2008年10月24日

08年10月 会津若松市議会視察(議会基本条例制定特別委員会)

 議会基本条例制定に関する特別委員会の視察で、平成20年10月21日(火) 会津若松市議会を訪問しました。
 議会では、まず田澤豊彦議長からごあいさついただき、その後、詳細な説明を事務局次長の小端国彦氏におこなってもらいました。

 小端氏によれば、会津若松市議会基本条例には最高規範という項目がないことを見てもわかるように、「いまやっていること、これからできそうなこと」を中心に条例化を進めたとのことでした。
 そうはいっても、付属機関の設置についての条項は、三重県議会条例に続き2番目ということですから、大変意欲的な条例であることは間違いありません。
 付属機関を設置できる根拠として、議会基本条例と同時施行となった、会津若松市議会議員政治倫理条例の条文中にある政治倫理審査会の委員の委嘱状を、もし、付属機関条項がなければ、市長名で発行することになるので、それを防ぐためにも必要とのことでした。

 それ以外の点を除けば、他市町村議会の議会基本条例をより手堅くまとめた条例となっていますが、会津若松市議会の素晴らしい点は、条例制定で満足することなく、積極的に、条例に規定された市民との意見交換会を開催していることです。もうすでに、9月に1回開催しており、しかも、市内15地区で、市議会議員の地元ではなく、地元ではない地域を分担して説明会を行ったとのことです。
 意見交換会の進め方についても、詳細な計画を立てて実行している点が大変参考になりました。

 また、市議会広報誌を拝見して、各議員それぞれの議案に対する賛否が記録されている点が目を引きました。これも、やはり、議会基本条例の趣旨に鑑みれば当然やるべきなので形式を全議員の賛否を掲載することとしたとのことでした。

 やはり、条例案だけ眺めて、どれがいい、どれが悪いという議論ではなく、実際にその条例をどう生かしているかについては、現地でお話をお聞きしないと、その熱意はなかなか伝わらないものだと実感した次第です。
 

 もともと会津若松市がなぜ、このように議会基本条例や政治倫理条例を制定することになったかといえば、現議長の田澤議長が昨年4月の統一地方選挙後初の議長選挙で、議会改革について公約して当選したことからはじまったそうです。

 議会制度検討委員会が組織され、その委員会に対して、議長は諮問書を諮問するという形で議会制度についての議論が進んできたようです。

 今回の視察は、議会基本条例に限らず議会制度改革全般にわたって大変参考になった視察でした。
 ご協力いただきました会津若松市議会の関係者の皆様に改めて感謝申し上げます。
 
 

2008年05月29日

開発審査会・裏サイト・道州制

 5月28日(水)は朝から晩まで都市計画、教育、地方分権と全く分野の違う3つの会議に傍聴及び参加しました。午前10時から、所沢市開発審査会。開発審査会は馴染みのない方も多いかと思いますが、都市計画法第78条第8項に基づく審査会です。市にあまたある審査会や協議会のなかでも、最も行政権力の行使力の高い審査会の一つです。
 今回は、開発審査会一括議決基準に基づく許可の報告と、都市計画法第43条第1項に基づく建築物の建築に関る不許可処分の取り消しを求める審査請求が審議されていました。取消しを求める審査請求については個人情報を含むため傍聴できませんでした。

 午後3時からは、「学校裏サイトとネットトラブル」というテーマで行われた所沢市教育センター主催の研修会に参加しました。講師は、青少年メディア研究協会ねちずん村 インストラクター の下田太一さん。下田さんによれば、「親は、自分が携帯電話を電話としてしか使わないから、それほど携帯の危険性を感じていないが、子どもは、電話の機能は、親との連絡しか使わず、むしろ、メールやインターネット機能をメインに利用する。インターネット機能の部分に、子どもにとって危険なサイトが存在する。子ども向けの雑誌には、どうやって親を説得して携帯を買わせるかという特集記事もある」とのことでした。
 まずは、親がそうした携帯電話からアクセスできるネットの存在を知ることが重要であることがよくわかりました。
 午後6時からは、松下政経塾東京事務所で行われた、道州制の勉強会に参加しました。講師は、土居丈朗 慶応義塾大学経済学部准教授。テーマは「今後の地方財政・税制のあり方」というテーマで90分間。その後質疑応答。この問題についてはまた稿を改めて。

 

2008年05月25日

講演会「なぜ今、まちづくり基本条例が必要なのか?!」を聴講しました

 08年5月25日(日)午後1時から、新所沢公民館大講堂で、地方自治総合研究所所長の辻山幸宣(たかのぶ)先生をお招きして表題の講演会が開催されました。参加者は、最も多い時で32名でした。参加者のうち、少なく見積もっても3分の1は見知った方々でした。

 のっけから辻山先生が、「まちづくり基本条例が必要なのか、と聞かれたら必ずしも必要とはいえない」と挑発的なご発言で講演が始まりました。
 
 また、「150ほどあるまちづくり条例や自治基本条例を制定した自治体のほとんどが有効活用できず、例規集に掲載されてそれで終わりになっている」
 とのことでした。

 お聞きしたところ、辻山先生は北海道出身ということで、その正直な物言いは北海道出身者ならではだなと、北海道出身の私としても変に感じ入ってしまいました。

 もっとも、話の重点としては、それでもなお「本当の自治を目指すなら」「まちづくり基本条例を作ることは必要なんですよ」というところが先生の最も言いたかったことだったようです。

 先生ご自身も、現在のまちづくり基本条例、自治基本条例(以下 基本条例と略称)の有り様についてはご不満なんだろうなということが、言葉の端々から伝わってきました。

 くわけんとして、最も印象に残ったのは、ある参加者の、「実際にまちづくり基本条例がどのように機能・作用するのか見えてこない」という問いに対して、先生が、「協働とよく役所は言うが役所のいう共同は、自分達が協働したいところだけ取り出して、その部分についてだけ、協働しようと呼びかける。本来の協働とはそういうことではなく、ずべての行政の営みを公共の観点でその役割分担を見直すことだ」と回答された点です。
 私も、この点はおおいに賛成です。

 以前、我孫子市の前市長の福嶋さんに、松下政経塾の勉強会でお話を伺った時にも同じようなことをおっしゃっており実際に制度化しました。「提案型公共サービス民営化制度」という制度で、役所のほぼすべて、1070の事業について、NPOや民間でできる可能性のある、あるいは、役所以外で事業をやったほうが良い事業について提案を受けたというお話です。福嶋前市長が理想的な事例として取り上げていたのが、しあわせママパパ教室という事業で、これまで、市の保健師が取り組んできたお産前の妊婦に対する指導を、柏・野田地区助産師会が全面的に行うという提案です。それまでは、我孫子市の保健師さんが行っていた事業だそうです。保健師さんは妊産婦に限らず幅広い世代を対象に保健業務を行っていますが、助産師さんは、出産に特化して業務を行っているので、市が提供するよりも的確なサービス提供ができるようです。

 話が我孫子市の例にそれてしまいましたが、くわけんはまちづくり基本条例の制定は大変重要だと思っています。まず、その制定プロセスが、やはり所沢市の自治力向上に必ず役立つこと。どのような内容を含むかにもよりますが、実際に条例化されれば、少なくとも私は、この条例をタテにとって、条例の理念にそぐわない行政のふるまいには断固として異議申し立てを行います。(たとえばわかりやすく説明する義務など)
 
 辻山先生は、ある自治体のまちづくり条例制定委員会に委員長として加わっていた際に、ある委員がまちづくり条例の趣旨にそぐわない、あまりにも自分勝手な自説を展開したため、強く注意したところ(若干の物理力行使も伴われたそうですが)、委員長の職を解かれてしまった経験があるそうです。その自説を強く主張した委員も辞職されたそうです。

 その後、他の委員から、「本来であれば、委員長である先生が注意するのではなく、われわれ委員がたしなめるべきであった」との反省の弁が聞かれたとのこと。
 このエピソードが示すように、もし、まちづくり基本条例を制定する委員会が創設された際には、やはり、会議の趣旨やルールというのをあらかじめ確認してから議論を進める必要があるでしょう。

 また、なぜ、他の自治体がまちづくり基本条例が店ざらしになってしまっているかといえば、条例を制定した議会や市民の方々の基本条例の活用方法がいまひとつわからというのが原因の一つなのではないでしょうか。
 てっとり早く言えば、基本条例をタテに、どなたかが基本条例違反だと言って、行政訴訟を起こされると、基本条例の司法判断も含めて、その有効性が検証されると思っております。

