2014.03定例会 一般質問 ① お泊まりデイサービスの現状は?
お泊まりデイサービスというデイサービスで夜間のお泊まりを提供するサービスについて問題提起がなされる記事を見かけるようになった。
理想論でいえば、ショートステイの充実や施設介護の充実が本筋であるが、実際にニーズがあるから、全国的に見ても拡がってきていることと思う。
くわけん お泊まりデイサービスの定義は
本橋福祉部長 いわゆる「お泊まりデイ」については、介護保険によるサービスではないことから、特に介護保険法上での定義はない。
ただ、いくつかの都府県で基準等を設けており、例えば東京都の基準では「お泊まりデイ」を「宿泊サービス」と称して、介護保険法に規定する通所介護の指定を受けた事業所の営業時間外に、その施設の一部を利用して、当該指定通所介護事業所等の利用者に対し、必要な介護及び宿泊を伴うサービスを提供することをいう、と定義している。
くわけん お泊まりデイサービスは介護保険サービスとしてはどのような位置づけがなされているか
本橋福祉部長 「お泊まりデイ」については、介護保険適用外のサービスであることから、介護保険サービスとしての位置づけはなされていない。しかし、ケアマネジャーが利用者のサービス計画を作成する際には、介護保険外のサービスについても計画上に反映させる必要があることからケアマネジャーは担当する利用者の「お泊まりデイ」の利用状況について把握している。
くわけん 所沢市としてはまずは実態把握をすべきと考えるがいかがか。
本橋福祉部長 所沢市では本年1月、市内の通所介護事業所に対し、お泊まりデイのサービス提供実態について、電話等により聞き取り調査を行ったとこと。
くわけん なるほど、既に実態を把握していることには敬意を表したい。
では具体的に、調査結果についてお聞きしたい。所沢では、全体で何カ所のデイサービスがあり、そのうちいくつの事業所が実施しているのか?
本橋福祉部長 通所介護事業所が92事業所、認知症対応型通所介護事業所が5事業所、併せて97事業所。そのうちお泊まりデイサービスを提供している事業所は全部で17事業所。
くわけん 料金やサービス内容はどうなっているか?
本橋福祉部長 各事業所がそれぞれ独自に設定している。1月の確認結果では、宿泊代は1泊800円から5,000円まで、食事代は朝食代と夕食代を併せて600円から1,155円までの設定となっている。
くわけん お泊まりデイの利用実態はどうなっているか。
本橋福祉部長 市内事業者の1日当たり受入可能人数は総数が101名。昨年12月の利用実績を確認したところ、実人数で80名、延べにして1,693名の方が利用している。
くわけん これだけの利用があるということは、実際にやむにやまれぬニーズがあるという事だと思うが、その点についてどのように分析しているか?
本橋福祉部長 事業所に確認したところ、ショートステイを利用したがなじめず、通いなれたデイサービスで過ごしたい。また、家族と反りが合わない、家族の入院により自宅で十分な介護が受けられないなど、利用する理由は様々。また、厚生労働省が平成23年度に実施したデイサービス利用者宿泊ニーズ等に関する調査結果によると、お泊まりデイの利用者の6割強は家族と同居しており、家族の都合で利用している、またショートステイよりも日頃慣れ親しんだデイサービスでの宿泊を積極的に活用したいと考えている家族やケアマネジャーが多いという結果がでている。
こうしたことから、家族間の問題や経済的状況などにより、自宅での生活や介護が困難な高齢者が、ショートステイより手軽で、また特別養護老人ホームのように入所待ちすることもなく、加えてデイサービスの延長のため生活環境も変わらないお泊まりデイを受け皿として頼りにし、利用に至っているものと分析。
くわけん お泊まりデイサービスで懸念される事項はなにか
本橋福祉部長 保険適用外のサービスであることから、法令等による規定・基準等がないのが現状。夜間の職員体制の確保、宿泊室の1人当たり面積の確保、プライバシーの保持、緊急時連絡体制、スプリンクラー等の防火設備の設置などが懸念されるところ。
くわけん 今後も継続的に実態把握を進めていっていただきたいが、第6次介護保険計画策定に向けて、お泊まりデイサービスについてどのように扱っていくつもりか。
本橋福祉部長 お泊まりデイは介護保険適用外のサービスであることから、保険者である市として、指導や規制を行う事や独自サービスとして指定は難しい。しかし、現状では少なからず利用があり、また、今後も同様の事業所が増加するものと予測されることから、利用者の安全・安心の確保の観点からも、第6期計画期間に一定の措置を講ずる必要があるものと考えている。埼玉県においてもお泊まりデイに関する指針の策定を進めているほか、国においても、第6期計画に向けた介護保険制度改正の議論の中で、お泊まりデイの取り扱いについて何らかの方向性を示すようである。こうしたことから、本市としても国や県の動向を注視し、引き続き実態把握と事業者との情報交換等に努めていきたい。