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2010年02月28日

 西尾勝先生「政権交代と地方自治」で質問する

 本日は、私も会員の自治体学会 自治最前線フォーラムが東京秋葉原で、午後ありました。
 昨日が政経塾のシンポジウムで、大臣や知事、政令市などの市長のお話を聞き、今日は日本行政学の泰斗 現在は、東京市政調査会理事長の西尾勝先生のお話です。先生の、行政学の本はよませていただきましたし、かつて政経塾で行政学を勉強しようと、森田朗先生をおよびした際にテキストに指定されたのが、西尾先生の「行政学の基礎概念」というえらく難しい本でした。第10章自治を題材に勉強しましたが、森田先生の解説なくしては何が書いてあるかさっぱりわかりませんでした。
 
 さて、本日は、西尾先生は、「政権交代と地方分権の動向」というテーマでの講演でした。
 Ⅰ 「第2期分権改革」の基本的な性格 Ⅱ政権交代で何が変わるのか ということで、主に、先生の視点で最近の動きを整理し、先生のご意見も交えて、ご講演いただきました。

 講演後、早速私が、怖いもの知らずで、一番手で質問です。
 昨日のブログでも書かせていただきましたが、なんといっても「地域主権」という用語表現がはたして適切なのかどうかという切実な問題を抱えていますのでその点について質問です。

 くわけん「私は、地域主権というのは、はたして言い切ってしまっていいのかまだ整理がついていないが、先生は、地域主権という言葉をどのようにとらえていらっしゃるのか。ただ、国の権限を地方に分ける分権というのも大事だが、地域が主体的に権限を行使していこうというその意味には共鳴しているので、何か別のいい表現はないか?」
 
 西尾先生「地域主権をゆくゆくは連邦制を構想しているということであればそれはありえる。しかし、そういう構想なしに、地域主権ということは、主権が日本国民から地域に移行してしまうということになるので、この表現は好ましくない。だから、私は、地域主権戦略会議には参加しない。2番目の用語については地方分権でいいと思っている」とのお答えでした。
 
 あくまでも大意を要約したので、細かい部分は間違っているかもしれませんが、私は以上のように受け取りました。

 松下幸之助さんは、「廃県置州で新たな繁栄を!」といわば、道州制を提唱していました。じゃあ、松下幸之助さんが、連邦制を指向していたかといえば、それはちょっと違うと思っています。
 昭和43年PHP7月号での、論文、「廃県置州で新たな繁栄を」では、「国防や外交、治安や教育行政、基本的な国土建設といったものは、各州ごとにやるより中央政府が行ったほうが効果的である」といっています。(昨日ご紹介した、湘南宣言でもその一部を引用させていただきました)

 おそらく、主権という言葉ををどうとらえるかにもよりますが、やはり、国防や外交が中央政府にあるというのは、ちょっと連邦制とは違うのかなという感じがします。
 いずれにせよ、地域主権といった場合、主権という言葉もそもそもは西洋から輸入した言葉ですから、英訳で言えば主権は「sovereignty」ですが、地域主権といった場合の地域主権は、地域が主人公となって、あるいは主体となって権限を行使する、といった意味合いが強いのではないかと私は思っています。
 ですから、地域主権の場合の主権を英訳すると「autonomy」にニュアンスが近い印象です。地域主権推進法も、地域自律(自己決定)推進法という表現の方がいいのかなとも思うわけです。

 さて、これからおそらく、この地域主権という用語をめぐって、内閣法制局の判断がなされるわけですが、民主党は内閣法制局が憲法判断を下すことについて、忌避感を示しています。このことは、最近知ったのですが、要するに、「民主主義」と「立憲主義」との対立ということになるのでしょう。

 立憲主義と民主主義 阪口 正二郎 要約

ごくごく私の生半可な理解でいえば、民主主義はルールを作るということ、立憲主義はルールを判断し、守るということになり、そのルール判断は民主主義側、つまり政治側にあるのか、それとも、内閣法制局も含めた広い意味での司法部門にあるのかというこれも一種の権力闘争にあるわけです。原則的には3権分立ですから、そんなことできるかどうかはわかりませんが、この地域主権推進法は、憲法違反だから訴える、となった場合司法はどういう判断を下すのかなというのは興味がありますね。

 国民も、なんとなく道州制に対してはそれほど拒否反応はないと思うのですが、やはり連邦制となると、それは国民合意を得ているとはとても思えませんし、西尾先生も言っていましたが、民主党政権のマニフェストには、道州制も連邦制も書かれていないのですから、民主主義的プロセスからいっても、それはちょっと無理筋かなという気もするわけです。
 
 いずれにせよ、法律用語としての地域主権というのはなかなか難しい問題を抱えているのですが、政治的スローガンとしての地域主権については私もその意図は十分わかりますので、ちょっと悩ましい今日この頃であります。
 

2010年02月27日

 松下政経塾 地域主権 湘南宣言

 本日、2月27日、以前このブログでもご紹介させていただいた、松下政経塾30周年記念のシンポジウムが開催されまました。

(財)松下政経塾30周年記念シンポジウムのご案内

 シンポジウムの最後に、副座長として、このシンポジウムの企画運営に携わった私が、宣言を会場にて朗読させていただきました。

 この宣言は、当たり前のことですが、今回のパネリストの皆さんにもそれぞれ事前にお配りして修正を加え、了承したものです。

 シンポジウムの中でも北川先生からご指摘をいただいたのですが、「地域主権というのは、主権が国家内に2つ存在することになる、未知の領域だ」ということや、以前、和光市であったシンポジウムでも、大森先生が、「地域主権という言葉は、憲法上疑義がある」と言われた点を配慮し、地域主権は、松下幸之助さんの定義をお借りして、「国防や外交、治安や教育行政、基本的な国土建設など全国家的に取り組む課題以外は」地域が主人公となって権限を持つ 地域「主(人公)」「権(限)」という表現といたしました。

 また、道州制についても、本当はもう一歩踏み込んだ表現をしたかったのですが、道州制についてはパネリストの間でも温度差があるようなので、「明治維新以来変わらない都道府県制度に疑問を呈し」という表現にとどめました。

 この宣言を起草しながら思ったのは、本格的な地方分権、地域主権を考えるには、まずは地方自治法の抜本改正ですが、終局的には憲法についても議論する必要があるように思いました。

 ちなみに、地方自治法の抜本改正案を早速、神奈川県では、今回のパネリストでもあった、松沢知事が素案をつくっていることがシンポジウムでも報告されました。

 神奈川県「地方自治基本法の提案」の概要


 シンポジウムについては詳細は改めてご報告しますが、手前味噌ながら、松下政経塾出身者の今回のパネラーはみな「明るくて」「元気」で「前向き」で「必ず笑いを最低一か所とる」というところに共通点があるように思いました。
 そういう人選を心がけたからでもあるのですが。松下政経塾の選考基準の一つ「愛きょう」となっています。私も7年間選考にかかわってきたのですが、やっぱり「愛きょう」があって明るいことは大事だとつくづく思いました。私も反省しきりです。


 以下、本文です。

 松下政経塾 地域主権 湘南宣言

本年度、松下政経塾は、開塾30周年を迎えました。

本塾創設者でもある松下幸之助は、明治維新以来変わらない都道府県制度に疑問を呈し、それぞれの地域ごとに切磋琢磨できるよう、大幅な権限委譲をおこなっていくべきとの考えを持っていました。

松下政経塾では、塾主松下幸之助のこの考えを受け、塾生時や卒塾後も、地方分権に向けた研究・実践活動をすすめてまいりました。

平成元年からは、松下政経塾が運動体として、地方分権を地域から進める「地域から日本を変える」運動を積極的に進めてきました。権限委譲の前に、まずは地域が自立的・主体的に、自己決定・自己統治をしていく能力を備えることが大事と考えたからです。

現在、地方分権を司る大臣に塾出身の国会議員が就任し、また、都道府県知事が2名、政令市市長2名を含め、市長・区長が9名、地方議員26名が地域で活動を行っています。

私たちは、まずもって、自分たちの地域は自分たちで自律的に経営していくのだという強い気概をもつべきと考えます。その上で、地域経営に必要となる権限を国から委譲させることが必要です。
国防や外交、治安や教育行政、基本的な国土建設など全国家的に取り組む課題以外は、地域が主人公となって権限を持ち、地域の課題に取り組み解決していく地域主権のより一層の実現に向けて取り組むことをここ湘南において宣言いたします。

松下政経塾自治体経営改革プロジェクト

平成22年2月27日 


2010年02月24日

 所沢商工会館取得に関する定例会議論②

 該当部分の録画中継は ここをクリック してください。2月23日(「開会」)の下のほうに緊急質問があります。

 やりとりは議事録速記録から要約しました。

 くわけん  商工会館の補助について政策会議の議題になったか?
 当麻市長 政策会議の議題にはなっていない。

 くわけん  こういう重要な問題をやらない政策会議というのは一体何なんですか?議題にしなかった理由を教えていただきたい。すごく大きな問題ですよ、2億6000万円の予算の使い道のことを政策会議でやらないような政策会議はどういう政策会議なんですか、お答えください。

 当麻市長 政策会議、発議と報告ということがありますが、今回の問題については3月で付帯決議をいただいて、精査をしてきている中での中途の報告ということについても、とりあえず土地の鑑定等まだ十分に結論がでていなかった等もあり、政策会議に報告がなかったと理解しています。
 
 くわけん さっきから言っているじゃないですか。もっと早くから疑義が生じていると。(中略)
 私は、この3月議会で全くこの点について指摘しているわけです。それを政策会議でやっていないということは、要するに議会の意向なんか無視したということじゃないですか。初めて法律相談したのが12月22日。12月18日に住民監査請求が出て、あわてて(法律相談を)やっているんじゃないですか。要するに、議会の意向は全然忖度せずに、政策会議にも上げなかった。その程度の扱いを付帯決議に関してしたという、そういうことじゃないですか、市長。

 当麻市長 今回の法律相談については、結果的には12月議会の終わった後になってしまったということについては、やはりもっと早くやっておくべきだったのではないかというふうに思っております。
 そういう面については、決して議会の意向を無視した形で政策会議にかけなかったということではございませんで、結果的にこういう日程になってしまったということについては大変申し訳なく思っております。

 くわけん とにかく政策会議の在り方、これはもう1回要検討をまた私も質問等でしていきたいと思います。何のための政策会議か、最高意思決定だというふうに私は理解していますから。
 続いての質問です。平成21年3月議会での質疑では、補助金交付規則第18条「補助金等の目的に反して使用し、譲渡し、交換し、貸付または担保としてはならない」となっていながら、テナントの入居については市長の承認があれば可能だといった趣旨のお答えをされたわけですよね。改めて、確認します。
 原則は、補助事業等により取得し、または紅葉の増加した財産を目的外で賃貸をして利益を上げることは許されない。当然、市長もそういった案件の場合には承認しないということで、よろしいんですね。

 当麻市長 今回、精査をさせていただく中で、アクサ生命のテナントにつきましては、やはり補助金の対象にならないということで疑義が生じましたので、そういうことは今後はありません。
 
 くわけん アクサ生命に限らず、この補助に関してはこういう形で第18条に基づくような形でやるかどうか、今回のだけじゃないですよ。これからもちゃんとそういうふうにやるということでよろしいですね。

 当麻市長 はい。補助金の交付につきましては、今後もそういう形ですすめさせていただきます。

 くわけん これはガバナンスの問題です。つまり意思決定を誰がしたかということを透明化することが大事だと思います。先ほどの全員協議会では、起案時の部長は現財務部著の富澤部長であることがあきらかになりました。富澤部長には起案者として今回どのようにこの案件をとらえているのか、また内部で補助金を出すことについての指摘はあったのか、なかったのか、この点についてお答えください。

 富澤財務部長 平成18年1月のいわゆる基本方針、これを踏まえたうえで、予算要求させていただいているということです。
 内部からの指摘があったのかどうかということについては、補助金等審査委員会においては了とされた。
 
 くわけん 先ほどの全員協議会では、テナント貸しすることは大館部長は知らなかったということだが、富澤部長もやはりテナント貸しすることをしらなかったのか?

