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2010年10月31日

奄美で活動している後輩の安田さんからのメールです

10月29日金曜日、奄美大島でNPO活動をしている、私の松下政経塾の後輩の安田壮平さんから、奄美の状況を伝えるメールをいただきました。ニュースでは最近はあまり伝えられなくなったため、その後、急速に奄美に対する関心が薄れつつある現在です。しかし、安田さんからのメールを読む限りでは、取り急ぎ応急的な復旧はできたが、本格的復旧にはまだまだ時間がかかりそうです。

より多くの方に奄美の実情をしっていただきたく、ご本人の了解を得て、安田さんからのメールを再掲載させていただきます。(筆者一部省略しました)

以下、メールです。
いつもお世話になっております。
卒塾後、故郷奄美大島に帰り、2年半になります。
今回の豪雨災害の状況を、皆様にどうしてもお伝えしたいと思い、メールをさせて頂きます。

今月20日の豪雨災害発生から1週間以上経過しましたが、
まだ復旧の目途が立っていないように感じております。

電気はほぼ完全に復旧しましたが、道路、水道、通信はまだ途上です。
特に道路の復旧作業には難航しているようです。
奄美市住用町には、まだ陸路では行けず、海路で行き来している集落もあります。

今回の台風14号は比較的被害が少なくやり過ごせたように思いますが、
国道や他の支道でも、降雨量次第では通行止めなど交通規制がかかり、
救援活動上も、市民生活上も、島民の移動に多大な影響を及ぼしています。

水害に遭った家屋については、持ち主が家族、親戚、友人・知人に
民間ボランティアが加わって、家財道具等の災害ごみの搬出を一通り終え、
消毒・乾燥をして、罹災証明を取り、公的支援を待っています。

土砂災害に遭った家屋でも、同様に災害ごみを搬出し、
ただ土砂の除去作業は個人ではできませんので、
公的機関による重機等の出動の到着を待っている状況です。

避難所で生活している避難民の方々は、主に身寄りの乏しい方々で、
救援物資は足りているようですが、体調管理、ストレス管理、心のケアが課題です。

災害ごみの処理も大きな課題といえます。
奄美市名瀬にあるクリーンセンターの許容量を軽く超えるほどの膨大なごみが出ています。
いまは各集落のそばに集められ、悪臭が漂い不衛生な状態が続いています。
これらを運搬する大型ダンプ等の重機も、不足していると思われます。

いま必要なことは、重機等の機材と、それらを扱ったり、復旧作業に熟達しているマンパワーの増強
だと考えます。
外海離島のため、輸送に限りがあるとは思いますが、それらを短期集中的に投入して、
早く復旧の第一段階を終えなければ、奄美はもともと雨の多い地域であり、
川底に土砂がたまるなど災害が起きやすい状況ですので、被害が再発・拡大する可能性が大きいと思
われます。
(奄美の年間降水量は3000ミリ。東京の2倍、那覇の1.5倍です。)

今回の被害からの回復には、相当な時間がかかると感じております。
避難されている個人レベルでも、1年から2年、長ければ5年から10年ぐらいかかるかもしれませ
ん。
道路や土砂崩れした斜面等の被害の復旧も、7~8割方回復させるだけでも、
数年はかかりそうに思います。

奄美大島には、現在6.6万人の人口がありますが、
毎年約千名ずつ、人口が減少しています。
(国勢調査:平成12年7.4万人、平成17年7万人)
国内でも、人口減少が著しい地域の一つといえると思います。

今回の被害に遭われた方々への公的支援の質・量・スピードがある程度十分なものでなければ、
本土の身内等を頼って、島を去る人々が多くなるのでは、と感じています。

一度島を離れた島民に、もう一度島へ戻ってもらうことは、
東京都三宅島の例もあるでしょうが(災害のレベルは異なりますが)、
そう簡単なことではありません。
Iターン者がいままでよりも増えることは、現実的に考えられません。

奄美大島は、位置や規模からも、南西諸島の要衝の一つといえます。
この地域の人口を急激に減少させることは、日本の安全保障の面でも、
また文化的多様性等その他の面でも、大きな損失、とりかえしのつかないことになると考えます。

既にご存知のこととは思いますが、以上のこともご考慮に頂き、
迅速な支援をご検討・ご実施頂くことにお力添えを頂けたらと存じます。

大変不躾なメールにて、本当に申し訳ございませんでした。
塾にご縁を頂いた者として、いま私にできることを考え、お伝えさせて頂きました。
私も一日も早い復旧・復興を目指して、「現地現場」で動き続ける所存です。

安田壮平
鹿児島県奄美市名瀬古田町5-7
PC:sohei@mskj.or.jp

以下、写真の解説です
1.JPG

・写真1:10月24日(日)奄美市名瀬古見方(こみほう)地区名瀬勝(なぜがち)集落
  床上浸水した家屋です。報道では奄美市住用町や龍郷町戸口集落が多く取り上げられているよう
ですが、
  奄美市笠利町佐仁集落、名瀬古見方地区、知名瀬集落、大和村大和浜集落等、
  多くの集落で床上浸水がありました。それらの集落で死者や負傷者がほとんど出なかったのも、
  多くの方々の助け合いのおかげと聞いております。

2.JPG

・写真2:10月24日(日)龍郷町浦集落
  多くのニュースでも出ましたが、土砂崩れで半壊した遠い親戚宅です。
  今回、最大級の土砂崩れではと思います。いまは移住先の町営住宅が決まり、
  重機を待っています。立て替えるにしても、1、2年はかかるとのことです。

3.JPG

・写真3:10月26日(火)奄美市住用町西仲間集落
  多くのニュースで出た奄美市役所住用総合支所の1階です。
  下水道の敷設がなく、汚泥がものすごい悪臭を放っていました。
  地元の専門学校生がボランティアで作業してくれて、かなりきれいになりましたが、
  この建物が再び使えるのか、心配です。

2010年10月30日

会派「翔」マニフェストの評価について④

「構想」としての所沢サバイバルプラン

 一方で、山口氏の指摘にもあるとおり、マニフェストの前提として、所沢市がどうあるべきかという「構想」の重要性もご指摘の通りである。私たちは、「構想」に当たるを「所沢サバイバルプラン」という「構想」にまとめて別途提示した。 
この「構想」に基づいて「会派マニフェスト」を作ったという二段構えの構成となっている。だから、名称を、「所沢サバイバルプランマニフェスト版」とした。
現実に、所沢市を将来どのようなまちにしていきたいかの議論がなければ、マニフェストの作成はメリハリが出てこない。議論はあるとは思うが、マニフェストの項目数を16項目に絞り込めたのもやはり、そういた「構想」があればこそである。
ただ、実際には構想案である「所沢サバイバルプラン」についてはマニフェストのパンフレットには、書き込まなかった。
マニフェスト作成に先立ち、それぞれの自治体ごとのまちのあり方、行政のあり方については、「構想」を作成することをおすすめする。
以下、「所沢サバイバルプラン」についてその内容を簡単に紹介する。