 もし、そうした裁判がなされるならば、自治基本条例の「最高法規性」をめぐる判断が大きな論点となってくるのでしょう。

 議会の申し合わせとして、議会基本条例制定のための特別委員会を開設する方向で検討が進んでいます。議会としては、まちづくり基本条例と並行して、議会基本条例の制定も進めていかなくてはいけません。

 
 

2008年05月21日

行財政改革シンポジウムに参加しました

 2008年5月21日(水)、日経BPガバメントテクノロジーが主催する、行財政改革シンポジウムに参加しました。
 プログラム

 すでにご存じの方もいらっしゃるかとは思いますが、いま、地方公共団体の会計システムを、民間部門の会計方式(複式簿記 発生主義)を本格的に取り入れた会計システムへと変更する、いわゆる公会計改革が進んでいます。

 くわけんも、すでに、2007年9月議会で、
 公会計制度改革と、所沢市の対応について質問いたしました。
 人口3万人以上の市は、平成20年度決算まで(つまり平成21年)には、新しい公会計制度で決算をおこなわなけれいけないとされています。

 所沢市では、平成14年度から、総務省方式によるバランスシートと行政コスト計算書を算出し、公表しています。
 所沢市の財務諸表

 既存のバランスシートも大枠の財政状況はわかるのですが、たとえば資産評価などは、そうとう大雑把な推計を行っています。
 どういうことかというと、日々の会計処理は単式簿記、現金主義で行っています。その結果出てきた、決算統計を、読み替えて財務諸表を作成しているのです。決算統計もデータ量は充実していますが、読み替え方法は全国共通ですから、どうしても実態とのかい離が発生してしまいます。
 当然ながら、元データにもどれないという欠点もあります。
 
 国が示している会計方式には、総務省基準モデル(2章方式)と改定モデル
(3章方式)があるのですが、改定モデルでは、現行の総務省モデル、つまり、現在の所沢市の財務諸表を作成するモデルに比べれば、精密度は増していますが、複式簿記・発生主義で会計処理する基準モデルに比べればやはりデータの正確さが劣ります。本来であれば、複式簿記・発生主義で会計処理を行う基準モデルで処理すべきなのですが、規模の小さい自治体では、作成に手間がかかるということで、改訂モデルも残存してしまったという事情があるようです。
(正確にいえば、基準モデルでも、日々仕訳入力をしないやり方もある)

 ただ、今後は、最終的に基準モデルを目指すように法整備もされるという情報もあり、くわけんとしては、所沢市は、二度手間を防ぐためにも、基準モデルを平成19年度から取り入れるべきと、主張しています。 
 しかし、昨年度導入した所沢市の財務会計システムを納入したベンダーは、公会計に関心が薄いようで、公会計パッケージも持っていないようです。
 ですから、公会計のシンポジウムでは、所沢市の財務会計を納入したベンダーさんは、全く姿をみることができません。
 本来であれば、発注者の所沢市も、要求仕様の中に、公会計対応パッケージを持っているかを入れればよかったのでしょうけど、残念ながら、考慮にいれなかったようです。議会も、私を含めて、これほど公会計の改訂が早く進むと思わなかったので、あまり、執行部を批判できないのですが。

 また、平成19年度決算(平成20年・秋に公表)では、夕張市の財政破綻をきっかけとして生まれた、自治体財政健全化法に基づき、これまでより詳細な指標を公表しなくてはなりません。
 総務省地方公共団体財政健全化法関係資料
 この公会計改革と自治体財政健全化法に伴う新指標の公表が実施されると、自治体財政の情報開示が格段に進みます。

 ただ、提供される情報は増えるものの、その情報を読み解き問題点を指摘するためには、これらの新しい制度について習熟する必要があります。
 くわけんも、ここ1年以上、公会計や健全化法について、セミナーやシンポジウム、勉強会に参加し続けています。国も制度の詳細を詰めていなかったのですが、ここにきて、ようやく細かい部分も確定してきました。

 所沢市は、夕張市とは違い、堅実な財政運営を行ってきたので、それほど大きな問題点はないとは思われますが、少し心配しているのが、土地開発公社の時価と簿価とのかい離です。おそらく、この秋には、土地開発公社の所有する地価を低価法で評価して公表しなくてはなりませんから、その点があきらかになってくるでしょう。

 

2008年05月18日

シンポジウム 「地方議員はプロか?ボランティアか?」

08年5月17日(土)開かれた議会をめざす会公開シンポジウムに参加してきました。テーマは、「地方議員はプロか?ボランティアか?」という刺激的なテーマでした。
○第1部 講演 13:30~14:15
   ≪議員報酬と地方議員・地方議会のあり方≫
   小林 弘和氏(専修大学法学部教授、開かれた議会をめざす会顧問)
○第2部 パネルディスカッション 14:30~16:30
  ≪地方議員はプロか?ボランティアか?≫
  矢祭町・日当制を通して考える!「地方議員・議会のあり方」
・パネリスト (敬称略)
 大沢 ゆたか(東京都・立川市議)
      ・・TBSテレビに出演し「日当制反対」の論戦を展開。
 菊池 清文 (福島県・矢祭町議)
      ・・全国初の「議員報酬日当制」の条例提案者。
 福嶋 浩彦 (前・我孫子市長)
      ・・・地方自治の改革派。市長経験者の立場で参加。
 吉川 ひろし(千葉県議・当会代表)
      ・・広域的な県議として欧米の議会も踏まえ論戦に参加。
・コーディネーター
 小林 弘和 (専修大学法学部・教授)

 皆さんもご承知のように、合併しない宣言で有名になった、福島県矢祭町議会では、「議員報酬日当制」を提案して可決されました。今回は、日当制を直接提案した、菊池清文町議会議員もパネリストとして参加していました。
 議員報酬の問題は、ここで簡単に論評できませんが、いずれにしろ、改めて確認できたのは、地方議員の制度と実態が乖離していることです。

 ここで、議員報酬に関する地方自治法をもう一度確認します。
 
 地方自治法 第二百三条  
 普通地方公共団体は、その議会の議員、委員会の委員、非常勤の監査委員その他の委員、自治紛争処理委員、審査会、審議会及び調査会等の委員その他の構成員、専門委員、投票管理者、開票管理者、選挙長、投票立会人、開票立会人及び選挙立会人その他普通地方公共団体の非常勤の職員(短時間勤務職員を除く。)に対し、報酬を支給しなければならない。

 「市議会議員は、非常勤の職員という位置づけです」

○2  前項の職員の中議会の議員以外の者に対する報酬は、その勤務日数に応じてこれを支給する。但し、条例で特別の定をした場合は、この限りでない。

 「議員は、基本は、日当制ではありません。ただし、条例で日当制と決めるなら日当制にしてもよいということです」

○3  第一項の者は、職務を行うため要する費用の弁償を受けることができる。
○4  普通地方公共団体は、条例で、その議会の議員に対し、期末手当を支給することができる。
○5  報酬、費用弁償及び期末手当の額並びにその支給方法は、条例でこれを定めなければならない。

 ちなみに、203条2項が、議員を日当制から原則除外したのは、昭和31年だそうです。
 また、東京都、御蔵島村では、議員報酬の支給は年2回とのことだそうです。
  (議員情報誌SIGNAL 第69号 発行 第一法規 2p より)

 また、
地方自治法第九十四条、
「町村は、条例で、第八十九条の規定にかかわらず、議会を置かず、選挙権を有する者の総会を設けることができる。」
同法第九十五条  「前条の規定による町村総会に関しては、町村の議会に関する規定を準用する。」
とあり、町村では、「町村総会」を開催すれば議会が必置(必ずおく)ではありません。

 おそらく、町村においては、日当制の次は、「町村議会」を廃止して、「町村総会」へと代わっていくことでしょう。ですから、「日当制」あくまでも、「議会廃止」、「町村総会」へのステップであると、私は考えています。

 これだけの、画期的な提案をした、菊池議員は、今回最下位当選だったとのこと。ご本人は、お祭りではなく、政策を地道に訴える選挙をしたためではないかと、分析されていました。ただ、日当制にしたことで、立候補者がいなくなるという心配をされていたそうですが、無事、定数以上の立候補者がでて、選挙になり、新人候補が1、2位を占めたそうです。

  

2008年05月17日

フィンランドの教育についての研修会に参加

 2008年5月16日(金)、所沢市教育センターが主催する、教員向け対象の研修会に参加させていただきました。テーマはフィンランドメソッドに学ぶ「今求められる“読解力”PISA型学力とは」。講師は、日本教育大学院大学 客員教授 北川達夫先生。
 所沢市教育センター研修会の概要
 PISA(ピザと発音するようだ)は、OECD(経済協力開発機構)が実施する国際学力調査であり、この調査でダントツ1位となったことから、フィンランドの教育に注目が集まるようになりました。
 今回の研修会では、そういったフィンランドの教育システムについての基礎的なお話が聞けるのではないかと予想して行きましたが、さすが、プロ向けの研修だけあって、フィンランドの教育システムについては基礎的な知識がある先生方により本質的な理解を促すことに主眼が置かれていた。

