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米国ミネソタ州ミネアポリス市② 市議会 コールセンター311

6日(火)は、ミネアポリス市議会議長である、バーバラ・ジョンソン氏と、911及び311のアシスタントディレクターDon Stickney氏を訪問しました。午後には、ミネソタ州立大学を見学しました。

 バーバラ・ジョンソン氏は、地域無線LAN計画が持ち上がった時期は財政的にも非常に厳しい時期で、特にミネソタ州からミネアポリス市への補助金が減らされ消防士をリストラしなくてはならない状況だったため、すんなりと予算案が承認されたということではなかったと語ってくれました。しかし、ミネアポリスが他都市に比べて最新の情報通信技術の使い勝手がよい魅力的な街(high-techs savvy city)であることで、多くの若い人々を惹きつけるためにも重要であるとの意見も多く、また、民間と公共とのパートナーシップも充分に考慮されていたため、積極的に賛成したとのことでした。
 (参考 半導体最大手のインテル社が無線LANアクセスポイント(ホットスポット)が充実する全米100都市の順位を発表しました。ミネアポリス/セントポールは堂々第9位に選出されました。
ポピュラーサイエンス誌(2005年)は、トランスポーテーション・システムや医療機関などのテクノロジーの高さなどから、ミネアポリスをハイテクのトップシティにあげ、高く評価しています。
投資雑誌のキプリンガー誌は、ミネアポリス/セントポールを2006年「スマートに生活できる全米50都市」の第二位に選びました。
米国土安全保障省の調査で、ミネアポリス/セントポールは非常時の警察・消防署などの連携が最も整っている全米6都市に挙げられています。(2006年)
ミネアポリス公式ホームページ日本語版より)

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中央が、バーバラ・ジョンソン氏 右側筆者、左側が今回ご一緒したジャーナリスト石川氏
 ちなみに、ミネアポリス市は、弱市長強市議会であり、市議会の権限が強いのが特徴です。全ての市議会議員がフルタイムの市議会議員であり、年収が7万2000ドル、それぞれの議員に個室と秘書が用意されています。定員は13名です。本日はインタビュー後に、委員会の視察をさせていただきました。委員会の傍聴者も多く、テレビ中継もされており、インターネットで過去の委員会も視聴することができます。
 また、ミネアポリス市には、シティマネージャーは任命されておらず、より権限の弱いシティコーディネーターが任命されています。教育と公園管理は、管轄しておらず、それぞれに、教育区、公園区がおかれ、独自に理事会を設けて活動しています。


コールセンター311
 日本でも、札幌市や横浜市が熱心にとりくんでいるのがコールセンターです。米国では日本の110番や119番のように、311番に電話すれば、自分たちの住んでいる自治体の行政に対する注文や質問などができる都市が主要都市を中心に、毎年増えています。この制度は1997年連邦政府通信委員会が、緊急通報以外の利用に役立てるために創設した仕組みです。日本では、311番のように、3桁で直接自分の住む自治体に電話をすることができないため、使い勝手の点で改良の余地があるようです。311番については、元々視察を予定していたボルチモア市も充実しているのですが、ミネアポリス市も大変充実しています。日本でいえば、110番や119番に相当する、911番をミネアポリス市で管轄しています。所沢でも119番は市の管轄ですが、110番は県の管轄です。6日にお話を伺った、アシスタントディレクターDon Stickney氏は311及び911番双方を受け持っています。911番の司令室はミネアポリス市の地下にあります。

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Don Stickney氏

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コールセンター

一方311番のコールセンターは、市中心部から、LRT(市電)を利用して2駅離れた場所に位置しています。面白いのは、ミネアポリス市警察第3分署の3階にコールセンターがあることです。ミネアポリスの311番は2006年1月4日から始まったそうです
 現在、もっとも多い電話は、落書きについての苦情だそうです。もっとも多い電話の内容は落書きをはじめ、ご近所の迷惑なことなど、2006年で22.6%になるそうです。
上位20番の電話で全体の80%を占めています。2006年には全体で、61730件の電話があったそうです。利用した住民の方々の評判も高く、当初は、311に電話をして担当者に回すケースが3割から4割程度あったようですが、現在ではほぼ8割は担当課に回さずに、311番への電話で処理できるようになったそうです。また、このことに限らず、常に311番サービスの質の向上のために、業務の改善と業績測定を熱心におこなっており、回答時間の平均などの時間を測定しています。
 これは311番の大きな効果ですが、311番への質問や苦情を統計的にまとめることによって、そうしたデータが市長や議長、CIOに供されることによって、市の行政サービスの改善にもつながっているそうです。311番は住民サービスの向上のみならず、行政の業務改善にも役立っていると、Don Stickney氏は語っていました。

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