 富澤部長 私も承知していない。

 くわけん 今回のこの混乱の責任、どういう形でとられますか。内部的な処分、お考えのところがあれば市長ご自身の処分も含めて、どういう処分をされるのかお答えください。

 当麻市長 責任を感じておりますけれど、現在のところ、その処分の内容についてはまだ検討しておりません。

 くわけん 処分の内容ということは、処分をするけれども、その内容は決めていないということなのか?

 当麻市長 最終的に今後これがどういう形で収束していくかという問題もございますし、少し、ご指摘をいただきましたので、検討させていただきます。

 くわけん 内部の調査委員会を設けて、議会に報告すべきではないですか?

 当麻市長 平成18年1月の決済の基本方針で、いろんな内容がすすんできたということがございまして、その辺のところで若干疑義が生じてきたので、結果的には前の決済の時点からの職員を含めて全体の責任になっていくので、できるかふぃり、いい形で収束できるように引き続き精力的に努力していく。

 

 
 
 

2010年02月23日

 所沢商工会館取得に関する定例会議論①

 2月23日はあわただしい一日でした。平成22年3月定例会初日でした。本来であれば、10時から議会が開会する予定だったのですが、商工会館取得を巡って、紛糾したため、開会が16時となりました。

 かいつまんで経緯をご報告すると、今回議案第1号は、商工会議所が新しくできた元町北地区複合公共施設の商工会館予定フロアを購入するための、約2億6千万円の補助金を取りやめ、直接フロアの一部を市が購入して、その場所を市が商工会議所に貸すという政策変更についての議案でした。

 順当にいかなかったのは、24日に開催された、商工会議所臨時総会について市の政策転換を受け入れないという議決がなされたことによります。

 詳しい政策転換の経緯の説明がなければ審議には応じれないということで、私が議会運営委員会において、まず全員協議会の開催を求めました。一方、別の会派からは、まずは開会して、市長の市政方針演説後に、緊急質問をするのはどうかという提案がなされました。話し合いの結果、まずは、2時間をめどに全員協議会を開き、その結果を受けて、緊急質問をおこなうかどうかを議会運営委員会にて話し合うことになりました。13時から市長や担当部長などが出席の元、全員協議会が開催され、30分ほどの経緯説明ののち、約90分みっちりと質疑が行われました。

 そして、16時に開会、市長の市政方針演説ののち、わたしが議事進行の動議をかけ、緊急質問を求めました。その後議会運営委員会が開かれ、緊急質問の実施が決定、9名の質問者と質問順位が確定しました。終了は20時でした。

 さて、私も緊急質問をさせていただきましたがその内容については、次回。

2010年02月22日

<世論調査>国会不信、若者の7割超す 総務省外郭団体

 表題の記事をYAHOOで見つけました。

 以下 2月22日22時26分配信記事 毎日新聞 石川貴教記者の記事からの引用です。

 総務省の外郭団体である「明るい選挙推進協会」が(2月)22日に発表した世論調査で、16~29歳の若者の7割超が国会や政党を「信頼できない」と感じていることが分かった。また、7割超が今の政治に不満を抱き、約3割が一番印象に残った政治的な出来事に首相の相次ぐ辞任など「首相に関する出来事」をあげた。同協会は「(首相の相次ぐ辞任が)若年層の政治不信の原因となっている可能性を否定できない」と分析している。

 調査は全国の16~29歳の男女3000人を対象に09年1~2月に郵送で実施。回収率は68.4%だった。

 国会を「あまり信頼できない」「ほとんど信頼できない」と答えたのは全体の76.6%。政党は73.7%▽マスコミ66.4%▽中央省庁59.4%▽選挙制度40.2%--が「信頼できない」と回答された。また、今の政治に「やや不満」「かなり不満」と答えたのは全体の75%で、特に「かなり不満」が49.6%と半数に迫るなど、政治不信が高まっている。

 引用終わり

 正直、これほどとは。びっくりしました。同じような傾向は、文藝春秋3月号の評論家立花隆氏による、政治家「小沢一郎は死んだ」をテーマとする記事においても見てとることができます。
 立花隆氏が教えている東大の学生の多くが、とにかく既存の政党には期待できないという意見を表明しているのというのです。

 一方で、既成政党にあきたらない有権者も多くなっているのも事実で、ある調査によれば、次期参議院選挙において、みんなの党の支持率が埼玉県では、共産党や公明党を抜く支持率をえているそうです。

 民主党は、政権を取るために、小沢一郎氏や自由党を丸のみし、逆に丸のみされた感があります。わたしも民主党に多くの友人がいますが、小沢一郎氏合流後の民主党はすっかり体質が変わってしまったと言ってたのを覚えています。
 小沢一郎氏の合流がなければ政権獲得はやはり不可能だったことは認めますが、合流後の民主党の、特に、ここ2年ぐらいの候補者は、かつての民主党の候補者らしくない感じがします。

 さきほどの立花隆氏の記事でも、小沢一郎氏が好きか嫌いかというレベルではなく、小沢一郎氏に関心がないということだそうです。

 若い世代が、政治に関心を持ち信頼を回復すること、そのためには何をしなくてはいけないのか、考え行動していきたいと思っています。

 
 
 

2010年02月21日

 所沢市立教育センター 研究員研究発表会

 2月20日(土)午前に開催された、所沢市立教育センターでの、研究員研究発表会を見に行ってきました。教育センターは、現場の教員の方々を研究員として処遇し、大学の先生などから、指導助言をいただきながら、研究をテーマを決めて研究を行っています。その発表会が今回の発表でした。

 私は不登校対応の研究と、知識・技能を活用する学習活動研究、ポスターセッションを聴講、見学させていただきました。

 ちょっと本題からはずれるのですが、知識・技能を活用する学習活動研究の発表で、参加者が実際に高校生向けに出題されたPISA(OECD生徒の学習到達度調査)の問題を解く機会がありました。

 PISAについて 文部科学省

 出された問題は、2000年PISAで、日本人がもっとも順位が低かった読解力の課題でした。
 答えは公表されていないとのことですが、非常によくできた問題だと思いました。
 今回の研究も、まさに読解力を高めるための研究だったのでしょう。

 文部科学省 読解力向上に関する指導資料

 先生方は、日ごろの業務を抱えながらさらに研究をされるということで、その労苦がしのばれました。
 内容については門外漢ですので、よくわからない点も多かったのですが、発表される先生方も、それを聞きにくる先生方も大変熱意のある様子でしたので、心強く思いました。

 このように現場の先生が研究員として研究するという素晴らしい機能を持った教育センターですが、ひとつだけ課題を挙げるとするなら、生涯学習推進センターの教育臨床研究エリアと教育センターとの連携がいまひとつ機能分担が整理されていない点は懸念材料です。これも早稲田との連携の深度によって変化してくるのだと思いますが、ちょうどその日に、その後に参加したある活動でも、なぜ早稲田と連携しているか、その効果が見えないと言われてしまったので、関係者には一層のご尽力をお願いしたいものです。

 

2010年02月20日

 民営化・規制緩和で保育園待機児解消するのか?

 日経ビジネス 2010年2月15日号 および、週刊ダイヤモンド 2010年2月6日号で、それぞれ「子ども倍増計画」、「「保育園』の不合理」というタイトルで、記事が掲載されていた。特に保育園についての記述は驚くほど似通っており、共通して紹介されていたのが、株式会社で、保育園を経営する、JPホールディングス社である。
 
 使っている表も共通のものがあり、共働き等世帯数の推移が掲載されている。

 日経ビジネスでは「株式会社が悪なのか」、週刊ダイヤモンドでも「株式会社はすべて悪なのか」と小見出しまでそっくりだ。まるで、何かの悪い冗談か、キャンペーンでも展開しているのかと思ったほどだ。逆にいえば、社会福祉法人は既得権益で抵抗勢力であり、この抵抗勢力を打破すれば、待機児問題が解消するかのような印象をどちらの記事も与えている。

 しかし、なぜ株式会社の参入が忌み嫌われるかといえば、2008年に、株式会社エムケイグループが運営する保育園「ハッピースマイル」など二十九施設がいっせいに閉鎖して大混乱をきたしたからだ。
 当然、この両特集ともそのことは一切触れていない。
 そして一方的に一部の社会福祉法人の失態を必要以上にあげつらっている印象だ。
 
 社会福祉法人は、NPOや株式会社に比べて、設立のハードルが高い。だから、逆に撤退しにくいという側面も持つ。特に、社会福祉法人はもし法人解散の場合、株式会社と違って、基本財産は没収されると私は理解している。(間違っていたら指摘して下さい)

 それに社会福祉法人の経営問題を指摘するなら、高齢者福祉の社会福祉法人の問題点を指摘するべきだろう。そのほうが、そもそも規模も大きいし、利益率も平均して保育園を運営する社会福祉法人に比べて高い。

