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2010年07月26日

目的のためには欺け?(新民報寄稿原稿)

J・ジェイコブスという米国の思索家がいます。日本でいえば評論家ということになりますか。「アメリカ大都市の死と生」という歴史的名著で、最初の日本語訳(抄訳)は建築家の黒川紀章氏が翻訳しました。この本は車社会中心になったアメリカの大都市を批判し、都市計画の潮流を変えたと言われています。最近になってやっと別の訳者による全訳がでたようです。
 彼女の著書に「市場の倫理 統治の倫理」(日本経済新聞社)があります。市場の倫理と統治の倫理は矛盾しているというのが本書のテーマといってよいでしょう。ふたつの倫理を表す道徳律として、それぞれ15項目があげられています。市場の倫理では、「暴力を締め出せ」「正直たれ」「他人や外国人とも気やすく協力せよ」「競争せよ」「効率を高めよ」「勤勉たれ」「楽観せよ」。
一方、統治の倫理は、「取引をさけよ」「伝統堅持」「復讐せよ」「目的のためには欺け」「排他的であれ」「剛毅たれ」「名誉を尊べ」などが道徳律として列挙されています。
 この区分そのものが絶対的なものとは思いませんが、最も対立する項目が、「正直たれ」と「目的のためには欺け」でしょう。「目的のためには欺け」とは、「目的のためには手段を選ばない」ということになるでしょう。統治は政治と置き換えた場合、統治に関わる人々の中には、「目的のためには欺け」と思っている方もいるようです。
一番わかりやすいのが、選挙です。当選するためにはあらゆることをする。土下座もする。ほかの候補者の活動を妨害する。落選したら元も子もないじゃないか。統治の倫理から言えば当たり前のことですが、「正直たれ」という市場の倫理からすれば問題です。
松下政経塾を創った松下幸之助さんは、ある塾出身の候補者の選挙活動のビデオを見ていた時、その候補者が有権者に土下座をしているシーンを目にした途端、ぷいと席を立ったそうです。当選のために、土下座は有権者を欺くことと見えたのでしょう。
また、演説においても、「相手候補の悪口は言わず、相手候補も素晴らしい方ですとまず褒めてから、でも私はこういう考えでやりますので、是非ご支援をお願いしますと言いなさい」と述べています。
私も松下政経塾の卒塾生として、あまり住民の方々に媚びへつらわないようにと心がけているせいか、「生意気だ」「頭が高い」「えらそう」と一部方面ではまことに評判が悪いのですが、そういう事情だということをご理解下さい。
「えっ、でもくわけんは褒めるのではなくて、あら探しばかりではないか」というご意見もあるかとは思います。しかし、最近はなるべくいいところを褒めつつ、質疑を行っているつもりです。慣れないせいか、下手に褒めると褒め殺しに見えてしまうのが最近の悩みです。
 話を元に戻します。松下幸之助さんは松下政経塾を作ったのも、市場の倫理というものをもう少し統治の倫理にも持ち込むべきと考えていたのではないか、とこの「市場の倫理、統治の倫理」を読んで思ったのです。
 松下幸之助さんはずばり、「生産性の高い政治」ということも言っています。
 市場の倫理でも「効率を高めよ」と言っていますね。
 松下幸之助著作で読者の皆様に最も親しまれている「道をひらく」171p(PHP研究所)にも、事業の場合も「いかに正しい方法で成果をあげるかということが、大きな問題になる」、として、目的達成も大事だがそのためには、手段も重要であるということを説いています。
 さて、J・ジェイコブスは、この対立する2つの倫理を調整するには、江戸時代の士農工商のような制度を選択するか、問題に応じて、二つを使い分けるかどちらしかないと言います。当然、士農工商の時代に戻るわけはいかないので、この二つを使い分けるしか私達の選択肢はないといいます。ただし、もう一つの方法があって、それは、統治倫理で、暴力的に市場倫理を支配するという方法であり、ファシズム、全体主義に近い考え方でしょう。最近、独裁に対する期待感を感じることがあります。例えば、鹿児島県阿久根市長や某愛知県の某政令市の市長などに代表されますが、これらの方々は、最初は、公務員の給料の公開や、議会の報酬引き下げ、定数是正などで、有権者の圧倒的支持をえますが、こういった独裁は、結局最後は、議会を開かない、議会の制定した条例を意図的に公布しないなどの暴力的な行為につながっていきます。確かに、独裁は、ヒトラーや、韓国の開発独裁などの例を持ち出すまでもなく、一定程度、経済の発展に貢献する場合があります。戦前の陸軍主導の大陸進出政策なども、そういう側面があったでしょう。しかし、最後は、独裁は、暴力的な結末を迎えます。なぜなら、それは統治の倫理に乗っ取ったからです。市場においても、ワンマン社長などが存在しますが、市場はもし会社の存続、利益の達成が実現しなければ、いくら一時的に暴力的に社員や会社を支配したとしても、市場からの退出を促されます。
 市場原理を行政に持ち込むことが大きな批判を浴びました。しかし、弱肉強食だけが市場の価値ではないということです。行政や政治に持ち込むべきは、「暴力を締め出せ」「正直たれ」「他人や外国人とも気やすく協力せよ」「競争せよ」「効率を高めよ」「勤勉たれ」「楽観せよ」なのでは市場の倫理なのではないでしょうか。少なくとも、現状においては、国民を欺いても良いという政治が横行する中、来春に向けて、市場の倫理を行政に持ち込むべくさらなる努力をさせていただきます。

