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2010年04月28日

 松下圭一著 「自治体は変わるか」に学ぶ②

 つづいて、松下圭一著 岩波新書「自治体は変わるか」に学ぶについて、議会基本条例関連以外のトピックスで、私が共感した部分をご紹介します。

 議会は市民のヒロバ(つまり市民のものということ筆者注)

 「自治体議会も法制用語としての単なる「立法機関」ないし「議事機関」ではありません。
  [議会の五課題]
  (1)政治争点の集約・公開
  (2)政策情報の集約・公開
  (3)政治家の訓練・選別
  (4)長・行政機構の監視
  (5)政策の立案・改定・評価(立法・提言ならびに予算・決算)
   議会は、市民の(5)立法機構である以前に、まず(1)(2)(3)(4)の意味での市民のヒロバなの   です。」

 以上のことから、本来は、議会と市民の協働という概念はおかしいことに気づいていただきたいですね。


 議員の報酬について

 「通年型議会になる自治体では、…ひろく議員報酬は自治体幹部なみを保障することになります。低ければ、議員は自営業者の副業となり、特に都市地区では勤労者はでにくい結果、市民と議員との職業構成比率がこれまで以上にズレます。」

 「素人」議員論について
 
 「いわゆる「素人」議員論もありますが、フルタイマーの職員の水準がたかくなった今日、議員も「市民」感覚をいかしながら専門情報をもたなければ、自治体政治から自治体経営までの決定責任をもちえないではありませんか。素人と市民とはちがいます。市民も職業などをとおして専門をもつという意味で、市民たる議員も専門をもっています。」


 議員定数について
 「市民の多様な意見を反映するために、議員定数の大幅減員には留意が必要です。数名の議員を減員するくらいならば、それ以前にムダな施策を議会は大幅に減らすべきでしょう。また議員数が少数になれば、それことかえってナレアイになるではありませんか。しかも、ヨーロッパなどの自治体議会と比べても、議員一人あたりの人口でいえば日本の議員数が多いことはありません」

 「議員定数の減員がたえず問題になるのは、前述した議会への市民参加をはじめ、議員が市民から期待される活動をしないばかりか、情報公開すらも行わず、クライ印象を市民にあたえているからです」


議長の任期について
 「議会の「権威」保持という理由で議長任期は四年であるべきだとの解説もありますが、『地方自治法』自体を改正して、各自治体議会で(議長任期を)自由とし、毎年交代でもよいではありませんか。」

2010年04月27日

 松下圭一著 「自治体は変わるか」に学ぶ①

 先日、本屋で、松下圭一先生の岩波新書「自治体は変わるか」を手にとる機会があり、早速購入しました。
 松下先生のご著書について、最近のものはなるべく購入して読むようにしているのですが、この本はまだ読んでいませんでした。

 読んでみて、第2章「自治体議会に改革構想を」が衝撃的な内容でしたので、改めて内容をご紹介させていただきたいと思います。

 まず、驚いたのが、この本が1999年に発行されているということです。しかし、この段階で、議会基本条例についての骨格が構想されているということです。遅れること10年にしてようやく、所沢市議会も松下先生の論旨に従えば、地方分権一括法に対応できたということになります。

 同書69p 「<市民の議会>となるには、これまでとは、逆の考え方をすべきです。それには、まず従来の「議会会議規則」ではなく、自治体の≪基本条例≫あるいは、「議会基本条例」のなかで、招集、組織、会期、公開、参加などを規定することを考えるべきです。」
 とここで、「議会基本条例」の制定、もしくは自治基本条例への議会の位置づけを提案しています。

 つづいて
 「そのとき(基本条例ができれば:筆者注)、議会は、長が市民会議をおこなっていると同じく、本会議ないし全員協議会の主催で市民会議をひらくことができるではありませんか。」「また委員会ないし委員会協議会が直接に市民会議をひらいてもよいでしょう」
 この部分が、議会報告会の実施の構想へと結びついたのではないでしょうか。
69p~70p
「みずからの職業をとおして専門情報ないしひろく政策情報をもつ主権市民を、いつまでも「傍聴」あるいは「陳情・請願」どまりにしていること自体、議会の時代錯誤性をしめしています。」

70p
「議会は、長・行政職員の出席なしに独自に本会議あるいは委員会で〈自由討議〉をおこない、最終的には長との合意が必要となりますが、政策・条例の立案を積極的におこないうるではありませんか。」
「議会は、長・職員の出席を限定して、「自由討議」を中心に自立した運営にしたいと思います。」
「議会は長の提出議案のシャンシャンではなく、おおいに自由討議でモメルべきなのです。」
ここにおいて自由討議の重要性や長や理事者の出席抑制が提起されます。

