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 地方自治経営学会研究大会 河村市長講演について①

 河村たかし名古屋市長の講演を聴いて

 本日、午前中は、北海道根室市の方々の議会改革についての視察に対応させていただき、午後は、地方自治経営学会に参加してきました。

 その中で、講師の一人として河村たかし名古屋市長が講演されました。
 主に、減税についてそれがなぜ必要かが中心的な話題でした。
 河村氏によれば、まずはじめに減税ありきで、それによって行革を進めるべきとのことです。事業仕分けにも批判的で、仕分けで節約した財源を減税に回さずにほかの事業で使ってしまえば、仕分けの意味はない、との見解でした。

 また、政治の最大の役割の一つは減税にありとのことです。この点については、河村氏に指摘されるのを待つまでもなく、そもそも、以前、私もブログでかかせていただいたように、議会の嚆矢といわれる、英国の大憲章(マグナカルタ)でも国王の徴税権力の抑制が大憲章の大きな役割の一つとされています。

 自治基本条例は所沢のマグナカルタたりえるか

 ですので、確かにお役所を現代の王権に比すならば、まさに減税こそが本来的な政治の役割というのはわからないでもありません。

 ただ、以前書いたことと少し矛盾するのですが、当時の王様の徴税は、福祉はほとんど存在せず、存在したとしても、それはむしろ宗教、教会がその役割を果たしていたので、王侯貴族の享楽のために集められたという部分が大きく、税が再分配される割合は少なかったのではないでしょうか。ですから、まあ一方的に搾取される税だったわけです。
 ところが、現代はかつての家産制国家(王様が国家のすべての所有権を持つ。命までも。だから江戸時代も無礼打ちがあった)ではなく混合経済(経済活動が私的企業と政府によって行われているとスティグリッツも定義している)体制下にあるので、一概に税は、搾取とはいえず、むしろ現代の財政は、教科書的に説明するなら所得再分配機能や、純粋公共財提供機能、社会資本整備機能、経済政策機能に主眼が置かれており、むしろよりマクロな視点でみれば、社会保険的な色彩が色濃くなっています。ですから、スゥエーデンなどでは、戦争を100年以上していませんから、社会資本整備がだいたい終わって税金イコール福祉サービスの費用という状態が出現しています。ですからスゥエーデンにおいては、税金を取られるという感覚ではなく、むしろ保険費用という意識が強いという意見もあります。

 ですから、そもそもの議会制においては徴税権抑制が一義的な目的ではありますし、そういった意味で、私もブログでカリフォルニア州の州民が住民提案で成し遂げた「提案13号(プロポジション13)」と呼ばれるカリフォルニア州憲法改正提案を紹介したのですが、この提案が影響して、結局カリフォルニア州は財政危機に陥ってしまっているのもまた厳しい現実としてあるわけです。

 つづく

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