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2005年11月14日

議会運営委員会視察② 静岡県沼津市

 議会運営委員会視察の第2日目は、静岡県沼津市議会を訪問しました。  沼津市議会の視察のポイントは、委員会の議事録を音声認識システムを使ってすばやく文字化するシステムです。
 所沢市議会では、本会議については、全文をすべて議事録として残しますが、委員会の議事録については要点筆記という方法をとっています。 要点筆記とは、一言一句全てを掲載するのではなく、会議の要点だけを記録するという方法です。 要点筆記の具体例は、 所沢市審議会等の議事録を参照してください。
 所沢市議会では、本会議については、会議録専門の業者、株式会社 会議録研究所に委託しています。 年間予算は、平成17年度予算では、会議録作成委託料9,078,000円となっています。  一方、委員会の議事録については、各委員会2名の担当となった、議会事務局所属の職員が、テープ起こしをして、要点筆記で議事録を作成しています。 委員会は、本会議に比べて、「話し言葉」が多く、議事録に起こしにくいという点も、要点筆記になっている理由かと思われます。 ちなみに、委員会の議事録作成にあたっても、委員会等会議録作成補完業務委託料464,000円が予算化されています。
 本会議での議事録については、議会ホームページから平成10年以降については、議事録検索が可能になっています。委員会については、議事録は残念ながら公開されていません。 もし、委員会の議事録を閲覧したい場合、市政情報センターでわざわざ開示請求手続きを取らなくてはならないことになっています。 これは、なぜかというと、所沢市議会は、本会議主義を採用しているためで、委員会の議事については、本会議で、委員長報告の形で報告されるので、それで充分という考え方のようです。 もし市民の方が委員会の議事録を参照したい場合は、本会議での委員長報告の議事録を参照すれば、質疑や賛成、反対の意見が概ね把握できるようになっています。 本会議で行われる委員会の報告は、平均すると10分~20分、長いときは1時間もかかる場合があります。  さて、話を沼津市に戻しますと、沼津市では本会議及び委員会の内容について、株式会社アドバンスト・メディア の「AmiVoice
議会議事録作成支援システム」を利用しています。 このシステムは、リアルタイムで、会議の内容を、音声認識システムを使って、文字に直していくシステムです。システムの概要については、紹介記事をご参照ください。
 沼津市議会の場合も、そもそもは、市民にいち早く、委員会の内容を報告するためというより、本会議での委員長報告を作成するために、このシステムを導入したようです。それまでは、委員長報告を作成するために、委員会のある日は毎晩夜中の2時ぐらいまで残業をしていたそうです。
 ちなみに、所沢市ではどうなっているかというと、委員会の審議は、定例会の3日目に行われ、その後は、一般質問が5~6日(休会日も含め)あるため、その間にじっくりと議事録を反訳し、その内容に基づいて、最終日前日に行われる委員長報告が行われるため、沼津市よりは日程にまだ余裕があるようです。
 このようにして作成された議事録ですが、議事録としての体裁を整えるため、さらにこれまでどおり会議録の会社に送付して修正を加え、それを正式な議事録とするそうです。ですから、結局のところ、インターネットの会議録検索システムで閲覧できるまでの時間はこれまでどおりとのことでした。
 これでは、あまり費用の節減にはなっていないのでは、という疑問を沼津市の議会事務局の方に投げかけたところ、職員の残業代が減ったことと、会議録会社への支払いも圧縮できたので、当初はあまり期待していなかったが、費用削減効果があったとのことでした。
 やはりシステム化しても、それにあわせて制度を変えていかなければ、なかなか合理化は実現しないということを実感しました。
 所沢市でも、このシステムを導入することで、職員の方々の残業時間が少なくなり、会議録研究所への支払いも安くなるなら、費用を比較考量して、導入を検討するべきでしょう。もしシステムを導入するとなった場合、議事録のあり方も同時に考えていかなければならないでしょう。 いずれにしても、少なくとも議会閉会後1週間以内に、議会の議事内容を、本会議、委員会含めて、市民の皆様がインターネットで検察、閲覧できるようにすることが重要だとくわけんは考えております。
   