2010年07月19日

2010.06定例会 一般質問⑥ 公共施設マネジメント白書

公共施設の利用状況やかかっているコストを見える化を促し、住民の方々がより客観的な観点から公共施設についてそのあり方を検討する素材として、公共施設マネジメント白書は大変有用であると思う。

くわけん 市長はこの公共施設マネジメント白書みたことがあるか?あったとしたらその感想は?

当麻市長 藤沢市長の書かれている白書のねらいは私も同じ課題を実感している。

くわけん 所沢市でも、かつて、公共施設に特化したものではないが、コミュニティマップというすばらしい試みがあった。今でも評判がよく各課においてあるのを見かける。しかし残念ながら、市政情報センターでも販売していないし、その後改定版も出版されていないようだ。
せっかくこういう資産があるのだから、このコミュニティマップを発展させる形で、所沢市においても、公共施設マネジメント白書を発刊する予定はないか

当麻市長 本市のコミュニティマップについては、地域の様々な情報集約を目的に昭和58年に初めて作成。その後平成3年に改定。非常に使い勝手のよい資料として重宝されている。
 公有施設マネジメントについては、新地方公会計制度を構築する際のストック情報の資料として、公有財産台帳の作成をしたほか、公共建築物修繕計画の策定の際にも施設情報の集約を図るなどの取組を行った。今後はこれらの経験や情報を生かしていくことになる。公共施設マネジメント白書の作成については、他市先進事例を研究し、所沢の実情にふさわし取組方を検討していきたい。

2010年07月18日

2010.06定例会 一般質問⑤ 学びノートの著作権問題について

先日の教育福祉常任委員会の委員長報告にもあったように、学びノートについて、特に国語、算数、数学については何らかの見直しをすべきという提案を行った。

くわけん 教育委員会として、今回の提案に沿ってどのような見直しを行うことを検討しているのか?
私としては、国語、算数・数学については、原則的には全員への印刷配布は中止し、希望者のみのダウンロード方式にするべきと考えている。
 また、当初の学びノートの目的である、自習用の学力の底上げ、教材費負担軽減という部分に事業目標を設定するなら、著作権料を教科書会社に払って教科書準拠の教材として学びノートを作り直すべきと考える。

内野学校教育部長 教育福祉常任委員会での提案を踏まえて、教科書準拠の内容にすることや利用対象を絞り込むなどについて、学びノート活用等検討委員会や外部からの意見をいただきながら、見直しに向けての検討を進めていきたい。

くわけん 教科書に準拠した教材を作成する場合の手続きはどうなるのか

内野学校教育部長 教科書利用に対する相談窓口があり、一般社団法人教学図書協会への申請が必要。利用する教科書ページ番号や教材の発行部数等を記載した申請書を提出すると、協会での審査後、許諾の有無、使用料について回答がくる。

くわけん 著作権料を払うとした場合の著作権料はいくらか?
それほど高くない印象である

内野学校教育部長 算数、数学の学びノートについては、教科書の問題をそのまま利用せず、数値等を変えて作成すれば、使用料は発生しない。
 仮に、著作権料を払う場合、使用する文章の文字数とか図版の使用数及び発行部数により使用料が決まるので、申請がされないと金額が確定しない。例示では、著作物の利用ページが3ページ以下で部数が3,000から5,000部の場合、1万2,000円。

くわけん 思い切って特に国語については教科書準拠型にしてはどうか?

