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市民環境委員会視察 ③ 北海道富良野市

21日(金)には、家庭からでる一般ゴミの資源化率が93%で、焼却率が5.8%の北海道富良野市を訪問しました。富良野市では、平成14年12月に焼却施設を廃止しました。現在焼却が行われているのは、平成16年度は、衛生用品(紙おむつ、生理ナプキン等)とペット糞が513.8t、動物の死体が0.6tだけとなっています。 では、他のゴミについてはどう処理しているのでしょうか?重量の多い順からみていきましょう。 富良野市でも、最も重量の占める割合が多いのが、所沢同様、生ゴミで2,907tです。これに枝草類532.7tを加えた3502.69tが実に全体の40%を占めています。この生ゴミが全て堆肥化されています。生ゴミ回収用の袋は、他のゴミとは違い、生分解性プラスティックを材料にしています。 この堆肥化を行う施設が、今回見学した、富良野市を含む5市町村(富良野市、上富良野町、中富良野町、南富良野町、占冠村)で共同設立した、富良野地区環境衛生センターです。センターは、前日にみた、環生舎とはうってかわって、近代的かつコストもかかっている施設です。施設建設に34億円を投じているだけあり、機械設備が中心の施設となっています。まさに、前日の環生舎とは好対照を成しています。このセンターを見て、逆に、前日の我満社長の言っていた「お金をかけない」「単純な」施設という意味がよくわかった次第です。 センターは生ゴミだけではなく、し尿や浄化槽汚泥もあわせて処理しています。周辺は森林地帯ですので、木材産業も盛んであり、そこから得られたバーク(木屑)も混入されます。バークを混入することで、水分調節と悪臭防止にもなるとのことです。 このセンターで生産される堆肥も、全量、農家が有料で引き取るそうです。農家のこの堆肥に対する評価も高いそうです。そもそも富良野地区は、家畜農家が少ないため有機肥料の原料となる家畜の糞尿をわざわざ十勝地区から買っていたそうです。あるいは、より安価な化学肥料に頼った農業を行っていたそうです。 生ゴミ堆肥化で、最も問題になるのが、堆肥の引き取り手の問題です。堆肥に対する信頼度、堆肥の有効性が認められないと、せっかくの堆肥が、埋め立て処理されるといった場合もあると聞きます。この点については、富良野市はクリアしているようです。 また、堆肥化が始まるまで、富良野市では埋め立てが行われており、その埋め立て地周辺は悪臭が漂い、生ゴミを求めてカラスやキツネが寄ってきて、そうした鳥獣が農作物を荒らすという被害もあったそうです。
 さて、重量で2番目に多いのが、資源ゴミです。2587.53tで29%。これらは基本的に所沢市と同様の分別と収集がおこなわれています。分類項目は、「乾電池・蛍光管」「空き缶・金属類」「空きビン・陶磁器・ガラス」「新聞・雑誌・段ボール類」「ペットボトル」「プラスティック類」。
 重量で3番目が固形ゴミです。所沢市では「燃やせるゴミ」に分類されています。この固形ゴミが2,166tで全体の24%。この固形ゴミは、固形燃料化して、かつては、冬場の市内の小中学校の暖房用として利用されていましたが、現在は、王子製紙㈱江別工場で燃料として有料で引き取られているそうです。熱量もボイラー用石炭と同程度の発熱量を有しているそうです。固形燃料化は、三重県で固形燃料を利用した工場が爆発炎上して以来、評判がわるいのですが、富良野市の場合は、固形燃料に生ゴミが含まれていないために、水分含量も少なく、そのため品質も安定していて、これまでなんら問題がなかったそうです。 固形燃料に生ゴミが入ると、生ゴミから発酵によって発生するガスが、爆発等を引き起こすようです。その生ゴミが含まれていないため、品質の安定が獲られます。 この固形ゴミには、所沢市では、燃えないゴミとして処理する皮革類も含まれています。 私たちは、固形ゴミを固形燃料化するプラントも見学しました。廃棄部担当の方によれば、「原油等の値段も高いため、引き取り手の工場からはもっと納入して欲しいとの要請が寄せられているが対応できない」とのことでした。  残りは、粗大ゴミが71tで1%、焼却処分となる衛生用品・ペット糞、埋め立て処分をする灰類をあわせて531.35tで6%です。
 富良野市を見学して、所沢市でも資源ごみの分別については負けていないなという印象を持ちました。しかし、最も遅れているのはやはり生ゴミの回収体制です。富良野市と違って所沢市では堆肥の受入れ先の確保が難しいとの声も聞きますが、実際には所沢市は公園や街路樹も多いのですから処理先は十分にあります。  生ゴミも富良野市ですら、1年間にわずか50ヘクタールの農地をまかなうだけの量しか生産できないそうです。単純に比較して、所沢市は、富良野市の人口(25,566人 平成15年3月31日現在)の約13倍ですから、650ヘクタールの農地に利用できる堆肥が生産できることになります。重複もあるとは思いますが、所沢市の作付け面積が約710ヘクタールあるのですから、所沢市の生ゴミは富良野市の例を引けば論理的には全量所沢市で利用できることになります。また、公園面積も117ヘクタールあります。ここに利用することも可能です。
 所沢市では一時期、固形燃料化を実験したそうですが、生ゴミをふくんだゴミで実験をしたため、あまり品質のよくない固形燃料となったとのことでした。
 いずれにしろ、所沢市がゴミ処理のリサイクルをより一層進めるためには、生ゴミ処理をどうするかということを避けて通れないようです。生ゴミ処理が軌道に乗れば、燃やせるゴミも東部クリーンセンターは、サーマルリサイクル、つまり熱を有効活用する焼却施設ですから、富良野市並のリサイクルが実現できるということになりますし、おそらく所沢市の重量で約4割を占める生ゴミがリサイクル可能になれば、理論的には、焼却炉も現在の東部クリーンセンターだけで十分まかなえることになるでしょう。 ところが、現在の所沢市は生ゴミ処理には非常に及び腰であり、現在策定中の廃棄物処理計画でも生ゴミについては全くやる気がないというのは気にかかるところです。今後はくわけんとしても、また委員会としても生ゴミリサイクルに向けて何らかの提言を行っていきたいと考えております。

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