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フィンランドの教育についての研修会に参加

 2008年5月16日(金)、所沢市教育センターが主催する、教員向け対象の研修会に参加させていただきました。テーマはフィンランドメソッドに学ぶ「今求められる“読解力”PISA型学力とは」。講師は、日本教育大学院大学 客員教授 北川達夫先生。
 所沢市教育センター研修会の概要
 PISA(ピザと発音するようだ)は、OECD(経済協力開発機構)が実施する国際学力調査であり、この調査でダントツ1位となったことから、フィンランドの教育に注目が集まるようになりました。
 今回の研修会では、そういったフィンランドの教育システムについての基礎的なお話が聞けるのではないかと予想して行きましたが、さすが、プロ向けの研修だけあって、フィンランドの教育システムについては基礎的な知識がある先生方により本質的な理解を促すことに主眼が置かれていた。

 フィンランドの教育については、
 http://kyouiku.city.tokyo-nakano.lg.jp/kouhou/window/24.html
 http://www.tigrenet.ne.jp/discussion/200705.html
 を参照してください。

 研修会には、なぜか、当麻市長も聞きにきていました。

 北川先生は、冒頭に、「教育に理想郷は存在しない」ということをまず強調されていました。フィンランドの教育にも問題はたくさんあることも強調していました。例えば、高校入試に際しては、内申点のみで判定されるため、内申点の水増しがおこなわれていることが問題になっているそうです。
 北川先生ご自身がもともと、外交官出身であったせいか、対話の重要性にお話の力点が置かれていました。対話とは、価値観の共有を前提としないコミュニケーションのことと定義されていました。これは、同質性を求める最も日本人が苦手とするところではないでしょうか?外交官の世界では、交渉相手は「人間であること以外共通点はないものと思って交渉せよ」と北川先生は先輩から教えられたそうです。
 
先生が対話を育むコツとして挙げられていたのが、
 1)知識と経験を共有するという発想
 2)みな違うゆえ、究極的にはわからない
 3)価値の相対化
 4)「自分」を変える勇気

 私も日々、議会というある意味、価値観の違う人々が集まっているなかで
議論をする機会があるため、対話の難しさは痛感しているところでしたので
大変参考になりました。

 最後に、聴講者である現場の先生からの質問がありました。
 質問は、「フィンランド方式の素晴らしさはわあkるが、やはり基礎的な知識は
どのようにして習得させるのだ」といったような趣旨でした。北川先生からの回答は「興味を持たない生徒を責めることはしない。あくまでも生徒の選択の問題だ」ということでした。
 これを私なりに解釈すると、生徒には、みずからすすんで落ちこぼれる権利が保障されている、ということになりましょうか。これは、実はとても重要な考え方で、「愚行権」(おろかなことをする権利)という概念に近いものと思われます。
 日本では、かつては、勉強しないと、いい学校に入れず、いい学校に入れないと、給料の高い仕事につけない、と子供たちを脅してきました。そして、現在は、「勉強しないと、ワーキングプアになってしまう」と脅しています。
 正直、私も親として、そこまで割り切れません。その点の覚悟ができないと、なかなかフィンランドメソッドといっても日本では難しいのかもしれません。

 いずれにせよ、東アジア、特に漢字文化圏では、なにしろ、少なく見積もっても千数百の漢字をマスターしなくてはなりませんから、ある意味詰め込みの段階を必要とするのでしょう。

 考えてみれば、いまではすっかり評判の悪い「ゆとり教育」も目指すところは結構フィンランドメソッドと近かったのではないでしょうか。しかし、その基本のところで、「愚行権」までも子供たちに認めて教育をするという決断が現場でも、当然文部科学省でもできなかったことに、「ゆとり教育」の中途半端さがあったのかもしれません。

 

 

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コメント

久しぶり!!久しぶりにkuwaken,netをあけてみたら
フィンランドの教育の話・・・
以前、友達のブログに紹介されていたフィンランド大使館の運営しているHP”プロジェクトフィンランド”

ムーミンがフィンランドやフィンランドの教育を案内してくれますよ!!
http://www.projectfinland.jp/

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