内野学校教育部長 国語の学びノートは、百人一首やことわざ等があり個性的で、知識から一般教養まで身につけることのできる所沢独自のものであり、日本中を探してもないもの。教科書準拠になると国語は全面作り直しになってしまう。
 いずれにせよ教科書準拠にするかどうかも含めて、見直しを進めたい。

2010年07月17日

2010.06定例会 一般質問④ 発達しょうがい児通級

 発達しょうがい小学生の通級は充実してきており、埼玉県のみならず全国的にも所沢市の発達しょうがい者支援は有名になってきている。そういった中で、中学校の通級については、まだ開設されていない。

くわけん 埼玉県や隣接市町村で、中学校の通級指導教室の設置状況はどうなっているか?

内野学校教育部長 平成22年度埼玉県の中学校において発達障害・情緒障害通級指導教室を設置しているのは8校。近隣では狭山市、入間市に各1教室。

くわけん 小学校時代に通級による指導を受け、中学校へ進学した生徒のその後の様子についてどうなっているか

内野学校教育部長
通級による指導が始まって、これまで16名の児童が小学校において通級指導を受け中学校へ進学している。中学校へ進学の際に通級指導の担当教員より中学校へ引き継ぎを行っているが、その後の情報交換で、概ね適応できているとの報告を受けている。

くわけん 発達しょうがいのある中学生の支援のために通級指導教室を開設するべきではないか?

内野学校教育部長 発達障害のある生徒の相談については、現在市の教育センター相談室や健やか輝き支援室で対応しているが、昨年よりあたらしくできた生涯学習推進センター教育臨床研究所において、現在、発達相談として数名の生徒が面談とともに、生徒の学習の仕方、コミュニケーションスキルなどの教育的支援を行っている。
 中学校通級指導教室の設置については、現在他市町村の教室について情報を得ている。しかし、新規の生徒にとって授業や部活動を抜けて保護者とともに他校へ通級することへの抵抗感など課題も多く、様々な角度から検討中。

くわけん もう少しましな答えがでるかとも思ったのだが。
 もう一つ考えなければいけないのが特別支援教室。通級があれば、特別支援学級ではなくて、通常級に在籍することができる子もいるのではないか。

佐藤教育長 教室をつくることはできるが、その中身を指導する教員養成が大変難しい。この部分が部長が心の中で悩んでいる部分。ここを早急に解決を図りながら検討していきたい。

2010年07月16日

2010.06定例会 一般質問③ 市民活動支援について

現在、市では、市長マニフェストに記載されている市民活動支援センター開設に向けて準備が進んでいるようだ。しかし、現在の議論を議事録で見る限りにおいては、ハコモノとしてのセンターについては議論がすすんでいるが、そもそも、市民活動をどのように総合的に支援していくかという視点からの議論があまりなされていないようである。ハコモノを作る以前に、本来は、市民活動支援のための様々な仕組みを準備する必要があるのではないか。

まず、最も身近な市民活動である町内会や自治会について。

くわけん 市が町内会や自治会が利用するための会館建設を補助した場合、その土地や建物の登記はすべておこなわれているのか?

大舘市民経済部長 市の補助制度により建設された自治会の集会所等は、現在68件。このうち地縁団体による法人登記したものが、土地が25件、建物が15件登記されている。その他の建物は未登記の状態。

くわけん 登記は法人登記か、それとも個人名による登記があるのか?市が補助した建物について個人で登記することは問題ではないか?

大舘市民経済部長 集会所の建物の登記については、個人名で登記されている集会所は1件あるが、市が建設費補助をした建物には個人名義での集会所はない。
 
くわけん 少なくとも、市が建設費補助を行った団体の建物の登記は、地方自治法に定める地縁団体として、法人登記を行うことを原則とすべきではないか?

大舘市民経済部長 地縁団体の法人化は、あくまでも当該団体の自主的な判断に基づく申請ということになっている。しかし、市としても未登記の集会施設は好ましくないので、その必要性は感じている。集会所建物登記を引き続きお願いしていきたい。

くわけん 自治会、町内会の建物の固定資産税及び都市計画税の課税状況は?

