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2007年08月07日

事業仕分けを実施中

 私が所属し、代表を仰せつかっている会派「翔」では、この7月と8月、会派のメンバー及び、他会派のゲストも含めて、
事業仕分けを行っています。事業仕分けとは、構想日本が随分と熱心に普及活動をおこなっています。
 今回の評価にあたっては、行政が実施している事業を、①不要、②国が行うべき、③県がおこなうべき、④民間にまかせる、⑤市で実施、ただし改善の必要あり、⑥市で実施、特に改善の必要なし、の6分類に分けるものです。基本的に私たちは千葉県の事業仕分けで利用した「評価シート」を元にして、市向けに改良したシートをつかって仕分けしています。
 
 評価にあたっては、①~⑥について、決をとります。全員が①になる場合もありますが、大抵は結果が
ばらけます。評価理由についてのコメントも付けています。

 例えば、文化会館施設事業については、①不要が4名でした。コメントは、「施設の老朽化も激しく、バリアフリーの観点から言っても、使い勝手が悪い。中央公民館完成に伴って廃止すべき。」でした。


 9月議会までに、市民経済部所管で、平成18年度行政評価表に掲載されている事業を、それぞれ評価しています。横浜市で実施した際には、予算要望の際に作成した、事業説明書を利用しています。
 残念ながら、今回は、平成18年度ベースの評価表が元になっていますので、平成19年度とは、多少事情が異なっている事業もあるようです。

 他の自治体の実施例では、公開で、職員も入るようですが、まずはテストケースとして、議員でやってみようということでやっています。

 結果は、追ってこのブログでも紹介させていただきます。

 9月議会終了後は、さらに規模を大きくして、他会派にもよびかけ、また市民の方々の参加も検討して
 今度は、福祉関連の事業を仕分けしようと予定しています。

「シムシティ」と自治基本条例 家庭新聞原稿

 「シムシティ」という私の好きなパソコンゲームがある。都市育成シミュレーションというのが、このゲームのコンセプト。米国発のゲームであって、自分が市長になって、未開の荒野に都市を建設していくのだ。詳細を知っていただくには、是非ゲームに触れていただくことが一番である。

 簡単に紹介すると、住宅地域と商業地域と工業地域に用途指定を行う。この辺は日本の都市計画とも一致する。電気や水道を引き、用途指定や税率をコントロールして、多くの住民を呼び込む。
 町の発展の指標は人口と地価と税率である。この3つが基本的にチェックすべき指標である。付随的に犯罪発生率や火災発生率などもある。

 なるほど、米国らしいのは、未開の地から開拓を進めることと、指標を人口や地価に置く点にある。米国の都市計画、都市経営についての哲学が直感的に理解できる。

 実際に、米国では、市町村はあるものではなく、創るものである。市町村の経営が下手な場合、つぶれる市町村もでてくる。
 行政の基本単位は州と郡(カウンティ)である。日本では、すべての行政区画がいずれかの市町村もしくは特別区に属しているが、例えばコロラド州では行政区画が市町村に属さない地域がある。州や郡の行政区画に市町村が点在するといったイメージが正しいだろう。
 カウンティの中で、人口密度が一定規模に達した地域では、市町村を住民自らが発意して創ることになる。その時に、まず最初に創るのが憲章(チャーター)である。今から20年前に、米国のある町シティマネージャーにお前の町にチャーターはあるのかと聞かれたので市民憲章を説明したところ、違うという。チャーターはその町の憲法であり、理念だけでなく、もっと具体的な条文が書かれているものであるという。

 そういうものは存在しないというと、非常にびっくりしていた。私も、まだ分権一括法が成立する前(つまり機関委任事務が存在したころ)だったので、そんなのは無理に決まっていると決め付けていた。

 ここ最近、所沢でも自治基本条例が議論されてくるようになった。なかなか理解が難しいという声を聞く。ましてやまちづくり基本条例というと、ハード面の「まちづくり」と勘違いされてしまうようだ。私は北海道ニセコ町で自治基本条例ができた時、「ああ、これは米国のチャーターだな」と直感した。条文のつくりも、チャーターに似ている。米国のチャーターを理解すると、自治基本条例についての意義がよく理解できる。
 
 あまり知られていないが、マッカーサーの憲法草案には市町村がチャーターを作ることを提起していたが、日本側の反対にあって実現しなかったという。

 私も自治基本条例については基本的に推進するべきだと思っているし、会派のマニフェストにも推進をうたっている。しかし、一方で、最高法規性、つまり自治体の憲法と位置づけることにはいくつかの疑問が残る。
 シムシティのように新たに何もないところから所沢市をつくるならば、まずはじめに自治基本条例ありきとなり、自ずから最高法規として位置づけられるだろう。 
 しかし、すでに市として何十年にもわたって存在してきた自治体が、条文に最高法規であると謳ったところで、実効性はない。
 
 また、条例制定にあたっても議会の議決だけでなく、住民投票で決するぐらいでないと、市民も最高法規としての重みを実感しないだろう。最高法規性の判断は、最終的には自らが吹聴するのではなく、司法判断を積み重ねることで、実態として最高法規に近づいていくべきものだ。
 
 ただ、いずれにしろ、地方分権の主旨から考えれば、ジグソーパズルの埋められていない肝心な1ピースではあるので、あまり堅く考えずに、現状の統治システムを再定義するということで、条例制定に向かうべきだろう。
 ちなみに、わが会派では、議会部分については、さらに議会基本条例の制定も提案している。

 いずれにしろ、この夏は、ぜひとも「シムシティ」を体験して、自治基本条例への理解を深める夏にしてください。