74p
「議会は、ひろく傍聴や中継に開かれるだけでなく、新しい議会慣行あるいは基本条例の策定によって自由討議を多くし、そこに市民参加の手続をとりいれ、議会の多様な情報・意見さらには政策構想をふくめて、新聞方式から電子方式などいずれをとわず、議会独自に公開すればよいではありませんか」
市民参加の手続を積極的に取り入れることを促しています。

これで、東京財団が重視する議会基本条例の3点セットがすべて登場します。自由討議、請願者への説明機会の付与、そして議会報告会です。

閉会中の文書質問について
74p
「自治体議会の自立性をたかめるには、党議拘束をはずした議員間の自由討議中心に議会を運営することも不可欠です。そのため、議長は経由しますが、議会慣行として長への文書質問を多くしていく必要もあります。これは、「説明請求権」ないしはひろく調査権の運用、あるいは情報公開の議会慣行とみなせばよいわけです。」

行政の情報公開に対する未熟さについて
「これにたいする文書による説明があいまいな言葉で不明瞭・不十分なときには、何度も分sによ質問をくりかえすことで、その自治体の職員水準もたかまるでしょう。政策責任も具体的にはっきりします」
「行政機構自体、まだ情報公開に熟達しないのみならず、マップ化やグラフ化なのの公開技術の革新も充分ではありません」「各自治体それぞれ特性を持つ財政・財務状況の緊迫については、それぞれの自治体で市民、議員、あるいは職員に早めに公開しなければ手遅れとなってしまうではありませんか。」


最後に
「前略≪基本条例≫をつくり、〈市民の議会〉となるよう各議会がそれぞれ自由な工夫をおこない、これまでの『標準』や自治体議会解説書などとはサヨナラすべきでしょう。」

つづく

2010年04月20日

 検察審査会法が改正されていた

 先日、市町村アカデミーの講座で、ある講師が鳩山首相の政治資金に係わる不起訴処分に関連して、「もし検察審査会で起訴が確定した場合、弁護士に資料が渡るので大変だ」といお話をされていました。
 よく意味がわからない話だと思っていたところ、先日のニュースで、明石花火大会歩道橋事故の責任者であった元副署長が、検察審査会の「起訴議決」により、改めて起訴されることを知り、やっと事情が飲み込めました。
 実は、私も不勉強だったのですが、昨年から、検察審査会法が改正されて、起訴議決という制度が導入されたそうです。
 起訴議決とは、「検察審査会が行った起訴相当の議決に対し,検察官が不起訴処分をした場合又は法定の期間内に処分を行わなかった場合,検察審査会は再度審査を行い,その結果,起訴すべき旨の議決(起訴議決)が行われた場合には,裁判所が指定した弁護士が被疑者を起訴。」
( 裁判所ホームページより)
 ということで、なんと弁護士が起訴をするという制度になっていたんですね。確か、刑事訴訟法では、検察官起訴独占主義であるので、弁護士が起訴できないと思い込んでいたのです。

 ただ、起訴議決というのは意外とハードルが高く、起訴相当を2回議決しないと起訴議決とはならないので、実際には鳩山首相が在任中には、起訴議決には至らなそうではありますが。

2010年04月16日

 大森彌先生「これからの地方自治と議会の役割」②

 前日の続きです。
 
 橋本大阪府知事の改革についての論評がありました。
 ます、橋本知事の大阪「都」構想について。論理的には、あり得る話である。つまり、都道府県制度において「府」を「都」に名称変更することは可能。ただし、橋本大阪「都」構想は、大阪「都」に大阪市などの権限を吸い上げることから、地方分権改革に逆行する動きである。どれだけ、東京都下の23区が自立と分権を求めて苦闘してきたのか、その歴史を知らないのか、知っていても敢えてそうしているのか。
 おそらく最終目的は、東京都がそうであるように財源確保にあるのではないか。大阪「都」になれば、地方住民税の法人税分、都市計画税、固定資産税が大阪「都」のものになる。
 
 地方自治法改正に関して、これから地方議会の存在意義が問われる案件

 平成22年3月 地方自治法改正案

 議員定数の上限廃止。議員数も何人がふさわしいか、自分たちで決めてくださいということ。つまるところ、議員の地位や報酬などを含めて、自治体ごとに自己決定を促されることになるのではないか。
 議会事務局の共同設置。総合計画の基本構想策定の義務化を廃止。いずれも地方議会改革を促す方向性の話。特に民主党は地方議会改革に狙いを定めている。

 地方議会の存在意義を高めていくためにも今まで以上に情報公開と住民参加を進めていくしかない。
 議会基本条例などかつては考えも及ばなかった。それが全国的に広がっていることは、大変結構なこと。

