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民主党代表制は開国派と攘夷派の戦い?

 アエラ’10.9.13号11pで、内田樹氏が民主党代表選挙の争点は、管首相ら「対米宥和派」と小沢、鳩山ら「対米独立派」の対立だと見切っている。私もその見方にほぼ賛成だ。そのことは小沢氏が普天間返還を公約にかかげていることにも見てとれるし、鳩山氏が普天間返還にこだわった点からも言える。

 小沢氏の政治的DNAには当然田中角栄のDNAが入りこんでいる。もし、小沢氏が首相になったら、普天間返還を米国との交渉で実現させて、一気に支持率拡大を図る戦略だと思う。では、本当に普天間は返ってくるのか?わたしにはわからないが、小沢氏が米国に対してどのような対策を打つかは容易に想像がつく。田中角栄の手法を踏襲するとするならば、ずばり、カネだ。

 沖縄返還は、武力によらない領土回復としては稀有な例であり、それによって、佐藤首相はノーベル平和賞を受賞したと聞いたことがある。しかし、その裏では、日米繊維交渉という、米国内繊維産業の保護のために、日本からの対米繊維輸出を規制するという交渉の妥結があってこその返還といわれ、「糸を売って、縄を買う」と評された。その日米繊維交渉を仕切ったのが当時の田中角栄通産大臣だった。
 田中大臣は、国内の反発をカネ(補助金)によって抑え込み、無事日米繊維交渉をまとめあげ、沖縄返還への道筋をつけた。

 当時のニクソンの大票田は南部の繊維業者であり、少し脱線するが、南部は南北戦争以来伝統的に民主党支持であり、共和党の候補が大統領になるには南部の保守的な民主党が、共和党に投票することで大統領の地位を獲得できるのだ。

 米国は、アラスカをロシアから金銭で買ったことからも分かる通り、領土を功利主義観点から扱うことに抵抗感がない国ではないかと私は見ている。

 続いては小沢氏本人の経験である。小沢氏が自民党幹事長時代に湾岸戦争が勃発。日本は、90億ドル、当時としては約1兆2,000億円の多国籍軍への拠出を決めた。金を出して人を出さないことに一部から非難も上がったが、米国の指導者層かみればこれだけ巨額の支援で国内をまとめた小沢氏の力量を素直に認めたことと思う。小沢氏が幹事長というポストにこだわるのもこの時の成功体験があるのではないだろうか。

 以上の点から、おそらく、普天間返還にあたっては表にでるか出ないかは別として、グアム移転費の負担などとはケタの違う額の提示をすることで、一気に交渉に持ち込むという手法にでると想像する。
 アメリカはプラグマティズムの国なので、カネ次第でケリのつく国だという皮膚感覚が小沢氏にはあるのではないだろうか?

 対米交渉はともあれ、国内をまとめきる力量はやはり鳩山氏や管氏にはないだろう。どこのボタンをどうおせばいいのかが、いまひとつよく分かっていないようだからだ。
 
 もし、本当に普天間返還が実現すれば、当然ながら、マスコミはもてはやし一気に支持率は向上するかもしれない。

 ただ、このような手法は当然副作用も発生する。対米追従を第一目標とすると、当然中国に対するスタンスが甘くなる、と見られてしまう。これも田中角栄のDNAであるが、小沢氏は、中国を対米けん制のためのカードとして利用する傾向がある。また、日本政府に対する隠然たるロビイストである台湾独立派も、沖縄からの米軍基地縮小は避けたいシナリオだ。当然米国にもフプラグマティストだけでなく、国家主義的な方々もおられる。このような人たちがマスコミ等を通じて日本に介入してくると、なぜか、様々なスキャンダルがあふれ出てきて、政権維持がおぼつかなくなる。もうすでに今日発行の週刊誌には、小沢関連のスキャンダルが目白押しである。

 また、カネで交渉にケリをつけることに対する反発も若い議員には根強い。若い議員は、中国に対する小沢氏の態度にも不満な議員が多いのではないだろうか。
 カネで解決しないなら、人を送るしか方法はない。それが軍人であれ民間人であれ。小沢氏は「普通の国」ということを言っているし、国連に常設軍を置き、そこに日本も参加すべきという持論をお持ちのようだ。その点からすれば、当然人も送るという立場だと思う。しかし、短期的には米国相手にはカネなのだろう。

 そういう点からすれば、今回の民主党代表選の争点は、普天間返還ということになり、この点の主張はくっきりわかれている。また湾岸戦争の時と同様、カネを準備するためのなんらかの増税は避けられないことも覚悟しておくことだ。

 それとこれは、小沢氏に限らないのだが、どうしても人間は自分の過去の成功体験にしがみつく傾向がある。しかし、いつでも勝利の方程式が通用するとは限らない。小沢支持派は小沢氏の実績を強調し、この実績があれば未来も同様に問題解決できると思いたがる傾向があるが、事はそれほど単純ではない。成功体験に縛られると、いつかはその成功すべてを打ち砕く失敗を持って襲ってくることは歴史のありがたい教訓だ。そのことも肝に銘じておくことが重要だ。

 
 

 

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