« 2013年05月 | メイン | 2013年09月 »

2013年07月30日

2013.06 一般質問⑥ 国からの給与引き下げ要求について

国からの給与引き下げ要求というのは、基本的におかしいと思っている。
なぜなら、基準財政需要額という、地方交付税を算出するための算定基礎を給与分だけ引き下げるという方法を認めてしまうと、今後は基準財政需要額の公務員の人件費分の算定基礎が変わる度に、下げなくてはいけなくなる。人件費の抑制は基本的に進めていく立場ではあるが、まずは基本給部分に手を付けるのではなく、手当関連をしっかり見直していく。その後は、人事院勧告に沿いながら、本給部分に手を付けるののが原則だと思っている。

くわけん 基準財政需要額の算定基礎に、地方公務員給与額は含まれているのか?
桑野財務部長 基準財政需要額については、それぞれの費目ごとに算定しているが、これらの費目の中の一部には給与関係経費が含まれている。

くわけん どれぐらいの減額が予想されているのか?やはり、算定基礎の公務員給与分を減額するということか?
桑野財務部長 普通交付税については、例年7月末頃に交付税額の算定を行うことから、現時点での減額予想は難しい。
 また、算定基礎の公務員給与分の減額についても、どのように減額になるかは明らかではない。
くわけん 近隣他市の実施状況は?
能登総務部長 埼玉県市長会が5月末に行った調査結果によると、さいたま市を含む県内40市において、6月議会に給与削減の条例議案を既に提出した市が2市、提出予定が19市、検討中が19市という状況。
くわけん この2市の削減理由は?
能登総務部長 細かいところまではわからない、埼玉県の場合は、政府による地方交付税の減額を踏まえた措置。当初予算において、交付税の削減分を財政調整基金で補填。この補填分を今回の給与削減で補うということ。
くわけん 財政調整基金の補填分を補うということでやるということは、余り今回の国の要請とは関係ないところで給与削減実施ということか。
能登総務部長 埼玉県の場合は、県に来る地方交付税が減額。その減額分をこれまでの財政調整基金から支出。それで財政調整基金が少なくなってしまうので、その少なくなった分を職員給与費で補填ということ。

くわけん 所沢市はどのように対応する考えか?
能登総務部長 本市においては、国が求める7月から来年3月までの職員給与引き下げについては、今議会への提案は行わない考え。これまで、本市では、平成13年度以降、職員数にして310人を削減、また総人件費についても平成13年度と平成24年度を単純比較して、約26億円の削減を行うなど、行財政改革に積極的に取り組んできた。人事院勧告に基づく給与改定を着実に実施してきた。
 しかし、地方公務員給与の引き下げにより地方交付税が当初の見込みより減少することにより、市民サービスに影響が出るような状況になった場合には、そのままにすることもできないものと考えている。

2013.06 一般質問⑤ 職員の規律について

くわけん ハナミズキ通り地中化にかかわる補助金返還では、関係者の処分が行われたがどのような処分が行われたのか?
能登総務部長 平成23年度において、市道4-245号線(通称ハナミズキ通り)電線共同溝工事に関して、工事進捗管理及び予算執行管理の不備により、工期内に工事を完了することができず、補助金として収納した国庫補助金についても返還を余儀なくされるという事態が発生した。この事態に対して、執行に関して直接的な責任を負うものとして、当時の道路建設課長及び同課主幹並びに同課副主幹を戒告処分とし、管理監督責任を負うものとして当時の建設部長及び建設部次長に対し、文書注意を行った。

くわけん 処分を検討する際にどういった観点から今回の処分内容になったのか?
能登総務部長 本件については、所沢市職員服務管理委員会において処分内容を審議した。同委員会では、処分内容を検討する観点として、1つには、工事を完了させることができず、また工事が完了しないことを想定して必要な手続きを行わなかったことにやむを得ない事情があったかどうか、もう一つには本件が、背任や横領など故意に行う非違行為には該当しないということ、の2点に着目し、慎重に審議を行った結果、関係職員らは、職責を全うせず、職務を怠ったものとして、内部規律維持と再発防止に資するため、戒告等の処分を決したもの。