 最後の質問コーナーにて、私も大森先生に質問しました。

 くわけん「議員のボランティア制についてどう思いますか?」
 大森先生「戦前の議員はボランティア制であった。ボランティアとなれば費用弁償を行うことになる。しかし地方自治法203条において議員報酬を払うことを義務付けているので、報酬ゼロはありえない。あるとしたら限りなくゼロに近い金額とすることになる。いずれにせよ日当制ということは、議員は議会活動以外は何もしていないということを言われているようなものである。本当にそれがいいのか?また、ボランティアということになれば、益々素人がやることになるので、執行部との対抗上若干の疑問が残る。」とのことで、明確に否定も肯定もしないという大森先生にしては歯切れの悪い回答でした、以前も報告いたしました通り、西尾勝先生は地方議会については、ボランティア制を明確に指向しているようでした。

 議会が予算案提出権を持つことについては憲法改正の必要がないので、それぐらいのことをやっていかないと、なかなか首長の権限は変わらない。首長の権限が強いということは、これはとりもなおさず集権的な体制が残るということなので、本当の地方分権の実現は議会機能の強化であるとのことでした。


 参考 今次の地方自治法改正案において、実は、平成21年の最高裁判決で、解職請求者に公務員(農業委員)はなれないとする地方自治法施行令が法律違反であるとなったための改正条項が含まれています。住民の権利を法律を超えて過度に制限する施行令はいけませんよという最高裁判決は、歓迎です。

 最高裁判決文

 この中で、裁判官宮川光治,同櫻井龍子の補足意見に、間接民主制と直接民主制との関係について述べている部分があるので、引用しておきます。

 「地方行政の基本は間接(代表)民主制であるが(憲法93条,地自法89条,139条),住民が主権者として選挙によって代表者を選んだ後,代表者の意思と住民の意思がかい離するという事態が生ずることがある。そのような間接民主制の欠陥を直接民主制の原理により補完するという直接参政制度が地自法において一定の範囲で設けられている。」

 引用終わり


 

2010年04月15日

 大森彌先生「これからの地方自治と議会の役割」①

 本日15日は千葉県千葉市の市町村アカデミーに、市町村議会議員特別セミナーの受講のためにきています。
 東京大学名誉教授 大森 彌先生による講義「これからの地方自治と議会の役割」を受講しました。私が興味を持った部分の講義の内容とその感想を報告します。

 以前、大森先生が、埼玉県和光市での自治体学関東フォーラム2010では、「地域主権」という言葉に憲法違反の疑義があるとの見解をしめされていました。

地殻変動の地方自治①

 今日は、大森先生から、その後の政府の対応の経過についての説明がありました。
 政府は法律用語としての「地域主権」の4文字については、ダメという見解をはっきりさせたとのことで、そのかわり「地域主権改革」という6文字は認めたということです。
 そして、内閣府に置かれた、地域主権戦略会議設置に伴う内閣府設置法の一部改正の中で、明確に「地域主権改革」について定義づけたとのことでした。

以下、内閣府設置法の該当箇所です。
 
地域主権戦略会議の設置(内閣府設置法の一部改正)
「地域主権改革」の定義(内閣府設置法第4条・・・日本国憲法の理念の下に、住民に身近な行政は、地方公共団体が自主的かつ総合的に広く担うように するとともに、地域住民が自らの判断と責任において地域の諸課 題に取り組むことができるようにするための改革

以上 引用終わり

 特に、上記定義の中で、日本国憲法の理念の下、という表現がなされたこと、「住民に身近な行政は、地方公共団体が自主的かつ総合的に広く担うように する」は団体自治を、「地域住民が自らの判断と責任において地域の諸課 題に取り組むことができるようにする」が住民自治を示しており、住民自治にも力点が置かれていることを評価しているそうです。

 また、原口プランにおいて、地方六団体などへの根回しの段階では含まれていたと思われる道州制についての言及が消え、自治体間連携に置き換わったことを評価していました。このことによって当面道州制は遠のいたのではないかという見解を示していました。

 道州制については、道州に国の権限委譲がなされれば、必然的に基礎自治体にはこれまでの都道府県の権限が委譲され、基礎自治体は委譲を受けるためには、人口30万を目途とした合併を促進させなくてはいけない。これ以上の市町村合併は、日本には必要ないとのことから道州制にも反対しているそうでした。

 また、2000年の地方分権改革においては、本来であれば都道府県がこれまでの国の中央集権を担う装置から、独自の存在へと発展することを期待したが、国のお先棒を担いで、市町村合併を進めてしまったことにはがっかりしたそうです。

