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神奈川県藤沢市でDPファシリテーターをしました ⑤

 全体会場へ移動後、それぞれのグループからの質問がありました。Iグループの質問時間は、最後の方になってしまったため、「時間もないため質問は1つに集約して質問して下さい」となってしまい、結局「他地域の地域活動が活発な事例」の質問になってしまいました。Iグループに限らず、午前の回答は、どうしても藤沢市のことについては答えないということになってしまったので、参加者の皆様は一様に不満そうでした。これは前回も参加したT氏によれば、同じように不満が出た点だそうですが、安易に市の担当者が答えてしまうと、そもそもの趣旨から外れてしまうので、なかなか市の意向ということは答えにくいとの事でした。
  しかし、一方で、じゃあ、他市事例についても、「たくさんある」という答えや、逆に「どこもうまくいっていない」という答えだったり、参加者の皆さんの全体討論についての満足度は低いようでした。

  その後、もう一度昼食をとっていただくために、グループ討論会場に移動していただきました。
  午後の全体討論では、一部回答者が交代したことも幸いして、藤沢市の事例についても紹介されました。午前については、高齢者問題が論点にあるのだから、高齢者対策についての高名な専門家を準備しておくともう少し参加者の満足度も高まったのかもしれません。午前の全体討論が一部の方に不評であったため、後半のグループ討論で、参加者に質問をもとめたところ、「どうせあんな回答しかないなら、質問をする意味がない」と言われてしまいました。

  午後は、午前とはうってかわって重苦しい雰囲気に包まれました。以前参加したファシリテーターの方からは「昼食後は打ち解けて、討議がはずむよ」と言われていましたが、テーマが抽象的だったこと、昼食後で眠かったこと、そして、せっかくの午前の盛り上がりが、全体討論で中断されてしまったこと、などの理由で、盛り上がりに欠けてしまった印象です。

 テーマですが、午後は大テーマが「藤沢における地域内分権と新しい公共」。中テーマとして、「藤沢における『地域内分権』」と「藤沢市における『新しい公共』」。私にとってはどれも好きなテーマですから、何時間でも議論できるテーマですが、関心のない方にとっては、馴染みにくく、かつ生活実感からもかけ離れたテーマだったようです。プログラム構成としては、実によくできているとは思いました。先ほども触れたように、午前、さらに討議が進めば、午前のテーマと午後のテーマは関連していますからスムーズに入っていけた可能性もありました。つまり、午前のテーマである「藤沢の高齢化と市民の選択」は午後のテーマ「藤沢における「新しい公共」と関係していますし、午前のテーマ「公共施設老朽化と市民の選択」は、午後の「藤沢における「地域内分権」との連関が読み取ることができます。

  ただ、ファシリテーターとしては議論の方向性を誘導はできないので、私の参加したグループでも、それほど午前と午後がスムーズにつながったとは言い難かったです。参加者の中にはその連関に気づいた方もいて、わざわざ午前での議論を引いて、午後のグループ討論において、そのことをわざわざ話題として持ち出してくれるかたもいらっしゃいました。

  私としては、午前に、主として「藤沢の高齢化と市民の選択」を討議したので、このテーマは、「新しい公共」との親和性が高く議論に入りやすそうだということで、午後は、「藤沢における『新しい公共』」、論点は「『新しい公共』という考え方に基づいて、藤沢の将来をつくっていくべき」を切り口に設定して議論を進めていただくこととしました。

  午前は、ほぼ全員の方々が発言をしていただけましたが、午後は、少数の方々が長い意見をお話される傾向が強まりました。特に午前に比べて、生活実感と結びつけ難いため、抽象的議論が好きな方々の発言時間が増えました。傾向としては男性の方が議論を支配する時間が長くなりました。

 ファシリテーターとしては、特定の方が長い時間お話されるというのは、ある程度コントロールするべきかとも思ったのですが、お話された方が、ご自身のご意見の披瀝というより、「新しい公共」などについて、他の参加者の方に解説・説明していいただいている側面も強かったため、非常に迷ったのですが、あまり介入せずに発言いただきました。お陰で、他の参加者の方々の午後のテーマについての理解も深まりました。ある参加者の方からの発言がそのことを象徴的に表しているのですが、その方は、「『新しい公共』とは例えば藤沢市には動物園がないので、どういう新しい公共施設を今後整備していけばよいかという事だと思っていた」という発言に集約されるように思います。 
 
 その後も、他の参加者からも、「『新しい公共』という意味がようやくわかった。自分がこういった行政についていかに知らずに無関心だったかを思い知らされた。今後はこれをきっかけにもっと行政についても関心をもっていくべきだ」などの発言が相次ぎました。午後のグループ討論は、ほぼ、テーマを理解するということに時間が費やされました。そのことはそれで貴重だとは思いますが、理解から討議へまではなかなか行き着かなかったというのが、実態だったといってよいでしょう。
 しかし、世論調査という観点からいえば、午後のてーまについては、それだけ住民の方々に馴染みがないということは明らかになったわけですから、その点においても貴重な討議であったと言えるでしょう。午後の質問は、「『新しい公共』とは新しい公共施設整備のことだと思っていた」と発言されていた方に質問者となっていただき、全体討論での質問内容を決定し、午後のグループ討論を終えました。午後は、沈黙が支配する時間も長かったのですが、終盤には、皆様もテーマについての理解も深まり、盛り上がったところで、時間終了となりました。
 午後の全体討論は午前の反省が早速反映され、曽根先生も藤沢市の事例についても積極手に取り上げていただいたため、午前より参加者の満足度も高かったように見受けられました。ただ、できれば、午前からそのようにしていただければ、午後の質問作成ももう少し盛り上がったのではないかと思われます。
 最後に全体討論の会場で、朝と同じテーマのアンケートを作成していただき、参加者の方々には謝礼(5,000円)をお渡しして、解散となりました。

つづく

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