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会派「翔」マニフェストの評価について⑦

自己評価ではマニフェスト達成率8割超?
 私達の会派マニフェストは、政策提案とそれに対応する財源提案に加えて、議会改革の項目があり、三つの構成要素でできている。一つは、従来型の政策提言に、期限とその政策を達成するために必要となる費用概算見積もりを加えた部分。おそらくは、現職議員でない方々の場合は、この部分だけでも作るとよい。後ほど触れるが、財源提案はなかなか面倒だからだ。二つ目は、それらの政策提言の総額を補うために必要となる財源提案である。政策提言総額と、財源提案総額をある程度一致させることを意識した。4年間で、5億円の財源確保とした。5億円で、一応ほぼ新規の政策提案についてはまかなえる額としている。三番目は、議会改革に係わる項目である。これは、執行部に対するウイッシュリストではなく、自己改革が可能であるので、あえて三つ目に分類した。
 表にも示したように、自己評価では、□を達成した項目、■が目標に向けて進行中の項目、▲が予定より遅れている項目とした。この評価方法は、所沢市の当麻市長マニフェストの採点方法と同じ表現とした。全16項目中、□が10項目、■が4項目、▲が2項目となった。これから、外部の方に評価していただこうと考えているが、□と■を加えると約87%の達成率となる。この達成率をみていただければ、手堅い政策をマニフェストに提示していったことがご理解いただけることと思う。地方議会の会派マニフェストは前回も述べた通り「政策公約」であるからである。「政策公約」である以上、「政権公約」と違い、あまりに夢物語を語るわけにはいかない。マニフェスト作成にあたっては、実現可能性が7割を超えることを前提に提案を行った。7割を前提としていたが、正直ここまで達成できるとは思わなかった。当然、4年以内でできることに絞り込んだ影響もある。市長マニフェストと重複した部分の達成度はさらに高い。当然ながら、執行部も市長マニフェストについては優先的に取り組むからである。特筆すべきは財源提案で、ほぼすべて達成した。

既存の政策提言はちょっとした工夫でマニフェストに
所沢市議会では、会派マニフェストではなくて、「政策提言」を予算策定時期の10月~12月にかけて市長に提出する会派が多い。会派によっては100項目以上にわたる場合もある。いわゆるウイッシュリストである。政策要望については、住民の方々の意向というのは、「最大公約数」(住民ニーズが高く、どの会派も要望している項目。例えば保育園の待機児解消や、自治体が運営する地域循環バスの路線拡大など)が存在する。 
各会派が作成し毎年市長に提案するウイッシュリスト型の「政策提言」も、重複した部分は多い。当然私達の会派マニフェストも、程度の差こそあれ、そうした政策提言と重なっている部分が多い。
会派マニフェストと政策提言の違いは、いつまでにという期限の記載がないことと、政策実現に必要となる額が明記されていないことである。ある会派の提言は、会派名が3代前の約10年以上も前の時代からの政策提言を引き継いでいるという。いずれの会派も、以前に作ったウイッシュリストを達成した場合は削除し、新たな政策が出た場合は付け加えるというやり方で、代々引き継いでいるようである。
 「そもそも議会は執行機関ではないのだからマニフェストはおかしい」という考え方からすれば、財源などを考える必要はなく、政策要望で十分であるというのもわからないでもない。また、「期限はこちらが区切るものではなく、執行部が考えるものだから当然提出する側から期限を提示する必要もない」ということのようだ。
 政策実現にかかる費用の概算が提示されれば、住民の方々にとっても要望実現のためにかかる費用について知っていただくことが可能になる。住民の方々も政策の費用対効果については意識されない場合が多い。費用の大きさを知って、愕然とされる場合もあれば、「いやそんなはずはない、もっと安くできるはずだ」という場合もある。いずれにせよ、より具体的な議論を議会内のみならず住民の方々に喚起する意味でも、政策実施にあたっての必要額の概算表示は欠かせない。
概算が出てくれば、次の段階では確実に財源提案につながっていく。実際に、政策提言には、職員定数の削減や手当の見直しなどの行財政改革について提言を含んでいる会派もある。行財政改革の提言も実現による削減額を提示できれば、それが当然財源提案にも結びついていくことになる。
私達の会派マニフェストを当時の市長に提案した。当時の市長も、「議員さんから財源の提案がされているのには驚いた」というコメントがあった。
 読者の方で、会派で現在、政策提言を作っている方々は、政策提言に概算額と、工程表、いつまでに行うかという点を加えるだけで、マニフェストに一歩近づく。また、自分の会派ではそういうものを作っていない、あるいは、現職議員でない方々も、既存の政策提言は、特に政党会派(全国的な政党の名称を冠した会派)の場合は政策提言を作っているケースが多いようなのでまずは、それを手に入れられると、政策の提言については住民要望の「最大公約数」がつかめることと思う。

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