 ここからは、私の感想です。
 小沢幹事長は、日本全国を30万人規模の基礎自治体に再編していこうという構想をお持ちのようですが、この改革は、スゥエーデンのエーデル改革と似ています。スゥエーデンでも、高齢化社会に対応するために、積極的に市町村合併をすすめ、基礎自治体を集約し、県と基礎自治体の機能分担もはっきりさせました。確かにスゥエーデンは国土がほぼ平坦ですから、日本の国土条件からすれば、エーデル改革のような一律的な合併は無理ですが、現実に特に、医療や福祉サービスの効率的供給の観点から考えた場合、特に国保会計の維持の観点からも、さらなる合併は不可避と考えています。ただ、国保だけを自治体間連携で共同化するという方法もありますが。もし、このままの形で小規模町村を残すとしても、消防や国保、介護などは、広域化は免れない。そうした場合、実際には、基礎自治体の総合性が現実には失われていく可能性が高いです。

 それと、大森先生の原口大臣への評価は、和光市のシンポジウム時に比べて、道州制を否定したことと、地域主権の定義をはっきりさせたことで、高まったようでした。

 続く
 
 


 
  

2010年04月14日

 子ども手当申請書に滞納注意喚起情報が

 現在子ども手当の認定請求書が対象者に送付されています。
 子ども手当の趣旨や認定請求書の書き方が書かれた書類に、「子ども手当の趣旨にご理解をお願いします」という文章があります。
 
 ちょっと長いですが、全文を紹介します。

 「こども手当は、時代の社会を担う子どもの健やかな育ちを応援するという趣旨のもとに支給するものです。子ども手当を受給された方には、子ども手当の趣旨に従って、子ども手当を用いなければならない責務が法律上定められています。子どもの健やかな育ちのために、子どもの将来を考え、有効に用いていただきますよう、よろしくお願いいたします。」

 さらに、
 「なお、万一、子どもの育ちに係る費用である「学校給食費」や「保育料」などを滞納しながら、子ども手当が子どもの健やかな育ちと関係ない用途に用いられることは、法の趣旨にそぐいません。」
 と書かれています。

 実は、今回の予算審議においても、「保育料滞納者に対しては、手当申請と同時に保育料の督促状も同封できないか」執行部側に対して求めました。残念ながら技術的に難しいということでした。不十分ながら、滞納に対する注意喚起の表現が掲載されたことは評価できます。
 この掲載は私が言ったからというより、そもそも厚生労働省からの通達でも掲載することを求めていたということで掲載に至ったようです。

 いずれにせよ、子ども手当は、所得制限に関係なく支給される手当ですから、所得に比例して支給される児童手当とは違い、本来であれば、滞納者からの天引きは可能です。実際に高齢者の方々は年金から、介護保険料が天引きされているのです。

 今回は、児童手当の制度を一部残存した形での子ども手当支給となったので、天引きは不可能になったようですが、制度が整えば、保育料滞納分、あるいは、給食費滞納分の天引きは当然行われるべきでしょう。

 給食費滞納分の天引きを進めるためにも、これからは、給食費は私会計ではなく、公会計での扱いとするべきです。

2010年04月13日

 議会改革度調査で所沢市議会が8位に(784市・23区中)

 日本経済新聞産業地域研究所が行った全国市区議会改革度調査で、所沢市議会が全国第8位に選出されました。

日経グローカル議会改革度調査

 これまでの所沢市議会の取り組みが評価いただけたので、素直にうれしいです。
 同僚議員とは、所沢市議会の取り組みは、秘かに日本でも先頭集団に入っていると話し合っていただけに、そのことが、自己満足ではなく客観的な指標で明らかにされた意義も大きいです。

 所沢市より上位の市議会の多くは、所沢市議会が議会改革の参考のために視察した市でした。
 トップには、京都府京丹後市が選ばれました。所沢市議会に議会基本条例制定に関する特別委員会ができたのも、京丹後市議会のお陰といってもいいでしょう。京丹後市を視察し、大同議員の議会改革にかける熱意に、参加した一同が、影響を受けました。京丹後市への視察がなかったら特別委員会はできていなかったかもしれません。
 2位は伊賀市です。伊賀市も議会運営委員会で訪問させていただきました。
 4位の小松島市には、議会報告会の視察に昨年議会運営委員会でお邪魔しました。
 
 さて、ランキングで8位になったからといってうかれている場合ではありません。そもそもが、母集団としての日本の地方議会が、新しい時代への対応が遅れているのですから、この結果に甘んじることなくさらなる地方議会のあるべき姿を目指して、より一層の改革を進めなくてはなりません。

 早速、所沢市議会図書館でも定期購読している日経グローカル No.145号(2010.2.5)の、特集記事を元に、所沢市議会の改革においてまだ実現しておらず、今後実現にむけて努力すべき項目についてあらためて検証してみたいと思います。