「所沢サバイバルプラン」(抄録)
会派「翔」では、これまでの予算要望ではなく、むしろ、議員一人一人が経営者であるとの観点にたって、戦略提案を行うこととしました。
 所沢市も選別と淘汰、つまり“生き残り”の時代が始まりました。
 企業の最大の目的は、生き残っていくこと“ゴーイングコンサーン”にあると言われます。所沢市政も経営感覚を積極的に取り入れ、ゴーイングコンサーンを目指すべきです。
 そういう意識と感覚が今の所沢市には決定的に欠けています。生き残りをかけ、未来の所沢市には今何が必要になるのか。私たちは、そこから発想します。
 これからの10年、何ができるのか。
 これからの10年は、日本にとっても所沢にとっても、大きな変動期を迎えます。所沢市の高齢化比率も高まり財政負担は拡大します。その一方で、高齢者を支える20代~40代の世代は増えていません。このままでは、これからの10年は、次々と起こる問題に対処するだけに終わってしまいます。そろそろ、他人頼みの発展ではなく、市民自らが発展の物語(シナリオ)を書く時期に来ています。
目指すべき10年後の所沢の姿は? 
 「住みたくなるまち」所沢を目指すということです。現在の中心世代である50~60代層に加え、新たに、現在の20~40代の皆さんが住みたいと思うことが重要です。 所沢で育った人々が、所沢に帰ってきて住みたくなるような所沢であることです。人口と同時に地価も重要な指標となります。地価の下落は、固定資産税収入の減少をもたらします。
 また、一定の収入源を安定して確保できる人々が住んでいただくことも重要です。いくら人口が増加しても、住民税収は伸びなければ、安定した福祉は行えません。
 継続的な発展には、人口と人口構造、地価、住民の方々の所得という3つの要素がバランスよく伸びることが重要です。そのことが、所沢を永続的に発展させる重要な戦略の一つとなります。
 所沢のブランド価値が重要になってくる
 自治体にもやはりブランド力が重要な時代になってきています。ブランド力のある地域は、先にあげた3つの要素が満たされています。
 これからは、より一層ブランド価値を高めるという視点を所沢市も意識する必要があります。 
 経営感覚あふれる所沢市に
 「公的」な仕事も民間部門の優れたノウハウを活かすことで、より効率よく住民の満足度の高い仕事が実現できます。これからは公共施設(「ハコモノ」)を新たに建設するのではなく、なるべく維持補習をしながら大事に使っていきます。補助金、交付金などについては、10年以上を経過したものは、基本的には廃止とします。入札に関しては、総合評価方式の導入を行い、随意契約を極力抑制します。
ガバメントからガバナンスへ   
全ての公的な仕事を役所がこなす必要はありません。これからは、NPOや住民自らが取り組んでいくことも十分考えられます。職員が1日活動すると、約2万~3万円の経費がかかります。住民ニーズが多様化するためには、全ての行政ニーズに対応することはもはやできません。そのためには、役所に代わる公的な活動の受け皿をいち早く充実させる必要があります。
選ばれる所沢を目指すには
教育
 最も重要なのが、教育です。やはり、20~40代の世代を引き寄せるのは、教育の魅力です。特に、公教育が充実していることが重要です。所沢市の学校に入りたいために引っ越してきたくなるような学校づくりを目指すべきです。
みどり
 みどりについては、予算の1%をみどりの基金に繰り入れながら、現在のみどりを維持し、それぞれのみどりを緑道でつなぎ、徒歩や自転車でも安心して移動できる、歩車分離の所沢を目指します。
環境
 廃棄物については、自区内処理を原則とし、ゴミ排出量の半減を目指します。 生ゴミの堆肥化を目指します。そのためには、ゴミ袋税の導入と、ゴミ処理の有料化を目指します。また、不法投棄や、産業廃棄物処理施設の適正な管理のためにも、産業廃棄物の流入規制を行い、廃棄物に関る許認可権限の市への委譲を目指します。
しごと
安定した就業先確保と職住接近の実現を図るためにも、産業の育成・誘致が重要です。 所沢の昼間人口を増やすためにも、しごと先の育成・誘致は必要です。
ソーシャルインクルージョン(社会的包括)
 所沢市には、国立身体障害者リハビリテーションセンターや国立秩父学園など、障がい者に関る研究機関が充実しています。そうした組織・機関との連携を通じて、障がいのある方もない方も、ともに快適なすごせるまちを目指すべきです。
 議会も変わります
  議会も生き残りをかけて、自己変革を進める必要があります。これからの議会は、要求する議会から提案する議会に変わっていく必要があります。 
  おわりに  会派「翔」では、これまでの要求型の要望書という形ではなく、議員も所沢市の経営者という発想で、議会活動に取り組むべきだと考え、提案書という形を取らせていただきました。今後は、この私たちの計画に沿った形で、議会での一般質問、議案質疑等に取り組んでいきます。

2010年10月29日

所沢市議会基本条例プレゼンテーション

視察においで下さる方々への説明用プレゼンです。
以前アップしたものより少し変わりましたので、再アップです。

ファイルが重たいので、画像など一部は削除してしまいました。

議会基本条例プレゼン

会派「翔」マニフェストの評価について③

従来の公約とマニフェスト、どこが違うの

 従来の公約とマニフェスト、一体何が違うのか。従来の公約を「選挙公約」、マニフェストを「政権公約」とするという考え方もあるようだ。しかし、マニフェストを「政権公約」としてしまうと、地方議会は、今のところ議員内閣制ではないので、議員マニフェストを「政権公約」としてしまうのは少し正確さに欠ける。
また、政党を基本とする会派は所沢市でも詳細な予算要求や公約集を作っていらっしゃる。私たちのマニフェストは、後ほどご紹介するが、16項目しかない。結論から先に言えば、マニフェストにあって公約にないものは、やはり「財源」が明記されているかどうかにあると考える。その点は、昨年の衆議院議員選挙の民主党マニフェストをみてもご理解いただけると思う。何をするかだけでなく、その財源をどうするか、についての記述がマニフェストの必須項目と考える。
 そして、この財源の推計というのが実はやっかいで、特に新人の候補者の場合は、ハードルが高い。当然現職議員にとっても、よほど意識していないと、なかなか正確な数値を算出できない。
 わが会派マニフェストでは、マニフェストのそれぞれの項目実現にかかる費用について、その財源確保策もセットで提案している点に特徴がある。