 そもそも待機児問題の本質は、社会福祉法人の硬直性にあるのではなく、絶対的に保育にかける予算が少ないことにある。そうした本質のすり替えをしたところで、現実に待機児は解消しない。不思議なことに両特集記事ともに、いかに日本が子育てにお金をかけていないかについても報告している。たとえば、週刊ダイヤモンドでもOECDのデータで、就学前教育における教育支出に占める公費負担の割合の図表を掲載している。日本は、高いといわれるスウェーデンやフランスには比べるべくもなく、米国の77.6%韓国の46.3%より低い、43.4%である。日経ビジネスでも、「高齢者関係給付費」と「児童家庭関係給付費」の変化を表す図表を掲載している。ちなみに、平成19年度、前者は6兆3565億円で、社会保障費全体に占める割合は、69.5%、後者は3561億円で、保障費全体に占める割合が、3.9%。
 「高齢者関係給付費」は「児童家庭関係給付費」の実に17.85倍である。

 これじゃ、以前から指摘している「子育ての同盟罷業」が起こるに決まっていますよね。  

2010年02月19日

 討論型世論調査の衝撃

 昨日、私の松下政経塾の先輩である、神奈川県藤沢市の海老根市長にお会いして、来年度の松下政経塾政経研究所「地域経営改革プロジェクト」のテーマについて話し合いを行いました。
 話し合いの中で、2010年(平成22年)1月30日(土)藤沢市で行われた討論型世論調査のお話をご紹介いただきました。

 藤沢市討論型世論調査

 討論型世論調査とは、無作為抽出された市民の方々から意見をうかがう方法です。無作為抽出は、所沢市でも市民意識調査などでも、郵送でアンケートを送付する際に利用されている方法です。
 ただ、藤沢市の場合は、第一段階で無作為抽出した方々に郵送で、アンケート調査を行い、続いて回答いただいた方のなかから、さらに「一日討論」の会場に直接出向いていただき、そこでの討論に参加していただくものです。

 所沢市でも、総合計画や自治基本条例の制定にあたって、公募市民による市民委員会が発足し熱心に活動をしていただいています。しかし、あくまでも公募に応じた方々に限定されています。

 海老根市長も強調していたことですが、一日討論に参加いただいた方の年齢構成が、ほぼ藤沢市の年齢構成と一致している点、特に、40代の出席者が多かったことを強調していました。

 また一日討論では、討論前と討論後に同じ内容のアンケートを行うのですが、その結果が大きく変わる項目があるそうです。

 たとえば、藤沢市の政策の重点を将来の世代と現代の世代のどちらにおくべきかという質問では、討論を経て、将来の世代を重視すべきという人が増加し、現役の世代を重視すべきという人が減少したそうです。
 一日討論の参加者には謝礼が一人5千円支払われたそうです。全体費用は500万円かかったとのこと。

 以前、出席した和光市のシンポジウムでも、和光市で、昨年9月に、和光市民まちづくり討議会の参加メンバーを無作為抽出で選出したという事例が紹介されていました。
 
 まだまだ研究の余地はあると思いますが、この方式が広がれば、極端な話、地方議会の存在意義が問われる存在になってくるだろうと予想しています。

 つまり、市政について、ある決定しなくてはならない事項を、無作為抽出で市民を選び、その方々に謝礼をお支払いして参加していただき、議論をして決定していただくというプロセスで得た議論の過程と、その結果と、同じような決定事項についての議会の議論内容と決定結果を比べた場合、本当に無作為抽出の市民と議会で、議論の内容や決定結果に、決定的な差があるかどうかが問われるということです。

 議会が、地域や団体へのインフラや補助金といった資源の分捕り合戦に終始していた時代には、そんなことは一顧だにされませんでしたが、市政の決定のチェックといったことに重点が置かれるようになった現在、そうした比較をされてしまった場合、地方議会にこれほどのコストをかける必要があるのかどうかという議論が巻き起こってくることでしょう。

 当然、私の立場としては、専業の地方議員というのは、一定程度の専門性を備えていると自負していますので、議論内容については、無作為抽出の方々の議論に比べても遜色ないとは思っています。

 そんな荒唐無稽な話があるか、という方は、いま、裁判において行われている裁判員制度について想起していただきたいと思います。決定については市民的な感覚を生かして裁判員が決定します。もちろん法律の専門家である裁判官の助言はあるわけですが。

 積極的にこの討論型世論調査をとらえるなら、議会主催でこの調査を行うということも当然ありえるわけです。そうした議論に対して、地方議員が議論の過程で助言を行いながら議論を進めるというものです。

 いずれにせよ、討論型世論調査の事例はこれからももっと増えていくでしょうし、いまのところの結論としては、地方議会も否定的にとらえるのではなく、むしろ地方議会も機能を強化し、役割分担を図っていく必要があるのでしょう。

 
 
 

2010年02月18日

 商工会議所への補助金問題について③

 私以外の議員の平成21年3月定例会で行われた、商工会議所への補助金問題についても掲載しておきます。

 同じ会派の中村太(とおる)議員の議論です。大変示唆に富む内容で、その後の付帯決議の文面も中村議員の質疑を元に作成されました。

 中村太議員
 歳出予算説明書の155ページ、7款商工費、01商業振興費、19負担金補助及び交付金、80商工会館取得補助金2億6,376万3,000円を中心とする所沢商工会議所商工会館施設補助取得事業2億6,746万3,000円のことなんですけれども、額が大きいですよね。新規事業概要調書等を拝見させていただきまして、素直に考えればですよ、この事業スキームでは、商工会議所が購入する床に対してこれだけの多額の補助金を支出しているにもかかわらず、今後、そこの床に対しての市の関与というものがほとんど不明確、全くなくなってしまっているんじゃないかとも思われますし、これ完全に商工会議所のものになってしまうんですね、2億6,746万3,000円かかるんですけれども。そういうところで、ちょっとこのお金というのはやっぱり額が大きいので、対応に関しては私自身も結構いささか苦慮しているところというのが実情なんです。
 まずは、その商工会館取得補助金の積算根拠、これを具体的に御説明をいただきたいと思います。

大舘市民経済部長 
 内訳といたしまして、商工会議所のほうが取得する床の価格が5億900万円、それと、取得するときに、現況ということで何も内装等がございませんので、その内装に係る費用が2,698万5,000円、それに対しまして3分の1の補助ということで、市のほうが、まず、5億900万円に対しまして1億6,966万7,000円です。それと、内装工事分といたしまして899万5,000円。それと、商工会議所のほうが再開発事業に先行いたしまして旧の建物を撤去してございますので、それの撤去費用、それから、その補償分を含めまして8,510万1,000円。合計いたしまして2億6,376万3,000円ということでございます。


中村太議員

地方自治法第232条の2というのですね、普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができると規定されていまして、行政実例等を見ますと、公益上必要があるかどうかを一応認定するのは長及び議会であると書いてあるんです。ですから、ここで議案が提出されて、私たちもこれは公益上必要だなという議決をしたときには、これがすなわち行政実例上は根拠となってしまうんです。
 ですから、私たちは、この2億6,000万幾らかというお金が本当に適切なのかなとか、額はこれでいいのかなとかというのを、今の厳しい財政事情ですから、すごく判断しなければいけないんです。

 別に反対とか賛成とか言っているんじゃなくて、そういった観点もありますので、公益上必要というのが今どういうところで考えられているのかということをお聞きします。
 ちなみに、この認定する長及び議会なんですけれども、この認定は全くの自由裁量行為ではなくて、客観的にも公益上必要であると認められなければならないということなんですね。ですから、その客観的にも公益上必要であると認められると考える理由というのはどう理解したらいいんでしょうか。その辺についての御見解を伺います。

大舘市民経済部長 

 客観的に公益上必要があるかどうかという判断の理由ということでございますけれども、まず、商工会議所は、御存じのとおり、市内の中小企業の経営支援とか共済事業、それから、中心市街地でやっておりますいろんなまちおこし事業とか、地域経済の振興を目指す、営利を目的としない公的な地域の総合経済団体だというふうな理解が1つございまして、そこに市のほうが財政的な支援をしていくということは、商工会議所が実施しているいろんな事業をまた支援していくことでございますし、そのことによって、所沢の商工業を支えておりますいろんな中小企業の皆さんの支援にもつながるというふうには理解しております。
 また、商工会議所が、一面、当市の商工業者の大部分を占めます小規模事業者に対します総合的な指導団体として、中小企業の相談所とか、いろんな面で事業を起こしていると。そういった事業を通じて今回のこうした支援が当然、地域の活性化ということで還元されてくるというふうに考えて、一応公益上必要であるというふうに判断したところでございます。

中村太議員
 商工会議所の関係なんですが、これは判例では、やっぱり客観上、客観的にも公益上必要であると認められないと、長の裁量権にも限界がありますから、これ乱用または逸脱だと認められる場合は違法だという評価されてしまうんです。これについての判断基準が、ちょっと長いんですけれども、当該補助金交付の目的、趣旨、効用及び経緯、補助の対象となる事業の目的、性質及び状況、当該地方公共団体の財政の規模及び状況、議会の対応、地方財政に係る諸規範等の諸般の事情を総合的に考慮した上で検討することが必要だというふうにしているんです。
 今、大舘部長がおっしゃったところで何となくはわかるんです。もちろん商工会議所が公益的活動をしていないなんて私は全く言っていないんですけれども、やっぱりこの額が出てきた経緯というのがみえてこないんです。では、この額というのは本当に商工会議所さんがこの額でよかったと言っているのか、商工会議所さんがお願いしますと言った額をそのまま計上したのか、それとも、やっぱり市と商工会議所の間で、お金の話ですから、何回もいろんな話し合いがあったと思うんです。商工会議所は、これしかお金が出せないから、ここから先はやってくれないかとか、市も、ここまでしかお金出せないから、ここについては商工会議所さんちょっと泣いてくれないかという話があったと思うんです。その辺の細かい事情についてがみえてこないので、その辺についてはもう少し、これは多分、副市長、答えていただけるでしょうか。その辺のことについて、この2億6,376万円の出てきた商工会議所との話し合いの経緯というのは、ここら辺をもうちょっと確認をさせてください。
 あと、もう1点は、これは質疑というよりかは蛇足になるかもしれないんですけれども、やっぱりこの同じ判例で、地方財政法第4条第1項というのが、地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限度を超えて、これを支出してはならないと言っているんです。この財政規律は、先ほどの上段部分で、すごく大きな指針になるんですよという話をしているんですね。それが、さっき言った地方財政に係る諸規範等のなんですよ。ですから、これがやっぱり最少なんだということを言わなければいけないと思うんです。説明してほしいんですよ。だから、その部分についても併せてお答えをいただきたいなと思っております。
 あと、これは、今、商工行政としてこういった施策で補助金を出すんですけれども、仮に、では、同じようなケースで農協さんがやると言ったら、やっぱり補助金を出さざるを得なくなりますよね。この辺のことについてはどうお考えですか。これは部長でも副市長でも構いませんけれども。
 私、先ほど、公益上必要であるかどうかというときに、ここでいろんな話を聞いていておかしいなと思うのは、財務部長は、今回、景気が悪くなっても法人税のは所沢市は少ないと言って、法人が余りないから影響ないというようなお話されるんですよ。だけど、こっちではやっぱり2億6,700何万円払うだけの公益上必要があると言っているんです。その辺の答弁の整合性というか、何かこう納得をさせていただきたいなという気持ちが強いので、そこについての御見解というか、これは正確な数字とかではないんですけれども、少しその辺のことについても御見解をいただきたいと思います。

