米国イリノイ州ディケーター市訪問②
教育は「教育区」の仕事
例えば、ディケーター市では、教育や公園の管理は、それぞれ、特定区(スペシャル・ディストリクト)が担当しています。例えば学校を運営する区は「学校区」といい、独自の予算を持ち、学校区ごとに先生を雇い、学校施設を建設しています。独自の財源も持っており、学校区に住む市民から税金を徴収します。
(但し徴収は一括して行われ、その後配分のようである)
ディケーターでは、税率がもっとも高く負担が重いのが学校区に納める税金です。学校区にはそれぞれ、理事会がおかれ、理事は選挙によって選出されます。
ディケーター学校区のサイト ディケーター市では図書館の管理運営は市の管轄です。一方同時に訪れた、ミネアポリス市は、図書館は図書館区の運営でした。
公園管理については「公園区」が同じように、税金を徴収し、設置・管理・運営をおこなっています。
ディケーター公園区のサイト
日本の教育委員会システムも本来は、米国の「学校区」がモデルになっているといわれています。戦後の一時期、教育委員会も委員が選挙で選ばれていました。
「学校区」とは別に、2年生の短大である、リッチランド・コミュニティ・カレッジを運営するための特定区もあり、この特定区にもディケーター市民は税金を支払っています。学校は高校も含めて義務教育ですから、支払う理由もわからないわけではないのですが、コミュニティ・カレッジについては、義務教育ではないにもかかわらず、税金を支払うのは驚きました。
コミュニティ・カレッジは、高校を卒業後すぐの学生もいますが、社会人の再教育の場としても機能しています。ディケーター市内には、ミルキン大学という私立大学がありますが、学費が年間8000ドル(ではなくて、本当は、23,000ドル!ミネアポリスに同行した石川さんから教えていただきました。ちなみに寮費を含めると31000ドル。年間ですよ)、と高額なため、年間2000ドルで進学が可能なコミュニティ・カレッジで2年間勉強し、その後総合大学に進む学生も多いそうです。
技術系のコースを選択する学生は、そのまま地元企業に就職するケースが多いそうです。
産学連携も進んでおり、ディケーター市内にある有力企業が設備等を寄附しています。
日本でいえば、コミュニティ・カレッジが生涯学習の場を提供しているとも言えます。
さらに、タウンシップというものが、ディケーター市が属するメーコンカウンティの下、6マイル四方ごとに規則正しく碁盤の目上に置かれており、ここでもやはり、理事会の理事の選挙があるそうです。このタウンシップで道路や除雪の仕事を行っています。
ディケーター市の業務の範囲は?
ディケーター市では、9つの部があります。法務部、シティ・マネージャー部、水管理部、マネジメントサービス部、警察部、消防部、地域開発部、技術及びインフラ部、財務部です。興味深いのは法務部で、専任の弁護士がいます。
ディケーター市役所
今年は、日照続きで水不足が問題となっていました。ディケーター市の南部にはダムとダムによってできた人造湖である、ディケーター湖があり、そこから飲料水は取水しているのですが、水確保のために、水管理部では、市の北部に新たに溜池を計画しているそうです。
市の財源は、販売税が大きな割合を占めているため、地域開発部では、市内に商業施設を誘致することが、大きな役割となっています。市内に、かつては学校で現在は、商業施設となっている地区がありますが、この転換にあたっても市が大きな役割を果たしたそうです。
警察は自治体警察が基本ですが、留置場や警察署は郡と共有しています。警察もディケーター市域についてはディケーター市警察が、それ以外の周辺地域にはメーコンカウンティの保安官が担当しています。