 フィンランドの教育については、
 http://kyouiku.city.tokyo-nakano.lg.jp/kouhou/window/24.html
 http://www.tigrenet.ne.jp/discussion/200705.html
 を参照してください。

 研修会には、なぜか、当麻市長も聞きにきていました。

 北川先生は、冒頭に、「教育に理想郷は存在しない」ということをまず強調されていました。フィンランドの教育にも問題はたくさんあることも強調していました。例えば、高校入試に際しては、内申点のみで判定されるため、内申点の水増しがおこなわれていることが問題になっているそうです。
 北川先生ご自身がもともと、外交官出身であったせいか、対話の重要性にお話の力点が置かれていました。対話とは、価値観の共有を前提としないコミュニケーションのことと定義されていました。これは、同質性を求める最も日本人が苦手とするところではないでしょうか?外交官の世界では、交渉相手は「人間であること以外共通点はないものと思って交渉せよ」と北川先生は先輩から教えられたそうです。
 
先生が対話を育むコツとして挙げられていたのが、
 1)知識と経験を共有するという発想
 2)みな違うゆえ、究極的にはわからない
 3)価値の相対化
 4)「自分」を変える勇気

 私も日々、議会というある意味、価値観の違う人々が集まっているなかで
議論をする機会があるため、対話の難しさは痛感しているところでしたので
大変参考になりました。

 最後に、聴講者である現場の先生からの質問がありました。
 質問は、「フィンランド方式の素晴らしさはわあkるが、やはり基礎的な知識は
どのようにして習得させるのだ」といったような趣旨でした。北川先生からの回答は「興味を持たない生徒を責めることはしない。あくまでも生徒の選択の問題だ」ということでした。
 これを私なりに解釈すると、生徒には、みずからすすんで落ちこぼれる権利が保障されている、ということになりましょうか。これは、実はとても重要な考え方で、「愚行権」(おろかなことをする権利)という概念に近いものと思われます。
 日本では、かつては、勉強しないと、いい学校に入れず、いい学校に入れないと、給料の高い仕事につけない、と子供たちを脅してきました。そして、現在は、「勉強しないと、ワーキングプアになってしまう」と脅しています。
 正直、私も親として、そこまで割り切れません。その点の覚悟ができないと、なかなかフィンランドメソッドといっても日本では難しいのかもしれません。

 いずれにせよ、東アジア、特に漢字文化圏では、なにしろ、少なく見積もっても千数百の漢字をマスターしなくてはなりませんから、ある意味詰め込みの段階を必要とするのでしょう。

 考えてみれば、いまではすっかり評判の悪い「ゆとり教育」も目指すところは結構フィンランドメソッドと近かったのではないでしょうか。しかし、その基本のところで、「愚行権」までも子供たちに認めて教育をするという決断が現場でも、当然文部科学省でもできなかったことに、「ゆとり教育」の中途半端さがあったのかもしれません。

 

 

2007年11月21日

米国イリノイ州ディケーター市訪問③

 弱市長・議会型
 市という行政単位でどこまでの仕事をこなすか様々なケースがありますが、市長と議会との関係も様々です。ディケーター市の場合は、弱市長・議会型を採用しています。ミネアポリス市も弱市長・議会型でした。米国では、弱市長・議会型が主流です。日本は、世界的に見ると強市長・議会型に分類されています。強市長と弱市長の最大の違いについて聞いたところ、「幹部職員の任命権があるかどうかだ」と教えてくれました。一方で、ディケーター市には、事実上、首長と同じ権限を持つ、シティマネージャー(市支配人)をおいていることもあり、議会・支配人型ともいえます。ティケーター市の場合、市長は、選挙で選ばれています。市長は議会の議長も兼ねることになっています。典型的な議会・支配人型の市の場合、市長は議員の中から互選される場合が多く、ディケーター市の場合は、弱市長・議会型と議会・支配人型の中間のスタイルと言えるでしょう。

 意外にかかる市議会選挙費用
 市議会議員の報酬は年間4000ドル。市長同様、非常勤で、別に仕事を抱えています。毎週月曜日に議会が開かれます。現市議会議員のPat Laegelerさんに、選挙にどれくらい費用がかかったかお聞きしたところ、15,000ドルほどかかったとのことで、結構かかるのだなとびっくりしました。選挙費用のほとんどは、寄付でまかなったそうです。ちなみにイリノイ州議会議員は、1期務めるだけで60歳からもらえる議員年金があり、あまり評判はよくないそうです。

Pat Laegeler.JPG

ディケーター市議会議員 Pat Laegeler氏

 憲章はあるのか?
 いま、日本でも自治基本条例の制定が盛んに行われています。自治基本条例のモデルではないかと私が考えているのが、米国の地方自治体で憲章(Charter)制度です。米国の地方自治制度は多様なので、必ずとはいえませんが、新しく市や町を創設する場合、まず憲章を制定すると言われていますし、私もある町の米国のシティマネージャーからそう聞きました。そこで、ディケーターでは、憲章があるのか、聞いてみました。あらかじめ、ディケーター市を訪問する際に、ディケーター市のサイトもチェックしたのですが、憲章は掲載されていませんでした。(私の友人のコロラド州の町のサイトにはしっかり憲章が掲載されている)ディケーター市は、結論から言えば、「憲章はない」とのことでした。というのも、ディケーター市は、市となったのが約165年前。なにしろリンカーンが生きて活躍していたころから市として存在していました。ですから、自治体創設時に憲章を制定するということが定着するはるか以前から自治体として成立していたため、いまさら憲章を作る必要性は感じていないようです。また、帰国してから、イリノイ州の地方自治に関する憲法の規定を調べたところ、地方自治体が憲章を作ることを求める条文がありませんでした。
イリノイ州憲法「地方政府」条項

 住民発案(イニシアチブ)はあるのか
イニシアチブとは、住民が直接条例制定を請求する権利のことです。日本では住民投票条例制定の直接請求が有名です。米国では、イニシアチブとして最も有名なのが、カリフォルニア州の「提案第13号」です。この提案は、財産税の政府による引き上げ制限を求めたもので、1978年に実際に承認されました。ディケーターでもイニシアチブの例があるかどうか聞いたところ、あるそうで、次の選挙の際には、1)シティ・マネージャー制度の廃止、2)強市長制度への転換 の2項目が住民投票されるそうです。ある米国人に聞いたところ、最近では、選挙で選ばれたわけではないシティ・マネージャーの権限が強大になっており、問題になっている、とのことでした。この直接請求も、そうした背景の下で提案されたようです。ディケーター市の方々はこの提案についてはあまりいい印象を持っていないようでした。

2007年11月16日

米国イリノイ州ディケーター市訪問②

教育は「教育区」の仕事
 例えば、ディケーター市では、教育や公園の管理は、それぞれ、特定区(スペシャル・ディストリクト)が担当しています。例えば学校を運営する区は「学校区」といい、独自の予算を持ち、学校区ごとに先生を雇い、学校施設を建設しています。独自の財源も持っており、学校区に住む市民から税金を徴収します。
(但し徴収は一括して行われ、その後配分のようである)
ディケーターでは、税率がもっとも高く負担が重いのが学校区に納める税金です。学校区にはそれぞれ、理事会がおかれ、理事は選挙によって選出されます。
ディケーター学校区のサイト ディケーター市では図書館の管理運営は市の管轄です。一方同時に訪れた、ミネアポリス市は、図書館は図書館区の運営でした。
公園管理については「公園区」が同じように、税金を徴収し、設置・管理・運営をおこなっています。
ディケーター公園区のサイト
 日本の教育委員会システムも本来は、米国の「学校区」がモデルになっているといわれています。戦後の一時期、教育委員会も委員が選挙で選ばれていました。
 「学校区」とは別に、2年生の短大である、リッチランド・コミュニティ・カレッジを運営するための特定区もあり、この特定区にもディケーター市民は税金を支払っています。学校は高校も含めて義務教育ですから、支払う理由もわからないわけではないのですが、コミュニティ・カレッジについては、義務教育ではないにもかかわらず、税金を支払うのは驚きました。
 コミュニティ・カレッジは、高校を卒業後すぐの学生もいますが、社会人の再教育の場としても機能しています。ディケーター市内には、ミルキン大学という私立大学がありますが、学費が年間8000ドル(ではなくて、本当は、23,000ドル!ミネアポリスに同行した石川さんから教えていただきました。ちなみに寮費を含めると31000ドル。年間ですよ)、と高額なため、年間2000ドルで進学が可能なコミュニティ・カレッジで2年間勉強し、その後総合大学に進む学生も多いそうです。
 技術系のコースを選択する学生は、そのまま地元企業に就職するケースが多いそうです。
 産学連携も進んでおり、ディケーター市内にある有力企業が設備等を寄附しています。
 日本でいえば、コミュニティ・カレッジが生涯学習の場を提供しているとも言えます。