西久保副市長 
 商工会議所に伴います補助金についての御質疑でございますけれども、商工会議所は、御存じのとおり昭和26年6月に所沢市に誕生したわけでございまして、その間、所沢市の商工業を含めて支えてきた。その間、事務所を建てたり、事務所を壊して新たな旧庁舎に移る、それについても所沢市も支援をしてまいりまして、その間、やっぱり所沢市の商業、工業の方々と連携をとりながら、今日までこういう所沢市の商業を支えてきた大きな公益的な団体だというふうに評価しております。
 そういう中で、今回、元町北地区の再開発に伴いまして、その中で、ぜひさらに商工会議所が発展していただきたいということの気持ちも込めまして、お互いの話し合いを進めてきたということでございます。
 今回、この額を決めたのも、1つは、さまざまな市町村のどういう形態で商工会議所に補助、支援をしているかということも当然調べさせていただきました。そういう実例なども参考にしながら、今回、総経費の全体の床を買うお金、それから、それに絡みます経費の約3分の1を負担しようということで今回決めさせていただいたということで、これにつきましては、商工会議所についても、ほかのところにつくろうかとか、自前で何かつくろうかとか、さまざまな紆余曲折があったことは私も聞いております。ですから、そういう紆余曲折を経た上で商工会議所としても決定をしたと、機関決定した上で所沢市に支援の要請があったということも聞いております。
 そういう経過を含めまして、平成18年、19年から検討した結果、こういう形で商工会議所との合意に達したと。ただ、商工会議所としても、現在、残りの何億、3億円近いお金を、商工業者さんの中でのお金を、基金を取り崩すこともありますし、借り入れもしたり、併せて、足りないところは会員さんから御寄附を願うということで、今、大変努力をされているということで、まさにこれが一大事業で、今後の所沢市の商工業を支えていく商工会議所としてぜひ頑張っていただきたいということと、所沢市としても商工業を支える意味で、今回こういう補助金を出したい、出すことで議会の皆さんに御審議をお願いしたということで、ぜひ御理解いただきたいということでございます。


大舘市民経済部長 
JAの場合はどうかというふうな御質疑でございますけれども、特に補助の対象になるような内容については十分精査しなければいけないと思っておりますし、また、その時々の市の財政事情も含めて、総合的にそれについては判断していかなければいけないというふうに考えております

2010年02月17日

横田基地軍民共用化と西武鉄道

 以前、リニアの部分開業(相模原~甲府)から所沢の成長戦略を考える①および記事をかかせていただいたのですが、その記事を読んだ方から、横田基地軍民共用化と西武鉄道との関係についても、コメントすべきではないかとのお声をいただきましたので、少しまとめてみます。

 実は、私も認識不足でして、米軍横田基地の軍民共用化については、そのメリットは知っていたのですが、そこに西武鉄道が絡んでくるという発想は正直ありませんでした。
 でも、確かに石原都知事が言うように、横田基地が軍民共用化すれば、わざわざ羽田や成田へ行かなくても済むのですから、航空機を利用してどこかへ出かけようと思う所沢市民にとっては大変便利になるわけです。実際、所沢にある米軍通信基地の兵士は、以前油流出事故を起こした際に、基地内立ち入った際、基地の米兵に聞き取ったのですが、毎日横田基地から車で出勤してくるとのことでした。
 それだけ近いわけです。

 日本にとって、横田基地があることで経済的には大きなデメリットがあります。まずは、横田空域の存在です。これについては、東京都の 横田空域の返還に向けて取り組んでいますに詳しく書かれていますのでご参照ください。

 また、同じように 横田基地の軍民共用化 はこちらをご覧ください。この資料も実によくできています。この資料の1ページをみるとよくわかるのですが、確かに、西武拝島線がちょうど横田基地の南部を走っていますし、さらに良く見ると拝島線から横田基地内への引き込み線の存在があることも書かれています。
 
 そして、基地北側には、JR八高線箱根ヶ崎駅も隣接しており、以前お話した多摩モノレールがなぜ、上北台から大きくカーブして箱根ヶ崎駅へ向かうのか、その理由は横田の軍民共用化が背景にあるのだなと理解できます。

 いずれにせよ、東京12号線の東所沢延伸や、多摩モノレールの西武球場への延伸に比べて、もうすでに路線があるのですから、はるかに安い費用で、所沢市の活性化につながることがわかりました。
 アドバイスいただいたKさんありがとうございます。

 この横田軍民共用化は、所沢市も県域を超えて熱心に活動しなくてはならないことを良く認識いたしました。

2010年02月16日

 商工会議所への補助金問題について②

続きです。いやはや所沢市の対応にはあきれるばかりです。
こちらは、この補助金がはっきりと違反と言っているのに違反じゃないと言い切っています。
違反じゃないならなぜ、いま、補助金支出を取りやめるのか?
しかもその理由が、「公共性に疑義がある」というんです。
だから、指摘してあげたじゃないですか。1年前に。

くわけん
商工会議所が購入するスペースを賃貸もしくは分割する、有償で賃貸するみたいなことになりますと、これ(補助金等交付規則)第18条違反なんですよ。
大舘市民経済部長
補助金につきましては、今回の出し方については問題ないというふうに考えております。


くわけん 
 商工会館のほうなんですが、一緒になったのは早くお金が欲しいということだということはよくわかりました。それで、補助金の交付申請というのは基本的にはないということですよね。ですから、よくわからないという、ないということだと思うんです。恐らく、平成10何年でしたっけ、ちょっと今聞き漏らしてしまったんですけれども、そのときの文書というのが一つの要請ということだと思うんですけれども、その中にはそんなに細かく幾らぐらいみたいなことが書いてあったのかということ、それをちょっと教えていただきたいということ。
 それから、やっぱりある程度、文書によらずに口頭ベース、もちろん民法上は口頭でも契約関係は成立するわけですけれども、随分その内装の問題に関しても、詳細はわからないけれども総額で払ってくださいという話は、なかなか私らとしてもそうやって言われてしまうと困ってしまうところがあって、一式という世界なのかもしれませんけれども、やっぱりその内装の支出を判断するときに、どういうふうになっていくのかなというあたりが、どういうふうに具体的にパーテーションを区切っていくのかな、どういうふうに施設使用していくのかということは結構大事になってくるんじゃないかな。
 その辺が出てこないで議論をしろと言われても正直判断できない。私は、いいことだと思っているんですけれども、でも、やっぱりなかなかこれは、私をすごい賛成したいなという気持ちにしていただくような資料をどんどん出してもらわないと困るなというところ、その辺ちょっとね、それでいいのという話はありますよね。
 それから、今、中心市街地整備担当の理事からもお話ありましたけれども、私は、補助金をそのまま丸渡しするのではなくて、市が補助金相当額の床を所有して、それを商工会議所に無償もしくは低価格で賃貸するという方法もあったんじゃないかなと。そういう方法のほうがスマートですし、この補助金等交付規則という、確認しますけれども、これは当然この補助金のこれに当てはまるというふうに普通に素直に読めば思うわけなんです。
 それで、もし万が一の話ですけれども、まず、そういう検討は行ったかですね、床を市が買って賃貸でいくという話。別の建物だとそういうことはなかなか想定しにくいですけれども、今回は公共施設等ということで、ある意味で言えば、床を市が買うということはやりやすいんだと思うんです。そういうことを検討行ったのかということです。
 それから、この補助金等交付規則にかんがみて、もし、万が一ですけれども、商工会議所が購入するスペースを賃貸もしくは分割する、有償で賃貸するみたいなことになりますと、これ第18条違反なんですよ。第18条は財産の処分制限、補助事業者は、補助事業等により取得し、又は効用の増加した財産のうち、次の各号に掲げる財産、これは不動産及びその従物と言うんですか、法律用語はわかりませんけれども、を市長の承認を受けないで補助金等の交付の目的に反して使用し、譲渡し、交換し、貸付け又は担保に供してはならない。これが補助金等交付規則の中に書いてある。
 いや、これは権利は床だから不動産じゃありませんよということだったら、それはそれで答えてもらっても構いません。でも、まあ普通にみれば不動産に近いものだと思う。そうなると、これ担保もだめなの。そうすると、先ほどの副市長の話でいけば、あるいはお金をお借りしてということはあるけれども、少なくとも市の出している面積分の床の部分を担保にしてお金は借りられないですね、この第18条からみれば。いや、この条例も適用外なんだとなればそれはまた別ですよ。
 そうすると、もちろんお金も借りることはできない、市の床分はですね。それから、当然、貸し付けもだめだとなっているわけです。随分自由度が低いじゃないか、だから私は、床は市が所有して、そこははっきりさせて、商工会議所さんが買われた床の部分だったら、担保にしようが貸し付けしようが構わないわけ。そこを会議室スペースにする、市から借りた分を事務所スペースにすれば、その貸し付けとかもできるわけです。ところが、今のままのこの補助金が入れば、この補助金等交付規則第18条によれば、できないとなっているわけですよね。
 ですから、そういうような検討をなぜしないのかなということなんです。

大舘市民経済部長
 商工会館の件ですけれども、商工会館のほうの要望書ですか、その中で具体的な金額があったのかという御質疑でございますけれども、その中では、平成17年12月5日の要望書の中では具体的な金額等の示しはございません。
 あと、もう1点、商工会館の内装についての御質疑でございますけれども、内装につきましては、ぜひ拠点施設にふさわしいような事務スペースで間仕切っていただく上で、あと、必要最小限の内装でお願いしたいようなことは要請はしてまいりますけれども、もし今の時点で何かあるようでしたら、また商工会議所のほうにも確認してみたいと思っております。

くわけん 
 商工会館もなかなかあれですね、ちょっとお答えいただいていないし、お答えしにくいんだろうなということで、最後に、これは1点だけお伺いします。この所沢市補助金等交付規則に、この補助というものは該当するのかしないのか、これだけはしっかりとお答えいただきたいというふうに思います。

大舘市民経済部長
 商工会館の検討のところで1つ答弁漏れがございましたので、申し訳ございません。市のほうが床を取得して商工会館に貸すかというふうな、御質疑がございましたけれども、これについては、平成17年11月に商工会議所のほうの臨時総会におきまして、商工会議所のほうが業務床の取得について機関決定をしたということがございまして、会議所としては、借り受けるのではなくて自分のところで取得したいというふうな気持ちが強く出てきておりますので、それを尊重したということでございます。
 補助金につきましては、今回の出し方については問題ないというふうに考えております。該当すると考えております。以上でございます。