市役所内部の規律維持の観点からすれば、今回の処分の妥当性はある程度理解できた。
一方で、補助金返還に伴う、約4000万円の損失についての対市民に対する責任は、担当職員の処分では済まされない。

くわけん 所沢市でも商工会議所に対する補助を巡り、補助額が増えたことで、市長などが給与減額を行った。副市長はご自身の給与を減額する気はあるか。
大舘副市長 今回の事案に対しては、商工会議所と同じようなことはしなくてもいいのかなというふうには考えている。

2013年07月26日

2013.06 一般質問④ ワルツ所沢の役員退職金について

くわけん 会社設立当初にはなかった役員退職金制度が創設されたが、制度ができた理由は
桑野財務部長 もともと定款には取締役及び監査役に対する報酬等の規定はあるが、退職金についての細則はなかった。平成17年に会社設立当初から務めていた役員の退任に伴い制度が定められた。

くわけん これまでの退職金支給実績は?
桑野財務部長 株式会社ワルツ所沢役員退職慰労金支給規定により、非常勤の取締役2名及び監査役3名に対して支給があった。なお、例外として退任役員個人に係る法令及び就業規則等により、退職慰労金の支払われないケースがあった。


くわけん 一方は会社設立時に配当を出さないと決めながら会社設立時にはなかった役員退職金を制度化している。こういうのをダブルスタンダードという。退職金を払う前に、まず株主配当が必要ではないのか?
桑野財務部長 株主配当は利益剰余金の処分の一つの方法として支出するもの。退職金は役務の対価として支払うものであるから、会社の経費項目として取り扱われる、配当とは別の必要経費となるもの。


くわけん どういう基準で支給するのか?
桑野財務部長 支給規定において、常勤及び非常勤の役員を対象としており、それぞれの在任年数に応じて支給するもの。
具体的な支給金額については、その基準の範囲内で会社の財務状況や経営成績を十分に勘案した上で、株主総会の決議による。

くわけん 現在社長の地位にある、元市職員は、現在辞任した場合いくらの退職金をもらえるのか?
桑野財務部長 退職金の額については、個人情報の質問なので答えられない。

くわけん では、この社長の在勤年数は何年か?
桑野財務部長 たしか10年を越えたところだと思う。

くわけん 10年ということは、私の持っているこの退職金規程に従えば、おおよそ500万円の退職金が今お辞めになったらいただけるというになると思う。
ちなみに、退職した市職員が再就職して役職についている社会福祉協議会やシルバー人材センター、公共施設管理公社、公設市場などは、退職時に退職金をもらえるのか?
桑野財務部長 いずれも退職金制度はないと理解。


くわけん なぜ、ワルツ所沢だけ退職金制度があるのか?
桑野財務部長 ワルツ所沢については定款の中でも報酬所要額等の役務の対価という定めがあり、会社は当初から株式会社ということなので、通常の株式会社の形態にのっとって運営をされているもの。

くわけん では、公設市場は定款に、役員の退職金規定はあるのか?
桑野財務部長 規定はないと思う。

くわけん 現在社長をしている市退職者には、退職金を受け取らないよう説得することでよいか?
桑野財務部長 退職慰労金については株主総会の決定事項なのでその決議を尊重する。

くわけん ワルツ所沢の役員をしている3名の部長は株主総会でこの退職金に賛成する予定なのか?
桑野財務部長 株主総会で決議され支給されることは問題ないものと私は考えている。

くわけん では、当然株主総会に諮る前の取締役会でも当然ながら、議案が出た場合は粛々と賛成するということか?
桑野財務部長 その通り

2013年07月25日

2013.06 一般質問③ 西武線署名活動と市職員西武線利用促進について

サーベラスのTOBに伴う署名活動については、議会としても議決を上げたのであるし、また、私自身も署名活動に参加させていただいたので、基本的には評価している。
サーベラスのTOBが目標を大きく下回ったのは、署名活動の効果もあったのではないか。
署名集まったことはすばらしいが、民間企業は営利事業であるので、そう簡単ではない。


