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行財政改革シンポジウムに参加しました

 2008年5月21日(水)、日経BPガバメントテクノロジーが主催する、行財政改革シンポジウムに参加しました。
 プログラム

 すでにご存じの方もいらっしゃるかとは思いますが、いま、地方公共団体の会計システムを、民間部門の会計方式(複式簿記 発生主義)を本格的に取り入れた会計システムへと変更する、いわゆる公会計改革が進んでいます。

 くわけんも、すでに、2007年9月議会で、
 公会計制度改革と、所沢市の対応について質問いたしました。
 人口3万人以上の市は、平成20年度決算まで(つまり平成21年)には、新しい公会計制度で決算をおこなわなけれいけないとされています。

 所沢市では、平成14年度から、総務省方式によるバランスシートと行政コスト計算書を算出し、公表しています。
 所沢市の財務諸表

 既存のバランスシートも大枠の財政状況はわかるのですが、たとえば資産評価などは、そうとう大雑把な推計を行っています。
 どういうことかというと、日々の会計処理は単式簿記、現金主義で行っています。その結果出てきた、決算統計を、読み替えて財務諸表を作成しているのです。決算統計もデータ量は充実していますが、読み替え方法は全国共通ですから、どうしても実態とのかい離が発生してしまいます。
 当然ながら、元データにもどれないという欠点もあります。
 
 国が示している会計方式には、総務省基準モデル(2章方式)と改定モデル
(3章方式)があるのですが、改定モデルでは、現行の総務省モデル、つまり、現在の所沢市の財務諸表を作成するモデルに比べれば、精密度は増していますが、複式簿記・発生主義で会計処理する基準モデルに比べればやはりデータの正確さが劣ります。本来であれば、複式簿記・発生主義で会計処理を行う基準モデルで処理すべきなのですが、規模の小さい自治体では、作成に手間がかかるということで、改訂モデルも残存してしまったという事情があるようです。
(正確にいえば、基準モデルでも、日々仕訳入力をしないやり方もある)

 ただ、今後は、最終的に基準モデルを目指すように法整備もされるという情報もあり、くわけんとしては、所沢市は、二度手間を防ぐためにも、基準モデルを平成19年度から取り入れるべきと、主張しています。 
 しかし、昨年度導入した所沢市の財務会計システムを納入したベンダーは、公会計に関心が薄いようで、公会計パッケージも持っていないようです。
 ですから、公会計のシンポジウムでは、所沢市の財務会計を納入したベンダーさんは、全く姿をみることができません。
 本来であれば、発注者の所沢市も、要求仕様の中に、公会計対応パッケージを持っているかを入れればよかったのでしょうけど、残念ながら、考慮にいれなかったようです。議会も、私を含めて、これほど公会計の改訂が早く進むと思わなかったので、あまり、執行部を批判できないのですが。

 また、平成19年度決算(平成20年・秋に公表)では、夕張市の財政破綻をきっかけとして生まれた、自治体財政健全化法に基づき、これまでより詳細な指標を公表しなくてはなりません。
 総務省地方公共団体財政健全化法関係資料
 この公会計改革と自治体財政健全化法に伴う新指標の公表が実施されると、自治体財政の情報開示が格段に進みます。

 ただ、提供される情報は増えるものの、その情報を読み解き問題点を指摘するためには、これらの新しい制度について習熟する必要があります。
 くわけんも、ここ1年以上、公会計や健全化法について、セミナーやシンポジウム、勉強会に参加し続けています。国も制度の詳細を詰めていなかったのですが、ここにきて、ようやく細かい部分も確定してきました。

 所沢市は、夕張市とは違い、堅実な財政運営を行ってきたので、それほど大きな問題点はないとは思われますが、少し心配しているのが、土地開発公社の時価と簿価とのかい離です。おそらく、この秋には、土地開発公社の所有する地価を低価法で評価して公表しなくてはなりませんから、その点があきらかになってくるでしょう。

 

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コメント

昨日(5/23)「傍聴席」のメンバーで市の財政課の粕谷参事による所沢市の「20年度予算」の出前講座を聞く機会を得ました。フランクで判り易い説明と応答は、とても有意義でした。しかし一方で市の
財政状況は2~3年前から見ればかなり憂うべき状況にあると感じました。20年度末には財政調整基金がかなり痩せてくる可能性があり
他方経常収支比率は14年度以降危険水域に突入し、18年度決算値では88.8%を示している状況はその
弾力性を著しく低下させていると思います。歳入面では依存財源が
国庫の逼迫で縮小へ向かうでしょうし、市債も特会まで含めれば今や900億超、現在の2%の利率もい
ずれ反転することを思えば、経常
収支を速やかに改善することは喫緊の課題だと思います。そのため
にはやはり人件費の圧縮と公共事業、公共財調達の透明性確保(随意契約の排除・入札制の強化)に
出来るだけ早く取り組むことが必要だと思われます。斎藤市政16年の負の遺産を是正していく為にも19年度決算と20年度予算の執行状況のwatchingは極めて重要だと思います。このホームページでご所見を伺えれば幸いです。

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