« いよいよ6月定例会始まる | メイン | 後期高齢者医療制度を通じて考える② »

後期高齢者医療制度を通じて考える①

 わたくし くわけん自身の今後の日本の高齢者医療や福祉についての考え方を整理する意味も兼ねて、これから、数回に分けて、後期高齢者医療制度を通じて、これからの日本の高齢者政策を考えてみたいと思っております。
(もしかするとこの1回で終わってしまうかもしれませんが)

 まずは、考えるきっかけとして、首相官邸に置かれている社会保障国民会議サービス保障(医療・介護・福祉)分科会 第4回会合(平成20年 5月20日開催)の中での議論で、樋口恵子さんのご意見を紹介します。

□以下引用 □
 ○樋口委員 高齢者へ風当たりが大分強うございますので、このメンバーをずっと見渡して、恐らく私が一番年長の後期高齢者の一人でございますので、一言申し上げます。
 私が大してお金を持っておりませんけれども、恐らく2%の側(くわけん注 65歳以上の年金受給者、老齢年金受給者のうち年収600万を超える方の割合が約2.4%という内閣からの説明を引用)には入っているんだろうと思いますし、多くの後期高齢者が負担するということには全くやぶさかではございません。その意味で後期高齢者からの天引きが諸悪の根源のように言われますけれども、どうしても負担しなければならないものであったならば天引きしてくれるほうが手数がかからなくて気楽な面がございます。
 問題は、きょう矢崎委員がいみじくもおっしゃってくださいましたけれども、後期高齢者医療制度というものが本当に高齢者の身になって、高齢者の望むものとして後期高齢者の意見を聞いて行われたか、厚生労働省さんは老人クラブからヒアリングを行いましたとおっしゃいますけれども、本当に後期高齢者の生活や身になってどのぐらい設計されていたかということが今回の後期高齢者の怒りの根本でございます。
 その制度が我々にかかわりのあるものならば当事者がどんな形であれ意見を聞いてもらいながら参画しながら進めていただきたかった。それがほとんど絶無に近かったというふうに私などは理解いたしております。
 ですから、このように2つに制度を分けるということについて、若い人の負担を思うとこれしかないと言われればそれはそれでもいいのかなと思います。
 ただ、今税金で5割ですか、負担して若い人の負担にならないようにするというこの制度の中で一体後期高齢者医療制度がどこまでやってくれるのか、どこで打ち切られるのか、巷間いろいろ言われるばかりで全く実態が見えてまいりません。その部分に後期高齢者はいささか感情的になっているんだと思います。対象者を感情的にさせるような政策というのは進め方が間違っていたのではないだろうかというのが私の意見でございます。
以上 引用終わり □

 私自身は、後期高齢者医療制度は政策面だけで考えれば、ベストの選択とはいえないとは思いますが、現下の政治的な状況下では一定の合理性のあるしくみだと考えています。(たとえば、高齢化率の高い自治体の国民健康保険の救済など)
 しかし、やはり樋口恵子さんが、制度の合理性をある程度認めつつ、おっしゃっていることに尽きるのだと思いますが、「本当に高齢者の意見を聞いたのか?」「政策形成に当事者である高齢者は参画したのか?」という点が問題になっているのだと思います。
 よく、何か物事を意思決定し進める上で「俺は聞いてないよ」ということを理由に強行に反対されることがありますが、まさしく高齢者の方々にとっては、「そんなの聞いてないよ」という憤りが大きいのではないでしょうか。

 ただ、後期高齢者医療制度を議論する際、この制度だけを取り出して議論するのは、私は正確な議論ができないと考えています。
 つまり、高齢者の医療確保の問題は、医療だけではなく、福祉や年金問題とも密接に絡み合っているからです。だから、タイトルが、「後期高齢者医療制度を考える」ではなく「後期高齢者医療制度を通じて考える」としたのです。
 以下 続く
 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.kuwaken.net/cgi/mt/mt-tb.cgi/124

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)