リッチランドコミュニティカレッジのサイト

ミルキン大学

 さらに、タウンシップというものが、ディケーター市が属するメーコンカウンティの下、6マイル四方ごとに規則正しく碁盤の目上に置かれており、ここでもやはり、理事会の理事の選挙があるそうです。このタウンシップで道路や除雪の仕事を行っています。

メーコンカウンティのサイト

ディケーター市の業務の範囲は?
 ディケーター市では、9つの部があります。法務部、シティ・マネージャー部、水管理部、マネジメントサービス部、警察部、消防部、地域開発部、技術及びインフラ部、財務部です。興味深いのは法務部で、専任の弁護士がいます。
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ディケーター市役所

 今年は、日照続きで水不足が問題となっていました。ディケーター市の南部にはダムとダムによってできた人造湖である、ディケーター湖があり、そこから飲料水は取水しているのですが、水確保のために、水管理部では、市の北部に新たに溜池を計画しているそうです。
 市の財源は、販売税が大きな割合を占めているため、地域開発部では、市内に商業施設を誘致することが、大きな役割となっています。市内に、かつては学校で現在は、商業施設となっている地区がありますが、この転換にあたっても市が大きな役割を果たしたそうです。
 警察は自治体警察が基本ですが、留置場や警察署は郡と共有しています。警察もディケーター市域についてはディケーター市警察が、それ以外の周辺地域にはメーコンカウンティの保安官が担当しています。

2007年11月15日

米国イリノイ州ディケーター市訪問①

11月8日(木) 所沢の姉妹都市である、ディケーター市を訪問しました。
 午前中は、ディケーター市庁舎を訪問し、こちらで準備した様々な質問に答えていただきました。

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ディケーター市の職員の皆さん

地方債の格付けは「A」評価
 米国の地方自治は、州によって、また州内でも地域によって違ってきます。日本の地方自治に比べて非常に複雑です。

 所沢市の姉妹都市はディケーター市以外に、中国常州市、韓国安養市があります。中国と韓国の姉妹都市には毎年議員が訪問しているのですが、ディケーターには市議会議員はここしばらく訪問していません。今回は、特に議会からの派遣ではなく、個人的に米国の地方自治について学ぶために行ってきました。2000年の地方分権一括法公布以降は、機関委任事務が法定受託事務に変更されるなど、自分たちの裁量で、行政事務が行える領域が拡大しました。以前は米国の先進的な事例を聞いても、日本の強力な中央集権の仕組みの元では、なかなか日本の事例に応用が利かないといったことがありました。
 しかし、地方債の調達を例にあげると、日本では、これまでは許可制で、かつ借り先は、郵便貯金などを原資とする資金運用部資金がメインでしたが、現在は地方債の発行も協議制となり、所沢市のような比較的財政の安定した自治体においては、地方債発行の自由度も高まりました。ディケーター市では、地方債の調達は自力で行っています。今回聞いたところによれば、ディケーター市も一般企業と同様に格付けされており、借金もないため、「A」の評価をもらっていると自慢げに話してくれました。(但しイリノイ州政府は大きな赤字を抱えているため評価は低いとのこと)。

2007年11月08日

米国ミネソタ州ミネアポリス市② 市議会 コールセンター311

6日(火)は、ミネアポリス市議会議長である、バーバラ・ジョンソン氏と、911及び311のアシスタントディレクターDon Stickney氏を訪問しました。午後には、ミネソタ州立大学を見学しました。

 バーバラ・ジョンソン氏は、地域無線LAN計画が持ち上がった時期は財政的にも非常に厳しい時期で、特にミネソタ州からミネアポリス市への補助金が減らされ消防士をリストラしなくてはならない状況だったため、すんなりと予算案が承認されたということではなかったと語ってくれました。しかし、ミネアポリスが他都市に比べて最新の情報通信技術の使い勝手がよい魅力的な街(high-techs savvy city)であることで、多くの若い人々を惹きつけるためにも重要であるとの意見も多く、また、民間と公共とのパートナーシップも充分に考慮されていたため、積極的に賛成したとのことでした。
 (参考 半導体最大手のインテル社が無線LANアクセスポイント(ホットスポット)が充実する全米100都市の順位を発表しました。ミネアポリス/セントポールは堂々第9位に選出されました。
ポピュラーサイエンス誌(2005年)は、トランスポーテーション・システムや医療機関などのテクノロジーの高さなどから、ミネアポリスをハイテクのトップシティにあげ、高く評価しています。
投資雑誌のキプリンガー誌は、ミネアポリス/セントポールを2006年「スマートに生活できる全米50都市」の第二位に選びました。
米国土安全保障省の調査で、ミネアポリス/セントポールは非常時の警察・消防署などの連携が最も整っている全米6都市に挙げられています。(2006年)
ミネアポリス公式ホームページ日本語版より)

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中央が、バーバラ・ジョンソン氏 右側筆者、左側が今回ご一緒したジャーナリスト石川氏
 ちなみに、ミネアポリス市は、弱市長強市議会であり、市議会の権限が強いのが特徴です。全ての市議会議員がフルタイムの市議会議員であり、年収が7万2000ドル、それぞれの議員に個室と秘書が用意されています。定員は13名です。本日はインタビュー後に、委員会の視察をさせていただきました。委員会の傍聴者も多く、テレビ中継もされており、インターネットで過去の委員会も視聴することができます。
 また、ミネアポリス市には、シティマネージャーは任命されておらず、より権限の弱いシティコーディネーターが任命されています。教育と公園管理は、管轄しておらず、それぞれに、教育区、公園区がおかれ、独自に理事会を設けて活動しています。


コールセンター311
 日本でも、札幌市や横浜市が熱心にとりくんでいるのがコールセンターです。米国では日本の110番や119番のように、311番に電話すれば、自分たちの住んでいる自治体の行政に対する注文や質問などができる都市が主要都市を中心に、毎年増えています。この制度は1997年連邦政府通信委員会が、緊急通報以外の利用に役立てるために創設した仕組みです。日本では、311番のように、3桁で直接自分の住む自治体に電話をすることができないため、使い勝手の点で改良の余地があるようです。311番については、元々視察を予定していたボルチモア市も充実しているのですが、ミネアポリス市も大変充実しています。日本でいえば、110番や119番に相当する、911番をミネアポリス市で管轄しています。所沢でも119番は市の管轄ですが、110番は県の管轄です。6日にお話を伺った、アシスタントディレクターDon Stickney氏は311及び911番双方を受け持っています。911番の司令室はミネアポリス市の地下にあります。

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Don Stickney氏

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コールセンター

一方311番のコールセンターは、市中心部から、LRT(市電)を利用して2駅離れた場所に位置しています。面白いのは、ミネアポリス市警察第3分署の3階にコールセンターがあることです。ミネアポリスの311番は2006年1月4日から始まったそうです
 現在、もっとも多い電話は、落書きについての苦情だそうです。もっとも多い電話の内容は落書きをはじめ、ご近所の迷惑なことなど、2006年で22.6%になるそうです。
上位20番の電話で全体の80%を占めています。2006年には全体で、61730件の電話があったそうです。利用した住民の方々の評判も高く、当初は、311に電話をして担当者に回すケースが3割から4割程度あったようですが、現在ではほぼ8割は担当課に回さずに、311番への電話で処理できるようになったそうです。また、このことに限らず、常に311番サービスの質の向上のために、業務の改善と業績測定を熱心におこなっており、回答時間の平均などの時間を測定しています。
 これは311番の大きな効果ですが、311番への質問や苦情を統計的にまとめることによって、そうしたデータが市長や議長、CIOに供されることによって、市の行政サービスの改善にもつながっているそうです。311番は住民サービスの向上のみならず、行政の業務改善にも役立っていると、Don Stickney氏は語っていました。

2007年11月07日

米国ミネソタ州ミネアポリス市① 地域無線LAN(Wi-Fi)