富沢財務部長 平成22年においては、固定資産税・都市計画税を減免している家屋については、付属建物を含めて77棟。これに関わる減免額は固定資産税が約370万円。都市計画税が約54万円。併せて424万円。

くわけん 免税の場合、これは、登記が個人、法人にかかわらず免税となるのか?
富沢財務部長 個人、法人にかかわらず減免している。

くわけん 免税の条例上の根拠はなにか?運用にあたって要項や規則が整備されているのか?
富沢財務部長 市税条例の第57条第1項第2号に規定している公益のために直接占用する固定資産に該当すると認められる場合にこれが適用される。

くわけん 市民税もそうだが、この第57条には4項しか規定がない。第1項は貧困な方、第2項は公益の固定資産、第3項は災害関係、第4項は前項に掲げる者のほか特別な事由がある者とあるが、実際に減免はほとんどが地縁団体ということになっているかと思う。この第4項の市長の裁量があまりにも大きいのではないか?藤沢市などは、細かく定義している。

富沢財務部長 所沢市減免取り扱い基準というのがあり、その中にそれぞれ細かく規定している。第4号についても5項目にわたって規定している。

くわけん 市からの補助によって建設された集会施設については、地縁団体登録を義務づけ、法人登記を経た後に、免税とする、あるいは、1年に1回会計報告を義務づけるなどの一定の要件を設定すべきではないか?

大舘市民経済部長 義務化というのはなかなか難しい。一定の要件設定等については今後検討していきたい。

所沢独自のNPO認証制度を

くわけん 特定非営利活動法人の申請は、手間がかかるし、収益事業があれば収益があがっていなくても、法人市民税が徴収されてしまう。あるいは、わずかな収益があっても課税される。
収益事業があっても赤字もしくは一定程度の少額な黒字の場合は、法人市民税を減免する制度を導入するべきではないか?

富沢財務部長 法人税法上、収益事業課税の趣旨は、一般私企業と同一の事業を営む場合は、いわゆる競合関係にある者として、課税対象としているので難しい。
 特定非営利活動法人で収益事業を行わないような場合は、均等割納付義務を、市税条例第34条及び所沢市法人市民税の減免の取り扱い基準によって減免している。

くわけん NPOを設立するまでもないが、ボランティア団体として一定の要件を備えた団体については、地縁団体登録なみの気軽さで登録できるミニNPOとして、固定資産税などの減免を含めた包括的な支援を行う認証制度を創設してはどうか?

大舘市民経済部長 NPOには満たないNPO活動に準ずる団体は確かに多い。活動拠点となる施設も含めて、固定資産税の減免などの支援策は有意義ではないかと考えているが、現在のところ、市独自の認証制度を設けているという例がないので、今後、税も含めて関係部局と研究したい。

くわけん 市長は、こういう支援策、もしやるとなると全国初となります。

当麻市長 NPO法人に準ずる活動の方たちが大いに活動領域を広げていくという意味では、一定の理解ができるので、前向きに研究課題とさせていただきます。

くわけん NPO認証事務、特例市への委譲が原則可能となっている。この際、NPO認証事務については県から権限委譲してもらってはどうか?

大舘市民経済部長 まだ、県内で権限委譲を受けて実施している自治体はないので、権限委譲も今後の課題ということにさせていただきます。

2010年07月15日

2010.06定例会 一般質問② 予算策定過程の公開について


先日、札幌市を訪問した。札幌市では政令市ながら、予算編成過程を公開している。
その後、調べたところ、もう予算策定過程の公開は、進んだ自治体では当たり前になってきている。鳥取県米子市、大阪市、大阪府、神奈川県藤沢市、滋賀県草津市等々。市長もご承知の通り、千葉県我孫子市が早くから公開している。市長が仲の良い埼玉県和光市も予算策定過程の公開をいち早く実現。市長は、県議会議員時代の平成18年6月定例会06月26日で、鳥取県の事例をひいて埼玉県でも予算編成過程の公開を求めている。
特に、平成21年11月20日に公開された札幌市の予算要求の概要はわかりやすい。各部局が次年度の主要事業とその予算額、対前年度比、主要事業の説明、そして、ここが肝心な点であるが、主な見直し項目として、削減する予定の事業項目についても列記している。

くわけん 市長は、この札幌市の予算要求の概要を見たか?
当麻市長 見た

くわけん 見たとしたらその感想は?
当麻市長 私も県議時代に公開の質問をした経緯もあるので、予算編成過程の公開は、財政状況の市民との共有にもなるし、予算編成の透明化にもつながっていくと思っている。
いろんな自治体でも公開が進んでいるので、所沢市でも予算要求の概要の公開については可能と思っているので、検討したい

