会派「翔」マニフェストの評価について⑨
「4 ●廃プラを焼却し、埋め立てコストの2億円を削減します。」の項目についても、やはり2人の先輩議員の提案であった。この財源提案についても、同じように執行部に質問することによって、財源確保総額を確定していった。ただ、実際に、平成21年3月議会では、「平成19年度実績の数値に置きかえ再シミュレーションした結果について、約3億1,000万円の経済的効果」と執行部は説明しているので、実際は、1億円ほど過小に見積もっていたことが判明した。
いずれにせよ、実態の数字と、それほどの乖離がないことがご理解いただけると思う。
残念ながら、この方法は、現職議員なればこそ可能であるので、だから、より精度の高い財源提案を行うのは現職議員でなければなかなか難しいといったのは、この2つの点で難しいからだ。
本当であれば、新たに議員に立候補しようと考えている方にも、執行部は支援をすると良いと思う。岐阜県多治見市長選挙では、対立候補にもマニフェスト作成のための支援を行ったという。そうなれば、より政策を議論する選挙となることが期待される。
しかし、現状において、そうした支援が見込めない場合、よくよく調べてマニフェストに提案しないと、後で、整合性がとれなくなる。例えば、ある議員が、これはマニフェストではないが、議員年金の廃止を「公約」で訴えて当選した。現職議員の方々ならご承知の通り、議員年金の廃止の権限は、市町村議会には無い。となると、その「公約」は宙に浮いてしまうばかりか、その議員の信頼性にも影響を及ぼすことになる。また、別の議員は、議員報酬引き下げを公約にあげていた。これも、のちほど訂正をすることとなった。
もし、実現可能性の高い財源提案を行いたいという場合には、まず、会派の政策提言の中にある、財源提案に結びつきそうな項目についてリストアップを行ってみることである。その後、その項目について、議会の議事録検索などで、どのような議論が行われてきたかをチェックするとよい。その上で、できれば執行部の職員にそうした調査結果を踏まえた上で質問をしてみると良い。こちらが、それなりの確証をもっていれば、一定程度の回答は引き出せると思う。
財源提案は、特に、既存の事業を削減、廃止する点で魅力的で有権者への訴求力も高いが、くれぐれも慎重に扱わなくてはいけない諸刃の剣である。