地域無線LAN(Wi-Fi)構築による地域情報化と行政サービス向上

ミネソタ州ミネアポリス市

 ミネソタ州ミネアポリス市を訪問しています。
当初は、ボルチモア市のcitistadという、GISを利用したシステムを見学する予定でしたが、ボルチモア市が選挙のため、ミネアポリス市の無線LANを利用した地域情報化を見学することとなりました。
 5日は、ミネアポリス市の地域無線LANについてのコンサルタント、Rclient社CEOであるJames Farstad氏、ミネアポリス市CIO(chief information officer)Lynn C.Willenbring氏、ミネアポリス市長のR.T.Rybak氏らを訪問してインタビューを行いました。
 ミネアポリスは人口380000人で、所沢市とほぼ同じ程度の人口ですが、市街地の規模や周辺地域の人口等もあわせると260万人がお隣のセントポール市やその周辺にすんでいるため、所沢よりはるかに都市機能が充実している印象です。
 元々は、ミシシッピー川の唯一の大きな段差(St. Anthony Falls)から生みだされる水力を利用して、最初は製材業、その後は製粉業によって繁栄した街で、1880年から50年間は小麦製粉の世界首都(Flour Milling Capital of the World)と呼ばれていたそうです。
(詳細は、Mill City Museum
今も街の中心部をミシシッピー川が流れています。
 ミネアポリスの繁栄を生み出した段差から、少し下った500m程度下った橋が、今年の8月1日に崩落しました。大きく報道されたのでご存知の方も多いでしょう。
 
 ここで、無線LANを利用した地域情報化とはどういうことが簡単にご紹介しておきましょう。日本においても、公衆無線LANスポット(ホットスポット)というのが増えてきています。この公衆無線LANスポットを地域全域に広げようとするのがミネアポリス市の計画です。日本では、地方自治体が主体となって地域全体を無線LANのホットスポットにしようという動きはあまり見られません。その理由として考えられるのが、日本では光ファイバーの敷設を政策的に優先していること、携帯電話網が完備し、携帯電話でメールのみならずホームページの閲覧も可能であること、などが挙げられるでしょう。しかし、実際に、大量のデータ量のある画像や動画をやり取りするには、携帯の情報伝送量では限界があり、ケーブルを接続しないといけません。
 また、米国では消防と警察、さらに建築審査というのが自治体の主要な任務になっており、とくに建築審査は、日本のように建築確認が中心ではなく、実際に現場に赴いてチェックをすることになっています。こうした部門では、無線LANがあれば、回線を優先で接続できなくても、ラップトップを利用して、大量の図面やGISデータなどが、その場で参照できるという利点があります。
 ここ数年、米国では、地域全体を無線LAN(Wi-Fi)利用可能にしようという自治体の動きが盛んだったそうです。しかし、現実にうまくいった例は少なかったそうです。その理由として、民間に過度に依存していることや、想定利用者が住民に限定されていたことなどが指摘されています。
 James Farstad氏は、ミネアポリス市における無線LAN(Wi-Fi)は、住民の利便性向上という側面はもちろんのこと、行政の業務改善や、311という自治体によるコールセンターサービスをさらに発展させるために必要と強調していました。
(米国の一部の都市では、消防や警察が911、自治体に対する問い合わせや要求、苦情は、311にかけるとワンストップで対応してくれる)
311の機能をより強化するためには、電話やeメールでは、手段が限られており、動画やGISなどの地理情報が、無線でやり取りできるようにならなくては、更なる311の進化が実現できないとのことでした。
 また、地域開発という点も強調しており、市内の各地域ごとのポータルも、計画しているそうです。地域ごとのポータルが実現すれば、例えば、地域で営業している飲食店などは、わざわざ大きな広告費をかけなくても近隣に広告ができる特に、低所得者層が自由にインターネットにアクセスできる状況を作るためにも、無線LAN(Wi-Fi)は重要であると強調していました。
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James Farstad氏


 Lynn C.Willenbring氏は、特に8月の橋の崩落事故に際して、無線LAN(Wi-Fi)が期せずして有効に活用された事例を中心にお話されました。丁度、無線LAN(Wi-Fi)の基地局を事故地周辺では整備が済んでいたため、発信機つきのカメラを3台、崩落した橋のまわりに配置し、災害対策本部にカメラからの情報を逐一送ってきたそうです。また、カメラのIPアドレスを関係機関に公表したため、関係機関は、そのIPアドレスを利用して、カメラを通じた事故処理状況が確認できたそうです。おおよそ、2000ユーザーが利用したとのことでした。(無線LAN(Wi-Fi)の利用者は当該地域は800名)

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ミネアポリス市 CIO Lynn C.Willenbring氏


 R.T.Rybak氏は、やはりデジタルディバイドの解消という目的と、eメールのみならず、GIS情報や動画情報などを、双方向でやり取りできる可能性が増えることを強調していました。

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ミネアポリス市長  R.T.Rybak氏


 印象的だったのは、いずれの3氏も同じようなビジョンを口にされていたことです。
 今回は、不幸なことではありますが、橋の崩落によって、期せずして地域無線LAN(Wi-Fi)の有効性が実証されたことになりました。ミネアポリスでは来年、共和党の大統領候補者を選出する党大会が開催されるということで、来年にむけて、さらに移動式カメラを充実させて、地域無線LAN(Wi-Fi)を有効活用して、安全対策に役立てる予定だそうです。

2007年10月11日

全国都市問題会議に参加しています

平成19年10月11~12日まで、静岡県静岡市で開催されている第69回全国都市問題会議に出席しています。
この会議は、全国市長会、(財)東京市政調査会、(財)日本都市センター、静岡市が主催しています。自治体関係の大会では、我国最大規模の会議であり、全国から主に市長、市議会議員など、2,000人が参加します。
所沢市議会でも、毎年市長と議員らが参加しています。
今回のテーマは、「分権時代の都市とひと 地域力・市民力」。
本日は、「もっとご近所ついあいをしましょう」という演題で、「解決、ご近所の底力」のアナウンサー
堀尾正明氏や、静岡市長、大分市長などからの報告がありました。

 今日も明日も、2000人が一同に会して、同じ話を聞くというのは、最近では珍しい形式の
 会議です。
 たとえば、自治体学会が主催する年1回の会議では、基調講演は一同に会しますが、その後は、
 各興味分野に合わせて分科会に参加するという形式です。

 今回の会場である、静岡市民文化会館は座席間の間隔が狭く、別の参加議員から、「エコノミークラス
 症候群になってしまう」という声が出たほどでした。

 内容については、それなりに興味深いものですが、明日から役に立つという内容というより、
 大きな行政のトレンドをつかむといった内容です。

 多くの市議会議員が参加していますので、兵庫県宝塚市、東京都武蔵野市、大阪府豊中市などの市議会議員に会うことができました。私の場合は、市議会等の仲間に会い、情報交換できるという点で有益な機会です。
 3年前にも名古屋で開催された全国都市問題会議では、所沢市以外の知り合いはほとんど
 いませんでしたので、この3年で、ずいぶん議員仲間が増えたということでしょう。

 今回の会議で得た様々な情報を、議会活動に活かしてまいります。

 

2006年08月02日

2006.08月市民環境常任委員会視察① 平地型一般廃棄物最終処理場

 本日8月1日、市民環境常任委員会の視察として、茨城県八千代町にある、平地型最終処分場、クリーンパーク・きぬを訪問しました。
 所沢市でも北野一般廃棄物最終処分場がすでに埋め立てが終了となり、次の最終処分場建設の検討が進んでいます。
 最終処分場は、谷戸など山間部を利用するタイプ、平地を掘り込むタイプ、海面、水面を利用するタイプと大まかに4つに分類されています。全国的にいえば、平成16年度で、最終処分場数が、山間部タイプが1,464、平地タイプが504、海面25、水面が16あります。
 所沢市では最終処分場の候補地として、山間タイプと、平地タイプが候補地としてあげられています。今回、「クリーンパーク・きぬ」を視察訪問先として選定したのは、平地タイプであることと、平成11年と最近供用開始されたことに着目したためです。

 特に、今回は周辺住民の皆さんの同意をどうやっていただいたか、コスト的な問題、運用上の問題を中心に担当者にお聞きしました。

 「クリーンパーク・きぬ」は、八千代町単独の施設ではなく、八千代町を含む下妻地方広域事務組合によって建設、運営されています。下妻地方広域事業組合は、八千代町、下妻市、常総市、及び筑西市によって構成されています。ただ、市町村合併が進む以前は、八千代町、下妻市、現在は下妻市に合併した千代川村、現在は水街道市と合併し、常総市となった石下町によって構成されていました。
 その4市町村で、し尿処理場は石下町、葬祭場は下妻市、ごみ処理施設は千代川村と、いわゆる迷惑施設を分担していました。唯一八千代町だけがそうした施設を有していなかったため、最終処分場は八千代町が分担するということになっていたそうです。

