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奄美で活動している後輩の安田さんからのメールです

10月29日金曜日、奄美大島でNPO活動をしている、私の松下政経塾の後輩の安田壮平さんから、奄美の状況を伝えるメールをいただきました。ニュースでは最近はあまり伝えられなくなったため、その後、急速に奄美に対する関心が薄れつつある現在です。しかし、安田さんからのメールを読む限りでは、取り急ぎ応急的な復旧はできたが、本格的復旧にはまだまだ時間がかかりそうです。

より多くの方に奄美の実情をしっていただきたく、ご本人の了解を得て、安田さんからのメールを再掲載させていただきます。(筆者一部省略しました)

以下、メールです。
いつもお世話になっております。
卒塾後、故郷奄美大島に帰り、2年半になります。
今回の豪雨災害の状況を、皆様にどうしてもお伝えしたいと思い、メールをさせて頂きます。

今月20日の豪雨災害発生から1週間以上経過しましたが、
まだ復旧の目途が立っていないように感じております。

電気はほぼ完全に復旧しましたが、道路、水道、通信はまだ途上です。
特に道路の復旧作業には難航しているようです。
奄美市住用町には、まだ陸路では行けず、海路で行き来している集落もあります。

今回の台風14号は比較的被害が少なくやり過ごせたように思いますが、
国道や他の支道でも、降雨量次第では通行止めなど交通規制がかかり、
救援活動上も、市民生活上も、島民の移動に多大な影響を及ぼしています。

水害に遭った家屋については、持ち主が家族、親戚、友人・知人に
民間ボランティアが加わって、家財道具等の災害ごみの搬出を一通り終え、
消毒・乾燥をして、罹災証明を取り、公的支援を待っています。

土砂災害に遭った家屋でも、同様に災害ごみを搬出し、
ただ土砂の除去作業は個人ではできませんので、
公的機関による重機等の出動の到着を待っている状況です。

避難所で生活している避難民の方々は、主に身寄りの乏しい方々で、
救援物資は足りているようですが、体調管理、ストレス管理、心のケアが課題です。

災害ごみの処理も大きな課題といえます。
奄美市名瀬にあるクリーンセンターの許容量を軽く超えるほどの膨大なごみが出ています。
いまは各集落のそばに集められ、悪臭が漂い不衛生な状態が続いています。
これらを運搬する大型ダンプ等の重機も、不足していると思われます。

いま必要なことは、重機等の機材と、それらを扱ったり、復旧作業に熟達しているマンパワーの増強
だと考えます。
外海離島のため、輸送に限りがあるとは思いますが、それらを短期集中的に投入して、
早く復旧の第一段階を終えなければ、奄美はもともと雨の多い地域であり、
川底に土砂がたまるなど災害が起きやすい状況ですので、被害が再発・拡大する可能性が大きいと思
われます。
(奄美の年間降水量は3000ミリ。東京の2倍、那覇の1.5倍です。)

今回の被害からの回復には、相当な時間がかかると感じております。
避難されている個人レベルでも、1年から2年、長ければ5年から10年ぐらいかかるかもしれませ
ん。
道路や土砂崩れした斜面等の被害の復旧も、7~8割方回復させるだけでも、
数年はかかりそうに思います。

奄美大島には、現在6.6万人の人口がありますが、
毎年約千名ずつ、人口が減少しています。
(国勢調査:平成12年7.4万人、平成17年7万人)
国内でも、人口減少が著しい地域の一つといえると思います。

今回の被害に遭われた方々への公的支援の質・量・スピードがある程度十分なものでなければ、
本土の身内等を頼って、島を去る人々が多くなるのでは、と感じています。

一度島を離れた島民に、もう一度島へ戻ってもらうことは、
東京都三宅島の例もあるでしょうが(災害のレベルは異なりますが)、
そう簡単なことではありません。
Iターン者がいままでよりも増えることは、現実的に考えられません。

奄美大島は、位置や規模からも、南西諸島の要衝の一つといえます。
この地域の人口を急激に減少させることは、日本の安全保障の面でも、
また文化的多様性等その他の面でも、大きな損失、とりかえしのつかないことになると考えます。

既にご存知のこととは思いますが、以上のこともご考慮に頂き、
迅速な支援をご検討・ご実施頂くことにお力添えを頂けたらと存じます。

大変不躾なメールにて、本当に申し訳ございませんでした。
塾にご縁を頂いた者として、いま私にできることを考え、お伝えさせて頂きました。
私も一日も早い復旧・復興を目指して、「現地現場」で動き続ける所存です。

安田壮平
鹿児島県奄美市名瀬古田町5-7
PC:sohei@mskj.or.jp

以下、写真の解説です
1.JPG

・写真1:10月24日(日)奄美市名瀬古見方(こみほう)地区名瀬勝(なぜがち)集落
  床上浸水した家屋です。報道では奄美市住用町や龍郷町戸口集落が多く取り上げられているよう
ですが、
  奄美市笠利町佐仁集落、名瀬古見方地区、知名瀬集落、大和村大和浜集落等、
  多くの集落で床上浸水がありました。それらの集落で死者や負傷者がほとんど出なかったのも、
  多くの方々の助け合いのおかげと聞いております。

2.JPG

・写真2:10月24日(日)龍郷町浦集落
  多くのニュースでも出ましたが、土砂崩れで半壊した遠い親戚宅です。
  今回、最大級の土砂崩れではと思います。いまは移住先の町営住宅が決まり、
  重機を待っています。立て替えるにしても、1、2年はかかるとのことです。

3.JPG

・写真3:10月26日(火)奄美市住用町西仲間集落
  多くのニュースで出た奄美市役所住用総合支所の1階です。
  下水道の敷設がなく、汚泥がものすごい悪臭を放っていました。
  地元の専門学校生がボランティアで作業してくれて、かなりきれいになりましたが、
  この建物が再び使えるのか、心配です。

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