マニフェストの形式を巡る2つの考え方
マニフェストの形式について、前出の北川正恭教授によれば「体系的だった政策の期限、財源、数値を工程表付きで示し、選挙後、進捗率の事後検証ができる選挙公約のことである」と表現している。一方、山口二郎北海道大学教授はブログにおいて、「数値目標だの財源だのを過度に強調すれば、政治家が本来持つべき構想力が凋んでしまい、政治家は官僚の発想に近づくことになる」「マニフェストはあくまで資料であり、金科玉条にすべきではない」と主張している。 
国政選挙の場合の「野党の側からマニフェストを示す際には、正確な財源の見積もりは不可能である。」(山口二郎著「政権交代論」岩波新書)それほどこだわる必要はないのかもしれない。
一方で、これまでの公約のあり方を批判する側からは、財源の裏付けもない公約など、単なるウイッシュリスト(要望項目)に過ぎない。どうにでも解釈できる表現の公約だからこそ政策選択の選挙にならなかった。だからこそマニフェストは必要不可欠、という意見もある。
 私たちの会派内では、やはりマニフェストはウイッシュリストであっては無責任だという点で意見の一致をみた。私たちが作ったパンフレットには、「『財源』(未来の市政)に責任を持つ」ことを一番の優先順位とした。その点は、やはり国政の場合は、「政権公約」であるが、地方議会マニフェストの場合は、政権獲得を目的とするのではないので、「政策公約」といえるのではないか。だとするなら、政策に現実性と具体性を持たせる意味でも、やはり財源については必ず言及しておく必要がある。

2010年10月28日

会派「翔」マニフェストの評価について②

議会(会派)マニフェストの先行事例
議会マニフェストを作成するにあたって、まず参考にしていただきたいのが、マニフェスト大賞である。(「マニフェスト大賞」で検索)
このマニフェスト大賞を主催しているのが、ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟、ローカル・マニフェスト首長連盟などのメンバーによって構成されている、マニフェスト大賞実行委員会である。私も、実行委員を昨年務めさせていただいた。共催は早稲田大学マニフェスト研究所である。この大賞はマニフェストを日本に導入した第一人者でもあり、現在は早稲田大学マニフェスト研究所の所長でもある、北川正恭前三重県知事である。この大賞では昨年までの過去4回にわたって首長マニフェストや議会マニフェストの大賞候補をノミネートし、かつその中から大賞を選出している。例えば、それぞれ第3回、第4回の地方議会のマニフェスト大賞グランプリを受賞した、三重県議会会派新政みえの「新政みえビジョン」(「新政みえ」で検索)民主党京都府総支部連合会の民主党京都マニフェスト「京都スタイル」(「民主党京都マニフェスト」で検索)などをご参照いただきた。残念ながら県議会と市議会は、規模も役割も違うので、この事例が直接市議会などの基礎自治体議会の参考にはならないが、議会マニフェストの様々なバリエーションはこのマニフェスト大賞のサイトを見ていただければ概ねつかんでいただけると思う。


会派がなくなれば会派マニフェストも雲散霧消?

 幸いなことに、私の属する所沢市議会会派「翔」はまだ存在している。これは、意外と重要なポイントで、私たちと一緒になって会派マニフェスト作りに取り組んだ神奈川県A市の会派はすでに存在しない。政党が基礎となった議会会派の場合は、会派イコール政党という場合が多いので、会派構成は安定している。
しかし、無所属あるいは政党籍のある議員とない議員が混在している会派などは、人事の諍いなどをきっかけに会派構成が変更になることがままある。A市の会派マニフェストは、ページ数も24ページ、オールカラーで、イラストや図表もふんだんにおりこまれていた。 
この会派は9名の会派であり、会派の人数と政務調査費の金額によって、マニフェストにかけられる費用は大きく左右される。マニフェスト発表会も豪華版で、市内でも最も大きい文化会館に300人以上の住民を集めて発表会を行った。残念ながら、わが会派が実施したマニフェスト発表会はわずか30名程度しか聴衆が集まらなかった。しかし、いくら素晴らしい会派マニフェストであり、発表会に人が集まっても、それを生み出した会派がなくなってしまってはマニフェストそのものの評価の仕様がない。ただし、A市議会については、後日談があり、会派の一人が市長選に立候補し、会派マニフェストを参考にしながら市長マニフェストを作成したため、結果的に会派マニフェストは一部市長マニフェストとして再生している。
 千葉県B市のある会派も、印刷物のデザインに凝ったマニフェストを作成していた。私たちもこの会派のデザインをモデルにした。しかし、この会派も改選後いつのまにかなくなってしまっていた。会派というのは、選挙結果によって容易に組み替えが起こってしまうのはご承知の通りである。
我が会派のマニフェストは、当時、会派「翔」の5名の市議会議員によって起草された。選挙では、私を含む3名が当選。1名が落選、1名が引退した。改選後は、新たに1名の議員の参加を経て、4名の会派となり、現在に至っている。
 新しく入っていただいた1名には、当然ながら、会派マニフェストへの賛同を条件に会派に入っていただいた。
 これは会派の基本原則でもあるのだが、会派マニフェストを作る際に最も重要なポイントは会派が政策や理念を共有できる仲間で構成されているかどうかである。実際、わが会派は、議案の賛否に当たって、会派内の意見が分かれることも容認しているが、ことマニフェストに掲載した項目については、分かれる場合は、会派離脱を条件としている。
 ここでの教訓は、もし会派マニフェストを作成するとするなら、やはり、会派が今後も存続できるメンバーで構成されていることが必須要件である。そうでなければ、無理に会派で作るより、議員個人のマニフェストとしたほうが無難である。

2010年10月27日

会派「翔」マニフェストの評価について①

以下、ある雑誌に寄稿した原稿です。

地方議会にマニフェストは馴染まない? 桑畠健也

 来春は統一地方選挙の実施が予定されている。筆者の市議会議員の任期も残すところあと1年となった。そろそろ、私が属する埼玉県所沢市議会会派「翔」(しょう:会派は4名で構成)が4年前の議員改選時に初めて作成した会派マニフェストの達成状況、進捗状況を評価する通信簿をつけなくてはいけない時期となった。
所沢市長も、今年に入って、マニフェスト通信簿を公開した。(所沢市長のマニフェスト通信簿は、「所沢市役所ホームページ」→「市長室」→「マニフェスト通信簿」で検索。市長マニフェストの進捗管理や評価は、後述するマニフェスト大賞を受賞した、神奈川県藤沢市や静岡県浜松市なども参考になる)
  