 最終処分用の建設地として、現在の鬼怒川沿いの場所には比較的すんなりと決定したということです。もともと最終処分場があった場所は、かつては砂利採取業者が砂利採取を行っていた場所で、その後、業者の倒産にともない、管理者がいなくなってから、事実上の廃棄物保管場所となっていたそうです。そのため、周辺の環境は悪化し、ときどき自然発火が起こったそうです。
 地域の方々としては、むしろ管理がしっかりした最終処分場ができるのであれば現状よりマシであるとのことから、受入れが決まったそうです。
 また、土地所有者も周辺住民の方が多かったそうです。
 
 施設の特長としては、処理場から排出される浸出液の処理について、所沢市の最終処分場で行っている水処理方法に加え、逆浸透圧を利用した浄化を行っていることです。この結果、ほぼ水道水に近い水質まで浄化して、鬼怒川に流しているそうです。
 この地域は水田地帯であり、上流の汚染は下流域の農業被害に直結することから、より高度の浄化を行っているようです。
 ただ、近年は浸出液の塩分濃度が高くなっているそうで、ほぼ海水並の塩分濃度だそうです。そのため、処理能力も公称日量70㎥なのですが、実際には20~30㎥だそうです。
(電気伝導度でいえば、20mSを0.4~0.5mSまで浄化)

 当初計画では、平成11年から平成26年の15年で処分場は一杯になると予想されていましたが、ゴミ減量化の取り組みもあり、8年たった現在も、3分の1に満たない埋め立て状況だそうで、このペースで行けば、さらにこれから15年程度、つまり、平成31年まで利用できるのではないかと予想しているそうです。全体の埋め立て可能量は当初ベースで113,000㎥、総工費37億円かかったそうです。
 ランニングコストについては逆浸透膜を利用した浄化方法を採用しているため、膜の更新に2000万円年1億円程度の維持費が隣接する公園の管理費も含めかかっているようです。

  「クリーンパーク・きぬ」は、平地型でありながら、建設にあたって比較的スムーズに建設がすすみましたが、所沢市の場合は、前提条件が異なるため、今回のケースのようには建設がスムーズにすすまないだろうという印象を持ちました。

 
 

2005年11月14日

議会運営委員会視察② 静岡県沼津市

 議会運営委員会視察の第2日目は、静岡県沼津市議会を訪問しました。  沼津市議会の視察のポイントは、委員会の議事録を音声認識システムを使ってすばやく文字化するシステムです。
 所沢市議会では、本会議については、全文をすべて議事録として残しますが、委員会の議事録については要点筆記という方法をとっています。 要点筆記とは、一言一句全てを掲載するのではなく、会議の要点だけを記録するという方法です。 要点筆記の具体例は、 所沢市審議会等の議事録を参照してください。
 所沢市議会では、本会議については、会議録専門の業者、株式会社 会議録研究所に委託しています。 年間予算は、平成17年度予算では、会議録作成委託料9,078,000円となっています。  一方、委員会の議事録については、各委員会2名の担当となった、議会事務局所属の職員が、テープ起こしをして、要点筆記で議事録を作成しています。 委員会は、本会議に比べて、「話し言葉」が多く、議事録に起こしにくいという点も、要点筆記になっている理由かと思われます。 ちなみに、委員会の議事録作成にあたっても、委員会等会議録作成補完業務委託料464,000円が予算化されています。
 本会議での議事録については、議会ホームページから平成10年以降については、議事録検索が可能になっています。委員会については、議事録は残念ながら公開されていません。 もし、委員会の議事録を閲覧したい場合、市政情報センターでわざわざ開示請求手続きを取らなくてはならないことになっています。 これは、なぜかというと、所沢市議会は、本会議主義を採用しているためで、委員会の議事については、本会議で、委員長報告の形で報告されるので、それで充分という考え方のようです。 もし市民の方が委員会の議事録を参照したい場合は、本会議での委員長報告の議事録を参照すれば、質疑や賛成、反対の意見が概ね把握できるようになっています。 本会議で行われる委員会の報告は、平均すると10分~20分、長いときは1時間もかかる場合があります。  さて、話を沼津市に戻しますと、沼津市では本会議及び委員会の内容について、株式会社アドバンスト・メディア の「AmiVoice
議会議事録作成支援システム」を利用しています。 このシステムは、リアルタイムで、会議の内容を、音声認識システムを使って、文字に直していくシステムです。システムの概要については、紹介記事をご参照ください。
 沼津市議会の場合も、そもそもは、市民にいち早く、委員会の内容を報告するためというより、本会議での委員長報告を作成するために、このシステムを導入したようです。それまでは、委員長報告を作成するために、委員会のある日は毎晩夜中の2時ぐらいまで残業をしていたそうです。
 ちなみに、所沢市ではどうなっているかというと、委員会の審議は、定例会の3日目に行われ、その後は、一般質問が5~6日(休会日も含め)あるため、その間にじっくりと議事録を反訳し、その内容に基づいて、最終日前日に行われる委員長報告が行われるため、沼津市よりは日程にまだ余裕があるようです。
 このようにして作成された議事録ですが、議事録としての体裁を整えるため、さらにこれまでどおり会議録の会社に送付して修正を加え、それを正式な議事録とするそうです。ですから、結局のところ、インターネットの会議録検索システムで閲覧できるまでの時間はこれまでどおりとのことでした。
 これでは、あまり費用の節減にはなっていないのでは、という疑問を沼津市の議会事務局の方に投げかけたところ、職員の残業代が減ったことと、会議録会社への支払いも圧縮できたので、当初はあまり期待していなかったが、費用削減効果があったとのことでした。
 やはりシステム化しても、それにあわせて制度を変えていかなければ、なかなか合理化は実現しないということを実感しました。
 所沢市でも、このシステムを導入することで、職員の方々の残業時間が少なくなり、会議録研究所への支払いも安くなるなら、費用を比較考量して、導入を検討するべきでしょう。もしシステムを導入するとなった場合、議事録のあり方も同時に考えていかなければならないでしょう。 いずれにしても、少なくとも議会閉会後1週間以内に、議会の議事内容を、本会議、委員会含めて、市民の皆様がインターネットで検察、閲覧できるようにすることが重要だとくわけんは考えております。
   
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2005年11月07日

議会運営委員会視察① 愛知県豊田市

 11月7日(月)、議会運営委員会の視察で、トヨタ自動車で有名な豊田市を訪問しました。 豊田市は、より市民の方々にわかりやすい議会をキーワードに議会改革を進めてきました。 わかりやすさの観点から、一番改革が必要とされたのは、市議会の一般質問でした。
 国会の場合、例えばよくテレビ中継される予算委員会などは、「一問一答方式」といい、一つの 質問に対して、原則として一つ答えるという形で質問が進みます。 そのため、見ている方々も議論の内容が日常の会話に近い形なのでわかりやすいといわれています。
 ところが、地方議会の場合は、一度見たことのある方はわかるとは思いますが、大抵「一括質問一括回答方式といい、一括で全ての質問を行い、一括で回答されるという方法で進められます。 そのため、議論の流れがつかみにくいという欠点があります。
 豊田市議会では、わかりやすい議会のために、平成15年から検討を始め、一問一答方式の導入を決断し、平成17年3月議会から実行しているそうです。 議場の形も、市長などが座る市の理事者の席に面する形で、質問者の席を新たに設置しました。  傍聴に来ている市民の方々からも評判は上々とのこと。
 ただ、一問一答にも問題がないわけでなく、質問時間の配分が難しいことや、理事者側がだらだらと回答すること、質問の答えは制限時間が来ても答えることを利用して、終了間際に多くの質問をする場合があること、などがあるそうです。
 他にも、わかりやすい議会のために、それまでは市の広報と一緒におこなわれていた広報誌を 独自発行に改める、一般質問をCATVやミニFMなどで生中継を行うなどの試みがなされています。
 他にも、様々な議会活性化に向けての努力が行われていました。 所沢市でも、豊田市の例を参考にしながらわかりやすい議会を目指して、まずは一問一答方式の導入に向けて、議会運営委員会でも議論を煮詰めていきたいと思います。  詳細は、 豊田市議会活性化報告書(pdf)をごらんください。
 他にも、豊田市議会の取り組みとして、所沢市にも取り入れるべき点としては、 公職選挙法より厳しい規則を設けて、市議会にそのための「公選法運用委員会」を置いていること、議員控室が、それぞれの議員ごとにパーティションごとに囲まれたブースになっていること、一般質問の内容について、一般質問が始まる以前に、議会のホームページに公開することなどが挙げられます。
 いずれにしても、他の議会の運営方法を視察することは非常に参考になることを実感いたしました。 今後も、折を見て、他の市議会についても研究をしていきたいと思っております。