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2005年11月07日

議会運営委員会視察① 愛知県豊田市

 11月7日(月)、議会運営委員会の視察で、トヨタ自動車で有名な豊田市を訪問しました。 豊田市は、より市民の方々にわかりやすい議会をキーワードに議会改革を進めてきました。 わかりやすさの観点から、一番改革が必要とされたのは、市議会の一般質問でした。
 国会の場合、例えばよくテレビ中継される予算委員会などは、「一問一答方式」といい、一つの 質問に対して、原則として一つ答えるという形で質問が進みます。 そのため、見ている方々も議論の内容が日常の会話に近い形なのでわかりやすいといわれています。
 ところが、地方議会の場合は、一度見たことのある方はわかるとは思いますが、大抵「一括質問一括回答方式といい、一括で全ての質問を行い、一括で回答されるという方法で進められます。 そのため、議論の流れがつかみにくいという欠点があります。
 豊田市議会では、わかりやすい議会のために、平成15年から検討を始め、一問一答方式の導入を決断し、平成17年3月議会から実行しているそうです。 議場の形も、市長などが座る市の理事者の席に面する形で、質問者の席を新たに設置しました。  傍聴に来ている市民の方々からも評判は上々とのこと。
 ただ、一問一答にも問題がないわけでなく、質問時間の配分が難しいことや、理事者側がだらだらと回答すること、質問の答えは制限時間が来ても答えることを利用して、終了間際に多くの質問をする場合があること、などがあるそうです。
 他にも、わかりやすい議会のために、それまでは市の広報と一緒におこなわれていた広報誌を 独自発行に改める、一般質問をCATVやミニFMなどで生中継を行うなどの試みがなされています。
 他にも、様々な議会活性化に向けての努力が行われていました。 所沢市でも、豊田市の例を参考にしながらわかりやすい議会を目指して、まずは一問一答方式の導入に向けて、議会運営委員会でも議論を煮詰めていきたいと思います。  詳細は、 豊田市議会活性化報告書(pdf)をごらんください。
 他にも、豊田市議会の取り組みとして、所沢市にも取り入れるべき点としては、 公職選挙法より厳しい規則を設けて、市議会にそのための「公選法運用委員会」を置いていること、議員控室が、それぞれの議員ごとにパーティションごとに囲まれたブースになっていること、一般質問の内容について、一般質問が始まる以前に、議会のホームページに公開することなどが挙げられます。
 いずれにしても、他の議会の運営方法を視察することは非常に参考になることを実感いたしました。 今後も、折を見て、他の市議会についても研究をしていきたいと思っております。