くわけん サーベラスの意味をご存じですか?
中村経営企画部長 サーベラスとはギリシャ神話に登場するケルベルスという空想上の動物を英語読みにしたもの。

くわけん サーベラスの廃線提案は本当にあったのか?
 サーベラスの社長、ダン・クエール氏は、そのような事実はないと述べている。
 具体的に、どういった書面が、サーベラスから西武鉄道に誰の名前で提案されたのか?
西武鉄道側の記者会見で、廃線の要求があったということから、今回の一連の動きは始まったと了解している。

中村経営企画部長 サーベラスからの廃線提案については、新聞等の各種メディアにおいて報道されているところであり、西武ホールディングの後藤社長もその旨発言されている。市としては、サーベラス側から、なんらかの形での提案はあったものと捉えている。

くわけん 署名の提出先を、なぜサーベラスではなく西武ホールディングスとしたのか?
中村経営企画部長 ダイアプラン4市は、株式会社西武ホールディングスがサーベラスからの提案に対して反対を表明したという報道を受け、その決定に敬意を表するとともに、強く支持する意向を表明。そのうえで、鉄道路線の維持及び埼玉西武ライオンズの存続について思いを共有し、取り組んで行きたいという意味を込め、署名活動を実施したので、提出先を西武側としたもの。
 多くの市民の思いのこもった署名の効果もあり、今回は、鉄道路線の廃止や球団の売却について具体的な動きには至らなかったが、今後、こういった動きが再発する可能性もないとはいえない。今、声を上げておかなければ、その時に反対する資格がなくなると考え、市として行動。
 鉄道やプロスポーツチームは公共性が高い事業であり、短期的な利益を判断基準にして手放すことは許されない。市としても、今後もこうした動きについては、是が非でも阻止しなければならないと考えている。西武側に署名を提出したのは、これからも、何か動きがあれば、市民と一致団結して反対運動を行っていくという決意を伝える意味もあった。


北海道での経験でも、廃線反対運動の経緯はよく承知しているが、結局のところ利用者が一定数を下回れば廃線は不可避となる。
サーベラスの提案は筋が悪いものと認識しているが、西武鉄道の抱える問題点を顕在化させたという意味はある。少なくとも、大株主として、西武鉄道については我々以上に情報を持っている。
今回サーベラスの提案は、潜在的にサーベラスが経営権を握らなくても、ことと次第によっては、実施される可能性が高いといえる。

鉄道の利用を進めるためには、市の職員が率先して西武鉄道や西武バスを利用する必要があるのではないか。
以前も指摘したように、石川県金沢市では市職員は公共交通機関を利用しての通勤が原則とされていた。大阪市でも原則マイカー通勤を禁止として、やむを得ない事情がある場合には届出という形をとっている。

くわけん 通勤に車を利用できる基準はあるのか?それとも希望すればだれでも車での通勤が可能ということなのか?
能登総務部長 最初に、公共交通機関の今回問題になっているところは恐らく赤字路線というところで、所沢市の利用の場合は、黒字になっているというようなことで、それは該当しない内容かとは思う。
職員の通勤に関しては、特に、原則的な通勤方法を示しているものはない。職員が条例、規則に基づき、届出した方法で通勤することを認めているので、自動車を使用して通勤している職員はいる。

くわけん (所沢市内の西武線は)黒字路線だから乗らなくていいということではなくて、黒字路線も赤字路線も含めて、黒字路線がより儲かれば、赤字路線も維持できるというのが普通の考え。(赤字でないから乗らなくてもいいというような)考えを改めてもらいたい。
本来的には、通勤手当は、公共交通機関利用が前提ではないのか。そうなっていないのか?特に、この本庁舎は、航空公園駅からも近い。原則、公共交通機関利用か、徒歩、自転車利用が原則で、自動車通勤は出先機関や、子育てや介護、移動に困難さを抱える方々以外は原則禁止にすべきではないのか。

