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2016年03月18日

2016feb 米国視察⑤

2月10日 PM

California, Sacramento市 Council 訪問

 続いて、Californiaの州都である、Sacramento市を訪問した。
 まず、最初にサクラメント(Sacramento)市議会の議場を見学した。Sacramenrto市の視察中は、Ms. Dawn Bullwinkel, (CMC Assistant City Clerk/Special Projects Office of the City Clerk)にご案内いただいた。Sacramento市では、City Clerk部門が、所沢市議会でいえば、議会事務局機能を有している。City Clerk部門は、市議会事務局機能に加えて、所沢市で言えば、総務部文書行政課と、市民部市民課、さらには、秘書室の機能を兼ねている部門といえよう。
 議場は、よく見られる米国地方議会の形式であり、日本で言えば、理事者と議長が座る正面に、議員と市長が半円形になって座り、日本で言えば議員席に、傍聴者が着席する形式になっている。これは、後ほど述べるコロラド州Golden市議会も同様の形式になっている。正面の議員席に、市長が着座する場合と、市長は着座しない場合がある。例えば、以前訪れた、ミネソタ州ミネアポリス市は、市長は、参考人として聴取の対象になるが、着座しない。

 議場の反対正面には、日本で言えば全員協議会室のような、執行部側の着席スペースがある。ただ、この部屋は議場とつながる壁面がガラス張りになっており、直接議場内の様子が見渡せるようになっている。

 議場正面には、2面のスクリーンが用意されている。議場正面裏に回ると、放送通信設備があり、小規模な番組編集も可能な設備がそろっていた。しかし、ちょうど私が訪問した時点で、すでに役目を終えており、今後は、インターネット放送に置き換わっていくとのことであった。これらのインターネット中継は、Granicus社のシステムを利用している。現在、このGranicus社のシステムは、米国の地方自治体での採用が拡がっているようであり、後ほど訪問した、ゴールデン市でも、このGranicus社のシステムを採用していることがわかった。サクラメント市は、Granicus社の初期採用有力ユーザーの一つであるそうだ。このGranicus社のシステムは、現在、日本の地方議会で求める議会情報化の求める機能を殆どすべてプログラムとして提供しており、日本では、例えばインターネット中継機能は、所沢市議会の場合は会議録研究所が提供しており、さらに会議資料等が格納されているファイルサーバーは、別の会社が提供するなどとなっている。これらの機能が、全て統合運用されている点は、大変便利である。サクラメント市議会では利用していないようだが、投票機能もパッケージの中に用意されているとのことである。
http://www.granicus.com/

 議場を一通り見学した後、所沢市でいえば、部長職以上が集まり開催される、政策会議のような会議にオブザーバー参加する。所沢市は、毎週開催であるが、サクラメント市では2週間に1回開催される。サクラメント市の会議を仕切っているのは、city clerk部門の長である。
 会議の参加者は、シティマネージャーや各部門の長、警察や消防の長も参加していた。
 これにオブザーバーとして、各議員の秘書的な役割を担う方や、議会に所属する「独立予算顧問」(independent budget adviser)も参加していた。サクラメント市が取り組むべき課題について、一つ一つ、その対応や議会への上程予定などが話し合われていた。

 サクラメント市は、強市長制(strong mayor)か弱市長制(weak mayor)か尋ねたとこと、強市長制から弱市長制に移行したとのことであった。その象徴が、「独立予算顧問」が配置されたことのようである。その後この制度についてくわしく聞くことができなかったので、詳細はつかみかねるが、多分、予算編成権のなんらかの機能が議会に付与されたものと思われる。

 サクラメント市の場合、議会の情報化は、city clerk 部門が率先して取り組んだことにより充実したそうである。ただ、まだまだ改革は途上であり、実際、今回の会議でも、紙資料持参で会議に臨んでいるメンバーもおり、また議会においても、まだ、紙資料にこだわる議員もいるとのことである。

 先ほども触れたGranicus社のシステムを利用して、議会の市民に対する透明性確保が図られており、例えば、議会の生中継をみながら、関係資料が、同じ画面で閲覧することが出来るようになっている。

2016feb 米国視察④

Information Technology for public sector and council④

2日目 2月10日 AM

Central County Fire Departmentを訪問。
http://www.ccfdonline.org/
Central countyは、サンフランシスコ市の南部の、3市町(Town of Hillsborough ,City of Burlingame, City of Millbrae)を含む郡である。
この3市町が、消防を組織している。日本でいえば広域消防組合である。
 やはり、日本の広域消防同様、運営の意思決定機関として、boardが組織され、board member はそれぞれの市町の市町議会議員から選出されて構成されるとのことであった。
 日本との違いは、救急機能は保有していないことであり、救急は、地元の病院に委託しているとのことであった。
 今回は、署長のMr. John Kammeyer氏と、Mr. Jake Pelk氏にインタビューを行った。
 署長の個人的な見解としては、やはり救急機能を保有している方が、よいのではないかとのことであった。
 さて、この消防署を視察先として選択いただいたのは、火災現場に出向く消防車にiPadを搭載している点である。
 具体的には、以下のビデオを参照していただくとわかりやすい。
 https://www.youtube.com/watch?v=buvTMs8dbks