くわけん できるとしたら、その際には、必ず予算見直し項目についても記入するということでよいか?
当麻市長 札幌氏の場合も今年度、予算要求の概要の中では乖離が320億円あったという。各部でそれぞれの部が見直し項目を設けることについてはやっていくことは可能ではないかと思う。

くわけん 所沢市も今年度から予算編成過程の公開と、予算に対する市民からの意見聴取、パブリックコメントを行うべきではないか?
当麻市長 今年度は予算編成手法を一般財源枠配分方式から、一件査定方式に変更する予定。まずは、予算要求の概要の公開で透明性を確保したいので、市民からの意見聴取については、来年度に向けては難しいと考えている。

2010年07月13日

2010年夏の参議院議員選挙の結果について

 7月11日(日)夜9時から2時間、国会TVというふだんは国会での審議を中継しているテレビ局で、参議院選挙結果についての特番を組むことになり、松下政経塾が企画協力しました。私も企画協力し、さらにはコメンテーターとして参加しました。
 その番組の中で、コメントした内容を今思い返して、さらにテレビでは言えなかった事、言い足りなかったことをつけたして、あらためて今回の参議院選挙結果について評価します。

 今回の参議院選挙で注目していたポイントは、新党と消費税です。新党設立は、松下政経塾出身者にとっては遺伝子に組み込まれているところがあり、この辺の事情は、今回みんなの党から立候補し、当選した、江口克彦著「松下幸之助はなぜ、松下政経塾をつくったのか」に詳しく書かれています。
 政経塾出身者が国政選挙で当選できたのも、日本新党やさきがけ、新生党といった新党ブームがあったおかげでした。それまではわずか1名しかいなかった衆議院議員が12名に増えました。
 この新党ブームがなければ、政経塾は大袈裟にいえば存亡の危機にあったので、政経塾の閉鎖もしくは一時募集停止という時代もあったかもしれません。新党ブームで、なんとかその後も政経塾を続けることができたといえるでしょう。(存亡の危機とは、政経塾の受験者が少なくなってしまったこと。志願者が100名を切った。ちなみに私のときで1000名を超える志願者でした。100名を切ると、私も選考をやっていたのでわかるのですが、採用に足る人材が確保できなくなります)
 新しい政治を実現するには新党しかない、というDNAはここにも理由があります。
 ということで、塾出身の政治家が中心になって、つくった日本創新党ですが、伸び悩んだようで、議席がゼロということで、非常に厳しい展開になりました。前杉並区長の山田宏先輩や前横浜市長の中田宏さんという強力な2人が立ち上げた党でしたが、党所属国会議員がいなかったため、メディアでは諸派扱いとなり、ほとんど報道されなかったのが、残念な結果につながったようです。

 しかし、一方、政経塾出身者の大臣がいま4名います。そもそも民主党も元をたどれば新党であり、そういう意味でいえば、もう新党をつくって新しい目指す段階から、新党の成長、成熟によって実際に政治を変えていく段階に達したとも言えるのかもしれません。

 みんなの党は確かに議席を伸ばしましたが、当初は47都道府県すべてから候補者を擁立し、一気にキャスティングボードを握る展開を目指していたようでしたが、結局選挙区では3議席、比例で7議席と全部で10議席であり、これでは、民主党の議席数も減ってしまったため、みんなの党と民主党だけでも過半数に達しませんからキャスティングボードを握れない中途半端な状態です。

 また、たちあがれ日本も議席獲得ならずということで、新党への投票は、みんなの党に集中したようです。新党ブームは起きなかったと総括してもよいでしょう。

 ちなみに、以前も言及したように、渡辺みんなの党総裁はわざわざ国会代表質問で、松下幸之助の名前や江口克彦氏の名前を出して、政経塾出身の原口大臣を挑発しましたが、この党からは政経塾出身者は一人もいませんでした。みんなの党は、渡辺代表と江田けんじ議員が主導権をお持ちと聞いていますが、特に江田けんじ議員は、ずっと選挙で中田ひろし氏と対決していたせいか、あまり政経塾に対していい印象をお持ちのようではないと聞こえてきます。そんなこともあって、DNA的には近いものがありながら政経塾出身者はあまりお声もかけていただけなかったようです。