知事や市長などの首長マニフェストはもはや標準装備、あって当たり前の状況になりつつある。国政選挙においても、マニフェストは欠かせないものとなったと言ってよいだろう。各政党が作るマニフェストについては、マニフェストの中身に対する批判はあっても、マニフェストの存在そのものはもう議論にならないほど定着したと言ってよい。昨年の政権交代では明らかに、子ども手当や農家への個別所得保障、八ッ場ダム工事中止など、マニフェストが政権選択の選択肢となった。
 今や、日本の政治文化に根ざしつつあるマニフェストであるが、地方議員個人や会派によるマニフェストはまだまだ事例も少なく標準装備となったとは言えない状況だ。
そもそも地方議員にマニフェストが馴染むのかどうかという根本的な疑問も指摘されている。なぜなら、議員には予算提案権や行政執行権が認められていないからだ。
そうした事情もあり、前回の統一地方選挙で、所沢市においても会派であるいは個人で「期限、財源、数値目標、工程表」を備えたマニフェストを作成して選挙に臨んだのはわが会派のみであった。しかし、次回の統一地方選挙には、昨年の国政選挙の影響もあって、新人や現職を含めて、多くの議員や会派が、今回のマニフェスト作成を検討していることと思う。
そこで、これから数回の予定で、既に議会マニフェストを作成し、進捗評価を行った立場から、どうすればよりよいマニフェストを作っていくことができるかをご紹介していきたい。

2010年10月22日

第17回 くわけん市政報告会 11月27日(土)開催

 各定例会ごとに開催している(途中何回か欠番あり)くわけん市政報告会が、新装なった、新所沢公民館 学習室5号にて、11月27日(土) 午後1時10分から開催されます。多くの方のおいでをお待ちいたしております。

2010年10月21日

自転車道延長を2倍以上に!

自転車レーン 6600キロ可能 主要道8割に設置容易(毎日新聞 10月21日)
との記事が掲載されました。

以下 引用

全国の都市部にある幹線道路3万キロ余のうち、車道の両端に歩道とは別に1.5メートル以上の余裕がある主要道約8100キロの8割強に当たる約6600キロで、自転車専用の通行帯「自転車レーン」を容易に設置できることが、国土交通省の研究者の試算で分かった。自転車と歩行者の事故が10年前の3.7倍に激増する中、両者の通行分離は急務だが、試算は、車道の両端に線を引くだけの自転車レーン設置により、主要道の大部分で両者の分離が可能なことを示している。

 試算は、国交省国土技術政策総合研究所の大脇鉄也主任研究官が9月、都市部にある国道や都道府県道などの幹線道路計約3万900キロを対象に行った。車の交通量や平均速度などを国が調べた全国道路交通情勢調査(道路交通センサス)を基に、「自転車先進国」である欧州諸国の自転車用通路の設置基準を当てはめるなどして、道路状況に応じた望ましい自転車通行の形を検討した。

 3万キロ余のうち、幅1メートル以上の歩道があり、必要な車線(1車線標準幅3メートル)を確保しても車道両端に各1.5メートル以上の余裕がある主要道は約8100キロあった。試算の結果、このうち約1300キロは、1車線あたりの1日交通量が2000台以上で大型車の通行も多いため、柵や縁石などで物理的に車道と分ける「自転車道」を整備すべきだとした。

 一方で、交通量が同程度でも、大型車が少ないなどの約6600キロについては、物理的な分離までは必要ないとして、自転車レーンの設置が適当と判断した。これは主要道の8割強、都市部の幹線道路3万キロ余の2割強を占める。残る約200キロは車の交通量が少ないことなどから、自転車が車道を走行しても危険性が低く、自転車用通路の整備は必要ないとした。

 自転車道は柵などの工事が必要になるが、自転車レーンは車道左側に線を引くだけなど比較的安価で整備できる。ただし、道路の基準を定めた「道路構造令」に自転車レーンに関する規定がないため、事故が起きた場合に設置の根拠が問題になる懸念があるなどとして、自治体は設置に消極的な現状がある。警察庁によると、08年度末現在で自転車レーンは全国で178キロにとどまっている。

 大脇主任研究官は「設置には課題もあるが、関係者や利用者で協議して実現できれば、自転車、歩行者、車の3者が今より安全に通行できる」と話している。【馬場直子】

引用おわり

 さて、所沢市ではどの道路が該当し、どれくらいの延長距離が確保でき、そしてその費用負担がどうなるかなどについて、研究が必要です。
 いずれにせよ、二酸化炭素排出抑制の観点からいっても、自転車は今後さらに重要な移動手段となるわけでして、特に所沢のような平坦な地形では自転車はさらに移動手段として有効です。
 単純には言えませんが、少なくとも現在の自転車路の2倍の延長を当面は目指すべきです。
 もちろん、ネットワーク性の確保も重要です。ブツ切れに整備されても使い勝手は良くないので、まずは市役所を起点として、それぞれの公民館や出張所などの公共施設ネットワーク整備と、それぞれの公共施設の駐輪場整備、あるいは、乗り捨て自転車制度なども検討するべきでしょう。


2010年10月20日

調整区域の下水道整備は再考すべき

 所沢市の事業仕分けでも、「廃止」と判定された、市街化調整区域の下水道整備。このことに関連して、以下の報道が10月20日付け、毎日新聞からなされました。

以下引用。

 全国の市町村などの下水道事業で発行された企業債(地方債)の残高が、09年度末で旧国鉄の債務に匹敵する約31兆円に達していることが総務省のまとめで分かった。詳細なデータが公表されている08年度分を毎日新聞が集計すると、原則通りに経費を住民の使用料だけで賄えている市町村は1割しかない。バブル経済崩壊後の景気対策として急速に整備を進めたが、今後は計画時の予想より料金収入が伸び悩んだまま人口減社会へ向かうため、自治体財政のアキレスけんとなりそうだ。

 下水道事業は公立病院、市バスなどと同様の地方公営企業で、それぞれ特別会計が組まれている。総務省がまとめた地方公営企業決算概要によると、全国で3633事業ある。地方公営企業の中で最大の事業で、09年度の企業債発行額は1兆6724億円、新設・改修などの建設投資額が1兆8988億円と、いずれも全地方公営企業の半分を占める。

 企業債残高も31兆2656億円で、全地方公営企業の残高総額54兆9824億円の57%に達する。09年度の単年度収支は1176億円の黒字だが、料金収入は1兆4635億円で、それ以上の1兆8623億円を一般会計から繰り入れることで黒字化している。

 さらに、08年度分のデータを基に、全市町村の7割にあたる1178市町村が都市部で実施する下水道事業について、経費(元利償還と維持管理費)のうち使用料で賄えている割合を見ると、100%超はわずか1割。逆に2割は、元利償還を除いた日々の汚水処理費も賄えていなかった。

 国土交通省と総務省は市町村に対し、将来世代にツケを回さないための経営改善計画の策定を要請。人口減を踏まえた建設計画の縮小や、使用料の適正化などを促しており、各地で値上げが相次いでいる。ただ、経営改善計画の策定率は65%にとどまるという。