 それまでは、消防指令システムの端末は、3000ドルのPanasonicのToughbookを利用していたそうだが、重くて、しかも高く、現在では全く使っておらず、棚に積み上げられていた。iPadであれば、500ドル程度で購入可能である。
 そもそも、当初からiPadの導入が正式に決定したものではなく、たまたま、ある山火事が起こった際に、教育用に利用していたiPadを、緊急に現場で転用利用したことから利用が始まったということである。
 緊急時には、他地区の消防隊も応援に駆けつけてくる。その際に、Toughbookを
端末としている既存の消防システムでは、現場の状況が全く把握できなかったという。
 この経験を活かし、近隣の消防隊の職員と共同で、Tablet Commander(TC)というiPadアプリを開発した。
 TCでは、従来の指令システムは、line入出力系のプログラムがそのまま、利用されており、iPadでコマンド入力するシンプルな形式である。この指令システムについては、よりヴィジュアル化した形のプログラムに改良予定とのことであった。
 また、要因の現場派遣などは、アイコンの操作で行えるようになっている。
 TCの、情報支援系の機能ではGoodReaderアプリと連携が図られており、特に、Central Countyが作成したESRIのGIS情報がTCからGoodReader経由で入手することができる。
 消防本部では、Apple TVを利用して、TCの画面やGoodReaderの画面を大画面表示していた、

 また、本来的な研修利用でも積極的にiPadは活用されており、インターネット上に独自チャンネルを持っている。
https://vimeo.com/107875888
 これは、署内の消防士の研修にも用いられるが、日本でいえば、消防団員に相当する、ボランティアの教育にも利用されているという。

 TCアプリについては、近隣の消防隊でも利用が進んでいるそうであり、TCの開発者である消防署員がアプリ販売により、収益を得ているそうである。TCアプリは、洗練されてはいないが、やはり現場の方々が使いやすいように工夫がされているため、評価は高いようである。


 

2016feb 米国視察③

1日目 2月9日
Apple本社を訪問し、Apple社の基本的な理念、及び今回の調査目的に関連した事例について報告をいただくと共に、担当の方々と意見交換を行った。詳細については秘密保持契約を取り交わしたために、ここでの公開はできない。
ただ、Apple社創業者のスティーブジョブズ氏と、松下政経塾創設者であり、松下電器産業創業者の松下幸之助の思想に、その類似性を発見することができた。一言で言えば、「世界を変える」という強い意志と、「事業とは、お金儲けのためだけではなく、社会を変えるためである」ということである。
 Appleの本社は、campusと称するだけあって、会社というより、大学のキャンパスのようであり、社員食堂も学食のようであった。社員食堂では、牛乳アレルギーの方への配慮として、羊乳ヨーグルトが用意されていた点に、社員の方々の多様性重視の方針を垣間見ることができた。

 その後、The Tech Museum of Innovationを訪問。このTech Museumも、今回の訪問目的とは多少ずれるが、科学に興味を持ち、理解するためのシカケが充実しており、日本の科学館なども参考にすべき点が多いように思われた。
 例えば、鍵穴の仕組みの説明では、大きな鍵穴と、なんと、鍵を使わずに、鍵を開ける道具である、ピッキングの道具があり、このピッキングの作業を通じて、鍵の仕組みがわかるようになっている。

2016年03月02日

2016feb 米国視察②

2月8日

 サンフランシスコ国際空港に到着し、シリコンバレー Sunnyvail市にあるホテルに向かうために、Uberというアプリを利用。Uberとは、簡単に言えば白タク派遣利用システムであり、日本では商用タクシーにしか利用できないが、現地では、タクシー商用免許を持たないドライバーを利用できるアプリとして、大変人気のあるアプリである。
 今回の久しぶりの米国訪問(以前には、所沢市の姉妹都市である、Decatur市とMineapolis市を訪問)で、印象深かった事象にいくつか遭遇したが、その一つがUbarである。
 空港内を出て、スマホのUberアプリを起動。まず、自分の位置を地図上でクリック。すると、近隣に派遣可能な車両と車両ナンバー、運転手の氏名、顔写真がアプリ上にリアルタイム表示される。

 その中から、最も近い車両、もしくは多少遠くてもお気に入りの車両を指定。さらに、目的地も入力。目的地は例えば、いちいち住所を全文入力せずとも、ホテル名や所在市などを入力するなどすると、候補表示がなされ、その中から選択できる。この時点で、おおよその料金と時間も表示される。

 また、乗り合いの場合、車両選択をした利用者が、割り勘相手をiphone内部にある住所録から指定。相手のUberのアプリでは、割り勘の同意を求めるメッセージが表示され、同意されると、割り勘が自動的になされる。ちなみに料金支払いは、あらかじめ登録したクレジットカードから引き落とされる仕組みとなっている。

 目的地到着後は、利用した運転手を5段階で評価することになっている。
 特に、カリフォルニア州内の移動は全てUberを利用して移動した。空車が近隣にいなくて困ったということは一切なかった。

2016年03月01日

2016feb 米国視察①

Information Technology for public sector and council.
米国視察

 今回、所沢市議会のIT推進計画策定に資するために、米国を訪問して、その実態を調査した。特に、所沢市議会として本格導入を検討しているiPadなどの議会活動への活用事例に焦点を絞って視察を行った。
 そのため、前半はAppleのご関係者に、シリコンバレー周辺の具体的事例についての紹介をいただき訪問した。

 後半は、私の友人が市議会議員をしている米国のコロラド州ゴールデン市を訪問。実際の市議会のミーティングを見学するとともに、友人である、ジョー・ベウム(Mr. joe Behm)氏やゴールデン市市長、シティマネージャーからヒアリングを実施した。