能登総務部長 通勤手当については条例により、通勤のために交通機関または自動車その他の交通用具を利用することを常とする職員に対し、通勤届を認定したうえで支給。
くわけん 少なくともこれだけ西武鉄道の問題で署名が集まったと言っているが、やはり西武線を利用するということにして、本庁舎通勤者は原則、自家用車通勤原則禁止で、やむを得ない場合のみ許可とするという方法に変えるべきではないか?
能登総務部長 職員の自動車通勤に関しては、環境面の配慮から「所沢市環境マネジメント」に基づき、マイカー通勤の自粛の取組をおこなっており、その実施状況によると、本庁者での自動車等での通勤の対象職員の人数は、平成22年度は188人、平成23年度は157人、平成24年度には143人と減少してきている。
これは、環境面の配慮や、健康志向の意識の高まりなどにより、自動車通勤をしている者が年々減少傾向にあるものと考えている。職員の通勤事情は、個々様々な実情があるので、現在のところ、自動車通勤を原則禁止とすることは考えていない。

くわけん 環境意識の高まりもあるが、以前から(本庁者利用者の)職員駐車場の問題について指摘してきた。特に、福利厚生委員会の補助メニューから本庁者の駐車場利用者に対する補助は、(通勤手当の二重支給に当たるので)やめるべきと言ってきた。
この補助が、ようやく無くなったと聞いている。いつ無くなったのか?

能登総務部長 確か、2、3年前かと思う。

くわけん わたしからすれば、環境意識の高まりもあるが、福利厚生委員会の補助メニューからはずれた影響が大きいと思う。

2013年07月24日

2013.06 一般質問② 固定資産台帳の電子化について

くわけん 資産税課で管理している固定資産台帳の公図、これはマイラー図面というプラスティック板で管理しているが、どのように利用しているのか?
桑野財務部長 マイラー図面の利用状況は、土地の評価事務と実地調査の補足資料として利用している。窓口での利用方法としては、公図の閲覧、写しの交付を行っている。

くわけん 災害時用にこの公図のバックアップは作成しているのか?
桑野財務部長 バックアップは作成していない


くわけん マイラー公図のデジタル化をすべきと考えるが、デジタル化の費用はどのくらいになるのか?単純にスキャニングする場合と、データのベクター化の場合とそれぞれの費用はいくらぐらいになるのか?また、現状の場合のランニングコストは?
桑野財務部長 デジタル化の費用は約2,700万円。スキャニングしデータを作成する費用は、約98万円。ベクター化についてはスキャニングで作成したイメージデータを分筆や合筆などの修正ができるデータに加工する費用であるが、約1,500万円あわせて約1,598万円。次に現行のマイラー公図のランニングコストは年間約90万円。


くわけん 毎年撮影している航空写真とマイラー公図との連携を図るべきではないのか?
桑野財務部長 マイラー公図と航空写真を重ねた場合、ズレが生じるので、航空写真にあわせて修正することはできない。

くわけん 今後のマイラー公図の運用についてどのように考えるのか?
桑野財務部長 マイラー公図については現在通常の業務や市民サービスにおいて特に支障なく利用されているので、現状の運用を継続していきたい。

2013年07月08日

2013.06 一般質問① 学校メール配信システムについて

学校メール配信システムについて 当初の懸念どおり機能していないのでは?

くわけん 鳴り物入りでわざわざ追加議案で導入した学校メール配信システム。現状はどのようになっているのか?

