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オランダのボランティア支援組織CIVIQその②

続きです。
 CIVIQの運営に当たっては、オランダ政府から半分、そして、クライアントとなる地方自治体や企業から半分の運営資金を得ている。特に、自治体や、企業からの資金は、CIVIQが運営するサービスに対する報酬という形で支払われる。
 今回は、特に地方自治体とCIVIQとの関係を知りたかったため、主に地方自治体を相手に仕事をされている、Hannekeさんが相手をしてくれた。
 CIVIQのミッションは、ボランティア活動を「促し、現代化させ、高める」(Promoting modernizing and boosting)ことである。 CIVIQが支援の対象とするのは、個々のボランティアというより、ボランティアの組織及び、それを支援する地方自治体ということである。 地方自治体に対しては、まず最初に、自治体のボランティア政策を立案することを支援している。  ここで、オランダの地方自治のシステムを簡単に紹介すると、基本的に議会(coucil)が議決権だけでなく行政の執行権を持っている。選挙で選ばれた地方議員(councillor)は、それぞれ担当する部門の委員会について、直接自治体を指揮監督する。例えば、日本で言えば、私は現在、教育福祉委員会に所属しているが、この委員会が、直接、保健福祉部や、教育委員会を指揮監督することになる。 よって、自治体ボランティア政策も、議員は単に市長部局が作成したものを議決するだけではなく、その作成プロセスにも関与する法的権限があると言ってよいだろう。 やはり、議員への働きかけは重要で、市長部局と話し合って決めた政策も、議会の反対によって、あやうくつぶれかけたことがあるそうだ。一方で、市長部局が熱心でないため、議員の方から、市長部局に働きかけてくれという事もあるという。この辺の事情は日本とよく似ている。
 デルフト焼きで有名なデルフト市では、CIVIQが支援してボランティア政策を立案。これまでのボランティア支援センターを大幅に改組したそう。実際に一定規模以上の自治体にはどこもボランティアセンターがあったそうだが、いずれもあまり機能していなかったそう。 デルフト市でも、従来は各団体からの要請を受けて、ボランティア募集の活動が主だったそうであるが、募集業務は一切取りやめて、現在はボランティア団体へのコンサルティングとアドバイスを行うことに業務を集中するようにしたという。人材確保を例にとれば、ボランティアを集めるのではなく、どうやったら自分たちで人材を集められるかをアドバイスするように転換したという。 つまり「えさを与えるのではなく、えさの上手なとり方を与える」役割に、地方自治体のボランティア政策が転換したといえよう。ところが、実際には一部の昔からあるボランティアグループはやはり政府に対する依存体質が残っているそうである。「100%地方政府に依存するボランティア団体は、現代社会とうまくやっていくことができない」といって、依存体質をもった団体を説得するという。
続きます。
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