 

2010年02月15日

 商工会議所への補助金問題について①

 平成21年3月議会において、所沢商工会議所への約2億6千万円の補助金の問題が議論されました。私は、その違法性について指摘したのですが、執行部側は、違法性はないと強弁したため、一応所管委員会である、市民環境常任委員会において付帯決議がなされたことをもって、疑念を持ちながらも賛成をいたしました。

 *付帯決議 本議案の予算執行に当たり、以下のことを決議する。記。商工振興費のうち、商工会館取得補助金について、市長はこの予算執行に当たり地方自治法第232条の2の「公益上必要とする補助」に該当するか否か、地方財政法第4条第1項の「目的達成のための必要最小限の支出を超えていないか」などの点について十分な検証を経て執行すること。また、これらの検証の不備によって関係者に被害が及ぶことのないよう留意すること。

 その後、この2月に入ってから、やはり、この補助金には公共性について疑義があるということで、執行部側は補助金を出さないことをこの3月定例会で議案提出することとなりました。
 正直にいうと大変驚いているというか、なぜ1年前指摘した時点で、考えを改めていただけなかったのか、そして、なぜ1年もかかってしまったかについても大いに疑問が残るところです。

 これから、3月定例会において議論をしていくのですが、その前にまずは、私が、平成21年3月議会において、執行部と質疑したやりとりをここに改めて再録いたします。
 (趣旨を損なわない範囲で、やりとりの順番と原文を修正しました)

 くわけん 商工会館取得補助金2億6,376万3,000円です。商工会議所は、日商簿記検定をはじめ、公共団体としてさまざまな活動を行っていることもよく理解していますし、今回の元町北地区の再開発に当たっても、積極的に御協力をいただいていることもよく理解してはいるんですが、今回、補助額、赤ちゃんから御高齢者まで含めて大体1人760円ということでございますので決して安くはない。

 また、先ほど、他市の事例もあるというお話も副市長からいただいたわけでございますけれども、逆に、この補助をめぐって他市の事例もありまして、昨年、大阪府高槻市によるJAたかつきに対する2億6,000万円の補助事業というのは、その支出の是非をめぐって高槻市が訴えられてしまった。原告敗訴になったんですが、裁判中にJAたかつきが補助金の受け取りを辞退したみたいなことも別の事例ではあるということです。しかも、このJAたかつきの場合は、このスペースの補助に対して、半分のスペースを開放するということで議会の議論が進んでいるということです。
 
 それで、まず、基本的なことをお聞きしたいんですが、中心市街地整備担当理事にちょっとお聞きしたいんですけれども、私も技術的なことというのはわからないんですけれども、理論的に、このある床面積に対して所有権設定を分割して所有すること、同じフロアでですよ、あるいは共有で持ち合うということは可能なのか、ここをまず確認したいと思います。

黒須まちづくり計画部中心市街地整備担当理事 
 桑畠議員の御質疑にお答えいたします。
 再開発事業におきまして、床の所有権を分けて、あるいは共有ということで持つことが可能かということでございますけれども、元町北の事業につきましては、事業が大分進んできておりまして、現段階では権利変換計画の変更が必要となりますが、事業に若干支障が生じることとはなるわけですけれども、制度としては可能です。
 以上でございます。

くわけん
 それから、担当部長さんには、今回、こういう補助金ということで、所沢市には所沢市補助金等交付規則というのがあるんです。これは例規集に出ているんですね。規則ですから、これは条例に準ずるという、昭和55年8月1日規則第20号です。これのですね、商工会議所から補助金等交付申請書が出ているかと思われるんですが、その申請書に書かれている補助事業等の目的及び内容、補助事業等の効果、補助事業等の経費所要額、補助金額、補助事業等の着手年月日及び完了年月日について、もしあれば示していただきたいというふうに思うわけでございます。
 ちなみに、先ほど例示いたしましたJAたかつきの場合は、議会に提案する前にJAたかつきからそういった申請書をもらって、それから予算化しているという事例があることもつけ加えていきたいと思います。
 また、確認というか、ここが一番ちょっと解せないなと思うんですが、この予算にある不動産鑑定料、物件調査委託料というのは、恐らく、いろんな御説明だと、補助額の確定をするための調査に要する経費という理解をしているんです。先ほどの農道のときもそうなんだけれども、順番として、こういう額が一応、先ほどのでいくと、どうも3分の1ルールみたいのがあるのかないのかわかりませんけれども、ただ、一応不動産鑑定したり物件調査委託してその費用というものを確定する。その後で出てくるという話だと思うんですが、これもまた決め打ち状態で両方が出てきてしまうということは、どういうことなのかなというふうに思っています。
 それから、この商工会議所のフロアの設計図ですね。内装、内装というふうに言われるんだけれども、どういう間仕切りをしてという、それも示されないままに内装金額と言われても私らわからないわけですから、このフロアの何らかの設計図みたいのは添付されていなかったのか、そういうものは提出されているのか?


大舘市民経済部長  商工会館の関係でございますけれども、商工会議所のほうからの要望等々でございますけれども、これにつきましては、1点は、平成17年に商工会議所のほうから要望ということで来ております。
 あと、今、御質疑がありました内装費、内装の仕様ということでございますけれども、それにつきましては、一応規格が、工事の概要ということで、例えば事務室については幾らとか、その費用の概算は出ておりますけれども、中身の仕様については、まだ承知していないところでございます。
 あと、物件調査がなぜ今同時に出るのかというふうなお話ですけれども、それにつきましては、当初、元町北地区の再開発事業の完成が平成21年度末ということで、商工会議所に対しますいろんな補助金の支払いを平成22年度に予定しておったと。それが、ビルの引き渡しが1月末になるということで、商工会議所のほうからも早目の支払いということでお願い等ございましたので、この時期になってしまったということでございます。

 

 
 

2010年02月14日

 議会報告会開催

 2月13日(土) 新所沢公民館で、第14回の議会報告会を開催しました。私は、原則毎定例会ごとに議会報告会を開催するようにしています。残念ながら、様々な事情により開催できなかったケースもあります。
 基本的には、私の議会での質問内容を中心に、ご説明をし、その後質疑応答に入ります。
 昨日は、自治基本条例とはなんぞや?という質問をいただきました。その私なりの答えをここで再録いたします。

 2000年地方分権一括法で、国 県 市町村の関係が主従関係から、横並びの関係に変わりました。
 それまでは、市町村は、国の執行機関としての役割を負わされていました。
 ですから、国からの通達などは、命令ですから、従わなくてはいけませんでした。
 しかし、2000年以降は、国からの通達は命令ではなくなりました。あくまでも「技術的助言」という位置づけになりました。

 逆に、地方自治体の箸の上げ下ろしまで支持している法律、政令は改定することとなりました。
 この結果、実は自治体は一種の法(ルール)の真空状態が多くの分野で発生してしまっているといえる状態になっています。
 つまり、これまでであれば、国が定めていた細かいルールがなくなってしまったのです。ですから本来であれば、国にかわって様々な分野で、ルールを作っていかなくてはならないのですが、そのことが進んでいないということです。

 最も、欠けているのが、ルール全体を統括する基本原則の部分で、それを作るというのが、自治基本条例ということです。

 というようなお話をしたところ、納得していただきました。
 私なりの理解ですので、あるいは間違っている部分もあるかもしれませんし、一面的な理解かもしれませんが、そういうことだと思っています。

 当然、自治基本条例だけではまだまだ不十分で、本来所沢市においても、すぐに具体例は挙げられませんが、条例化すべき事項が残っているものと思われます。
 手数料に関してだけは、地方自治法第14条第2項
 普通地方公共団体は、義務を課し、又は権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない。
 に則って、地方分権改革に伴って平成12年4月に一括の所沢市手数料条例を制定したようです。

 自治基本条例については、幕の内弁当の比喩で考えるとさらにわかりやすいです。これまで国は自治体がつくる幕の内弁当のどこにどういうおかずを配置するのか、おかずの種類、たとえばきんぴらにからあげ、ごはんには、ゴマ塩と梅干をのせる、といったようにいちいち指示していたのです。自治体にできるのは、せいぜいからあげの肉の部位や調達先、味付けを変えるといった違いしか許されませんでした。 地方分権一括法以後は、さすがに幕の内弁当を牛タン弁当に変えるというところまでは言ってませんが、少なくともおかずの種類や量、ごはんも玄米ごはんもおこわもえらべるようになったということです。
 ただ、やはり自分たちで幕の内弁当をつくるにあたっては、レシピを作成するうえでの基本的な考え方も改めてきめなくてはいけません。それが自治基本条例ともいえますね。

2010年02月13日

 沼津市議会議員定数削減請求について

 2月13日付けの産経新聞によれば、「沼津市内の297自治会でつくる自治会連合会(高木孝会長)が、地方自治法に基づき沼津市議会の議員定数の削減を求めた直接請求が近く栗原裕康市長に受理され、12日に開会した2月定例市議会に条例改定案が提出される見通しだ。」とのことです。
 
 実は議員削減の要求が自治会連合会から請願などで出されるケースというのが以外に多いようで、所沢市に視察にみえた市議会でも、複数の議会で、そういった事例があり、そのことがきっかけとなって議会改革にとりくんだという声をお聞きしました。

 地方議会と、自治会連合会は、ライバル関係、緊張関係にある自治体も多いのではないでしょうか。
 自治会連合会の方からすれば、これはあくまでも想像ですが、「私たちの方がよっぽど地域の声を吸い上げ、安い費用で、回覧板の回覧や清掃など、よっぽどしっかりやっている。それに比べて議員はあんあに高い給料をもらってなんだ」ということかもしれません。

 1月8日付けの毎日新聞によれば、請求の主な理由としては、「▽大胆な行政改革▽地域主権にふさわしい少数精鋭の議会を目指す▽広域合併、政令市実現の突破口を開くため静岡、浜松両市並みの人口1万人あたり、議員1人が適切」の3つの理由だそうです。

 こうした請求の背景には、やはり議会は何をやっているんだという不満があると思います。でも、なかなかそうは思っていただけないことが、残念なことなのですが、議員は、住民にとって権利であり、コストセクターではないはずです。市長からみれば、確かにコストセクターですが。むしろ、本来の行政のチェック機能を発揮することで、税金の無駄遣いを少なくすることができます。

 どうしても、右肩あがり時代には議員は、無駄遣いをなくすことではなく、いかに自分たちの地域に、道路や公民館など資源配分を多くもってくるかが仕事でした。ところが、いつしか、それが逆転したことに議員が対応できなくなっているということなのかもしれません。