 さて、消費税ですが、私は消費税増税はやむなしの立場ですから、今回の結果をみて、途中ブレたとはいえ、少なくとも政権与党が消費税引き上げに言及しながらこれだけの議席減で済んだことが逆に驚きでした。今回の民主党への評価は消費税増税よりも、むしろムダを削って財源を生み出すと言っていたのにそれが実現できなかったことや、官僚主導型の政治の脱却があまり進んでいないことへの反発の要素が強いとみています。

 一部のマスコミは、もう民主党政権が崩壊するかのような報道をしていますが、私は中期的にみれば有権者のバランス感覚は絶妙であり、社民党、国民新党との連立政権で普天間と郵政民営化というすっきりしない問題を抱えていたより、むしろみんなの党や公明党との政策ごとのパーシャル連合の方が、民主党政権運営にとってはトータルでみればプラスに働くものと予想しています。むしろ大変なのは自民党で、中途半端に勝手しまったがゆえに、改革が遅れてしまう可能性が高く、こちらの方が心配です。

 当日話した内容と随分変わってしまいましたが、現時点での参議院選挙結果についての感想です。

 ちなみに、政経塾出身者は11人出馬して、5名が当選しました。福山哲郎さんを除く4名は新人でいずれも自民党所属でした。5名のさらなる活躍をご期待申し上げます。
 

2010年07月09日

 公営ギャンブルで財源をまかなうことは正しいのか?

 大阪の橋本知事が、大阪府に「カジノ特区」を目指す活動を活発化させている。
 橋下知事は「カジノは絶対に必要。日本に公営ギャンブルがたくさんあるのになぜカジノはだめなのか」(産経新聞7月9日)と言っているようだ。

 東京のしかも石原都知事ですら実現できなかったカジノを大阪に開くことは果たして実現性があるのだろうか?

 カジノで得た税収は、教育や医療、福祉の財源に充てるという。
 カジノのお客さんとしては、近隣のアジア諸国からの観光客を想定しているようだ。

 カジノを開設し、そこから得た税金で、教育や福祉を充実させる。一見もっともらしい理屈に見える。
 実際に、公営ギャンブルで潤っている自治体も多い。たとえば近隣では戸田市、府中市などである。

 
 所沢市も人口急増時代に、競輪事業からの利益で学校を建てていた。
 しかし、そもそも所沢市の競技開催日が少ないこともあって、競輪事業から撤退するまでの数年は、利益を得るどころか、むしろ開催費分をそれまでためた基金で取り崩す状態になり、1円も市に入ってこなくなった。

 そもそも、カジノがなぜ日本で実現できないかというと、これだけパチンコが町中に氾濫しているからだ。こんなに、簡単に手軽にギャンブルを楽しめる国もそうそうないだろう。

 結論からいえば、そんな余計なカジノを作るより、パチンコに地方税をかけた方がよい。

 もっとも、税源をギャンブルに頼ることについては私はあまり好きではない。やはり日常生活から得られる税金が王道だと考えるからだ。
 ギャンブルを嗜まない私のような人間にとっては、確かに、ギャンブルを税源とすることはありがたいことだ。しかし、ギャンブルはどこまで行っても参ほとんどの加者は損する仕組みであり、また、中毒性も高い。こうしたギャンブルを元に財源を確保することは天地自然の理に反している。
 松下幸之助さんのお父さんは、米相場にのめりこんで破産し、一家離散の憂き目にあった。
 幸之助さんはだから、ギャンブルには手を出さなかったという。
 身近な例では、昨今話題になった野球賭博である。

 ギャンブルからの税金の裏には、確実に不幸が存在する。
 そもそも。ギャンブルは生業に対する従属的な存在であり、日常生活の営みがあって、初めて存在を許される。

 私は、できれば宝くじも含めてなるべく公営ギャンブルに頼らない財政運営が大事と考える。なぜなら公営ギャンブルに税源を頼ることこそギャンブルだからだ。
 
 

2010年07月01日

2010.06定例会 一般質問① 子ども手当支給開始にあたって

子ども手当は、所得に関係ない一律支給となっている。このことの意味は重い。「こどもを持つ親への直接現金給付は、子育てに関する親の自己責任を追及するもので、厳しさを内包している」と大森わたる先生も述べている。

ただし、今回は、所得に応じて給付される児童手当の範囲拡大という形を子ども手当がとってしまったため、例えば、子ども手当からの保育料や給食費の天引き、給付前の手当の差し押さえはできないこととなったと理解している。

