« 米国イリノイ州ディケーター市訪問② | メイン | 2007.12議会 市長提案の2議案否決しました。 »

米国イリノイ州ディケーター市訪問③

 弱市長・議会型
 市という行政単位でどこまでの仕事をこなすか様々なケースがありますが、市長と議会との関係も様々です。ディケーター市の場合は、弱市長・議会型を採用しています。ミネアポリス市も弱市長・議会型でした。米国では、弱市長・議会型が主流です。日本は、世界的に見ると強市長・議会型に分類されています。強市長と弱市長の最大の違いについて聞いたところ、「幹部職員の任命権があるかどうかだ」と教えてくれました。一方で、ディケーター市には、事実上、首長と同じ権限を持つ、シティマネージャー(市支配人)をおいていることもあり、議会・支配人型ともいえます。ティケーター市の場合、市長は、選挙で選ばれています。市長は議会の議長も兼ねることになっています。典型的な議会・支配人型の市の場合、市長は議員の中から互選される場合が多く、ディケーター市の場合は、弱市長・議会型と議会・支配人型の中間のスタイルと言えるでしょう。

 意外にかかる市議会選挙費用
 市議会議員の報酬は年間4000ドル。市長同様、非常勤で、別に仕事を抱えています。毎週月曜日に議会が開かれます。現市議会議員のPat Laegelerさんに、選挙にどれくらい費用がかかったかお聞きしたところ、15,000ドルほどかかったとのことで、結構かかるのだなとびっくりしました。選挙費用のほとんどは、寄付でまかなったそうです。ちなみにイリノイ州議会議員は、1期務めるだけで60歳からもらえる議員年金があり、あまり評判はよくないそうです。

Pat Laegeler.JPG

ディケーター市議会議員 Pat Laegeler氏

 憲章はあるのか?
 いま、日本でも自治基本条例の制定が盛んに行われています。自治基本条例のモデルではないかと私が考えているのが、米国の地方自治体で憲章(Charter)制度です。米国の地方自治制度は多様なので、必ずとはいえませんが、新しく市や町を創設する場合、まず憲章を制定すると言われていますし、私もある町の米国のシティマネージャーからそう聞きました。そこで、ディケーターでは、憲章があるのか、聞いてみました。あらかじめ、ディケーター市を訪問する際に、ディケーター市のサイトもチェックしたのですが、憲章は掲載されていませんでした。(私の友人のコロラド州の町のサイトにはしっかり憲章が掲載されている)ディケーター市は、結論から言えば、「憲章はない」とのことでした。というのも、ディケーター市は、市となったのが約165年前。なにしろリンカーンが生きて活躍していたころから市として存在していました。ですから、自治体創設時に憲章を制定するということが定着するはるか以前から自治体として成立していたため、いまさら憲章を作る必要性は感じていないようです。また、帰国してから、イリノイ州の地方自治に関する憲法の規定を調べたところ、地方自治体が憲章を作ることを求める条文がありませんでした。
イリノイ州憲法「地方政府」条項

 住民発案(イニシアチブ)はあるのか
イニシアチブとは、住民が直接条例制定を請求する権利のことです。日本では住民投票条例制定の直接請求が有名です。米国では、イニシアチブとして最も有名なのが、カリフォルニア州の「提案第13号」です。この提案は、財産税の政府による引き上げ制限を求めたもので、1978年に実際に承認されました。ディケーターでもイニシアチブの例があるかどうか聞いたところ、あるそうで、次の選挙の際には、1)シティ・マネージャー制度の廃止、2)強市長制度への転換 の2項目が住民投票されるそうです。ある米国人に聞いたところ、最近では、選挙で選ばれたわけではないシティ・マネージャーの権限が強大になっており、問題になっている、とのことでした。この直接請求も、そうした背景の下で提案されたようです。ディケーター市の方々はこの提案についてはあまりいい印象を持っていないようでした。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.kuwaken.net/cgi/mt/mt-tb.cgi/97

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)