 でも、少なくとも議員は4年に1回は有権者の皆様のチェックを受けるのですから、まだましで、本当のコストは、終身雇用で保障されていながら、働きに見合わない高給を得ている一部の働きの悪い職員の削減のほうが、はるかに削減の重要性が高いと思われます。しかも、こういった職員は、働きが悪いからといって辞めさせることはおろか、降格や減給もままならないのです。議員が減れば、そういった不合理に対する監視機能もさらに弱まります。

 あるいは、お手盛りの手当ての数々、競争性のない様々な調達、不透明な補助金など、議員が少なくなれば、喜ぶのは執行部です。

 また、定数をへらせば少数精鋭になるというのは、根拠のはっきりしない話です。まずは、少数精鋭の定義がはっきりしません。地方議会に限らず、得票数と議員の能力には、正の相関があるとは考えにくいです。投票行為が実績や能力の評価よりも、人気投票の側面が強いと感じるケースがままあります。
 定数を減らしたら少数になることは事実でしょうが精鋭になるかどうかは保証の限りではありません。監視する目が一定程度確保されているほうが、精鋭でなくてもいいでしょう。精鋭でも少なければ物理的にチェック機能が弱まります。

 ただ、言えることは、議員報酬を上げれば議員としての能力はともあれ、世間的な評価のいわゆる優秀な人材が確保できることは、おそらくありえるでしょう。

 人口1万人あたり、1人の議員という基準は基準としてはそういう考え方もあるだろうなと思います。
 結局、地方分権の時代ですから、定数に正解はないわけですから、自治体独自の判断になります。判断基準は、他市比較というのは自然な流れだと思います。

 いずれにせよ、地方議会に対する市民の不満が大きいのは事実ですから、所沢市議会においてもさらなる議会改革を進めなくてはいけないことを改めて確認させていただき、私もさらに無駄遣い削減に向けて取り組む決意を新たにした次第です。
  

 
 
 

 

2010年02月12日

 地方分権改革は静かなる革命だったのか?

 2月12日に、第一法規が主催する議員向け「政策法務研修」を受講してまいりました。以前にも参加したことがあるのですが、私が議員になって受けた研修の中でも、この政策法務研修は、法学部出身でない私にとって、最も役に立つ研修でした。ですので、今回も受講しました。
 前回同様、やはり様々な知見を得ることができました。

 特に、地方分権改革にかかわる地方自治法の改正内容をご紹介しながら、現在の自治体や自治体議会が抱える問題点について考えてみたいと思います。
 
 私は、2000年4月の地方分権改革の意義を過小評価しているのではないか。丁寧に、地方分権一括法以後改正された地方自治法の条文をいちいち追って解説していただく中で、改めてそう感じました。

 少し、順を追って確認します。

 条文としては、重要な位置づけを持つ第1条に二が付け加えられています。
 第一条の二  地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。
 これによって、包括的に地域における権限を授権されたことになるのでしょう。
 
 第一条の二 
 2  (前略)住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねることを基本として、地方公共団体との間で適切に役割を分担するとともに、地方公共団体に関する制度の策定及び施策の実施に当たつて、地方公共団体の自主性及び自立性が十分に発揮されるようにしなければならない


 第二条
 11 地方公共団体に関する法令の規定は、地方自治の本旨に基づき、かつ、国と地方公共団体との適切な役割分担を踏まえたものでなければならない。
 この条文によって、国 県 市町村の垂直統合から、国 県 市町村の水平分業(分担)になったと言っていいでしょう。

 12  地方公共団体に関する法令の規定は、地方自治の本旨に基づいて、かつ、国と地方公共団体との適切な役割分担を踏まえて、これを解釈し、及び運用するようにしなければならない。(後略)
 この条文によって、法令の自主解釈権を獲得しました。

 (関与の法定主義)
第二百四十五条の二  普通地方公共団体は、その事務の処理に関し、法律又はこれに基づく政令によらなければ、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与を受け、又は要することとされることはない。

 (関与の基本原則)
第二百四十五条の三  国は、普通地方公共団体が、その事務の処理に関し、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与を受け、又は要することとする場合には、その目的を達成するために必要な最小限度のものとするとともに、普通地方公共団体の自主性及び自立性に配慮しなければならない。

 上二条で、関与の法定主義が明確化しました。

 所沢市議会の場合は、機関委任事務の時代を知らない分権改革以後世代 である1期生、2期生が半数以上を占めています。私もその一人ですが、こうやって、改めて改正条文を取り上げて解説していただくと、2000年の地方自治法改正は、少し表現が大袈裟ですか静かなる革命だったのではないかという感じがしてなりません。
 この革命に議会も執行部もまだ対応しきっていないのが実情ではないかとも改めて思った次第です。
 
 

2010年02月11日

 所沢の障がい児施策について

 2月11日 午前9時30分から、教育福祉常任委員会が開かれました。テーマは所沢市の障がい児施策についてでした。

 まず、最初に旧並木東小学校で、現在所沢市生涯学習推進センターセンター内にある、「教育臨床研究エリア」を見学しました。
 その後、所沢市の子供を中心とした障碍者支援の現状を各課からヒアリングしました。

 現在は、療育支援センター構想を所沢市でも構想中で、委員会としても、この構想に対してなんらかの提案・提言を行っていこうということになりました。

 提言ができあがりましたら、またご報告申し上げます。

 

2010年02月10日

 地殻変動の地方自治 ③

 本当は、2回でやめようと思ったのですが、今少しお伝えしたいこともあるので、自治体学関東フォーラム2010のお話をもう少し。
 金井教授の基調講演の中で、地殻変動、経済成長の終えんによって、自治体の選択肢は4つに集約されていくだろうというお話がありました。大変重要な論点を含んでいるので、ご紹介しつつ考察してみたいと思います。
 
 1)開発主義 ケインズ主義による公共投資による乗数効果を目指す成長戦略ですね。「20世紀の過疎自治体にもみられた」と金井先生は説明しています。私も、山村の研究で修士論文を書いたのですが、その論文では、開発主義を批判的にとらえています。ダムの問題も、原則はこの開発主義に起因しています。今は、ダム開発は、治水が議論の中心ですが、20年前は、経済波及効果が最大の論点でした。ついでに治水といった感じでしたね。

 2)終末主義 シュリンキング(縮小)ポリシーに近いのですかね。退却戦略です。現実には、よっぽどのことがない限りは、この戦略は選択できないでしょう。夕張の場合は強制的終末主義でしょうか。
 以前、日本生態系協会が主催するシンポジウムで、シュリンキングポリシーを採用している旧東ドイツの街の事例が紹介されていました。正直、そこまで考えなくてはならないのか、とちょっと気分が後ろ向きになりました。この主義の偽装としては、コンパクトシティの形をとることもあります。
 でも、もうそろそろ考える時期にあるのは事実です。

 3)高負担主義 財源を賄うために高負担を求めるという戦略です。大きな自治体指向といってもいいでしょうかね。基礎自治体レベルでの選択というのは実際ありえないような気がします。
 ティボーの足による投票という仮説が公共経済学、財政学ではあって、住民は行政サービスに応じて居住地を移動するという仮説です。
 この仮説に従えばあまり高負担の場合は、居住者が引っ越すというデメリットがあります。また、この場合、スピルオーバー(漏れ出し)問題も検討しなくてはなりません。つまり、たとえば、所沢市が高負担で住民サービスを充実させたとして、近隣市町村の住民に対してその住民サービスを制限できない場合、近隣住民に所沢市の負担でサービスをしていることになってしまうという問題です。
 東京都の清瀬小児病院と所沢市の関係がスピルオーバーの具体例としては挙げられます。清瀬小児病院は東京都の病院ですが、病院は基本的には患者を断ることができないので、所沢市の住民の利用が多かったことが問題視されていたようです。
 逆に、最近では、所沢市が近隣他市と比較して充実した小児夜間医療体制を構築しつつあります。当然所沢市としては受診を拒否できませんから、今後スピルオーバー問題が発生する可能性もあるかもしれません。
 いずれにせよ、受益者と負担者が相違する場合は、本来であれば県が取り組むべきでしょう。
 小児夜間医療充実を求めて、引越ししてくる可能性も考えられますが。
 保育園など、市内の住民に受益と負担が限定されている場合には、スピルオーバーは発生しませんので、こういった分野では、有効かもしれません。
 

 4)低負担主義 増税をせず、そのかわり行政サービスも削減、小さな政府です。これもティボーの足による投票理論では、場合によっては住民が逃げ出す可能性がありますね。


 選択肢にはないのですが、20世紀後半の自治体として例示されていたのが、
 5)負担転嫁主義 「低負担高福祉のために民間会社に負担を転嫁」と説明されていました。

 この5)の例が、介護保険事業者への負担の転嫁です。厚生労働省は、最初は高い介護報酬で、業者を集めておいて、その後、どんどん介護報酬を切り下げていきました。結果として、介護事業者、定着率も悪く、なかでも、訪問介護系は、施設介護系に比べて、利益率も格段に低くなりました。
 施設介護も、特に特養などは、年金だけでは入れない施設になりつつあります。

 1)の開発戦略も決して全て、ダメということではないと思います。ただ、リスクは相当高いと思われます。投資に見合うだけのリターンが果たして得られるのか。失敗すると、多額の負債を自治体が背負ってしまう点はとてもリスキーです。
 しかし、一方で、何らかの投資を行っていかないと、特に、所沢市のような東京の従属変数都市にとっては、他の従属変数都市に住民を持っていかれます。投資といっても、もちろん環境先進都市を目指すという方法もあるわけで、私だったら、自転車道をもっと整備します。できれば、筑波学園都市のように、都市軸の中心に自転車と歩道をもってきて、可能な限りの歩車分離を図るまちに作り替えるという投資を行います。

 いずれにせよ、大変示唆に富む分類であることは確かです。

 

 

2010年02月09日

 市長と議長 どっちが先にあいさつするか?

 2月8日(月) 議員クラブの研修会で、元全国市議会議長会調査工法部長の加藤幸雄先生の講義がありました。
 みなさんは市長と議長、どっちが先にあいさつすべきだと思いますか?
 所沢市では、市長があいさつをし、その後、議長があいさつをします。
 その逆はみたことがありません。

 正解は、ということではないのですが、加藤先生は、「本来、議長が先で、市長が後にあいさつすべき」とおっしゃいます。
 その理由、わかりますか?(以下は、加藤先生の説明ではなく、私の勝手な解釈です。)

 市議会議員は、出馬しようとする自治体の住民票が要りますが、市長は、立候補する自治体の住民票がなくても出馬できます。 このことの意味、わかりますか?

