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議会改革について ③

こういった気風は日本に独特の現象ではなく、ドイツやイタリアといったファシズム
> に席捲された国々においても同じような現象が見られました。ドイツでは、ナチ党が、
> 正当な選挙で多数を経て、ついには、行政権が立法権を有する「全権委任法」を成立さ
> せ、議会が有名無実化しました。
>  現在の日本においても、長引く不況の影響からか、首長独裁を歓迎する気風が醸成さ
> れつつあるといってよいでしょう。例えば、名古屋市の河村たかし市長や、大阪府の橋
> 本知事などの台頭がそういった状況をよく表しています。
>  ヒトラーは、全権委任法に反対した当時の社会民主党の議員に対して、罵詈雑言を投
> げかけたといいます。まるでどこかの首長に似ていなくもありません。
>  
>  しかし、首長独裁を許容する気風を醸成した責任の一端は、これまでの地方議会の怠
> 慢にもあります。右肩あがりの経済状況であったときの議会は、議会本来のチェック機
> 能や条例制定機能を発揮するより、資源分配機能、資源獲得機能にその精力の大半を使
> ってきたといってもよいでしょう。いかに、自分達の地域や関係団体に、より多くの資
> 源を分捕ってくることができるか、その腕力こそが、議員の力量を図るバロメーターだ
> った時代です。腕力重視の時代には、多少の乱暴狼藉には目をつむっても良かったので
> しょう。いくら右肩上がりの時代ではあっても、資源量は限られていますから、そのた
> めには徒党を組む必要がありました。自分達のグループにより多く配分してもらうため
> には、首長をなだめすかし、首長との距離間を縮めなくてはなりません。かくして地方
> 議会には、擬似議員内閣制とも言える、擬似与党、擬似野党が形成されました。大半の
> 首長も擬似与党制度を歓迎しました。限りある資源の配分に当たっては、擬似与党を優
> 先して配分することによって分配の煩わしさを逃れることができました。市民参加によ
> る決定など儀式に過ぎませんでした。
>  しかし、バブル経済の崩壊、三位一体の財政改革など、右肩上がり経済が崩壊すると
> 、擬似与党にすら配分する資源がなくなってきました。こうなると、擬似与党となって
> 首長にまとわりつくメリットが無くなりました。一方で、住民の要求も、一定程度の下
> 水道、道路などのインフラ整備が進んだ段階で、むしろ、税金の無駄遣いに対する厳し
> い監視の目が注がれるようになってきました。全国的にわき起こった、食料費の乱脈利
> 用についての批判など、無駄遣いをなくすことを求める住民が増えてきました。それに
> 伴って地方議員も、税金の無駄遣いを指摘することによって票を獲得する議員も増えて
> きました。そうした議員にとっては、与党であることより、野党もしくは、ゆ党(与党
> でもなく野党でもなく、中間的な立場。是々非々とも言う)の方が活動しやすくなって
> きました。かくして、擬似与党の存在はますます有名無実化しつつあります。ここにき
> て、ようやく、戦後地方自治制度が構想した地方議会の本来のあり方が発揮される条件
> が整ってきました。
>
> やはり議会も変わっていかなくてはならないという危機感は議会関係者にもある程度共
> 有されつつあります。これまでにも議会改革が叫ばれた時期があります。例えば、議員
> の口利きなどによる逮捕者が出た際には、議員政治倫理条例の制定が盛んになりました
> 。夜間議会や休日議会などの開催がはやったこともあります。ただ、今回の議会改革ブ
> ームはこれまでの議会改革と大きく違っている点があります。キーワードは住民参加で
> す。

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