2005年11月02日

市民環境委員会視察 ③ 北海道富良野市

21日(金)には、家庭からでる一般ゴミの資源化率が93%で、焼却率が5.8%の北海道富良野市を訪問しました。富良野市では、平成14年12月に焼却施設を廃止しました。現在焼却が行われているのは、平成16年度は、衛生用品(紙おむつ、生理ナプキン等)とペット糞が513.8t、動物の死体が0.6tだけとなっています。 では、他のゴミについてはどう処理しているのでしょうか?重量の多い順からみていきましょう。 富良野市でも、最も重量の占める割合が多いのが、所沢同様、生ゴミで2,907tです。これに枝草類532.7tを加えた3502.69tが実に全体の40%を占めています。この生ゴミが全て堆肥化されています。生ゴミ回収用の袋は、他のゴミとは違い、生分解性プラスティックを材料にしています。 この堆肥化を行う施設が、今回見学した、富良野市を含む5市町村(富良野市、上富良野町、中富良野町、南富良野町、占冠村)で共同設立した、富良野地区環境衛生センターです。センターは、前日にみた、環生舎とはうってかわって、近代的かつコストもかかっている施設です。施設建設に34億円を投じているだけあり、機械設備が中心の施設となっています。まさに、前日の環生舎とは好対照を成しています。このセンターを見て、逆に、前日の我満社長の言っていた「お金をかけない」「単純な」施設という意味がよくわかった次第です。 センターは生ゴミだけではなく、し尿や浄化槽汚泥もあわせて処理しています。周辺は森林地帯ですので、木材産業も盛んであり、そこから得られたバーク(木屑)も混入されます。バークを混入することで、水分調節と悪臭防止にもなるとのことです。 このセンターで生産される堆肥も、全量、農家が有料で引き取るそうです。農家のこの堆肥に対する評価も高いそうです。そもそも富良野地区は、家畜農家が少ないため有機肥料の原料となる家畜の糞尿をわざわざ十勝地区から買っていたそうです。あるいは、より安価な化学肥料に頼った農業を行っていたそうです。 生ゴミ堆肥化で、最も問題になるのが、堆肥の引き取り手の問題です。堆肥に対する信頼度、堆肥の有効性が認められないと、せっかくの堆肥が、埋め立て処理されるといった場合もあると聞きます。この点については、富良野市はクリアしているようです。 また、堆肥化が始まるまで、富良野市では埋め立てが行われており、その埋め立て地周辺は悪臭が漂い、生ゴミを求めてカラスやキツネが寄ってきて、そうした鳥獣が農作物を荒らすという被害もあったそうです。
 さて、重量で2番目に多いのが、資源ゴミです。2587.53tで29%。これらは基本的に所沢市と同様の分別と収集がおこなわれています。分類項目は、「乾電池・蛍光管」「空き缶・金属類」「空きビン・陶磁器・ガラス」「新聞・雑誌・段ボール類」「ペットボトル」「プラスティック類」。
 重量で3番目が固形ゴミです。所沢市では「燃やせるゴミ」に分類されています。この固形ゴミが2,166tで全体の24%。この固形ゴミは、固形燃料化して、かつては、冬場の市内の小中学校の暖房用として利用されていましたが、現在は、王子製紙㈱江別工場で燃料として有料で引き取られているそうです。熱量もボイラー用石炭と同程度の発熱量を有しているそうです。固形燃料化は、三重県で固形燃料を利用した工場が爆発炎上して以来、評判がわるいのですが、富良野市の場合は、固形燃料に生ゴミが含まれていないために、水分含量も少なく、そのため品質も安定していて、これまでなんら問題がなかったそうです。 固形燃料に生ゴミが入ると、生ゴミから発酵によって発生するガスが、爆発等を引き起こすようです。その生ゴミが含まれていないため、品質の安定が獲られます。 この固形ゴミには、所沢市では、燃えないゴミとして処理する皮革類も含まれています。 私たちは、固形ゴミを固形燃料化するプラントも見学しました。廃棄部担当の方によれば、「原油等の値段も高いため、引き取り手の工場からはもっと納入して欲しいとの要請が寄せられているが対応できない」とのことでした。  残りは、粗大ゴミが71tで1%、焼却処分となる衛生用品・ペット糞、埋め立て処分をする灰類をあわせて531.35tで6%です。
 富良野市を見学して、所沢市でも資源ごみの分別については負けていないなという印象を持ちました。しかし、最も遅れているのはやはり生ゴミの回収体制です。富良野市と違って所沢市では堆肥の受入れ先の確保が難しいとの声も聞きますが、実際には所沢市は公園や街路樹も多いのですから処理先は十分にあります。  生ゴミも富良野市ですら、1年間にわずか50ヘクタールの農地をまかなうだけの量しか生産できないそうです。単純に比較して、所沢市は、富良野市の人口(25,566人 平成15年3月31日現在)の約13倍ですから、650ヘクタールの農地に利用できる堆肥が生産できることになります。重複もあるとは思いますが、所沢市の作付け面積が約710ヘクタールあるのですから、所沢市の生ゴミは富良野市の例を引けば論理的には全量所沢市で利用できることになります。また、公園面積も117ヘクタールあります。ここに利用することも可能です。
 所沢市では一時期、固形燃料化を実験したそうですが、生ゴミをふくんだゴミで実験をしたため、あまり品質のよくない固形燃料となったとのことでした。
 いずれにしろ、所沢市がゴミ処理のリサイクルをより一層進めるためには、生ゴミ処理をどうするかということを避けて通れないようです。生ゴミ処理が軌道に乗れば、燃やせるゴミも東部クリーンセンターは、サーマルリサイクル、つまり熱を有効活用する焼却施設ですから、富良野市並のリサイクルが実現できるということになりますし、おそらく所沢市の重量で約4割を占める生ゴミがリサイクル可能になれば、理論的には、焼却炉も現在の東部クリーンセンターだけで十分まかなえることになるでしょう。 ところが、現在の所沢市は生ゴミ処理には非常に及び腰であり、現在策定中の廃棄物処理計画でも生ゴミについては全くやる気がないというのは気にかかるところです。今後はくわけんとしても、また委員会としても生ゴミリサイクルに向けて何らかの提言を行っていきたいと考えております。

2005年10月28日

市民環境委員会視察 ② 生ゴミ処理施設「環生舎」

 20日(木)には、株式会社 ばんけいリサイクルセンターが経営する生ゴミリサイクル工場「環生舎」を見学しました。この会社の社長が、我満 嘉明氏で、大変ユニークな理念を持っていらっしゃる方でした。元々は海産物の残渣処理から現在の会社を始められたようです。現在は、主に、ラルズという北海道屈指のスーパーや、一部札幌市の生ゴミも受け入れているようです。
 まずは、実際に工場を見学させていただきましたが、後に見学する、まるで酒やしょうゆ工場のような装備のある富良野市の生ゴミとし尿のリサイクルセンターに比べると、設備は、床と壁と屋根とエアレーションのパイプだけという実にシンプルなつくりでした。最初にこの「環生舎」を見学したせいか、そのシンプルさには気づきませんでした。
 一言でイメージを表現するならば、牛が放牧されたあとの牛舎といった感じでしょうか。  延床面積は、約4,000㎡で、うち約3,100㎡が堆肥発酵棟、900㎡が土壌脱臭施設です。 堆肥発酵棟は、一定区画に区切られており、そこに生ごみと、副資材のバーク(木の皮を粉砕した木屑)、さらに堆肥化の完了した微生物が含まれている副資材、多少の家畜の糞尿をまぜ、堆積させてあります。本当にただ堆積させてあるだけです。ときどき、堆肥の様子を見ながら60℃~70℃になるように、うまくかき混ぜたり空気を送ったりするようです。 うまく堆肥化するには、「匂い」「堆肥の温度」「水分」の3つが重要な指標だといいます。  この環生舎から生まれた堆肥は、現在すべて有料で販売しているそうです。とかく生ゴミからできた堆肥は、塩分濃度が高い、品質が安定しないといった欠点があるとのことでしたが、我満社長自身が農家出身ということもあって、農家の方々と対話を通じて、農家に買って使ってもらえる堆肥づくりに成功しているそうです。
 とにかく、施設そのものはシンプルですが、建造コストも既設で従来型の施設よりははるかに低コストで実現できるというお話にはうなづきました。 この微生物処理による生ゴミ堆肥化のノウハウを活かして、現在では、北海道伊達市やの生ごみ堆肥化事業も一括して請け負うそうです。
 所沢市では、生ゴミは、燃やせるゴミとして処理されています。実際に重量換算で、燃えるゴミの約45%が生ゴミ(厨芥類)です。 生ゴミが堆肥化、もしくはなんらかの方法で、燃やさなくてよくなれば、単純に燃やせるゴミの量は激減します。なんとか、燃やさないで処理する方法を、検討する必要があります。

