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米国ミネソタ州ミネアポリス市① 地域無線LAN(Wi-Fi)

地域無線LAN(Wi-Fi)構築による地域情報化と行政サービス向上

ミネソタ州ミネアポリス市

 ミネソタ州ミネアポリス市を訪問しています。
当初は、ボルチモア市のcitistadという、GISを利用したシステムを見学する予定でしたが、ボルチモア市が選挙のため、ミネアポリス市の無線LANを利用した地域情報化を見学することとなりました。
 5日は、ミネアポリス市の地域無線LANについてのコンサルタント、Rclient社CEOであるJames Farstad氏、ミネアポリス市CIO(chief information officer)Lynn C.Willenbring氏、ミネアポリス市長のR.T.Rybak氏らを訪問してインタビューを行いました。
 ミネアポリスは人口380000人で、所沢市とほぼ同じ程度の人口ですが、市街地の規模や周辺地域の人口等もあわせると260万人がお隣のセントポール市やその周辺にすんでいるため、所沢よりはるかに都市機能が充実している印象です。
 元々は、ミシシッピー川の唯一の大きな段差(St. Anthony Falls)から生みだされる水力を利用して、最初は製材業、その後は製粉業によって繁栄した街で、1880年から50年間は小麦製粉の世界首都(Flour Milling Capital of the World)と呼ばれていたそうです。
(詳細は、Mill City Museum
今も街の中心部をミシシッピー川が流れています。
 ミネアポリスの繁栄を生み出した段差から、少し下った500m程度下った橋が、今年の8月1日に崩落しました。大きく報道されたのでご存知の方も多いでしょう。
 
 ここで、無線LANを利用した地域情報化とはどういうことが簡単にご紹介しておきましょう。日本においても、公衆無線LANスポット(ホットスポット)というのが増えてきています。この公衆無線LANスポットを地域全域に広げようとするのがミネアポリス市の計画です。日本では、地方自治体が主体となって地域全体を無線LANのホットスポットにしようという動きはあまり見られません。その理由として考えられるのが、日本では光ファイバーの敷設を政策的に優先していること、携帯電話網が完備し、携帯電話でメールのみならずホームページの閲覧も可能であること、などが挙げられるでしょう。しかし、実際に、大量のデータ量のある画像や動画をやり取りするには、携帯の情報伝送量では限界があり、ケーブルを接続しないといけません。
 また、米国では消防と警察、さらに建築審査というのが自治体の主要な任務になっており、とくに建築審査は、日本のように建築確認が中心ではなく、実際に現場に赴いてチェックをすることになっています。こうした部門では、無線LANがあれば、回線を優先で接続できなくても、ラップトップを利用して、大量の図面やGISデータなどが、その場で参照できるという利点があります。
 ここ数年、米国では、地域全体を無線LAN(Wi-Fi)利用可能にしようという自治体の動きが盛んだったそうです。しかし、現実にうまくいった例は少なかったそうです。その理由として、民間に過度に依存していることや、想定利用者が住民に限定されていたことなどが指摘されています。
 James Farstad氏は、ミネアポリス市における無線LAN(Wi-Fi)は、住民の利便性向上という側面はもちろんのこと、行政の業務改善や、311という自治体によるコールセンターサービスをさらに発展させるために必要と強調していました。
(米国の一部の都市では、消防や警察が911、自治体に対する問い合わせや要求、苦情は、311にかけるとワンストップで対応してくれる)
311の機能をより強化するためには、電話やeメールでは、手段が限られており、動画やGISなどの地理情報が、無線でやり取りできるようにならなくては、更なる311の進化が実現できないとのことでした。
 また、地域開発という点も強調しており、市内の各地域ごとのポータルも、計画しているそうです。地域ごとのポータルが実現すれば、例えば、地域で営業している飲食店などは、わざわざ大きな広告費をかけなくても近隣に広告ができる特に、低所得者層が自由にインターネットにアクセスできる状況を作るためにも、無線LAN(Wi-Fi)は重要であると強調していました。
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James Farstad氏


 Lynn C.Willenbring氏は、特に8月の橋の崩落事故に際して、無線LAN(Wi-Fi)が期せずして有効に活用された事例を中心にお話されました。丁度、無線LAN(Wi-Fi)の基地局を事故地周辺では整備が済んでいたため、発信機つきのカメラを3台、崩落した橋のまわりに配置し、災害対策本部にカメラからの情報を逐一送ってきたそうです。また、カメラのIPアドレスを関係機関に公表したため、関係機関は、そのIPアドレスを利用して、カメラを通じた事故処理状況が確認できたそうです。おおよそ、2000ユーザーが利用したとのことでした。(無線LAN(Wi-Fi)の利用者は当該地域は800名)

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ミネアポリス市 CIO Lynn C.Willenbring氏


 R.T.Rybak氏は、やはりデジタルディバイドの解消という目的と、eメールのみならず、GIS情報や動画情報などを、双方向でやり取りできる可能性が増えることを強調していました。

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ミネアポリス市長  R.T.Rybak氏


 印象的だったのは、いずれの3氏も同じようなビジョンを口にされていたことです。
 今回は、不幸なことではありますが、橋の崩落によって、期せずして地域無線LAN(Wi-Fi)の有効性が実証されたことになりました。ミネアポリスでは来年、共和党の大統領候補者を選出する党大会が開催されるということで、来年にむけて、さらに移動式カメラを充実させて、地域無線LAN(Wi-Fi)を有効活用して、安全対策に役立てる予定だそうです。

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