 1)請願・陳情者が直接説明する機会を議事録に残すこと
   これまでも所沢市議会では、請願者に対して、請願が付託された委員会でいったん休憩をとって、請願者の請願理由を述べてもらい、請願者に対して質問を行うなどを行ってきました。しかし、当然休憩中に行われるので、議事録には残りません。議事録に残るようにするための工夫をこれから講じていかなくてはなりません。私としては、請願者を参考人招致するという方法もあるかなと思っています。そうなれば議事録にも明確に残ります。そのためには、議会日程を、予算審議の委員会と、参考人などをお呼びする委員会を分けて会期中に2回開催するのがいいのではないかと考えています。

 2)予算書・議案書だけでなく議案関連資料(事業概要調書など)のネット公開
   とにかく、議員の手元にある資料については、傍聴者などに、同じものがネット上で見られるようにする必要があります。ネットにアップする際も、今後内容に変化が生じるか可能性があることをあらかじめ了解していただくことが重要です。

 3)議員提案条例を増やす
   所沢市は全国に先駆けていわゆるダイオキシン条例を制定した伝統がありますが、残念ながら議員提案条例はあまり活発とは言えません。今回は、議員提案条例として、議会基本条例があったのでいちおうかっこうがつきましたが、やはりもっと積極的に議員提案条例に取り組んでいく必要があります。

 4)傍聴人からも意見を聴取する
   委員会に限定されますが、せっかく議会に足を運び、傍聴に見えた方から、何らかの形で、ご意見をいただくのも重要です。議事録に残すか残さないかは別として、休憩をとって、委員長裁量で意見を気軽にお聞きすることがあってもいいと思います。議会基本条例制定に関する特別委員会では、実際に休憩中に傍聴者のご意見をお聞きしました。

 5)議会事務局に法務担当職員の配置を
   兼任辞令でもよいので、議会事務局には、法務担当職員を配置すべきです。

 以上のような点についてさらに改革を進めていきたいと思っております。

 

 
 
 

2010年04月10日

2010.03定例会 一般質問⑤ 西武新宿線東西線乗り入れについて


交通政策審議会へ向けて

Q 西武鉄道と東京メトロでは乗り入れの計画はあるのか?
  また、もし乗り入れする場合どれぐらいの費用がかかるのか?
笹原総合政策部長 西武鉄道と東京メトロ両者とも、乗り入れ計画がないということで、費用についてはわからない。

Q 都市高速鉄道12号線は現在光が丘まで開通しており、また、交通政策審議会でも延伸が記述されている。ちなみに、東所沢まで延伸した場合の工事費はどのくらいになるのか?
笹原総合政策部長 平成17年の都市高速鉄道12号線延伸促進協議会による12号線延伸に向けた地域整備構想基本調査によれば、練馬区光が丘から東所沢までの工事費は約1,649億円と試算されている。

交通政策審議会は15年に1回しか開かれず、この審議会で採択されないと基本的に補助金交付対象要件に該当しない。次の計画年度が、2015年~、つまり、2015年に向けて、ロビー活動を積極的に行う必要がある

Q 今後、交通政策審議会そのものも見直し対象になっていると聞いている。交通政策審議会の動向を探っているのか?
笹原総合政策部長 次回の交通政策審議会は、平成27年と聞いており、改めて開催時期等の見直しについて国土交通省に確認したところ、まだ先のことでもあり、開催時期や見直しについては未定。

Q 市長としては西武新宿線東西線乗り入れについてどう考えるか?
当麻市長 乗り入れされるとすごく便利だと思う。しかし、両事業者ともそういう予定はないという話なので、もう少し見守っていくという状況と考えている。

Q 所沢のみならず、狭山市や川越市など埼玉県内沿線3市にとっても東西線乗り入れは地域経済発展への貢献度が大きい。3市と連携して、交通政策審議会や県に対して働きかけをしていくべきではないか?
当麻市長 それぞれの市長のお考えやこれからのまちづくりの方向性もあるので、現段階での働きかけはちょっと時期が早いかなと感じている。

2010年04月09日

2010.03定例会 一般質問④ コンビニでの証明書交付について

市民経済部長
Q 住基カードの発行枚数は?
大舘市民経済部長 今年の2月末現在で1万2,172枚。

Q 現在の住民票・印鑑証明書の発行枚数は
大舘市民経済部長 住民票は、平成20年度で19万3,149通。

Q セブン・イレブンの市内における数は
大舘市民経済部長 26店舗です。

Q システム改修費用と補助金額は?
大舘市民経済部長 通所のパッケージシステムを改修した場合には、およそ5,000万円。補助金は、財団法人地方自治情報センターからの通知によれば、平成22年度の助成金は住民記録システム改修費用や証明発行サーバーの構築費用等、当市の場合、上限が2,800万円。