 国交省は「下水道は処理場建設など初期投資が多額で、長期間かけて使用料で回収するが、相当期間経営しても経費回収率が低い自治体が多いのは事実」と説明している。【石原聖】

 引用おわり

 所沢市については、特に第3期以降の調整区域下水道整備については、休止をすべきです。
 そもそも下水道は都市計画施設であり、市街化区域に整備することが原則です。
 都市計画税を支払っていない調整区域に整備するのは疑問が残ります。
 いくら、都市計画税のかわりに受益者負担金を支払っているとはいえ、今後の下水道財政や所沢市の財政を考えると、高速道路のように、本来であれば減価償却が終わって、料金引き下げの可能性がありながら、ずるずると高止まってしまいます。現在も結局は市街化区域の利用者が調整区域の建設費を料金が値下げされないことによって間接的に支払っていることになっているといえなくもありません。

2010年10月19日

学校図書館先進事例を見学に(荒川区)

 10月19日(火)、学校図書館の先進事例を見学に荒川区に行きました。今回の企画は、所沢市内の学校図書館の充実のために活動されている学校図書館・虹の会・所沢及び所沢市文庫・親子読書会連絡会の皆様によるものです。

 まずは、荒川区立汐入小学校を見学させていただきました。
 汐入小学校はこの4月に開校したばかりということで、入り口に入ったすぐのところに図書館がありました。また、新設校ということもあり、本はすべて新しく、また、調べ学習の本が充実しており、小説系が6割、調べ学習系が4割ということでした。屋上にはプールがあり、そこから墨田スカイツリーが見えたことが印象的でした。

 その後、 荒川区立第三中学校に移動。この学校は平成22年度全国学校図書館賞を受賞しています。授賞理由は、学校図書館を核とした学校教育の実践が評価されてのことと言います。

 第三中学校は、新設校ではないそうですが、図書館の本は年代の新しいものが中心でした。その理由をおたずねしたところ、現在の西川区長になってから、学校図書館の充実が図られ、第三中学校も約700万円の図書購入予算がついたとのことでした。
 また、この中学校では、夏休みや土曜日も図書館を開館し、年間220日開館を目指しているとのことでした。
 現在ではすべての授業科目で図書館とのコラボレーション事業が展開されえいるとのことです。

 翻って所沢市の学校図書館を考えた場合、司書配置も大事ですが、やはりまずは図書更新、特に時代とともに陳腐化が激しくなる調べ学習系の図書の更新が緊急の課題と認識しました。

 お世話になりました皆様に改めて感謝申し上げます。

2010年10月18日

2010.09定例会 一般質問⑦ オープンシステム導入にあたって

予定価格が5億7千万に対して、提示価格が2億2千2百万となって、大変市長もお喜びのことかと思います。やはり競争性を発揮することで、安くなったといえますね。
くわけん 市長は今回のこの価格が安くなったことについてどう評価しているのか?
当麻市長 本市の現在の基幹情報システムは特定の業者に依存しており、安定稼働、高信頼性等のメリットがある一方で、競争性が働きにくく、それに係わる費用が高止まりする傾向があった。こうした状況をふまえ、平成19年に策定した基幹情報システム更新計画の目的でもある、特定業者に依存せず、限られた予算の中で効率的・効果的に運用するための情報システムのオープン化を決断した。
 今回の調達にあたっては、企画提案方式、いわゆるプロポーザル方式によって業者を選定することとした。その結果、調達の公平性、透明性が図られるとともに、競争原理が適切に機能したのではないかと考えている。


ところで安くなったのは結構なことだと思います。その点は素直に評価をいたしますた。
ただ、提案したベンダーの立場に立てば、安くした分だけどこかで取り返したと思うものです。そういう点からすれば、今後取り替えされないように、しっかと対応していただきたい。2点そういう意味では懸念がある。まず第1点。来年度の改正住民基本台帳法の改正についてです。
 この点については、前回の定例会で福原議員の質問に対して、部長は、この点は要求仕様に盛り込んでいないと答弁されてますね。しかし、私の得た情報によると、今回プレゼンに参加したもう一つの会社の提案書には、改正住基法の対応を含むとなっていました。今回契約した富士通さんには、その提案はなかったということですが。

くわけん それは事実ですね。ということは、当然ながら、今回契約した会社についても、1千万円程度の改正対応費用ということでよろしいですね。
西久保副市長 今回のオープンシステムに当たって、参加した業者の提案書に、1社が追加提案として対応を記載している。追加提案については、提案パッケージのオプション機能を各社自由に記載してもらうもので、業者提案パッケージを採用すれば、オプションとして現時点での情報による仕様で考えると1,000万円程度の追加費用で住民基本台帳法改正対応ができるという提案であった。一方今回契約した業者については、追加提案の中には記載がなかった。契約事務を進めるにあたり、確認したところ、現時点で国から示されている仕様であれば、同様にパッケージ追加費用が1,000万円程度で対応可能であるとのことであった。
 あらかじめ、見積もりに入れなかった理由を尋ねたところ、国からの詳細な政令、省令が明示されていないたま、金額を確定することが困難であるということであった。


データ移行費用について
これも、ありがたいことに、メインフレームの会社がオープンシステムの受注をしたので、同じ会社内でのデータ移行になるのですから、当然、他社の場合に比べて安くなるのは、業界の常識からいって当たり前です。

くわけん この部分については、現在いまのところ富士通からどのような金額提示がなされているのですか?
西久保副市長 当初の情報提供、いわゆるRFIの段階での見積もりでは他社がシステム調達をした場合のデータ移行費用が6,000万円程度ということであった。今回は同一業者ということになるので、既存のデータ移行ツールが使用できることから、1,300万円程度で行えると確認している。

なるほど、安心しました。私としては、本来であればオープン化の趣旨かすれば、マルチベンダーが最も理想的だと思っていますが、みなさんが一応公正な判断を下されたので、

そのためにも、現在戸籍のシステムの更新がありますが、やはりオープン化の理念にしたがえば、住民基本データも共通化しますから、多くの入札が期待されるところです。

くわけん ところで、戸籍は、現在、RFI リクエスト フォー インフォメーションの段階に入っているとうかがっています。その後、各社から意見聴取を行ってRFP リクエスト フォー プロポーザル を提示することになると思います。時期はいつ頃になりますか?
大舘市民経済部長 10月上旬を予定している。

