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 講演「政権交代と地方自治」の論点と私の考え①

 さて、昨日に引き続き、私が、気になった西尾勝先生のご講演の論点を、それに対する私の意見を、順不同でまとめてご報告いたします。

地方議会制度改革について

 私以外の別の方の質問で、地方議会がどうあるべきか、という質問が出ました。その質問への答えと講演の最後でお話された、3.小沢一郎民主党幹事長の政治改革の構想 では、小沢氏は国会改革の後は、公職選挙法・政治資金規正法の抜本改正を意図しており、最後は、原口改革がこれに合流する、というものでした。

 つまり、地方自治法の抜本的な見直しによって生まれる地方政府基本法では、地方議員を決める公職選挙法は射程範囲には入らない。公職選挙法は国会議員、地方議員、さらには、各種行政委員会や地方議会議長選挙までを対象にしている通則的な法律であり、いくら地方政府基本法でいじっても、地方議員制度改革に手をつけるには、公職選挙法と政治資金規正法に手を付けざるを得ない。
 ということで、原口改革は、最後は小沢改革と合流するという見立てでした。

 さて、ここからは私の意見。
 原口総務大臣や現民主党政権の地方制度改革については、原口一博著「民主党が日本を変える!地域主権改革宣言」を丁寧に読むと、その意図は大体読み取れます。地方議会制度改革については、原口大臣を含めた、5人の議員の座談会、「地域主権時代に求められる議会のあり方」と、橋本大阪府知事と原口大臣の対談における議会改革の部分を読むとより一層像が結びやすくなります。橋本知事は現職議員を部長に据えようとしてできなかった事に問題意識を持っているようで、この点に原口大臣も共感しています。どうやら、この二人の議論のなかから、以前ご紹介した、平成22年1月11日日本経済新聞「地方自治法抜本改正」「議員を行政要職に」が出てきたものと思われます。

 話を、もどして、西尾先生の考える議会制度改革ですが、地方議会は、その組織構成においては必ずしも住民を代表していない。大体が50代以降、男性が多く、そして、職種も自営業が中心という認識でした。そのためには、いわゆるサラリーパーソンも議員に兼職できる仕組みを担保する必要があり、そのためには、「大多数の欧米の地方議会のように」議員はほぼボランティアで、夜間に議会を開催すべし、ということでした。
 ただし、都道府県議会議員は除く、とのことでした。
 行政学の権威の西尾先生が「欧米はボランティア議員がほとんど」と言われるので私どもも風評被害をうけているのですが、以前にも紹介したように、たとえばこの例ばかりで恐縮ですが、米国ミネアポリス市の議員は数は少ないですが、しっかり専業で有給で(約750万円)、さらに専属スタッフが1名ついています。ちなみに、アメリカの場合行政の守備範囲も分割されており、たとえば教育委員会に相当する学校区では独自の財源と独自の議員を抱えていたりします。ですから、数も少なくても可能です。

 私は、そういう点からいっても、基礎自治体も規模によって、制度は変えるべきであり、たとえば、所沢市議会の場合は、先生が指摘したような代表制という点で言えば、女性議員が3分の1を超え、議員の年代も30~40代が中心ですし、自営業者も3分の1以下で専門職議員がほとんどです。

 これは所沢市に限らす、西尾先生がお住まいの東京都武蔵野市も、以外に住民構成比と議員構成議が類似しています。東京周辺部は、共通する現象かと思います。それは、やはり、いいかどうかは別にして、専門職議員としてなりたつだけの議員報酬があるからです。

 どちらかといえば、私は、議員の任期制限が必要だと思います。今後の地方政府基本法には首長の任期制限が盛り込まれてくると予想していますが、地方議員こそ任期制限を設けるべきです。特にひどいのは都道府県議会議員で、中途半端に小選挙区ですから、いったん議員になると、二人区などはもうすみ分けができてしまい、無投票も多いような印象です。
 そしてそういう議員に限って、守旧派となって、県政改革や議会改革を妨害している印象です。

 ですから、もし、都道府県知事の任期が3期と法定された場合、都道府県議会議員は私も先輩がいらっしゃっていいにくいのですが、4期に制限すべきでしょう。同様に地方議員についても、市長任期が3期なら、4期に制限すべきです。
 その絡みで言えば、当然議員年金などはさっさと廃止をしてもらわないといけません。

 地方政府基本法に、首長だけでなく地方議員の任期制限を盛り込むことができるかどうかが、私は議会改革を進める大きな論点だと考えています。

  勝手な私の考えですが、いわゆる中核市要件を満たす市以上と、それ以外の市では、議会制度の在り方も変えていく必要があります。実際に、中核市未満の市では、これもいつかはしっかりと調べようと思っていますが、市議会議員選挙の定数に対する立候補者の数が低い印象があります。ちなみに所沢市は、定数36名に対して、50を超える立候補があります。この辺が判断基準の一つとなってくるのではないでしょうか。いくつかのパターンを地方政府基本法では用意して、それを住民の皆さんに選択していただくのがいいと思います。

つづく
 

 

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