Q 先行3市の住民票発行枚数は?
大舘市民経済部長 渋谷区、三鷹市、市川市の3市では、渋谷区が25通、三鷹市は33通
市川市は107通。
Q 先行3市の課題は何か?
大舘市民経済部長 市川市では、住民票の様式が通常と異なるレイアウトであり、改ざん防止の処理が違ったりということまり、銀行等に説明が必要になっているという。

Q 自動交付機の1台あたりの設置費用は。端末とシステム改良費用も含めていくらになるのか
笹原総合政策部長 機器買い取りで試算した場合、約6,700万円。この内訳は自動交付機本体、サーバー、導入費用、構築費用、各種保守作業等を含めた金額。
Q 今後のシステムオープン化、そして、住記データ共通基盤整備を見据えて、コンビニ交付を前提とした仕様とすべきではないか
笹原総合政策部長 システムのオープン化を検討しているところであり、住基データを新システムで稼働させることを最優先の課題としている。その中で、システム開発に当たっては、今お話にでているコンビニ交付等に対応できるよう考慮したい。
Q 自動交付機についてはコンビニ交付の可能性もあるので早急に導入しなくてもよいのではないか?
笹原総合政策部長 今後の他市の交付状況等を勘案して検討していきたい。

2010年04月08日

 2010.03定例会 一般質問③ 先生の喫煙場所を校内に設けることについて


校門前での喫煙は教育上好ましくないのでは?

Q 所沢市の小中学校の敷地内での喫煙が禁止されたのはいつか?
内野学校教育部長 受動喫煙に対する防止措置の努力義務が健康増進法に規定されたことを受けて、平成15年6月から学校及び幼稚園の校庭を含む敷地内を全面禁煙とした。

Q 市役所も4月から建物内は全面禁煙になる。しかし、敷地内では吸えそうである。
  なぜ、小中学校は先行的に禁煙を実施したのか?その理由は?
内野学校教育部長 平成15年4月に、厚生労働省から文部科学省に対して、所管する施設について適切な受動喫煙の防止を講じるよう協力要請があったことにもあるが、何より学校施設には教育上格段の配慮が必要と判断して、早期に開始した。
Q 校門前での職員の喫煙は、生徒指導上も説得力が低下するし、近隣住民も学校に対して好ましくない印象を持つことになる。いっそのこと、学校施設内に喫煙所を確保したほうが良いのではないか?
内野学校教育部長 受動喫煙の防止と生徒指導上の効果も考慮しての全面禁煙であり、成果をあげてきたので、学校施設内に職員の喫煙場所を設置することは、現時点では考えていない。しかし、職員が校門間で喫煙することによる生徒及び近隣住民への影響に対しては十分配慮する必要があると考えているので、校長会と協議しながら職員を指導していきたい。
Q 川越市では学校内で喫煙できる場所を確保できていると聞いたことがある。川越市も含め、近隣他市の状況は?
内野学校教育部長 川越市についてはそのような場所を設けている学校もあると聞いている。近隣では、狭山市、入間市、飯能市は全面禁煙を実施している。

Q 学校職員に対して、特に禁煙を希望する職員に指導、例えば禁煙外来の受診などを勧めてはどうか?
内野学校教育部長 職員の禁煙については、個人的なことであるが、今までも取り組んできているところなので、引き続き指導していきたい。

Q 職員も含めて、学校全体が禁煙に取り組むモデル校を設置してはどうか?
内野学校教育部長 市内小中学校の校長会に提案の件も説明して協議していきたい。

2010年04月07日

2010.03定例会 一般質問② いこいの広場の生物多様性創出について

 平成20年6月に、生物多様性基本法が制定されました。この法律では、地方公共団体の責務として、「生物の多様性の保全及び持続可能なりように関し、中略 地方公共団体の区域の自然的社会的条件仁王板施策を策定し、実施する責務を有するとされています。

先日市長は、「質の高い緑を、市民参加で保全をしっかりやっていきた」と答弁された
Q 市長の考える質の高い緑とは?
当麻市長 保全した緑がいつまでも市民の皆様に潤いや安らぎを与え、生物の多様性の実現が図られ、多様な生き物がはぐくまれる環境が維持できるというのが、質の高い緑として考えられる。

 いこいの広場は、本来の目的は遊水池機能、つまり氾濫防止の機能と、砂川堀の水質浄化の役割があると思う。
 平成12年3月31日、当時の志村下水道部長が仮説調節池の有効利用検討委員会報告に決済をしています。この報告によれば、第三調整池については、「調整池の中に大、小の池を数カ所に作り、周りには水性植物(アシなど)、池の中には炭を入れて水質浄化を行う。水辺では湿性植物がみられ、池ではメダカなど、周辺ではトンボ、水鳥などの動植物が住める環境(ビオトープ)にする」と報告されています。 