言うまでもないが、地方自治法第234条、地方自治法施行令第167条の2別表5によれば、コンピューターシステム調達のケースでは、随意契約は50万円までです。
よく戸籍のシステムリプレースにあたっては、外字への対応がどうのこうのと委って、結局FRPをコントロールして他の会社が入れないような仕様をつくるということがあります。例えば、今、私もこの戸籍の仕様書を見ているが、とんでもない。別紙1機能一覧及び別紙2追加機能一覧に示す必須機能を実現することとなっています。必須機能とは要するに今のパッケージの必須機能をそのまま載せているだけ。これはどういう事かと言えば、パソコンを例にとれば、マイクロソフトワードの機能を全部書き並べて、他のパソコンソフトを買うときに、マイクロソフトワードと同じ機能で同じ画面表示で同じ性能でなければ買いませんよといういうことをやっているわけですから、これはダメです。
現場の人が多少苦労しても厳密に地方自治法第234条に従うならば、現場の人が導入に手間がかかったとしても競争性を発揮しなければ、これは違法です。


くわけん また、当然既存ベンダーに特定されないように、RFPは調整すると思います。ところで、もし万が一既存ベンダー及び既存ベン

2010年10月17日

2010.09定例会 一般質問⑥ 防災ラジオについて

全く機能していないという意見が多いが。
くわけん 今回、防災訓練に併せて防災ラジオ利用者に向けてアンケートをしたと思うが、その結果はどうなっているのか?
鈴木総合政策部危機管理担当理事 さきの防災訓練において、防災ラジオのアンケートを行い、910人の方から回答をいただいた。防災ラジオを使用してどうであったかという質問に対して、必要であると答えたのが181人で19.9%、あまり必要ないが582人で64%。どちらとも言えないが147人で16.1%。防災ラジオが販売された場合、購入を希望するかという質問には、購入したいが475人で52.2%、値段によるが検討したいが136人で14.9%、必要ないが、299人で全体の32.9%という結果であった。

そもそも、今回の防災ラジオは厳密な定義から言えば、ラジオとは言い難いのではないか?あくまでも送信設備は、通信の設備であり、通信によって、放送塔に音声データを送る仕組みである。つまり概念はあくまでも通信である。このラジオもどちらかと
いうと送信したデータを傍受するラジオという位置づけになっている。

くわけん 厳密に言えば、公共放送以外の放送を受信するのは電波法違反になると思うが。
鈴木総合政策部危機管理担当理事 総務省関東総合通信局に確認したところ、防災行政無線は市民んい知らせたい内容を送信していることから、受信した内容を第三者に漏らすことによって免許人である所沢市に不利益が生じることがないため、防災ラジオで防災行政無線を受信しても、電波法に抵触することはないとの回答。

くわけん 防災ラジオというなら、正式な放送設備を設置して、放送としてデータを送信するべきではないか。そうした場合の費用はどのくらいかかるのか?

鈴木総合政策部危機管理担当理事 防災ラジオは市の防災無線を受信する個別受信機であり、付加価値としてAM、FMの放送が受信できる。そしてこの防災ラジオは災害情報等を市民の方に受信していただくことが主目的なので、現時の防災行政無線設備を有効に活用する考えて進めていきたいと考えている。従ってあらたな放送設備を設置することについては現在考えていない。


 放送塔に設置されているアンテナを見ると指向性アンテナである。ということは、電波の出力は弱いということになる。ラジオに詳しくない利用者にとっては、電波を受信するためのアンテナ調整が難しいと思う。
くわけん 発信出力を現状の5wからあげるべきではないか?あげられないとしたらその理由は?
鈴木総合政策部危機管理担当理事 この出力については、所沢市の面積、あるいは地形等を勘案して市内に電波が行き届く出力を算出して、無線局設置申請時に計画をして定められた出力。したがって、出力のアップは簡単には変更許可がおりないものと考えている。

くわけん おそらく防災ラジオは災害時の利用を想定していると思うが、例えば大地震発生時には、携帯電話は音声通話は制限されるが、メールや災害用伝言板は機能させるようにバックボーンを整備していると聞く。だとしたら、無理に使いにくい防災ラジオを普及させるより、災害時の携帯利用の方法についての周知をはかるほうが、よっぽど合理的ではないか?
鈴木総合政策部危機管理担当理事 防災ラジオは通常の防災行政無線が聞こえにくい場所、あるいは建物の気密性がよくなり聞き取れないなどの弊害がある状況に対しての情報伝達手段として考えている。全国瞬時警報システムJ-ALERTの緊急情報についても受信が可能。携帯については、現状においては、所沢ホットメールを利用して防災情報等を配信しているが、今後も周知方法についてはより有効な方法を検討していきたい。

2010年10月16日

2010.09定例会 一般質問⑤ 職員の民間からの採用について

くわけん 5名程度採用するということだが、過去に社会人枠で採用したことがあるか?
西久保副市長 特に民間企業の経験者を対象に事務職として募集するのは今年が初めて。特定の経験を有する職員採用については過去に実績があり、直近では平成16年度にシステムエンジニアの経験を5年以上有する職員を公募で採用した実績がある。

くわけん その方達の評価は?
西久保副市長 前職の経験によって培われた専門性を生かして職務に励んでいるという評価。


くわけん 当麻市長は、今回の民間からの採用をおもいついた理由は?
当麻市長 従来より新規学卒者を中心に若年層の方を採用。しかし、地方分権で自治体間競争に勝ち残るためには、より専門的な知識や経験を有し、一般的に公務員に欠けているといわれている、経営感覚、企画力、交渉力など民間企業感覚を身につけた人材を確保するとともに、組織の活性化を図る必要があると考え、民間企業等経験者の採用を行うよう指示した。


くわけん 民間企業からの採用には考慮すべき点もある。例えば、以前いた企業に、所沢市の情報を流す、入札評価にあたって自分の出身会社に甘く点数をつけるなどが懸念される。こういった点についてはどのように防止策を講じるつもりか?
当麻市長 職員には服務として職務上知り得た秘密を漏らしてはならない義務、いわゆる守秘義務が課せられており、これに違反すると当然に懲戒処分の対象となり、1年以下の懲役または3万円以下の罰金という刑罰に処せられることになる。こうした服務上の義務や禁止事項については、新規採用職員に対する研修などで機会あるごとに注意を喚起している。今後についても、故意、過失を問わず、職務上の秘密を漏えいするようなことが起こらないよう職員に徹底していく。

2010年10月15日

2010.09定例会 一般質問④ 学校図書館の調べ学習対応について

先日、新所沢青少年を守る会の研修会で、「学校図書館のつくり方」という著書を書かれ学校図書館の改良について実践活動をされている赤木かんこ氏をお呼びして講演会を開催しました。
赤木氏のお話内容については賛否両論もありましたが、私は大変参考になり、目からうろこのお話が多かったです。その中で、かんこ氏は、かつての学校図書館は文学系の蔵書が多く、現在は、総合的学習や調べ学習などが増えてくるにつれて図鑑や百科事典などのリアル系といわれる本を増やしていく必要があるとのことでした。
所沢市では、今後、市長のマニフェストや住民の方々の請願もあり、学校司書の配置をより促進していくという方向性に向かっています。そのことは、大変結構なことですが、いくら学校司書を増やしても、学校図書館の蔵書も同時に整備していかないと、玉を補給しないで前線に兵士を送るようなものになってしまいます。

くわけん いわゆる文学系の作品と、産業系、自然科学系のノンフィクション系の蔵書割合はどうなっていますか?理科年表は必須になってますか?

