地殻変動の地方自治 ①
2月6日(土) 埼玉県和光市文化センター小ホールで開催された、「自治体学関東フォーラム2010 in 和光」を聴講に行ってきました。
今回は、当麻市長もパネリストとして参加していました。
基調講演は、東京大学法学部教授の金井利之氏。この金井先生がいつもながら地方自治について、あまりにも当を得ているがゆえに、身も蓋もない現状分析を今回も披歴してくれました。
金井先生は、自治体は3面性を有しているといいます。
1)政治体 つまり政府としての自治体
2)経営体 企業としての自治体
3)公共体 NPOとしての自治体
ということでした。
私なりに言いかえると、1)は主権者がコントロールする対象としての自治体 つまり権力機構としての自治体ですね。 2)は行政サービスの提供主体としての自治体 早い話が、水道や保育園などの提供体として自治体です。 3)は、ちょっとうまく説明できませんが、私の感覚だと2)の派生系のような気もします。
ただ、金井先生も1)の政治体としての自治体で触れていましたが、全権限性・総合性・概括授権主義つまり、「法律的に規定があろうとなかろうと、自治体に発生する問題が問題だと思えば問題として取り上げることができる」わけですし、地方自治法の第二条で「 地方公共団体は、法人とする。」となっていますから、そもそも存在自体がNPOともいえますし、そもそも論でいえば、3)公共体についてはあたりまえといえば当たり前のことなんでしょう。まあ、しかしこの議論を突き詰めてしまうと、じゃあ、もし自治体内に別の自治体ができて、それが強大化した場合、自治体の包括授権性は事実上相対化されてしまうという危険性もありますね。
たとえば、戦後すぐに、いわゆる戦勝国民に好き勝手に動きまわられて、自治体内における治安力を失った事例(後藤田正晴 「私の履歴書」に記述された横浜の事例)などが極端かもしれませんが、思いつきます。
続いて、3つの地殻変動ということで、ここが身も蓋もない部分でして、
1)少子高齢化 少子化対策はもう手の打ちようがない
2)経済成長の終えん 経済成長は望めない
3)コミュニティの崩壊 コミュニティは再生しそうもない
ということでした。でも、その通りだと思います。金井先生と私は年代も近いせいか、共鳴するポイントが近いという印象です。
特に、福祉分野の方にコミュニティに全ての解決策のカギがあるようなことを言う人がいますが、それは相当難しいというのが私の見立てです。
なぜなら、特に所沢市などは、仕方なく都会に出てきた方もいますが、多くはコミュニティのわずらわしさがいやで都会に住んでいるわけですから、いまさら、コミュニティの世界というのも、どうかと思うからです。
そういう点からすると、ある機会に上勝町のごみの分別の事例が報告されていましたが、あれもコミュニティが機能し、相互監視が効いているから成り立つ話だという限界をわきまえる必要があるでしょうね。
特に、生まれたときからずっと所沢のような郊外で育った人は変なコミュニティ信奉がある場合もありますが、それはコミュニティのおどろおどろしさを知らないから言えるのであって、田舎出身の人でいやな思いをしたことのある人は、そういうことはないでしょうけど。
金井先生も経歴をみると群馬出身となってますので、もしかしたら、後者の例なのかもしれませんね。
つづく