尖閣諸島問題をめぐって
昨日、私の恩人の方から、電話をいただき、尖閣問題について「君はどう見ているのか」という質問をいただきました。その時にお話しさせていただいた内容について、ここでご紹介させていただきます。
今回の行動を分析する視点として、重要なのが、今回の中国漁船による海上保安庁巡視船に対する衝突が事故なのか、故意なのかを見極めることです。
故意か事故かについては、多分闇の中でしょうが、故意であったと仮定して話を進めてみましょう。
もし、故意だとしたら、なぜ、故意にそんなことをしたのか?何の意味があるのか?
これは軍事用語でいうところの強行偵察ないしは威力偵察だったのかもしれません。
強行偵察とは、偵察の際に、敵の出方と兵力を探るために、試しに敵のいそうなところに弾を撃ってみる。その反応によって、敵の戦力を推し量る方法だそうです。
今回は弾ではなく、衝突でした。
では、何の反応を見たかったのか。
ズバリ、米海軍がどのように反応するのかを見たかったのだと思います。
結果は、皆さんもご承知の通り、日米安全保障条約の範囲に尖閣諸島も含まれることを確認したようですが、実際に米海軍はなんら積極的な動きは見せませんでした。
特に、中国としては、普天間問題を抱える日本と米国とのスキマ風の吹き具合がどの程度の大きさなのかをチェックしたいという意図もあったでしょう。
また、副次的には、沖縄がどう反応するかも見極めたかったことと思います。中国は、沖縄を一定程度日本の本土から切り離して、中立化することを国の戦略として目指していると思われますから。
そして、日本政府は、今回の事件が、そういう、なんらかの中国の国家としての戦略に基づいた行為であると思ったのか。それとも偶発的な事故にすぎないと思っていたのか。その後の中国の対応と日本の対応を見比べると、政府関係者がどれほど中国の戦略的意図を見抜いていたかは、疑問の残るところです。
中国は、矢継ぎ早に、対応策を打ち出してきました。レアメタルの禁輸。日本への観光客の抑制。そして、日本企業社員の拘束です。
これは、質問された恩人から聞いたのですが、かつて毒入りギョーザが問題になった際には、問題鎮静化のためでしょうか、その後、リンの禁輸措置を発動したそうです。お陰でリン肥料の価格が高騰したそうです。リンは国内では自給できませんから、まさに農業にとってのレアメタルと言ってよいでしょう。
なんだか、一方的に中国側にやられっぱなしのように見えなくもない今回の事件ですが、いくつかの点で中国と対するための教訓が得られたのは事実です。
まず、中国が日本に対してどのような外交カードをもっているかが明らかになったこと。
レアメタルの禁輸措置に対しては、日本はこれまで以上に中国以外の調査先を確保することと、レアメタル代替技術の開発に官民挙げて取り組むことになります。
続いて、日本人の拘束については、これまで以上に注意喚起を促し、特に、今回のような政府案件にかかわる企業に対しては、