川音学校教育部長 現状では、平成18年度よりそれ以前にあった、女子児童が連れ去られ殺害された事件をきっかけに、児童生徒の安全安心を確保するために行って来たメール配信システムの運用については、昨年度をもって終了。

くわけん では、現在各学校のメール配信システムはどうなっているのか?
川音学校教育部長 各学校でそれぞれの実態に応じた民間のシステムを導入。内容は、不審者情報や学校公開などの連絡、学校行事の案内、保護者間の連絡など。配信の仕方も学校1校のみの場合、中学校区内の学校に一斉配信など様々。

くわけん これまでの、このシステム導入維持に関わるトータルコストはそれぞれいくらになるのか?
川音学校教育部長 システム導入については、平成18年当時の学校、幼稚園の数48校2園の新規導入経費として、6,184,500円、維持費用として7年間で2,186,849円、経費合計は8,371,349円

くわけん これだけの費用をかけながら結局ムダ遣いとなってしまった点について、どのように評価しているのか?
川音学校教育部長 システム導入時は、学校の通学路安全確保が大きな課題。情報を正確かつ迅速に保護者や地域に発信し、不審者等の情報共有が、有効な手段としてメール配信システム事業を進めてきた。他市に先がけてて取り組んだメール配信システム事業は地域防犯に役立ち、効果はあったことと考えている。
 しかし、指摘のように、一時期配信が滞ったり、教育センターサーバーとの関係の調整が整わず、必要な時期に配信ができなかったこともあり、反省材料もあったと思っている。

2013年07月03日

日経グローカル寄稿「討議の人数」

日経グローカル2013年6月17日号への寄稿記事です。今回も、実際の投稿記事とは若干違っています。

 議会における討議を充実させることが、これまで以上に求められている。これまでも討議を充実させる目的で、多くの議会が委員会中心主義を選択し、委員会に議案付託してきた。議員定数が多い議会では、本会議だけでは議論がなかなか深まらないからだ。常任委員会の定数は、全体の定数と常任委員会数で決定されてきた。しかし、法定上限の撤廃で、委員会において、活発な討議がなされることが期待される最適な人数を改めて検討する議会が増えて来ている。委員会定数の検討を通じて討議の最適人数について確認する。

1委員会6名だと、議論が盛り上がらない?

 先日、議会改革の勉強会で、合併後の議員定数削減により、1委員会あたりの定数が6名になったある市の市議会議員から発言があった。その議員によれば、「1委員会6名では、結論が最初から見えてしまって、積極的な議論が成立しない」、「少なくとも7名以上の議員が各委員会に存在するべき。そのためにも、報酬を多少減らしてでも、議員定数を引き上げるべき」とのことだった。6名定数の委員会構成では、委員長が表決に加わらないので、実質5名での審査となり、討議が盛り上がらず、審査ではなく追認になってしまう可能性は高くなるようだ。 
 理論的には、地方自治法が改正されて、常任委員会の複数所属が可能になったので、議員定数はそのままで、常任委員会の定数を確保するという方法は考えられる。しかし、そうなると、複数所属した議員の守備範囲が広がり、自ずと政策への目配りは浅くなる可能性が高い。
 常任委員会あたりの定数は最低3名確保される必要がある。2名以下であれば、1名が委員長、1名が委員となり、議論が成立しない。委員の見解=委員会の見解となり、委員会を構成する意味がなくなる。3名の場合は、争点がはっきり分かれる議案であれば、賛否がはっきりするので、委員会内での議論が成立する。しかし、賛否が分かれた場合、常に委員長の判断となり、合議体の体を成さなくなる。4名の場合、委員長を除き、3名の表決となり、見解が分かれた場合、委員長の表決なしで可決が可能になる。したがって活発な討議を前提とする本来の意味での合議制の委員会制度を目指すならば、1委員会4名が最低限と導き出せる。

