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オランダ ティルブルグ市の廃棄物処理収集

  ティルブルグ市の一般廃棄物を収集する会社BAT(BRABANTS
AFVAL TEAM)を訪問して、ティルブルグ市の廃棄物処理方法、及び廃棄物収集処理の民営化の状況について質問。ティルブルグ市の人口は138,000人。
 廃棄物収集処理部門の民営化について  BATは会社組織であるが、100%ティルブルグ市の資本である。 インタビューをお願いした、ir. H.P.
Meijer
副ディレクターも、身分は公務員である。 また、現在は職員もほとんどが公務員である。  ティルブルグ市を含む北ブラバント州(NORTH-BRABANT)では、廃棄物収集処理について部門を自治体から分離して民営化しているケースが多い。北ブラバント州の7つの自治体の廃棄物収集処理を請け負う会社で、midwestという会社を設立。この会社には2人しか社員がいないが、共同で物品購入等を行ってコスト削減に努めている。7つの会社の中で、5つの会社が完全民営化(社員が公務員から会社員に)。ティルブルグ市も2006年を目途に、完全民営化を目指す。 ちなみに、BATは、全オランダの廃棄物収集処理会社中、もっとも経営効率がいい会社という評価を受けた。その理由としては、間接部門の人数が少ないこと(間接部門20名、現業部門140名)、収集車の修理等を行うテクニカルサービス部門が優秀なため、収集車の稼動効率が高いことによる。 また、収集状況について、厳密な調査を行っているそうである。ちなみに、それぞれの職員は、最低収集量が年代別に決められており、22歳~30歳は1日11トン、以下30歳~40歳は8トン、40歳以上は5トンということだそうだ。収集効率を上げるためにも40歳以上の職員に対しては、別の作業(持ち込みができる廃棄物処理プラットフォーム)での仕事への転換を薦めている。 民営化のスケジュールとしては、2006年に、職員の身分を公務員から、BATの会社員とする。ただし、既存の職員については、給料や年金、休暇等の条件については保証。ただし、2006年完全民営化後の新規採用職員については、新しい雇用条件で雇用するという。 完全民営化によって、10%の経費削減が見込まれるという。 ちなみに現在のBAT職員の平均年齢は40歳。 
廃棄物処理収集について
 分別の種類は、木(建物と家具)、ガラス、金属、紙、繊維、土と砂、石とコンクリート、化学製品、庭木からの廃棄物、それ以外(Rest)となっている。ちなみに電気製品(テレビ、冷蔵庫、コンピューターなど)は10年ほど前から、購入時に3ユーロをあらかじめ支払うシステムで、専門の処理業者に持ち込むとのことであった。 基本的には、それ以外を焼却にまわす。ユトレヒト市の廃棄物処理収集でも言及したように、オランダでは、廃棄物の埋め立て処理が原則禁止されており、分別で分けられなかったものについて焼却を行う。焼却施設は、ムーダイク(moerdijic)にあり、そこに貨車で持ち込み焼却する。ただ焼却施設の処理能力に限界があるため、焼却にまわせない廃棄物については、1週間に限って政府の許可を得て、野積みが許されているという。実際には、常に2割程度は、野積みの状態が続いているという。  オランダの廃棄物処理政策について
 当然ながら、塩化ビニル系のプラスティックについても、焼却を行うそうで、ダイオキシン発生の心配はないかとたずねたところ、排煙からフィルターを利用して除去するので問題ないとのことであった。また焼却装置には、所沢市と同様、金属の分離収集装置もあるそうである。 基本的には、分別できない廃棄物は焼却ということのようである。 庭木からの廃棄物、それ以外、紙についての廃棄物は、廃棄物を収集するコンテナーが市内各所に設けられている。それぞれいずれも135から140リッターの容量がある。 庭木からの廃棄物、それ以外は週に1回、紙については4週間に1回のペースで収集するという。年間処理量は、紙が約89,000トン、それ以外が42,365トン、庭木からの廃棄物が12,570トン。
 廃棄物処理有料化について
 現在、ティルブルグ市周辺の小さな町村では収集が有料化となっているために、廃棄物の持ち込みができる、廃棄物処理プラットフォームに周辺町村からの持ち込みが増えている。そのため、このプラットフォームへの入場については、市民だけに与えられるバッジを提示して入場するバッジシステムの導入を検討している。また、このシステムの導入に当たっての費用をまかなうため、一部産業廃棄物の受入れも検討している。産業廃棄物については完全従量制で課金するとのことである。よってプラットフォームも、従量制専用のプラットフォームを新設するとのことである。 ちなみに、市民も一般排出量の4~5倍量に達した段階で、従量制になる。それぞれの家庭の排出量は、そのためバッジに記録されることになる。また規定量に達した家庭は、従量制のプラットフォームを利用することになるという。
 所沢市との比較において
 所沢市では、廃棄物の収集処理について民間委託化を勧めている。いきなり直営から民間委託という方法以外にも、このティルブルグ市のように、収集処理部門をいったん自治体本体から切り離し、会社化し、その後完全民営化をするというシナリオがあるということは正直思いつかなかったので新鮮な印象であった。 ティルブルグ市では廃棄物収集処理に限らず、他の部門についても、一旦会社化し、その後民営化を目指すというパターンが多用されているという。 民間企業でも、組織のダウンサイジングにあたっては、別会社化というのが一般的な手法の一つであり、所沢市も他の分野でもこうした手法を検討する必要があるだろう。例えば、給食部門なども、会社化し、その後民営化という手法はありえるのではないだろうか?
以上

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