佐藤教育長 小中学校の全校ではないが、調べたところ、小学校ではほぼ同じ割合(半々)で、中学校においては、文系の作品が4分の1、残り4分の3がノンフィクション系の書籍となっている。
 理科年表については、各校にあるものと考えている。

くわけん 学校図書館に最低限備えるべき特にリアル系調べ学習系の蔵書リストを持っているか?持っていないとしたらそういう標準的な備えるべき蔵書リストを作成する必要があるのではないか?
佐藤教育長 現在学校に(標準的な蔵書リスト)提示することは考えていない。しかし、蔵書を整備充実させることは大切なことなので、各学校の主体性を大切にしつつ、教育委員会で適切な研修会など機会をとらえて学習に効果的な書籍の紹介をしていきたい。

くわけん 蔵書購入にあたっては、特定の保護者や先生の趣味で選定しているという事実も聞くが、やはりそれは問題ではないか?先生が調べ学習のための蔵書を整備するということを第一優先とすべきではないか?
佐藤教育長 調べ学習の書籍購入については、学校が主体性を持ち、教科等の年間指導計画に照らし合わせて必要なしょせき、あるいは学習をより豊かにする上での効率的な書籍を選定することを優先させるということが大切。
Q また、特に調べ学習系の同じ種類の図書を1クラス分購入する事例もあるようだが、やはり、予算に制約もあるのだから、同じ本を大量に購入せぬように何らかの方法をとる必要があるのではないか

くわけん 本の廃棄についてはもったいないという意見もあるとも思うが、特に自然科学系は新事実の発見などにより内容が陳腐化する可能性がある。全体の蔵書数を減らしたとしても、廃棄は積極的に計画的に進めるべきと考えるがご見解は?フォントが違うと今の子どもは読みません。

佐藤教育長 計画的に廃棄を進めるよう指導していく。情報については最新の情報を最近ではインターネットを通じてとれるようにもなっている。

2010年10月14日

2010.09定例会 一般質問③ 事業仕分けの結果について

事業仕分けについては、結論から言って様々な議論はあるとは思いますが、大変よかったと思います。おもしろかったといったら語弊がありますが、非常にすばらしかったと思います。
是非、来年もやっていただきたいです。
ますは市長にお聞きします。 

くわけん 事業仕分けの市長の評価と来年も実施するかどうか?
当麻市長 去る6月26日、27日両日にわたって40事業を対象に実施。市内外から2日間で約700人の方々が傍聴にお越しになり、関心の高さを強く感じた。
しかし、評価に要する時間が十分でなかったり、説明者と仕分け人の議論がうまくかみ合わなかったりいった課題も明らかに。市民アンケートからも実施した意義はあったと考えている。今後については、さらによいものになるように、他市の取組や効果などを参考により充実した取組みにしていきたい。

くわけん 市長は仕分けを傍聴しましたか?傍聴したとしたら、どの事業を傍聴しましたか?
当麻市長 公務の関係もあり、開会式直後の広報の事業仕分けについて拝見しました。

さて、一方で、取り上げられた事業の中には、大変厳しい評価が下された事業もありました。私の大好きな「学びノート」は仕分け人のやりとりを聞いている限りでは、これは廃止かと喜んだのですが、なぜか評価になったら、甘くなってしまいちょっとがっかりしました。
不要が4件ありました。我が家の耐震診断補助事業、第2期市街化調整区域汚水管渠布設事業、はり・マッサージ施術費補助事業、市民プール管理運営事業です。さらに、その後、ホームページでは傍聴者のアンケート結果も掲載されていて、仕分け人が不要とした事業はいずれも傍聴者も不要としていて、仕分け人は不要としなかったけれども傍聴者が不要とした事業が、さらに2件環境推進員活動促進事業、そして確かな学力定着事業でした。


私は、仕分け結果は結果として受け止めるべきですが、国の仕分けをみても、例えば「はやぶさ」事業を限りなく減らしておきながら、「はやぶさ」の無事帰還後は手のひらを返したように、予算を増額したことや、事業仕分けで廃止とされた「英語ノート」が多くの学校現場から廃止反対の声が上がったために存続となった事例もありますから、仕分けの判定結果については慎重に扱うべきだと思います。

さて、今回不要とされた4事業の中から、第2期市街化調整区域汚水管渠布設事業、はり・マッサージ施術費補助事業を取り上げてみたいと思います。

くわけん 第2期市街化調整区域汚水管渠布設事業について下水道部長はどのようなご感想をお持ちですか?
藤巻下水道部長 6月27日の事業仕分けの結果、「不要」と判定されたが、コーディネーターの意見は、第2期事業は既に進んでいるのでやむを得ないが、第3期以降の事業については検討してもらいたいという意味で「不要」とのことであった。
 第2期事業については、平成20年度から地権者の方に受益者負担金を負担してもらい、平成24年度までに事業を終わらせること約束している。汚水管渠敷設事業に対する市民からの要望は大きいものがあり、第3期及び第4期事業については、下水道事業運営審議会答申に基づき、平成34年度までの整備区域が決定している。しかし、近年下水堂が担う役割は、多岐にわたり、既に事業をすすめている合流改善事業、管渠等の耐震化事業のほかに、今後は管渠長寿命化事業も進める必要があり、第3期以降の事業については他の事業と総合的に検討して進めていく必要があると考えている。


実は先日、前原大臣にお会いしたときも、この調整区域の下水道についてどうお考えかお聞きしたのだが、まあ、お立場もあってダムのような明快な返答は得られなかったのです。
くわけん いずれにせよ、第3期に向けて、なんらかの改善をはかっていくということでよいか?
藤巻下水道部長 他事業と総合的に検討してすすめていきたい。

くわけん はり・マッサージ施術費補助事業の仕分け結果について内藤部長はどういうご所感をお持ちですか?
内藤保健福祉部長 はり・マッサージ施術費補助事業は、高齢者の病気予防や慢性的な痛みの改善を図り、高齢化社会を生き生きと暮らしていただくための事業として実施しているが、今回の仕分けでは事業目的を十分理解いただけなかった面もあるのではないかと受けとめている。事業仕分けでは「不要」との結果であったが、保健福祉部としては、事業効果の検証、事業の見直し等を含めて総合的な検討を行いたい。したがって、要改善事業として継続が必要と考えている。

