面からみれば、2億円というのは大きい出費ではあります。しかし、学校は、少なくとも20年以上使えるわけですし、小学生にとっては、最も多くの時間をすごす場所のひとつです。そうした大事な場所が、広々と明るくあるための出費として2億円というのは必要な出費だったのではないかと思った次第です。とかく財政が厳しいといいますが、本当に必要なところにお金はしっかりかけることが重要であることは、この10年後の北小学校が雄弁に物語っています。

2008年05月10日

ローカルマニフェストは「鍬」

くわけんは今、ローカルマニフェスト推進地方議員連盟に加入しております。そいった関連で、エッセイの執筆を頼まれました。
http://www.senkyo.janjan.jp/senkyo_news/0803/0803132701/1.php

そのエッセイをここにも再掲させていただきます。

以下本文

私は農学部出身ですので、モノゴトをどうしても農作物になぞらえて考えるクセがあります。稲を例にとれば、よいコメを収穫するためには、「根」がしっかり発育なくてはいけません。「根」をしっかり発育させるには土づくりが重要になります。

 最近は、ほとんどの日本人が農業に関り無く生活していますから、この簡単な理(ことわり)を忘れがちになるように見えます。松下幸之助さんが松下政経塾を創設した際、「できれば最低10年間は塾で学んでほしい」と思ったそうです。(結局、設立当初の修業年限は5年。現在は3年)また、塾生の育成方針として、「多くの上手ではなく、一人でもいいから名人を育てたい」と宮本武蔵を例にとって語っています。

 私流に解釈すれば、松下幸之助さんは、人間としての「根」がしっかり発達した政治家・リーダーを育てたかったということではないでしょうか。「学校」ではなく、「塾」という形態にこだわったのも、「学校」は誰か先生が教えるところ、「塾」は自分から学びとるところ、という意識もあったように思います。

 松下幸之助さんの凄いところは、自分の考えを学べとは一言も言わなかったことです。

 「師なくして、自ずからその道に達すること」「自修自得」が松下政経塾の理念です。私は、松下幸之助さんには、塾生として一度しかお会いすることができませんでしたし、それほど長時間にわたってご指導をいただくということはありませんでしたが、海のものとも山のわからない若僧の言葉に真剣に耳を傾けていただいた経験は私にとって生き方の一つの指針となりました。

 私が入塾した当時は、「前川レポート」が内需拡大と、食糧の輸入関税撤廃を声高に訴えていました。当時、食糧安全保障などを唱えるということは、遅れた考えと見做される風潮がありました。当然、松下幸之助さんも財界人なのだから、食糧はどんどん輸入すればよい、という立場に立っていたように思われるかもしれません。しかし、松下幸之助さんは一貫して、食糧安全保障の重要性を訴えていました。

 松下政経塾の設立趣意書にも、「経済面においては、(中略)食糧やエネルギーの長期安定確保の問題」が日本の課題として挙げられています。特に政治家志望ではなかった私が、松下政経塾を志したのも、この設立趣意書の一文でした。

 その後、紆余曲折を経て、今は有権者の方々の負託をいただき所沢市議会議員を努めさせていただいています。当初の志はどこへやら、農業問題、食糧問題とは縁遠い立場になってしまいましたが、今は、地域で、良き「根」を育てることと、そのための土づくりを、地方議員という立場で実行いたしております。

 私にとっての土づくりのための鍬がまさにローカルマニフェストなのです

本文おわり