Q 部長は、この決済ご存じですよね。
藤巻下水道部長 承知している
Q いこいの広場のビオトープ設置で水質浄化機能が発揮されたか。また、植生や生態系に変化はあったか?
藤巻下水道部長 平成7年度に水質浄化を目的に第三調整池の中に設置した池で、平成20年度にヨシ、セキショウを植え付け、拡張。
 平成21年度前後のBOD(生物化学的酸素要求量)値は5.7が4.3に減少した。
 植生については、池の斜面にあたらしくミゾソバやカントウヨメナ等の在来固有種が見られるようになり、池にはギンヤンマが見られるようになった。また、水質の悪い場所で生存可能な外来種のサカマキガイが以前は見られたが現在見られなくなった。淡水魚のヨシノボリやクチボソが確認されており、魚を狙ってカワセミやアオサギも出現している。

 先日の部長の答弁に、何も手をつけず、そのままにしておくほうがよいという意見が合ったと聞く。日本の生物多様性は、特に里山や水田においては、人間が手を加えていくことで、ギフチョウなどの氷河期残存種が生存してきた。生態学においても、従来は何も手を加えなければその地域の潜在自然植生に見合った極相林に達するという考え方があったが、極相林がかならずしも生物相が豊かでないことがわかってきている。

 いこいの広場のビオトープ整備にあたって住民参加で充実してほしいと言う声があります。
私も、昨年の7月に、所沢の環境に関心のあるサークルに所属している子ども達が是非ともこのいこいの広場のビオトープを作らせてくださいという陳情の取り次ぎを市長にさせていただいたことがあります。
中央公園のビオトープ地区が、乱暴に下草刈りされてしまった際にもお願いしたのだが、ビオトープでは、除草といっても残すべき草木と除去してもよい草木の違いがある。例えば、まずは優先して除去しなくてはいけないのは外来種である。
 なぜなら、在来の動物種が豊かになるためには、食料となる植物を残す必要があるからだ。また、植物の繁茂のためにも、例えば虫媒で受粉するさくら草の花などは、例えばみつばちが花をみつけやすいようにしなくては、花も絶滅していく。相当慎重に選択して残すべきは残し、除去すべきは除去しなくてはならない。

Q 少なくとも年に1回は、ビオトープについての知識と経験豊富な団体や住民も交えて除草を行うことはできないか?
藤巻下水道部長 現在1年に2回除草作業を行っている。この除草の目的は、雑草の種子が畑に飛散しないようにすることと、伸びた草が下流域に流れ雨水の流下に影響を与えないようにするため。
 あくまでも雨水調整機能を損なわない利用方法があればと考えている。
地域住民の方とともに除草を行う時期、方法等については今後とも共にできるような形で検討していきたい。

2010年04月06日

2010.03定例会 一般質問① 公民館利用ルールについて

利用制限の根拠条例

Q 行政法の理論として侵害留保説というのがあるが、侵害留保説とは何か?
山嵜教育総務部長 国民の権利や自由を制約し、または新たな義務を課するような活動を法律の根拠なくして行政権が単独でなすことは許されないという考え方に基づく理論

Q では、侵害留保説に基づき公の施設の利用について規定している地方自治法の条文は第何条になるのか。その内容は。
山嵜教育総務部長 地方自治法第244条の2であり、その内容は公の施設の設置およびその管理に関する事項は条例でこれを定めなければならないというもの。


Q 公民館設置及び管理条例施行規則並びにコミュニティ会館条例では、施設の利用は「3日をこえて使用することができない」となっているが、この条文は読み替えれば、3日までの利用を確保しているともいえる。にもかかわらず、実際には月12時間までとする利用制限を行っている。この条例上の根拠は何か?条例上の根拠がないとしたらどういった根拠に基づき運用しているのか?
山嵜教育総務部長 指摘の通り、条例上の根拠はない。
12時間の根拠は、平成16年4月に行った使用料減免基準の見直しの中で、予約時間数の制限についても決済で定めたものである。


Q 決済運用ということだが、その決済は市長決裁だとおもうがそれでよいか?
山嵜教育総務部長 その通りです。
Q 公民館設置及び管理条例では、第13条で「必要な事項は、教育委員会が別に定める」となっている。市長ではなく、本来であれば教育委員会が決済を行うべきではないのか?
山嵜教育総務部長 公民館設置および管理条例第8条に「市長は公用又は公共的事業のために使用する場合において必要があると認めるときは、その申請により使用料を減免することができる」とあり、減免規定の見直しということもあったので市長決裁とした。