2005年11月02日

市民環境委員会視察 ③ 北海道富良野市

21日(金)には、家庭からでる一般ゴミの資源化率が93%で、焼却率が5.8%の北海道富良野市を訪問しました。富良野市では、平成14年12月に焼却施設を廃止しました。現在焼却が行われているのは、平成16年度は、衛生用品(紙おむつ、生理ナプキン等)とペット糞が513.8t、動物の死体が0.6tだけとなっています。 では、他のゴミについてはどう処理しているのでしょうか?重量の多い順からみていきましょう。 富良野市でも、最も重量の占める割合が多いのが、所沢同様、生ゴミで2,907tです。これに枝草類532.7tを加えた3502.69tが実に全体の40%を占めています。この生ゴミが全て堆肥化されています。生ゴミ回収用の袋は、他のゴミとは違い、生分解性プラスティックを材料にしています。 この堆肥化を行う施設が、今回見学した、富良野市を含む5市町村(富良野市、上富良野町、中富良野町、南富良野町、占冠村)で共同設立した、富良野地区環境衛生センターです。センターは、前日にみた、環生舎とはうってかわって、近代的かつコストもかかっている施設です。施設建設に34億円を投じているだけあり、機械設備が中心の施設となっています。まさに、前日の環生舎とは好対照を成しています。このセンターを見て、逆に、前日の我満社長の言っていた「お金をかけない」「単純な」施設という意味がよくわかった次第です。 センターは生ゴミだけではなく、し尿や浄化槽汚泥もあわせて処理しています。周辺は森林地帯ですので、木材産業も盛んであり、そこから得られたバーク(木屑)も混入されます。バークを混入することで、水分調節と悪臭防止にもなるとのことです。 このセンターで生産される堆肥も、全量、農家が有料で引き取るそうです。農家のこの堆肥に対する評価も高いそうです。そもそも富良野地区は、家畜農家が少ないため有機肥料の原料となる家畜の糞尿をわざわざ十勝地区から買っていたそうです。あるいは、より安価な化学肥料に頼った農業を行っていたそうです。 生ゴミ堆肥化で、最も問題になるのが、堆肥の引き取り手の問題です。堆肥に対する信頼度、堆肥の有効性が認められないと、せっかくの堆肥が、埋め立て処理されるといった場合もあると聞きます。この点については、富良野市はクリアしているようです。 また、堆肥化が始まるまで、富良野市では埋め立てが行われており、その埋め立て地周辺は悪臭が漂い、生ゴミを求めてカラスやキツネが寄ってきて、そうした鳥獣が農作物を荒らすという被害もあったそうです。
 さて、重量で2番目に多いのが、資源ゴミです。2587.53tで29%。これらは基本的に所沢市と同様の分別と収集がおこなわれています。分類項目は、「乾電池・蛍光管」「空き缶・金属類」「空きビン・陶磁器・ガラス」「新聞・雑誌・段ボール類」「ペットボトル」「プラスティック類」。
 重量で3番目が固形ゴミです。所沢市では「燃やせるゴミ」に分類されています。この固形ゴミが2,166tで全体の24%。この固形ゴミは、固形燃料化して、かつては、冬場の市内の小中学校の暖房用として利用されていましたが、現在は、王子製紙㈱江別工場で燃料として有料で引き取られているそうです。熱量もボイラー用石炭と同程度の発熱量を有しているそうです。固形燃料化は、三重県で固形燃料を利用した工場が爆発炎上して以来、評判がわるいのですが、富良野市の場合は、固形燃料に生ゴミが含まれていないために、水分含量も少なく、そのため品質も安定していて、これまでなんら問題がなかったそうです。 固形燃料に生ゴミが入ると、生ゴミから発酵によって発生するガスが、爆発等を引き起こすようです。その生ゴミが含まれていないため、品質の安定が獲られます。 この固形ゴミには、所沢市では、燃えないゴミとして処理する皮革類も含まれています。 私たちは、固形ゴミを固形燃料化するプラントも見学しました。廃棄部担当の方によれば、「原油等の値段も高いため、引き取り手の工場からはもっと納入して欲しいとの要請が寄せられているが対応できない」とのことでした。  残りは、粗大ゴミが71tで1%、焼却処分となる衛生用品・ペット糞、埋め立て処分をする灰類をあわせて531.35tで6%です。
 富良野市を見学して、所沢市でも資源ごみの分別については負けていないなという印象を持ちました。しかし、最も遅れているのはやはり生ゴミの回収体制です。富良野市と違って所沢市では堆肥の受入れ先の確保が難しいとの声も聞きますが、実際には所沢市は公園や街路樹も多いのですから処理先は十分にあります。  生ゴミも富良野市ですら、1年間にわずか50ヘクタールの農地をまかなうだけの量しか生産できないそうです。単純に比較して、所沢市は、富良野市の人口(25,566人 平成15年3月31日現在)の約13倍ですから、650ヘクタールの農地に利用できる堆肥が生産できることになります。重複もあるとは思いますが、所沢市の作付け面積が約710ヘクタールあるのですから、所沢市の生ゴミは富良野市の例を引けば論理的には全量所沢市で利用できることになります。また、公園面積も117ヘクタールあります。ここに利用することも可能です。
 所沢市では一時期、固形燃料化を実験したそうですが、生ゴミをふくんだゴミで実験をしたため、あまり品質のよくない固形燃料となったとのことでした。
 いずれにしろ、所沢市がゴミ処理のリサイクルをより一層進めるためには、生ゴミ処理をどうするかということを避けて通れないようです。生ゴミ処理が軌道に乗れば、燃やせるゴミも東部クリーンセンターは、サーマルリサイクル、つまり熱を有効活用する焼却施設ですから、富良野市並のリサイクルが実現できるということになりますし、おそらく所沢市の重量で約4割を占める生ゴミがリサイクル可能になれば、理論的には、焼却炉も現在の東部クリーンセンターだけで十分まかなえることになるでしょう。 ところが、現在の所沢市は生ゴミ処理には非常に及び腰であり、現在策定中の廃棄物処理計画でも生ゴミについては全くやる気がないというのは気にかかるところです。今後はくわけんとしても、また委員会としても生ゴミリサイクルに向けて何らかの提言を行っていきたいと考えております。