わたしは、はり・マッサージについては私のぎっくり腰や、私の娘が妻のおなかにいるときに逆子がなおったこともあり、西洋医学では逆子はどうもできないのですから、非常に高く評価しています。これから薬剤耐性菌が増えてくると、菌に対して抗生物質一辺倒ではなく、体の治る力を高めていく漢方の考え方というのは重要になってくるとおもうんですね。でも大変厳しい評価でした。なかなか治療とその効果についての因果関係が理解されていないことが一因かと思いました。
くわけん はり・マッサージの効能についてはどのように分析していますか?
内藤保健福祉部長 はりについては、神経痛、リウマチ、腰痛症など6疾患について保険診療が認められ、広く治療に貢献していただいている。マッサージについても、同様に慢性的な痛みの改善等広く治療に貢献いただいている。そのほか、保険診療の対象とならない不眠症や自律神経失調症などについても、はり・マッサージの施術を受けることで改善されたと、そうした声を来庁されたお客様との会話の中で聞き及んでいる。


くわけん 今回の傍聴者は、必ずしも市民全体を代表していませんが、やはり、私は、以前にも指摘したように、仕分け人はあくまでも議論まで。判定は、無作為抽出の市民に日当と託児をお支払いして判定していただくという方法がいいと思います。どうですか、次回からはそうしませんか?
当麻市長 そのように行っている自治体があることを認識している。仕分け人の選定や判定人方式の導入などについてもよりよい方法となるよう検討していきたいと考えている。

さて、仕分けの結論はともあれ、私が見ていた範囲で、仕分けが必要だと思ったのは、職員の質問に対する回答能力です。わざとはぐらかそうとしているのか、それとも本当に答えられないのか定かではありませんが、質問の意図とまったく違う答えをして傍聴者の失笑を買うという場面もありました。なにより残念だったのは、もっと反論をしっかりしてほしかったということです。事業の必要性についてしっかりと説明できない。この点は本当に残念に思いました。そこで市長に質問です。

くわけん 市長は、民主主義体制における非民主主義的主体である職員のプレゼン能力をどう評価しているのか?もっと高める必要性を感じているのか?高めるために何らかの研修を行うべきと考えているのか?

(注 民主主義体制における非民主主義主体である職員とは、しばしば、東京大学の金井利之教授が著書でもよく用いている表現であり、本来行政は、公選職たる市長や議員が意志決定や執行の中心であるべきだが、現実には公選職ではなく、公務員試験を経て採用された職員が実体的には、相当の権限と執行力を有していることをいう。)

当麻市長 事業仕分けの際の職員の説明については中には不十分な面もあったと考えている。傍聴者アンケートにおいても職員の説明がわかりにくかったという指摘をいただいているので、今回の反省点の1つであると考えている。
職員の立場からは、多くの市民が注視する中で、想定していない質問が次々なされるなど、不慣れな状況に置かれ、緊張のために思うような対応ができなかったという面はあると思っている。しかし、市民の皆さんに市の施策や考え方をわかりやすく伝えること、あるいは議論の中で、市の方針をしめしていくということは、今後一層求められる職員の能力である。研修においてもプレゼンテーション能力を高めるメニューを用意しているが、今回の事業仕分けも職員のプレゼンテーション能力の向上に資するものと考えている。

くわけん 総合政策部長にお聞きするが、プレゼン能力は人事評価の対象となっているのか?
笹原総合政策部長 具体的な評価項目として、プレゼンテーション能力といったものは設けていない。

当麻市長の講演では市長は消耗品、職員は備品だそうですから、備品のメンテナンスをよろしくお願いします。

2010年10月11日

再掲 会派「翔」マニフェスト

このたび、くわけんの属する会派「翔」のマニフェストが、第5回マニフェスト大賞優秀賞に選ばれましたので、ここに、マニフェストを再掲いたします。

所沢サバイバルプラン マニフェスト版

マニフェスト作成にあたって


市民は主催者であると同時に行政サービスの消費者です。
自治体間の競争が高まっていくなかで、
住んでいる方の満足度を高め、
所沢に引っ越して来たい方を増やすことが目標です。

所沢をブランドとして確立すること・・・
そのためには、何ができるのか

市民とのやみくもな約束は、むしろ無責任だと思います。
財源を明示することや、
期限をあきらかにすることこそ「翔」は大切だと感じているのです。

○は2008年度(2年後)までに実施する項目です。
●は2010年度(4年後)までに実施する項目です。

【財源確保】
‘未来の市政=財源に責任を持つ!
財源を確保するために(5億円)

○特殊勤務手当を全廃し、1億円財源を確保します。
給与水準は大企業なみ、手当ては今や大企業でも縮小・廃止されています。
特殊勤務手当て、住居手当てなどを見直します。
●入札制度を改革し、1億円の財源を確保します。
高すぎる95%の落札率(2004年度平均)。電子入札の普及や総合評価方式
の導入、随意契約を抑制します。
○西部クリーンセンターC炉を休止し、1億円の財源を確保します。
東部クリーンセンターの完成により、必要性の薄れた西部クリーンセンターC炉の運転を休止します。
●廃プラを焼却し、埋め立てコストの2億円を削減します。
リサイクルできないプラスチックを焼却してから、埋め立てることで、ゴミに関わる費用を削減します。
※東部クリーンセンターはダイオキシンについての世界トップクラスの排出基準を備えた施設です。


【教育・子育て】
○市民医療センターに小児科医師を新たに1人確保します。(5,000万円)
2009年度末に移転が決定した都立清瀬小児病院。
安心して子育てができる所沢に。
○乳幼児医療費窓口払いを廃止。(9,000万円)
住基カードの活用なども含め、市役所に来なくても支払い手続きができるようにします。
●教員(補助)を100人増やします。(1億円)
現在の100人体制が200人体制となります。
○「(仮称)子育て支援部」を創設します。
市民経済部、保健福祉部、教育委員会にある
子育て支援に関する組織を一元化します。


【みどり創生】
●「(仮称)産業廃棄物税」を創設します。
市外からの産業廃棄物流入を規制するため、廃棄物処理に関する税制を創設します。
○一般会計予算の1%以上をみどり保全lこ。
現在も行われているみどりの保全を維持します。


【地域づくり】
●自治基本条例を制定します。
市民と市役所の協働に関するルールをつくります。
●公民館と出張所を統合します。
建設予定の新所沢複合施設や中央公民館をはじめ、各地域にも順次進めていきます。
○図書館の月曜開館を実施します。


【議会改革】
●議会基本条例を制定します。
分権時代にふさわしい議会のあり方を追求します。
○一般質問に「一問一答」方式を導入します。
市民に開かれた「わかりやすい」議会運営を目指します。
○議員の費用弁償を廃止します。
定例会や委員会に出席するたびに支払われる費用弁償(1日当たり3.300円)を
廃止し、1,500万円を削減します。
※議会改革は、神奈川県藤沢市議会「立志の会」と一緒に取り組みます。