Q 減免に関しては市長決裁というのがわかるが、問題なのは、この市長決裁で同時に「公民館サークル基準」「設置目的以外使用基準」というのも一緒に決裁してしまっている。そもそもこの「公民館サークル基準」はだれがどういう立場でいつ定めたものなのか。

山嵜教育総務部長 平成16年の市長決裁の際に、減免に関する基準の一部として改定した。

「公民館サークル基準」を市長決裁で運用するのは、第13条に対する明白な条例違反です。

Q 公民館は、現在個人での申し込みができないが、団体利用であれば申し込みは個人であっても問題がないのではないか?また、条例施行規則では、第12条で公共施設利用者カードの交付を受けようとする者は、所沢市公共施設利用者カード登録申請書「様式第3号」により申請しなくてはならないとある。しかし、様式第3号(その1)は個人登録用となっている。さらにご丁寧に、第12条第2項では、利用者カードの交付を受けた者は、公共施設案内・予約システムを利用して申請することができる。となっている。素直に規則を読めば、個人申し込みは可能ということになってしまうが。個人での申し込みを制限する条例上の根拠を重ねて尋ねる。
山嵜教育総務部長 条例上の根拠はないが、公民館は社会教育法第2条に規定されているように組織的な教育活動を行う場所である。個人の場合も一人で使うのではなく複数での利用なら、団体利用なので、公民館は利用できる。

千葉県市原市では、団体利用なら個人で申し込みが可能です。

Q 現在、団体の私有物及び、私有物を保管する物置、ロッカー、倉庫等が存在している館を示していただきたい。
山嵜教育総務部長 小手指公民館を除く全館で、サークル関係が所有するものを保管する物置、ロッカー、倉庫等が存在する。

Q 公民館設置及び管理条例では第11条(原状回復義務)とあり、使用者は原状に回復して引き渡すとなっている。この観点からすれば、団体の私有物の保管は、第11条に違反するのではないか?私有物の保管を認める条例上の根拠を示していただきたい。また、私有物を保管することについての決済は取っているのか?
山嵜教育総務部長 条例上の根拠はない。これまでは、社会教育法第11条「教育委員会は社会教育関係団体の求めに応じこれに対し社会教育に関する事業に必要な物資の確保につき援助を行う」という規定があり、これを解釈する中で、援助を行ってきたことは事実。しかし、時代の変化とともに、昭和45年以来40年経過した中で、サークル活動も増大し、平等な対応も困難なので、今後一定の基準を示すなどしていきたい。
Q こういう違法状態は好ましくない。また、館によって私有物が置けたり置けなかったする状態も法の下の平等に反する。直ちに、私有物は撤去すべきと考えるがご見解は?
山嵜教育総務部長 団体が公民館と共催して事業を行う場合以外は、団体の備品等は持ち帰っていただく形で、全館で統一的な基準も必要になるので対応していきたい。

Q 今回公民館関係の条例を、川越市、旭川市、藤沢市と調べたが、市民の権利制限については条例もしくは規則上に位置づけてあった。これほど条例体系が不備なのは問題だ。
なぜ、このような不法状態が放置されてきたのか原因を教えていただきたい。
山嵜教育総務部長 公共施設予約システム導入時に、ハード面整備に関して、公民館・体育施設、コミュニティ施設などが一体化して進めてきた経緯もあり、その際に、公民館設置および管理条例との整合性がとれない面がでてきた。
Q 次の定例会までに、直ちに条例や規則の見直しや、条例違反状態を解消するということでよいか?
山嵜教育総務部長 速やかに必要な整備を図るように努力する。
市長に
Q 条例と決済との整合性が全くないものがこれ以外にも多数あるものと思う。現に、先日市長にお出ましいただいた、総合福祉センター暫定利用の決済書も行政財産の目的外使用としては問題があった。市長は、市長決済であっても法律や条令を遵守した上で決済を挙げるべきと考えるがいかがか?
当麻市長 市長決裁で運用する場合については、所沢市事務決裁規定第3条の事務決裁の原則に関する規定があるが、市長決裁であっても法令や条例等に違反することはできないもので、職員は法令や条例等を遵守した上で決裁をあげるべきものと考えている。

Q 今回のケース以外にも、条例や規則の根拠がなく、決済運用で行っていることについて一斉に点検して是正する気はあるか?
当麻市長 市が所管する施設については多くの施設があるため、短期間で実施することはなかなか難しいが市政の透明性の向上と市民の信頼を確保するという観点から、行政組織の法令遵守の推進を図るためには、まずは各施設の状況把握が必要と思っているので、各施設を所管する課に指示したい