しかし、一方で国でも、保育料や給食費の払い込み口座、こども手当の受け取り口座を同一口座にすべきと文書を発出している。

私も、本来であれば、国民年金からの介護保険の特別徴収のように、給食費や保育料などは天引きするべきと考えるが、できない以上、とくに払えるのに払えない保護者に対しては何らかの方策を考える必要があると思う。

ます、保育料徴収について
Q 現状の口座振替を選択している比率は
仲こども未来部長 本年4月1日現在で、約80%。

Q 現在の保育料現年未徴収額、及び過年度滞納額は?
仲こども未来部長 平成21年度については、現年滞納額が約2,286万円、過年度滞納額(これまでの滞納額の総額)が約1億965万円

Q 印象論で結構だが、滞納者は、口座振替の保護者と、直接納付の保護者とではどちらの比率が高いか?
仲こども未来部長 平成21年度の滞納者から30名をサンプリングしたところ、口座振替の保護者が14名、直接納付の保護者が16名。直接納付の保護者の割合は全体の約2割なので、直接納付の方が滞納の比率が高い傾向にある。

Q 保育料引き落とし口座と、子ども手当口座の同一化は、本来、子ども手当申請受付時になんらかの方法を行うべきであったと思うが、検討したか?
仲こども未来部長 こども手当の受給者は受給者名義の口座に限定されており、保育料の引き落とし口座は特に限定がない。こうしたことから、既に振替口座の確定しているものの変更が難しいので実施しなかった。

Q 他市において、口座同一化の取組がなされた事例はあるか?
仲こども未来部長 近隣7市では取組事例はない

Q 保育料については原則口座振替とすることは可能か?
仲こども未来部長 原則口座振替は可能

つづいて給食費徴収について
現在所沢市では、給食費については私会計となっている。口座同一化のためには、給食費の引き落とし口座は保護者名義に統一して、給食費も公会計へ以降する必要があると考える。文部科学省から発表されている「給食費の未納状況」によれば、未納者の徴収のために先生方が徴収事務を行うことで、本来教育に充てるべき時間が割かれているという状態となっている。
Q 現状の私会計における給食費滞納状況は?
内野学校教育部長 本年度5月の時点で給食費の滞納金額は平成20年度分がおよそ78万円、滞納率が0.063%。平成21年度については、金額がおよそ181万円、滞納率が0.14%。

Q 校長会などでも給食費公会計化を求める意見があると聞くがどうか?
内野学校教育部長 給食会計を一元化して、学校における給食費の滞納催促事務を軽減する観点から、校長会から給食費の公会計化の要望は出されたことがある。


Q 所沢市としては、子ども手当との同一口座化を推進しないとしても、まずは公会計化を行うべきではないか?
内野学校教育部長 給食費を公会計化により、学校事務負担軽減、会計の透明性向上などメリットは認識しているので、様々な課題もあるが十分な検討を進める。

Q 公会計化に際して、例えば、子ども手当口座を利用する場合は、申請手続きを簡略化するなどが可能か?
内野学校教育部長 解決しなければならない面も数多くあるので、申請手続き等についても関係部署と協議しながら、併せて考えていきたい。

関係補助金の整理・統合等について
Q こども手当と同様、所得に関係なく一律に支給されている子育て関連の給付制度はどんなんものがあるか?
仲こども未来部長 私立幼稚園に通園しているという要件はあるが、園児の保護者に対して支給している私立保護者負担軽減交付金がある。
私立保護者負担軽減交付金は、年間1万5,000円これ以外に、国の就園奨励費補助金がある。こちらの方が額としては非常に大きい。しかも、国の就園奨励費補助金については、制度の変更によって、昨年度に比べて本年度減額になった。例えば、小学校1から3年生の兄弟がいない世帯で、1人目の年額62,200円が43,600円に、18,600円減額になっている。このように
Q この18,600円減額になった世帯の対象人数は?
仲こども未来部長 本年度ベースで1,877人

ということは、対象世帯で、約3,500万円程度減額になるということになります。
Q 子ども手当が創設されたことに鑑み、所得に関係しない市の保護者負担軽減交付金は、国の就園奨励費補助金の減額された保護者に対する上乗せ給付に転換するべきではないか?

仲こども未来部長 保護者負担軽減交付金の適切な実施方法や交付要件を検討したい。