2005年10月27日

市民環境委員会視察 ① モエレ沼公園視察

廃棄物処理場が公園に! モエレ沼公園 北海道札幌市
 10月19日(水)~21日(金)、くわけんが所属する市民環境常任委員会では、廃棄物処理をテーマとして、視察を行いました。 最近はインターネットが普及しているため、行政についての情報は得やすくなっていますが、やはり現地に行って実際に見て、担当者とお話することは有益であることを実感しました。 くわけんとしても、非常に得るところの多かった視察ですし、市民の皆様の税金で行かせていただいていますので、報告させていただきます。
 19日は(水)は、北海道札幌市のモエレ沼公園を見学いたしました。 モエレ沼公園は、世界的な彫刻家で、山口淑子(李香蘭)の旦那でもあった、イサム・ノグチ氏がマスタープランを行ったことで有名です。 公園全体が、一種の野外彫刻として設計されています。 モエレ沼公園のホームページ
 今回の視察の目的は、モエレ沼公園の建設にあたっては、ゴミ処理場を公園にしたという点に着目して、視察を行いました。  このように書くと、ゴミ処理場の跡地利用として、公園を作ったように思われます。 くわけんも当初、そのように思っていました。
 しかし、案に相違して、実際は、ゆくゆくは公園を作る長期計画をたてながら、まずは、最終処分場として昭和54年からゴミの埋め立てを始めました。公園の基盤整備は、3年後の昭和57年から開始しました。処分場は平成2年の処理場閉鎖まで使われました。 昭和63年には、イサム・ノグチとの出会いがあり、公園の設計を彼に託すこととなりました。 造成が完成したのが、平成17年、つまり今年の3月。同年7月1日にグランドオープンとなりました。
  札幌市は、緑地の多い街のように思われる方も多いとは思いますが、一人当たりの緑地面積が3㎡/人と少ない街でした。そこで、全市的に公園面積を10㎡/人に増やそうという計画が立てられました。 しかし、実際には、公園を造成する予算はありません。地元からは、ぜひとも公園をという要望が強かったようです。丁度、そのころ、札幌市の政令指定都市昇格に伴う機構改革があり、ゴミ処理部門を含む廃棄物担当部門と、公園部門が、環境局として統合。公園造成の予算をひねり出すために、土地買取はゴミ処理場の予算及び補助金を利用しました。また、モエレ沼については、洪水防止のための一時貯留地とする国の治水事業として買取と整備をしたということです。そのため、モエレ沼を1回掘り込んだそうです。
 こうして、公園建設のために、ゴミ埋め立て、治水、公園と3つの事業を組み合わせました。
 周辺の住民の方々からは、苦情も不満もあったようです。現に、ゴミ処理場時代には、周辺にはにおいも漂っていたとのこと。ただ、最終的には公園になるというプランが示されていたために、周辺住民の方々の理解も得られたとのことでした。
 公園には、標高62メートルのモエレ山などがあります。そうした盛り土には、公共工事の建設残土が利用されているそうです。  総工費は約250億円、年間の維持管理費は人件費込みで2億円だそうです。
 基本的には、管理型の一般廃棄物最終処分場ですから、いまでも、公園から排出される排水は浄化処理をおこなってから流されているそうです。排水の汚染も基準を大幅にクリアしているそうで、本来であれば、もう浄化の必要もないそうですが、年のために浄化を行っているそうです。
 所沢市も北野最終処分場の次の処分場の建設の検討に入っています。 ぜひとも、所沢市としても、最終処分場跡地は公園化することを検討していただきたいものです。  

2005年05月16日

オランダ ティルブルグ市の改革と議会との関係

 2月に訪問した、ティルブルグ市の改革と議会との関係についての報告です。 私のつたない英語力で聞き取ったため、あるいは事実誤認等あるかもしれません。 一応英文、和文資料等で確認をとれる範囲でとってありますが、ティルブルグ市に関しては あまり日本語の資料がないため苦労しました。
 ティルブルグ市の改革概要については、べテルスマン財団のホームページに資料があります。
 また、以前にも紹介したと思いますが、ティルブルグ市のホームページにも ティルブルグモデルというページがあり、英文で紹介されています。
 これほど、ニューパブリックマネジメントがブームになっていながら、世界的にも評価の高いティルブルグモデルが日本では殆ど紹介されていないというのは驚くべきことです。
 武田公子著 ドイツ自治体の行財政改革(法律文化社)によれば、ドイツの行財政改革は、ティルブルグがモデルになっているといわれています。 ベテルスマン財団の先駆的な行政を行っている都市を表彰する、明日の都市(city
of tomorrow)や国連のベストプラクティスにも選ばれています。  今回のインタビューは、ティルブルグ市のdrs. Ignatius J.LM. Zaat
氏に対して行いました。 zaat氏は、ティルブルグの改革には初期から関っている方のようです。
 今回は、ティルブルグモデルについて、特に、議会(council)と自治体(municipality)との関係の変化を軸に質問しました。
 以下インタビュー内容です。
 ティルブルグ市の人口は138,000人。 ティルブルグモデルとは、企業の経営感覚で、自治体経営を行うことを徹底的に追求し、実現させた点に特徴がある。それぞれの時代の変化に合わせてモデルも変化している。 議会は、毎月1回、18時~19時に開催される。5つの委員会がある。月給は20万円ほど。39名のメンバーがいる。市長は、国からの任命制である。
ティルブルグモデルと議会(council)  ちょうど20年前の1985年、ティルブルグ市は、これまでの市を支えていた基幹産業の繊維産業が、アジア諸国の低価格戦略により衰退。また、失業も増加し、財政赤字も増大。ちょうどそのころ、議会や執行部(市長、副市長、シティマネージャーなどによる合議体)、シティマネージャーなどが交代。このまま同じやり方では限界があうという認識を共有。 しかし、当時の議会は透明性に欠けていた。オランダの地方議会は日本の地方議会が主に予算や条例の議決権に権能が限られるのと違い、執行権も有している。よって、議会が厳しい財政状況を理解しないと、予算の増加に歯止めがかけにくい。 関係者の間では、米国の著名な経営学者であるミンツバーグ教授(minzberg)のコンセプトを応用することとした。「どのように企業を統治するか」をティルブルグ市に置き換えて考えたという。 そのために、自治体が提供するそれぞれの仕事を製品として捉え、製品のコスト分析を行った。当初は200の製品を提供していたが、その数を120に減らした。製品とは、「街の安全確保」や、「廃棄物収集」「幼稚園の運営」などである。「街の安全確保」のコストには、警察や街燈整備などのコストが含まれる。 こうしたコストについての冊子を作成し、議会に提示した。その結果、議会もコストを知ることによって、無理な要求を抑制するようになった。 84年には10部局を5~6部局に縮小した。そのために、徹底的な業務分析を行った。そのため、ティルブルグ市の公務員は、それぞれ自分たちの仕事を時間ごとに詳細に記録することが求められた。これによって、余剰人員の洗い出しが行われ、余剰人員が40%いることが明らかにされ、余剰人員は10%~20%に減らされた。 予算は、最低限必要とされる額以上に削減された。当時導入したばかりのコンピューターのメインフレームを、あまり役に立たないということで、他自治体に売却した。そうして、蓄積した資金を余剰人員削減費用として活用した。特に従来型の行政についての考え方を持つ職員に退職金の上乗せを提案し、退職勧奨を行った。あるいは、自治体の各部門を十数の別会社として分離し、そこの職員とした。 組織もピラミッド型から、グループ制に移行させた。グループはプロジェクト単位に「活動」と「公務員」と「予算」とを合わせて持ち、そこのグループの責任者は、年に2~3回議会に対して、それぞれのプロジェクトについて詳細なレポートを作成することを義務付けられた。予算が不足、あるいは余剰する場合には厳しく追及され、正当な理由を説明できない場合、その責任者は責任を追及された。このレポートによってプロジェクトに対する「早期警戒(early warning)」の役割を果たすことが期待された。レポートは、シティマネージャーから市長評議会(Board
of
mayor)へ、そして議会へと報告された。 以上のような取り組みを通じて、議会のカルチャーも変化した。「何をするか(what)」から「どのようにするか(how)」に変わった。例えば、「どこに新しい市営バスの路線をつくるか」から「市営バスをより利用してもらうためにはどうすればよいか」に議論の方向性が変化した。議会が「何を決定するべきか」について明確になった。つまり、より戦略的な観点から決定することに集中することとなった。
以上 ティルブルグモデルについては、改めてまとめて外部に投稿しようと思っております。