考慮すべき議員の4つの属性

 では、なぜ定数4名に収斂していかないかといえば、多様な意見が反映されないことにあるようだ。まず、問題となるのは、地域の声を反映させるという機能である。基礎自治体の議員選挙は、一部の政令市などを除き、大選挙区制である。だが、実際には、議員ごと地盤としている地域が存在する。所沢市は11行政区がある。もし4名だと、特定の地区を対象とした議案の場合、関係当事者がまったく存在せずに議論されることが頻繁となる。ましてや、平成の大合併により、自治体の面積は拡大した自治体では、全く地域事情が把握できずに審議が進む可能性もでてくる。議員の年齢な男女比の問題も指摘できよう。やはり男性が圧倒的多数の議会が多い。そうした現状をみれば、4名の場合、全く女性が所属しない委員会が存在することになる。また、年齢についても、子育て現役世代か年金世代かによって、視点も変わってくる。教育問題を年金世代だけで議論していては、時代に即した議論が行えない。議員歴の問題も指摘できる。一定程度の年季を積んだ議員は、議案についての知識も豊富な場合がある。逆に、期の浅い議員は、より市民感覚に近い議論ができる。いずれの常任委員会も、そうした地域性、専門性、議員歴など議員の属性のバランスがとれていることが、討議が活発になるためには必要な条件である。
 所沢市議会でも、本年度、議員定数のあり方に関する審議会を設置し、学識経験者2名、地域代表2名、公募による自薦市民1名により3回の審議を行っていただいた。「1委員会の定数は9名が望ましく、もし、財政状況などを配慮するとしても、最低8名は確保すべき」という答申をいただいた。審議会では、議員アンケートや常任委員長、副委員長に対するヒアリングを実施したが、「欠員が生じた委員会は、議論の多様性や活発さに多少の差が生じる」との声もあった。

人数が多いほど良いわけでもない

 国会議員選挙における民意はある程度適切に反映されているという条件のもとに考えるなら、国会の会派数は概ね、日本国の平均的な政策分布を反映していると言えよう。平成25年2月現在で、衆議院には、会派が無所属を含め、9つ、参議院は11ある。どの議会でも、一定の人口規模以上の議会であれば、最低5以上の会派が存在するのではないだろうか。随分乱暴な議論となるが、委員会内部で、少数意見を包摂しようとするなら、最低9名から11名は必要となる。実際は、これらの政策分布に、さらに、先ほど検討した地域性などの条件加味すると、1委員会10名以上を想定せざるを得なくなる。こうなると、逆に、委員会での議論が収束から拡散へと向かう可能性も出てくる。所沢市議会で、昨年度政策討論会を始めて実施した。初回は、要綱に定めた通り、12名で実施したところ、時間の制約もあったことから、一通りの意見を述べただけで、討議が盛り上がらず、拡散してしまった。そこで、今年度は、9名に絞って討議を行った。一定の方向に議論が収斂するところまでは行ったとは言えないが、昨年度ほどの討議の拡散は防ぐことができた。また、ワールドカフェという、少人数での自由な討議空間を創出しようとしているしくみによれば、討議できる人数を6名以下としているという。7名以上だと、他者の評価が気になって自由に意見を述べることができないからとのことである。地方議員の場合は、他者評価に対してそれほど過敏に反応するとも思えないが、いずれにせよ、自由な討議を保障するためにも、無制限に常任委員会の定数を増やしていくというわけにはいかない。特別委員会の定数は、常任委員会よりも定数が多い例が多いように思う。特別委員会が、例えば、議会基本条例の制定や、自治基本条例の審議など、目的が強く設定されていれば、人数が多くても、これまでの経験上、議論は収束するが、あいまいな目的を持つ勉強会的な特別委員会は、どうしても、一定の議論に収束していかない傾向がある。

常任委員会における適正人数は7名以上

 以上、より活発な討議が保障される人数について、様々な可能性を検討してきたが、あくまでも経験則の域を出ないが、定数は最低7名以上、自治体の規模が大きくなれば8名以上というのが、現下の政治財政情勢から行っても妥当な人数といえるのではないだろうか。また、上限については、定数が増えれば増えるほど、特定の参加者のみの発言に集中することが懸念される。なるべく、参加する全員が発言できる環境を保障するのなら、やはり12名程度を上限とするのが、やはりこれもこれまでの議会の経験則からいえるのではないだろうか。いずれにせよ、議員定数の法定上限が撤廃された以上、それぞれの議会で適正な定数の議論を行う義務があることを改めて認識していただきたい。