 日本国憲法第93条では、
 1.地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
 2.地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。

 1項に議会の定義が、2項に長と議員の定義がでてきます。
 
 まず、議会の定義が先にでてくるのはなぜでしょうか?
 第1項では、議会は、必ず置かなくてはいけないという意味です。でも、長は必ずおくという規定は憲法のどこにも書いていません。
 第2項で言っているのは、長を置く場合は、選挙で選んで、と言っているだけです。

 では市長は置かなくてもいいのか。憲法ではおかなくてもいいのですが、地方自治法では、第百三十九条  第2項に  市町村に市町村長を置く。 という規定があります。
 
 ちなみに、地方自治法でも、議会は第6章で、市長を含む執行機関は第7章です。住民は、第2章です。一番最初に記述されているのが住民です。次に登場するのが議会です。執行機関は、第7章です。

 ね、順番からいうと議会のほうが長より早いでしょ。だからあいさつも、本当は先じゃなくちゃ。
 まあ、本質的にどちらが先かはそれほどこだわる必要はないとおもうのでもありますが。

 憲法上は議会優位の設計ですが、これが地方自治法では、全く長優位に変えられています。
 加藤先生いわく、地方自治法に定められた 1 専決処分(第179条) 2 再議権(第176、177条) 3 会議の招集権(第101条) によって長の優位が保障されているそうです。

 まあ、長が優位となる最も大きい原因は、水戸黄門好きな国民性にあるのかもしれません。

2010年02月08日

 後輩の阿南フォーラム「私が、やる」を始めよう に参加

 2月7日(日)は、徳島県阿南市で開催されら、松下政経塾の後輩、中西さんが企画運営をする阿南フォーラムに参加しました。テーマは、「私が、やる」をはじめよう。でした。
 阿南市は、青色発光ダイオードで有名な、日亜化学の本社がある都市です。
 今は、松下政経塾の卒塾生は、だいたい、卒塾に際して、地域でフォーラムを開催することが通例となっているようです。

 阿南市文化会館の一番大きい夢ホールがほぼ満席になりました。すごい動員力です。

 度肝を抜かれたのがオープニングビデオで、松下政経塾や周辺を舞台に、松下幸之助さんと、中西さんが、クロスオーバーするといった構成でした。
 プロローグで、地元の阿南中学校の箏曲部の演奏があり、これがまた聞きごたえがありました。

 佐野塾長のあいさつと、中西祐介さんの発表。
 パネルディスカッションでは、松下政経塾2期生で、4期16年山口県柳井市の市長を勤めた河内山哲朗さん、いま最も注目を集める阿南市の上流の街でもある徳島県上勝町の笠松和市さん、おなじく徳島県神山町でNPO活動を行っている、大南信也さんそれぞれからの活動の報告がありました。

 河内山さんは、私の松下政経塾時代の研修担当で、私たちが(特に私が)あまりにも様々に苦労をおかけしたため、研修担当になってから、10キロ以上痩せてしまったという逸話を持つ、お世話になった大先輩でもあります。

 河内山さんは内閣府道州制ビジョン懇談会の委員でもあり、道州制については、現職市長として、現実的な立場で発言をされて、積極推進派からは、「政経塾出身なのに」と苦言を呈されていたと以前うかがったことがあります。河内山さんも強調していましたが、「しくみを変えることで世の中が変わる、変えるということにあまり幻想を持たない方がよい。大事なのは人々の暮らしがよくなること」という主張には大いに共感いたします。
 しくみが必要に迫られて変わっていったことで、 必然的に世の中が変わっていくことはありますが、じゃあ、しくみを変えれば世の中は変わるのかといえば、それはなんとも確定的ではないという歴史の教訓に素直でなくてはいけないと思います。
 もちろん、変えていくことに消極的であってはいけないのは前提ではありますが。

 あと、2名のお話も興味深くお聞きしました。私も、そもそも山村の活性化が在塾時代のテーマでありましたし、実際に山形県西川町で研修もさせていただきました。ただ、やはり山村の現状はきびしいなあという印象を強くしたのもまた事実です。

 本当は、その後、4名の方々からの四国アクションプランも発表される予定だったのですが、飛行機の時間の関係もあり、途中で失礼してしまいました。

 今後の中西さんの活躍に多いに期待をして、阿南市を後にしました。

 
 
 

2010年02月07日

 地殻変動の地方自治 ②

 昨日に引き続き、自治体学関東フォーラム2010の報告です。

 金井先生の基調講演ののち、パネル討論に移りました。
 ファシリテーターは大森 彌 東京大学名誉教授
 パネリストは、福嶋浩彦前我孫子市長 当麻よし子所沢市長 青山彰久 読売新聞編集委員
 コメンテーターに松本武洋 和光市長

 やはり、おもしろかったのは大森先生のパネリストへのするどい突っ込みでした。
 でも、かつて所沢市民でもあり、古くから当麻市長の知り合いだった大森先生は、当麻市長にはあまり突っ込みませんでした。大森先生から当麻市長には、「総合計画必要なの」という問いに、「職員の動機付けにはいいのではないか」という答えでした。

 ひとしきり、金井先生の基調講演に対して、激励とも揶揄ともなんとも判断のつきにくいコメントののち、本題に入っていきました。

 以下、時系列に沿ってではなく、論議が盛り上がった話題ごとにそのやりとりを振り返ってみます。

 住民と市民の違いについて

 福嶋先生が市民という言葉を使うことについて、大森先生が市民とはなんぞやと問いかける。市民とは、近代市民社会によって生まれた概念と応ずる。でも、市民というのは法律的には定義がはっきりしていない。憲法は国民、地方自治法は住民。だから私は市民という言葉を意図的に使わないようにしてきたと大森先生。しかし、パネルの最後のまとめ部分で「最近は、熱心に公のためにがんばっている少数の住民を「市民」と読んでいいのかな」と思っているとのことでした。
 
 地域主権の主権について
 大森先生が、「地域主権という表現は憲法から見て適切な表現とは言えないのではないか」と疑問を呈していました。確かに、主権概念というのは、国家の最高権力だからそれが地域主権という場合は、地域に最高権力があることになる。となると、地域主権ということは、地域が自衛権も有することになってしまう。憲法上は問題があるのは事実では。
 大森先生は、「民主党の地域主権法という名称は内閣法制局が許さないのではないか」という見解を示す。福嶋先生は、「地域主権とは、地方分権とは、あくまでも国家権力の配分というイメージ。その点、地域主権といった場合、(EUの地方自治憲章のように)、地域からの積み上げで、補完性原理によって、積み上げられていくイメージを表す言葉ではないか」という。

 実は、同じ質問を地域主権型国家を提唱するPHPのある方にも以前投げかけたことがある。その方は、だから地域主権「型」と「型」という言葉を入れているんですよ、とのことであった。なるほど。

 道州制も、地域主権をベースに考えるのは憲法との整合性がとれないのではという議論があるが、松下幸之助さんは、廃県置州というときには、常に憲法の改正も視野に入れて議論をしていました。連邦制に近いこと、つまり通貨まで別にしようということも構想していました。


 住民は、よい政治であればどっちでもいいのではないか

 今回、もっとも印象に残った言葉。ジャーナリストの青山さんから発せられた。それに対して、大森先生は、「じゃあ、青山さんはそれでいいの」との問いに、「いいわけではないけど、住民は実際そう思っているという人が多いという視点は忘れてはならないということです」と答えていた。

 実に、刺激的なフォーラムでした。

2010年02月06日

 地殻変動の地方自治 ①

 2月6日(土) 埼玉県和光市文化センター小ホールで開催された、「自治体学関東フォーラム2010 in 和光」を聴講に行ってきました。
 今回は、当麻市長もパネリストとして参加していました。

 基調講演は、東京大学法学部教授の金井利之氏。この金井先生がいつもながら地方自治について、あまりにも当を得ているがゆえに、身も蓋もない現状分析を今回も披歴してくれました。

 金井先生は、自治体は3面性を有しているといいます。

 1)政治体 つまり政府としての自治体
 2)経営体 企業としての自治体
 3)公共体 NPOとしての自治体 

 ということでした。

 私なりに言いかえると、1)は主権者がコントロールする対象としての自治体 つまり権力機構としての自治体ですね。 2)は行政サービスの提供主体としての自治体 早い話が、水道や保育園などの提供体として自治体です。 3)は、ちょっとうまく説明できませんが、私の感覚だと2)の派生系のような気もします。

 ただ、金井先生も1)の政治体としての自治体で触れていましたが、全権限性・総合性・概括授権主義つまり、「法律的に規定があろうとなかろうと、自治体に発生する問題が問題だと思えば問題として取り上げることができる」わけですし、地方自治法の第二条で「 地方公共団体は、法人とする。」となっていますから、そもそも存在自体がNPOともいえますし、そもそも論でいえば、3)公共体についてはあたりまえといえば当たり前のことなんでしょう。まあ、しかしこの議論を突き詰めてしまうと、じゃあ、もし自治体内に別の自治体ができて、それが強大化した場合、自治体の包括授権性は事実上相対化されてしまうという危険性もありますね。
 たとえば、戦後すぐに、いわゆる戦勝国民に好き勝手に動きまわられて、自治体内における治安力を失った事例(後藤田正晴 「私の履歴書」に記述された横浜の事例)などが極端かもしれませんが、思いつきます。

 続いて、3つの地殻変動ということで、ここが身も蓋もない部分でして、
 1)少子高齢化 少子化対策はもう手の打ちようがない
 2)経済成長の終えん 経済成長は望めない
 3)コミュニティの崩壊 コミュニティは再生しそうもない

 ということでした。でも、その通りだと思います。金井先生と私は年代も近いせいか、共鳴するポイントが近いという印象です。

 特に、福祉分野の方にコミュニティに全ての解決策のカギがあるようなことを言う人がいますが、それは相当難しいというのが私の見立てです。
 なぜなら、特に所沢市などは、仕方なく都会に出てきた方もいますが、多くはコミュニティのわずらわしさがいやで都会に住んでいるわけですから、いまさら、コミュニティの世界というのも、どうかと思うからです。

 そういう点からすると、ある機会に上勝町のごみの分別の事例が報告されていましたが、あれもコミュニティが機能し、相互監視が効いているから成り立つ話だという限界をわきまえる必要があるでしょうね。
 特に、生まれたときからずっと所沢のような郊外で育った人は変なコミュニティ信奉がある場合もありますが、それはコミュニティのおどろおどろしさを知らないから言えるのであって、田舎出身の人でいやな思いをしたことのある人は、そういうことはないでしょうけど。
 金井先生も経歴をみると群馬出身となってますので、もしかしたら、後者の例なのかもしれませんね。

 つづく

 

