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2010年夏の参議院議員選挙の結果について

 7月11日(日)夜9時から2時間、国会TVというふだんは国会での審議を中継しているテレビ局で、参議院選挙結果についての特番を組むことになり、松下政経塾が企画協力しました。私も企画協力し、さらにはコメンテーターとして参加しました。
 その番組の中で、コメントした内容を今思い返して、さらにテレビでは言えなかった事、言い足りなかったことをつけたして、あらためて今回の参議院選挙結果について評価します。

 今回の参議院選挙で注目していたポイントは、新党と消費税です。新党設立は、松下政経塾出身者にとっては遺伝子に組み込まれているところがあり、この辺の事情は、今回みんなの党から立候補し、当選した、江口克彦著「松下幸之助はなぜ、松下政経塾をつくったのか」に詳しく書かれています。
 政経塾出身者が国政選挙で当選できたのも、日本新党やさきがけ、新生党といった新党ブームがあったおかげでした。それまではわずか1名しかいなかった衆議院議員が12名に増えました。
 この新党ブームがなければ、政経塾は大袈裟にいえば存亡の危機にあったので、政経塾の閉鎖もしくは一時募集停止という時代もあったかもしれません。新党ブームで、なんとかその後も政経塾を続けることができたといえるでしょう。(存亡の危機とは、政経塾の受験者が少なくなってしまったこと。志願者が100名を切った。ちなみに私のときで1000名を超える志願者でした。100名を切ると、私も選考をやっていたのでわかるのですが、採用に足る人材が確保できなくなります)
 新しい政治を実現するには新党しかない、というDNAはここにも理由があります。
 ということで、塾出身の政治家が中心になって、つくった日本創新党ですが、伸び悩んだようで、議席がゼロということで、非常に厳しい展開になりました。前杉並区長の山田宏先輩や前横浜市長の中田宏さんという強力な2人が立ち上げた党でしたが、党所属国会議員がいなかったため、メディアでは諸派扱いとなり、ほとんど報道されなかったのが、残念な結果につながったようです。

 しかし、一方、政経塾出身者の大臣がいま4名います。そもそも民主党も元をたどれば新党であり、そういう意味でいえば、もう新党をつくって新しい目指す段階から、新党の成長、成熟によって実際に政治を変えていく段階に達したとも言えるのかもしれません。

 みんなの党は確かに議席を伸ばしましたが、当初は47都道府県すべてから候補者を擁立し、一気にキャスティングボードを握る展開を目指していたようでしたが、結局選挙区では3議席、比例で7議席と全部で10議席であり、これでは、民主党の議席数も減ってしまったため、みんなの党と民主党だけでも過半数に達しませんからキャスティングボードを握れない中途半端な状態です。

 また、たちあがれ日本も議席獲得ならずということで、新党への投票は、みんなの党に集中したようです。新党ブームは起きなかったと総括してもよいでしょう。

 ちなみに、以前も言及したように、渡辺みんなの党総裁はわざわざ国会代表質問で、松下幸之助の名前や江口克彦氏の名前を出して、政経塾出身の原口大臣を挑発しましたが、この党からは政経塾出身者は一人もいませんでした。みんなの党は、渡辺代表と江田けんじ議員が主導権をお持ちと聞いていますが、特に江田けんじ議員は、ずっと選挙で中田ひろし氏と対決していたせいか、あまり政経塾に対していい印象をお持ちのようではないと聞こえてきます。そんなこともあって、DNA的には近いものがありながら政経塾出身者はあまりお声もかけていただけなかったようです。

 さて、消費税ですが、私は消費税増税はやむなしの立場ですから、今回の結果をみて、途中ブレたとはいえ、少なくとも政権与党が消費税引き上げに言及しながらこれだけの議席減で済んだことが逆に驚きでした。今回の民主党への評価は消費税増税よりも、むしろムダを削って財源を生み出すと言っていたのにそれが実現できなかったことや、官僚主導型の政治の脱却があまり進んでいないことへの反発の要素が強いとみています。

 一部のマスコミは、もう民主党政権が崩壊するかのような報道をしていますが、私は中期的にみれば有権者のバランス感覚は絶妙であり、社民党、国民新党との連立政権で普天間と郵政民営化というすっきりしない問題を抱えていたより、むしろみんなの党や公明党との政策ごとのパーシャル連合の方が、民主党政権運営にとってはトータルでみればプラスに働くものと予想しています。むしろ大変なのは自民党で、中途半端に勝手しまったがゆえに、改革が遅れてしまう可能性が高く、こちらの方が心配です。

 当日話した内容と随分変わってしまいましたが、現時点での参議院選挙結果についての感想です。

 ちなみに、政経塾出身者は11人出馬して、5名が当選しました。福山哲郎さんを除く4名は新人でいずれも自民党所属でした。5名のさらなる活躍をご期待申し上げます。
 

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