2010年02月05日

(財)松下政経塾30周年記念シンポジウムのご案内

<(財)松下政経塾30周年記念 自治体経営改革プロジェクト 記念シンポジウムのご案内>

くわけんも企画に関わっている政経塾建塾30年記念シンポジウムのご案内です。

お手数ですが 出席を希望される方は<2月8日(月)>までに出席者全員の氏名(ふりがな)・所属・ご連絡先住所・電話番号 を明記の上 水越(mizukoshi@mskj.or.jp)へ メールにてご連絡いただきたくおねがいいたします。

また、メール連絡の際には、くわけんブログを見ての申し込みと一言お書き添えください。

定員に達した場合は、ご参加をお断りすることもございます。

          記

日 時 :平成22年2月27日(土)13:30-16:00

場 所 :(財)松下政経塾 講堂 

テーマ :「地域から日本を変える、日本が変わる」
     松下政経塾卒塾生30年の実践とこれからの課題

主 催 :(財)松下政経塾 政経研究所 自治体経営改革プロジェクト

内 容 :

 13:30 ご挨拶  佐野尚見 松下政経塾 塾長 
       ご挨拶  逢沢一郎 衆議院議員 塾員会代表理事
       基調講演 「地域主権で日本を変える」
 原口一博 総務大臣
 
 14:00 鼎談 「知事の目からみた地方分権」
       松沢成文 神奈川県知事 
       村井嘉浩 宮城県知事  
       コーディネーター 北川正恭 前三重県知事 
      
 15:00 パネルディスカッション  「自治体を経営する」
      清水勇人  埼玉県さいたま市長 
      海老根靖典 神奈川県藤沢市長  
      鈴木康友  静岡県浜松市長   
      コーディネーター 荒田英知PHP総研政治経済研究センター長

 
 15:55 松下政経塾 地域主権湘南宣言

 16:00終了   

2010年02月04日

 道州制議論について

 道州制について、さまざまな議論がされていますが、先日紹介した、渡辺喜美氏が
 「道州制をやろうという思いは民主党にもあったじゃありませんか。原口大臣いかがですか。」
 に答えて、原口大臣が、
 「私たちは基礎的自治体なんです。今のいわゆるしがらんだ中央集権のピラミッドを8つに分けて、そこに分けたところでそれは改革とは言わない、そう考えております。」
 と答えています。
 以前、松下政経塾地方議員の会で、原口大臣を訪問した際に、同じ質問をさせていただきましたが、やはり市町村、基礎自治体への権限移譲がまず先であるとの答えでした。
 また、「道州制は必ずしも否定しないが、現実に現場からは道州制をぜひやりたいという声はまだあがってきていない」というような趣旨の回答でした。

 私も、原口大臣に近い考えて、道州制は、松下政経塾の卒塾生として常に考えていかなくてはいけない、松下幸之助さんからの「宿題」、禅で言えば、「無税国家」と同様の「公案」のようなものととらえています。よって、まずは基礎自治体への権限移譲。そして、地理的に言えば、北海道、沖縄、九州、四国など地理的にもまとまりのある道州から段階的に進めていくべきではないかと考えています。そのことを、以前、道州制を熱心に提唱していらっしゃるPHP研究所のある方に投げかけてみたところ、「いや、やはりやる以上は全国一斉じゃないと、結局やらないのと一緒の結果になってしまう」「道州制は地方制度改革でもあるが、実際は官僚機構改革なのだ、中途半端なことでは、官僚機構は温存されてしまう」との回答でした。なるほど、それも一理あるなと思いましたが、本格的な道州制は憲法議論との摩擦がやはり潜在的には生じてしまうことと、関東や関西などで、どこをどのように区分けするかについては相当難渋しそうなので、まずは、基礎自治体への権限移譲を先行的に進めながら、漸進的に国の形をかえていくしかないのではないかというのが、現在の考えです。

 

2010年02月03日

 師なくして自ずからその道に達っしてほしい(松下幸之助)

 2月2日の国会の代表問で、みんなの党の渡辺喜美代表が、道州制を進めるべきとの代表質問の中でこう発言されました。

 渡辺喜美氏 衆議院本会議代表質問
 
 「江口さんの教え子である松下政経塾出身の民主党のみなさんは、立ち上がらないのですか。」

 この発言は、ちょっと違和感を感じました。
 私たち松下政経塾出身者は江口さんの教え子とはかならずしも言えないからです。

 確かに、江口さんには、塾生に対する講義を何度もしていただいてますし、特に松下幸之助さんのお側に長年仕えたかたですから、松下幸之助さんの発言について、書かれていないことも含めて教えていただきました。

 様々な形でお世話になった塾生も多いと思います。

 しかし、松下政経塾には、特定の先生というのを置かない、というのが塾の理念の柱となっていますので、やはり教え子というのはちょっとどうかなと思います。

 松下政経塾には五つの誓いと書いて「五誓」というものがあります。
 その中に、一、万事研修の事 というのがあり、「見るもの聞くこと全てに学び一切の体験を研修と受けとめて勤しむところに真の向上がある。心して見れば万物ことごとくわが師となる」
 というのがあります。

 どなたか特定の方を師と仰ぐのではなく、人も自然現象も含めて万物ことごとくわが師と思えというのが塾の基本理念です。

 松下幸之助さんの塾長講話録や問答集、あるいは収録されたビデオなどでは、政経塾では宮本武蔵のように、塾生には「師なくしておのずからその道に達してほしい」と述べています。

 松下幸之助さんの偉大さは、幸之助さん自身は、新国土創生、無税国家、観光立国など、さまざまなアイディアをお持ちでしたが、一緒に研究していこう、一緒に考えていこうというスタンスで塾生に臨んでおり、決して、自分の作った塾だから、自分の考えを実現するために塾生は行動せよとは言わなかったことです。
 なにしろ、政経塾も自分が作ったのではなく、天が「作らしめたもの」「公器である」という考え方が一貫していたことです。当然、会社も「公器」であるという考え方の方でしたので当然と言えば当然なのですが。

 ときどき、「松下政経塾の先生」であったと名乗られる方がいます。確かに何度かご指導いただいたことのある方ですから、そう言えなくもないのですし、いちいち松下幸之助さんの考え方や政経塾の基本理念をご説明申し上げるのも失礼ですから、その場は「ご指導ありがとうございました」で終わるのですが、本当に親身になってご指導いただいた方ほど松下政経塾で指導いただいたことを声高に言わないような印象があります。

 

2010年02月02日

 観光立国ということについて

 2月2日(月)テレビ東京のカンブリア宮殿は、星野リゾートの星野佳路社長が出演していた。星野社長は日本が生き残っていくためには観光で生きていくことが重要と強調していた。観光にとって重要なのが交通アクセスや治安のよさなど、日本はどれも充実しているのに、なぜか世界的には30位に甘んじているとのことでした。
 その原因としては、日本はどうしてもものづくり産業に産業の重点を置いており、また、それがうまくいったが為に、観光産業の重要性に目がいかなかったということでした。

 実は、同じような指摘を30年以上も前から主張してたのが、松下幸之助さんです。
 松下幸之助さんは、日本ほど山紫水明に恵まれた素晴らしい国はない。日本は観光立国を目指すべきだと説いていました。また、世界平和にも観光は貢献する。観光産業で得た利益を他の産業に投資すれば、日本全体の産業活動も活発になって、工業にとっても良い。と主張されています。

 幸いなことに、観光を担当する国土交通大臣には、私の松下政経塾の1期先輩である、前原誠司さんが大臣に就任されました。前原大臣も松下政経塾創設30周年記念パーティのあいさつで、松下幸之助塾主が訴えていた観光立国に注力すると、おっしゃっていました。

 ひるがえって、所沢においても、観光の重要性はもっと認識されるべきでしょう。特に、昨日も、庁内で、南足柄市の農業委員会の事務局長さんをお迎えしての講演会でも、農業を通じた集客がテーマでした。大変興味深くお話を聞きました。

 所沢市も、観光協会への補助金もいいですが、それ以前に観光基本計画のようなものをしっかりとつくっていく必要があるのではないでしょうか。 

 ちなみに、私の大学時代の後輩Hさんが星野リゾートさんに奉職していて、昨日のちらっとテレビに出ていました。Hさんの能力や人柄からいって、彼にとって、いまの仕事はきっと天職だろうなと余計ないことを考えたりしました。

 
 

2010年02月01日

国には監査請求できない? 

 2月1日付け日本経済新聞の月曜日のコラム 「領空侵犯」 で、千葉大学教授の新藤宗幸氏が、「国民訴訟制度を作れ」と訴えています。
 私も改めて気づいたのですが、確かに、国に対しては監査請求できないのですよね。
 地方自治体に対しては、お金の使い道がおかしいと思えば、監査請求ができます。その結果に不満であれば、さらに行政訴訟を起こすこともできます。
 国の政策や事業によって何か被害を受けた場合には、国家賠償請求というのが可能ですし、行政処分について不服があれば、不服申立審査を請求できますが、いずれもあくまで自分自身が不利益を生じた場合に限られます。

 以前にも、我孫子前市長の福嶋氏が、地方自治は、直接民主制と間接民主制の混合体制であると行強調されていたことをご紹介しましたが、まさに、地方自治体に対して、監査請求ができるという点においても、やはり、直接民主制が担保されているといえるのでしょう。

 じゃあ、国会がしっかりと予算の使い道をチェックしているかといえば、実は、地方議会ほどにはきめ細かにチェックしていないようです。例えば、国の予算委員会を見てもらえればわかるように、実際に議論されている内容は、予算審議というより、政治的な議論が中心になっていますよね。
 地方議員から衆議院議員になった友人とも話をしていたのですが、国会では地方議会のような執行部から提出される予算の目や節まで説明していある「歳出予算説明書」が示されないのです。
 地方議会は一応それぞれの議員が予算項目の全てについて目を通すことが可能です。
 「予算についてはよっぽど地方議会の方がしっかり議論しているよね」ということになりました。
 当然、国の予算は膨大ですから、説明書といっても膨大な量になりますから物理的に無理なんでしょうけど。だから、時々思いついたように、会計検査院が調査をして無駄を指摘するということになります。

 「地方分権の失敗、道州制の不都合」(伊藤敏安 著 幻冬舎ルネッサンス)に、京都府の山田啓二知事が2008年4月16日の読売新聞「論点」に投稿した文章が引用されています。「社会保険庁長官が地方公務員だったら、おそらく今ごろは何十億円かの賠償を求める住民訴訟を起こされているだろう。国とは違って地方自治体には責任を取る体制がある。この違いは住民から見て大きい」

 そういう点からすれば、国に対して監査請求ができることも大事ですが、より多くの国の事業を地方に移管するほうがどうやら早そうです。やっぱり地方分権もとい地域主権は必要ですね。